表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Lv1の勇者はチートスキルで頂点を目指す!  作者: 青池遊里
1章、Lv1の勇者はチートスキルで頂点を目指す!
9/13

勇者達は進む

さて、問題です!デ〜デン!

俺はどこで何をしているでしょう!


「む!貴様何者だ!」


甲冑を着た騎士が槍を此方に向ける。


「む!葉山優志という者だ!雑魚にようは無い!」


0.01%ほどの力をもって甲冑の男にデコピンする。


「ぐあああああ!」


そのデコピンで甲冑の男は俺の前方数10m飛び、壁に激突した。

他にも居た騎士たちが騒いでいるが天使のデコピンで身も心も昇天していったことだろう。


「ん?どうしたコラス、早く入るぞ」


後ろを歩くコラスは呆れた顔をしながらこちらを見ている。


「なんか、間違ってない?」


「ん?何が?」


俺は鼻歌まじりに城内を進む。




〜数日前〜オルカロスのいる祠にて


状況の整理からして行こう。


まず、ここに呼ばれた原因は何故か?

答えはゼアドなる者が俺に責任を押し付けたから。


アルゼドなる者は俺を狙っているらしいが何故か?

自分が復活できるらしいから。


そして、俺は何をするのか?

…別にいいんじゃね?俺、負けないし!キラン!


心の中でピースしてウィンク!


さて、こんなどうでもいい(・・・・・・)話を何故、わざわざ俺に聞かせたかはさておき聞いておきたいことがある。


「オルカロスさんが止めてくれれば俺としては万事解決なんだけど?」


正直、アルゼドと戦うのは悪く無いと思っている。

がしかし、俺は別にアルゼドじゃなくてもいいし、ぶっちゃけ誰でもいい。

アルゼドが俺に倒されようが誰かに倒されようがどうでもいい。


「オルカロスで良い。ワシは既に死んでおる。ユーシは既にワシの標識ステータスを見たはず。ならば分かるだろう?ワシは生者には触れられない」


「アルゼドって奴がどうゆう形で存在しているのかは知らないが、一度死んだ者なんだから死者が死者を攻撃ぐらいできんじゃないの?」


今、心底どうでもいいことを言うが、この爺さん爺さんらしい発言が少ない!

普通さ、“〜じゃ”とか、“〜かのう”ぐらい言うのがテンプレだろ!最近期待値下がってますテンプレ(異世界)!


「…実は…」


かなり言いたくなさそうな雰囲気を出しているこれは聞かないほうがいいな。


「実は?実は?」


グイグイイッキマース!


「…お主、以外といい性格してるな…」


オルカロスは訝しげに眉を寄せる。

わかってくれるかい?いやー君は俺の138人目の理解者だわ。


「それで実は?」


「む…実はワシはこの土地から動けないように魔法が敷かれている。出ることもできない。できることノイズだらけの通信に似た魔法を使ったり、世界に目を向けるぐらいだな」


ぐらいじゃな…じゃねぇよ!監視カメラのように何時でも見れんのかーい!


「ん?通信魔法?んじゃあ変な言葉を頭に直接送ったのあんたなのか?」


杖を使って!だとか4をあげようだとかさ、いやお前誰だよ!ってなってたってことにしたわ今。


「それはゼアドとコラスだな。まあ二人ともお主を見ていたということだ」


ちょっと待て!

頭が今ついて行ってない。

ゼアド?コラス?はあ?


「ゼアドは死んだってさっき言ってたじゃん!それにコラスだってまだ子供じゃないか!」


「む?コラス、まだ言ってなかったのかい?」


オルカロスはコラスに視線を向ける。

コラスは悪戯がばれた子供のような笑みを浮かべていた。


「コラスはこう見えても四百年生きる、不死竜フェニックスドラゴンなんだよ」


コラスは自慢げに鼻をかく。


「そう、僕、コラス・ラ・ドラースは四百年以上生きるおじいちゃんでした〜」


楽しげに笑うその姿は子供のそれと変わらない。

はい?


