第九話 隼也はそのうち考えるのを止めた。
遅くなりました、見切り発車楽しいれす(^q^)
【他のプレイヤーと接触しました】
そう表示された時俺の心の中は、荒れに荒れていた。
5位と4位だけには当たりませんように。
フラグとか関係無いので、いやマジで。
この通り、普通のお願い! ごく普通のお願いだから!
【プレイヤーの情報が判明】
誰だ?
【現在5位マッテオ&莫耶です】
ノォオオオオオオ!!
フラグ成立したぁ!
待って、まじマッテオ。
マッテオって何? 何人だよ!
【それでは交渉フェイズに移ります】
いや、いいわ交渉しません。
交渉しません!
だが無情かな、茜とズラ同様に強制的に面会が接待された。
このイベント強制なのか……嫌なこと知ったなぁ。
相手の容姿が現れる、もう腹をくくるしか無い。
出てきた2人を眺める。
ちょっと待て、容姿がおかしい。
黒いスーツなのは分かる。
百歩譲ってもな。
なんで中のシャツそんなに派手なの?
なんで第三ボタンまで解放されてるの?
真っ黄っ黄なシャツどこから仕入れた、アロハか? ハワイなのか?
解放せし首には金のネックレス。
右手にはごつい腕時計。
うわ、高そう……。
そして何よりも重要な点は。
高い鼻に白い肌、見事な胸毛。
確実に分かることは。
日本人じゃねぇ!
「おぉ! なんて素晴らしい! こんな場所に魔王が居るとは!」
随分と陽気な勇者来たなぁ。
あと勝手に翻訳されているのは異世界仕様でしょうか?
向こうさんも気づいていいもんなんだが。
気づかなそうだなぁ。
猪突猛進タイプっぽいし。
イケメンか? うんイケメンだろう。
甘い茶色の髪をショートに。
日本で言うところの2ブロックで上辺の髪をグリースで波のように流れを作っている。
ヒゲは囲みヒゲの形を作っていて若干ケツアゴの名残がある。
だがそれもダンディさとお茶目さでプラマイからのプラスに転化している。
ホリも深く、見つめられたら街中の女はコロッと落ちていくだろう。
それに彼が放つ怪しくも危険な雰囲気が、誘う蜜のような独特なフェロモンを発している。
まぁ、見事な男を感じるスポーツマンダンディだ。
アロハ並みに派手なシャツが似合う男性なんて反則に近い。
こうゆう時外人って得だと思う。
対照的に莫耶と呼ばれた神というと。
チャイナ服を着ていた。
何あれ、メッチャエロいお姉さんなんだけど。
うちのホリ夫と交換して欲しいんだけど。
黒髪で長髪だと思う、思うってのはその長い髪を夜会巻きにしているから。
目は切れ長、でも怖さは感じない。
女の魅力に溢れている。
チャイナ服に相まってチャイニーズヤクザの女感が半端ない。
一度でいいからそのハイヒールに踏まれてみたい。
その真っ赤なハイヒールは返り血だとか言って欲しい。
こちらに向かって微笑んだ。
あぁなんて危険な香りがするんだろう、僕を大人にして下さい。
「あのクソ忌々しいフランチェスカ以外の始めてのプレイヤーだ、歓迎しようイエローモンキー」
友好の証を向こうから差し出してきた。
要するに握手だ。
俺は笑えているだろうか?
イエローモンキー?
上等な奴が来たな。
「こちらも会えて嬉しいよホワイトピッグ」
「おいおいおい怒ったのかい? これだからモンキーは困っちゃうなぁ」
「ジョークが通じないなんて悲しいね」
「あははぁ!…………粋がってんじゃねえぞクソガキ」
はい確定。
こいつは世間一般的に言う。
マフィア☆ですね。
わーい! 僕もう日本に帰りたいです。
「そんな怒んなよ兄弟、この出会いに感謝を」
「……ッチ、宜しく」
相手の握手に対して俺も握手し返す。
両方の手が結ばれる時あいつはこう思うだろう。
——握りつぶしてやる——
でもね、触れられないんだよねー。
ププッ、ワロス。
でも俺も大人だから誠意ある行動をしてやろう。
「会えて嬉しいよ」
「あぁこちらもだ」
「「…………」」
「マクドナールド!」
はい決まったぁ!
相手の握手を、華麗にかわす高等テクニック!
「…………」
おいおい、何その顔?
笑わせんなよ!
あースッキリした、今のでノーカンな。
「ごめんごめん、日本では古いしきたりでいきなり握手するのはあまり良くないことなんだよ」
「ほぅ……」
怒ってる怒ってる、ププ。
しきたりなんてねーよバーカバーカ!
「ワンクッション置くのが礼儀なのさ、気を悪くしたら悪いね」
「いやそれなら仕方ないさ兄弟、良い文化だと思うよ」
「ありがとう兄弟、じゃあ仕切り直そうか」
「あぁそうだな」
「「…………」」
「ロッテリアァアアアア!!」
「…………」
おいマッテオ。
何故お前がそのネタを知っている?
田舎者だけに伝わるローカルルールだぞ。
「昔ジャパニーズの友人にやられたことがあってね、これが礼儀正しい握手の仕方だろ兄弟?」
「そ、そうだね」
うわぁ、こいつ性格悪!
