あえて言おう、ぼっちであると
勢いで書いてやった。
後悔はしていない。
不定期更新、乙ってやつです。
あえて言おう。
私がぼっちで在ることを。
孤高だとか、一匹狼だとか、超越せし者だとか言って崇め奉られちゃっているが私だが、なんて事は無いただのぼっちだ。
友達とかいた事がないし、仲間とかも縁遠い存在だ。
当然、恋人もいないし、出来ない。つか、あり得ないし。
長年、世界を股に掛けて[世界最強]をやらせて貰っているが、私はぼっちであり続けている。
可笑しい。
名前は売れているのだ。
何せ売りは[世界最強]だ。知名度は下手な王様より上な筈だ。
もうあれだ、世界中誰もが知っている筈だ。
望んではいないが、下心満載のエロゲス野郎とか、金の亡者とか、野心まみれの権力者とか、そろそろ依ってきてもいい筈だ。
だって[世界最強]なんだから。
それでも私はぼっちだ。
何故かぼっちだ。
可笑しい。
こんな事なら、[世界最強]なんて成らなければ良かった。
普通に学校とかいったり、街で働いたりすれは良かった。
何が「世界最強になったら、うんざりするほど人が依って来るぞ?」だ。全然依って来ないじゃないか。くそ師匠。あんたが言うから、頑張ってなったのに。私の努力はなんだったんだ。
「はぁ・・・・・」
◇━●◇
世界最強。
それは創造神[カルデラル]に愛された世界[フロンティア]で、文字通り世界で最も強い者に送られる称号である。
現フロンティアにおける[世界最強]の肩書きを持つ少女アルカディアは、掛け値無しの最強であった。
それこそ、創造神カルデラルにして「ちょっと意味分かんないわ、こいつ」と言わしめる程、規格外な化物であり最強であった。
そんな最強には一つ悩みがあった。
それはドラゴンを万単位で殺せても、単機で国を滅ぼせても、大陸を割ったり海を引き裂いたり出来ても、どうしても手に入らない物だった。
それが、隣に立つ者の存在である。
それは友達でも良いし、仲間でも良い、家族でも恋人でも伴侶でも良かった。
アルカディアはどんなに望んでも手に入らなかったそれを、ずっと求めている。
躍起になって、世界を股に掛けている。
だが、アルカディアは知らない。
その躍起になってやっている事が、より自分を他人から遠ざけている原因だと。
例えば、そう。
今回だけで言えば、アルカディアが大きくため息をついたその場所が既に問題だ。
アルカディアが落ち込んでいた場所は、現世における地獄[魔界]と呼ばれ恐れられている化物の巣窟である。
ドラゴンを始めとする準強者達が、己が存在を賭けて犇めきあう殺し合いの舞踏会場である。
そんな地獄で、少女は体育座りして落ち込んでいたのだ。
ポーズだけ見れば小さくなっているように見えるかも知れないが、少女が体育座りしていた場所は魔界の、ドラゴンの死体がゴロゴロ転がっている、その内一番デカいドラゴンの背の上だったりした。
目立つなんてもんじゃない。
見つけて下さいと、土下座して、賄賂を渡して、泣き落とし、懇願しているような物だ。これで目立たない訳は無い。
これが、町中であったり、もっと文化的な場所であれば、「構ってちゃんがいる」と陰口を叩かれるだけで済むかもしれないが、ここは魔界である。
こんな危険地帯で化物達相手に構ってちゃんをかませるこの少女は、やはり可笑しい存在だった。
そして、それはここにいる化物達にとっても同じだった。
早く帰って欲しい。
それが遠目から眺める化物達の総意だったりするのだから。
その上アルカディアがここに来た理由も、「ドラゴンを退治したら目立つ。イコール人が来る。なら、沢山退治したらもっと人が依って来る。やっほー!」と言う常軌を逸した構ってちゃん的な物であった。
友達欲しさにドラゴンを数百体を散歩のついでにほふる奴と、仲良く成りたいと思える奴は、アルカディアと同程度頭が可笑しい存在だろう。
神でも「うわぁ」と引くlevelの存在はそうそういない。
そんな頭のネジが吹っ飛んでしまっている可笑しい奴のお手本みたいな存在であるが、それでも欲っした。
それでもアルカディアは求めた。
ぼっちを解消してくれる、たった一人の誰かを。
この物語は、ぼっち街道をひたすら突き進む[世界最強]の物語。
アルカディアの愛と青春と狂喜がタンゴを踊る、ぼっちで最強な一人の少女の物語。
アルカディア・ベルル
♀
身長 160㎝
体重 黙秘
趣味 買い食い
特技 体育座り
チャームポイント [世界最強]