「え!?でもステータスには…」


「そうだよ~これはスキル『阻害』ってやつなんだよ。まあ便利なスキルの一つだよ」


へぇ~じゃあザランやヘルナが使ってたのも『阻害』だったのかな?


「ってじゃあもうすぐ死ぬって言うのは嘘!?もろもろ言ってたことも?」


「え?僕は死ぬなんて言ってないよ。まあ他は君を試す嘘」


嘘か~い!

そういえば死ぬとは言ってなかったな

たしか『天に昇る』だったかな?


「まあでも実際死ぬんだけどね」


え!?


「僕って不死竜フェニックスドラゴンだからさ、死んだらよみがえるんだよ」


な~るってせこ!

チート…。

俺の『リセット』もチートだと思ったけどこれはずるいな…。


「話を戻すとゼアドはワシと同じような状態で魔族の国『デレンデ』におる。まあそのうち会うことになろう」


まあ予想通りだけどなんか違和感。


「どうしてこんな都合よく俺がここに来るってコラスやオルカロスはわかったんだ?俺はヘルナに飛ばされただけでここには偶然来ただけだろ?」


運がいい時ほど疑う俺の心の黒さ。


「そうだ。しかし、転移魔法である以上ワシがある程度制御できる。例えば星の中心に向かうお主をこちらの近くに変更するぐらいはできる」


な!俺、星の中心に向かってたの!?

中心温度6000度、触れれば絶対死んでたわ。

マジあざっす。


「そしてお主が近くにいることをコラスに知らせ、ここに呼んだというわけだな」


「にしてもオル君しゃべり方変えてるけどどうしたの?」


コラスはにやけながらオルカロスを見る。

にしてもコラスとオルカロスの関係性はどうなっているんだろうか?


「む?よいではないか?ワシはここに長~く死んでいるのだから気分転換代わりにしゃべり方を変えるのも悪くないじゃ…だろう?」


「話す相手もいないのに?」


オルカロスは黙ってそっぽを向いてしまった。

図星だったのだろう。


「一気に質問するぞ。俺にアルゼドを止める?まあそうして欲しい理由は?ゼアドってやつはオルカロスの友人って言ってたな?じゃあゼアドの息子であるアルゼドを止める?んだからそれなりの理由があるんだろう?まさか世界の危機なんてベタなテンプレ展開じゃないだろうな?」


正直昔の話を聞いてて国を滅ぼした罪人である?いや、視点によっては異なるが。ともかく国一つのために俺が戦う?理由にはならない。正直に言ってこの世界に愛着はない。むしろアニメの無いこの世界は正直退屈だ。それに、この手の異世界転移にありがちなハーレム、又は純愛展開がまるで存在しない。

結論を言おう。

飽きた。


「アルゼドの目的が明確にわかっているわけではないが世界征服のために世界中の人間を自分のために利用しようとしているそうだ。…まあ結論を言えば世界の危機だ」


まさかのベタ展開。

いや、まさかではないな。

ちゃんと予想できていたんだから。


「…よし、止めてくれというぐらいなんだからそれなりの策があるんだろう?まあアルゼド自身はゼアドが俺につけた左目がなければ復活できないそうだが…」


「策か…まずやるべきは『デレンデ』のゼアドの祠に向かう必要があるな。そこでまたゼアドに聞くことになるだろうがもう一人の力を与えた男と協力してほしい。それとアルゼドだが協力者がいるのは話したな。ワシはヘルナと名乗る者がアルゼドの協力者であるとにらんでいる」