ニヤニヤしやがって、ピノキオが。
「全く負けたよ、因みに映像だから握手出来ないけどな」
「そうなのか?」
「だから場を和ませようとふざけてみたのさ」
「中々ユーモアがあるね、私はそうゆう友人は大好きだよ」
何というか、茜と違う意味でやりづれぇ。
こいつが戦争ふっかけた張本人か……。
分かる気がする。
だってThe脳筋だもん。
筋肉で考えてそうだもん。
「自己紹介が遅れたね、俺はマッテオ・リコッティ。 イタリアのプーリオ出身さ、プーリオはトマトが名産でね。 聞いたことくらいあるだろう? なにせイタリア国内での三割を産出しているんだイタリア人なら知らない人はいないね、今トマトと分かりやすく説明したけど、僕たちの間ではトマトの事をポモ・ドーロとも言うんだ、勉強になったかい? あぁ悪いね私ばっかり喋ってしまって、君はジャパニーズかな? さっきのジョークでそう思ってね、違ったら申し訳ないね、ハハッ!」
うん、長い。
三行でまとめろ回遊魚。
いらねぇ知識ベラベラ喋りやがって、お前の出身地とかどうでも良いわ!
「佐竹隼也です、ジャパニーズです」
「おぉやっぱりジャパニーズか、どこ出身なのかな?」
え、出身地重要なの?
いらないよね?
「横浜です」
「横浜かぁ、へー」
「ご存知で?」
「知らね」
知らねーのかよ!
紛らわしい反応すんなよ。
やっぱり出身地いらないよね?
取り敢えず適当に嘘ついておくか。
まともに相手するのが馬鹿馬鹿しい。
「因みに私は忍者の末裔です」
「ニンジャア!?」
「ええ」
「サムライは?」
「サムライの末裔でもあります」
「おぉサムライ!」
「飛天ミツルギリュー!」
「おぉ!おぉ!サムライ!」
「ラセンガン!」
「おぉ! ラセングン!」
「まぁ、こんな所です」
「ゲイシャは?」
「ん?」
「ゲイシャ……は?」
「あぁ、ゲイシャね! あれかぁ」
「うん、そうゲイシャは?」
「……末裔に決まってんでしょ!!」
「おぉ!ゲイシャゲイシャ!」
「……」
やっべ、なんか得体の知れない超人設定になったよ。
忍者で侍の芸者さんってどんな存在だよ!?
剣客商売の佐々木と水戸黄門のお銀が合体した存在だな。
……なにそれ無敵じゃね?
あとラセングンじゃなくてラセンガンな。
面白いから指摘しないけど。
なんか仲良くなったし設定このままにしとこ。
「君は素晴らしい! 最強ですね!」
「まぁ、それ程でもある」
「あなたに会えて良かった」
「照れるぜ」
「そんな最強の君に話があってね」
「ん?」
あ、いかんぞこの流れ。
止めなきゃ!
「実は私今戦争してまして」
「えー、マッテオさんメッチャイケメン!」
「え? イケメン?」
「うんうん、なんか男って感じ!」
「え、そう?」
「格好いいわぁ」
「照れるなぁ、まぁ事実だけどね」
「憧れちゃう!」
「ハハッ! そんなイケメンの僕からの提案なんだけど……」
「あー! その時計、まさかロレックスでは?」
「分かっちゃったかい? そうなんだよ、お気に入りなんだよね」
「いいなぁ、素敵です!」
「そんな素敵な僕からのお願いなんだけどね……」
「おぉー!」
「な、なに?!」
「何でもないです」
「……じゃあもう話していいかな」
どうしよう、凌げない。
回避技が足りない、仕方ない。
そう、仕方がないんだ。
こうなったら奥の手を使うしかない。
勇気の。
「切断だぁああ!!」
俺は即座に交渉フェイズを一方的に終了させる。
完璧な作戦だ。
これで一時的に時間を稼げる
【5位のマッテオ&莫耶ペアから交渉の申請が来ました】
聞こえねーな?
はいはい、拒否っと。
楽勝楽勝!
【交渉フェイズに移行します】
なん……………だと?
マネージャーこの惑星バグってませんか?
「おいおい、急に切っちゃうなんて酷いじゃないかぁ」
初回限定ではなくて。
この交渉フェイズって。
拒否できないの?
「大丈夫かい? ジャパニーズ? 生きてるー?」
あぁ、生きてるさ。
生き地獄だよ。
「じゃあ僕の話を聞いてくれるかい?」
哀れな隼也君はジャイアンに搾取されて一文無しなりました。
めでたしめでたし。
おしり。
……いや待て、こうゆう時こそ考えるんだ。
思い出すんだ!
俺はチャレンジ一年生で考える力が花丸だったじゃないか!
そのチャレンジ一年生の問題を高2で解いた事は伏せておく、まじ楽勝だった。
そうやれば出来る子だ!
そうだ考えるな感じるんだ!
……あ、違う! そっちの思想は脳筋御用達だった。
なんて取り留めもないようなことをグルグルと考えていた。
どうすればこのイタリアマフィアから逃れることが出来るのだろうと。
こんなに長く会話をしていたから、事態の変化に気づく事に遅れてしまったのだ。
嫌なことから、人は救われるように出来ているのだろう。
このヘリオスパドス全体に一つのメッセージが届く。
このタイミングでマッテオと話している最中に起きたのだ。
俺はまだまだ甘かった。
社会人舐めてたが辞世の句だったっけ?
その言葉を借りるなら。
俺は。
この世界を舐めていた。
そう表現するしかない。
この世界は正に戦争狂い達の楽園だという事を。
身をもって。
知ったのだ。
【3位のプレイヤーが8位の茜&Zulfiqarペアに宣戦布告しました】