なるほどヘルナが協力者か。

ありそうだな。


「最後の質問だ。ここは大陸のどのあたりにあるんだ?」


「ここは大陸の東の端、魔族領ドラース」


魔族領ということはここには人間がいないのか…。


たしか人間の住む大陸をグランドと呼ぶらしい。

リンリはグランドの西の端。

東に向かって冥府の森や草原が広がり、町が点々としている。

草原や冥府の森を抜けるとクロリナ国があり、そこから南に向かうと俺がヘルナと戦った『迷宮』がある。

そして海を挟んだその先に魔国領ドラースがある。


「ん?ドラース?」


違和感の先に視線を向ける。


「そうだよ。僕の名前、コラス・ラ・ドラ―ス。初代魔王の名前でもある」


コラスはにっこりと笑って答えた。


――――――――――――――――――――――――――――――――


ユリア・リンリ姫様とともに城を出る。

出ることはそんなに難しいことじゃなかった。

俺たち勇者はかなり王国での自由を認められている。

城下町に行ってみたいというだけで外に出ることはできた。

夜の間に出た所為で城下町に人は少ない。

橋田たちがデリリ、いや、クロリナに向かうのはあと数時間後だろう。

姫様と俺は軽く変装して進む。


「すまない。馬車を貸してほしいのだが」


姫様が言うにはクロリナという国はかなり遠いらしい。

歩いていったら何日もかかると聞く。

馬を使うということに姫様も了承してくれた。


「兄ちゃん金はちゃんとあるだろうな?」


馬を貸す商会にいる男に話しかける。

こわもてでごつい体のムキムキとした体突きで顔に線が入っている。


「金はこれだけある」


持ってきた金貨を並べる。

金は王様から無駄にもらえる。

使うのは初めてだ。


「金貨1枚だ!どこまで行きたい?」


声を上げ、こちらを威圧する。

間違いなく値段をごまかし、こちらの金を奪い取るつもりだろう。


「銀貨1枚!クロリナという国までだ」


そちらがごまかすならこちらも値切るとしよう。


「何!クロリナ!?クロリナに銀貨1枚!?ふざけてんのか!銀貨9枚!」


「道中の警護は必要ない!銀貨2枚!」


「馬を引く人間、馬を守れる保証が何処にある!?銀貨8枚!」


「俺はこの国に召喚された勇者だ!称号『人外なる魔力の持ち主』をもっている!銀貨3枚!」


「何!勇者!しかもあの200年に一人しか与えられないとされる『人外なる魔力の持ち主』!…銀貨6枚だこれ以上は難しい」


声が若干小さくなった。

まだ若干高いがまあいい。これ以上時間をかけていられない。


「分かったそれでいい」


金貨を渡す手が強く握られる。


「ただし条件がある!」


店主は顔を近づけ、体を前のみりになる。


「じょ…条件?」


男の顔が満面の笑みに変わった。

若干気味が悪い。


「馬を選ぶのも馬を操縦するのも俺がする!いいか!?」


「あ、ああ」


「ならば銀貨4枚にしてやろう!」


そういって銀貨6枚返して後ろに消えていった。

このまま逃げるというのならば金貨をもって逃げるだろうからまあ安心していいだろう。


姫様と逃げるということになったが、クラスのみんなには言っていない。

姫様が転移魔法を行い、帰ることができると知った皆が姫様を捕まえるかもしれないという点から姫様が転移の準備ができるまでは黙っていることにした。

書き置きはしておいた。数時間後には俺はこの国で指名手配犯になっていることだろう。

俺は嘘を書きたくない。


「姫様、馬の用意が済み次第クロリナに向かいます」


「はい。よろしくお願いします」


店の端でフードを被り身を潜めている。


「動くな!私は王国聖騎士長セアス・ロール・フェランドである!御堂水月!貴殿を逮捕する!」


店に入ってきたのは俺の先生でもあった騎士長。甲冑姿で顔は見えない。

身長180cmほどで声は低め、威厳があるというよりは気安く話しかけられるような優しい顔立ち。

悪を絶対に許さないような性格であるが天然であり、騙されやすいと言われているそうだ。

この国で最も強い人間である。

セアスは数人の部下を連れていた。

思ったより早く来たな。


「すみませんが今捕まる訳には行きません!書き置きにはああ書きましたが、まだです!必ず戻ってきます!姫様行きます!」


俺は姫様の手を引き、店の奥に向かう。


「馬を早く頼む!」


「はいよ~!」


奥からは能天気にも店主の声が聞こえる。

出発の準備はできているらしい。


「すぐに出る!」


「待て!くっ!追え!追え!」


急いで馬車に乗り込む。


「逃げられると思っているのか!?」


兵士の一人がバシャに乗り込もうとしてきた。


『アンバランス』発動。

『ドレインキル』発動。


兵士のステータスのすべてを魔力に移す。

ドレインキルにより魔力をすべて吸い出す。

相手のステータスのすべてが0で並ぶ。


「な…に…!」


魔力欠乏により兵の一人が倒れる。


「御堂殿、逃がしません!」


馬車を走らせる。

だが騎士長のみ馬に追いつく勢いで迫ってくる。

このままでは…


「まずいです!水月様追いつかれます!」


「おいおい兄ちゃんどうゆうことだ!?」


「分かっています大丈夫です!後で説明します!『大地をかける風!払うはこの身!息吹を放て!ウィンドブレス』」


「ぐぁぁぁぁ!」


馬車は浮きあがり、騎士王は後ろに吹っ飛んだ。

魔法により信じられない速度で移動する。


「す、すごいです!これ馬車必要ありました!?」


「いや、馬車は必要さ…です。馬車の方が目立たず移動できました。…まあもう必要なくなりましたが…」


暗がり、前になにがあるかわからない状況で風魔法で全速で走るという狂気的な手段はできるなら使いたくない最終手段だった。

まあ、城をでることには成功した。


――――――――――――――――――――――――――――――――


繰り出されるのは雷光。

それを視認できた時点で死ぬことは避けられないだろう。

魔法の中でも最速とされる光魔法。

その魔法のランクは最低でも10はある最強の魔法とされている。

この光魔法と類似するような雷魔法もまた速度、威力において一流の力といって過言はないだろう。

その魔法同士は類似する魔法であるため、魔法を融合することが難しいとされる。

しかし、それを成功させた時、その魔法は光×雷の融合魔法という長い名を言わず、雷光魔法といわれた。


「ははははは!雑魚め雑魚め!お前らが僕の前では生きようとすることなんて無意味なんだよ!いつもいつも見下しやがって!力だけで威張ってた奴らなんて僕が下してやる!」


見下したように倒れた他の生徒達数人を見る男は八谷柳平やたにりゅうへい。クラスではあまり目立った生徒ではなかったが、時折虐められてるという噂が立つような生徒だった。

この生徒が放った雷光魔法を受けてなお生きている生徒が多くいたのはわざと加減してのことだろう。

もはや声が届いているかもわからないような外傷を負いってなお口を開ける生徒がいた。


「殺して…やる…殺して…くっ…『リベンジ』」


『リベンジ』

自分の受けた攻撃に合わせて一時的にステータスの数値を上げ、身体能力の限界を超える起死回生のスキル。

しかし、その代償も大きくつかえば多大な負担が後で襲う。この状況でこのスキルをつかえば死を近づけるほかにない。


立ち上がった生徒のことを八谷はかなり驚いていたがすぐに頭を切り替える。


「ふっ!学習しないゴミが!『ノイズライトニング!』」


音×雷の融合魔法。

雷の速さで繰り出され、触れた物体を感電させ、音の振動が襲う。


この魔法を受けた生徒は悶え苦しみながら肉片と化した。


「はは!他の奴らは生かしといてやるよ。僕の武勇伝はこんなところじゃ終わらない。君たちは僕のことを語り継いでもらわないとね」


そう言って八谷は王城を後にした。

不思議と見つかることなく…。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