魔物の馬鹿野郎!
視点が何度も変わってしまいます。申し訳ありません。
俺たちは今日、実戦経験とレベルアップのためにリンリ王国から北北東にある迷宮に来ている。
リンリ王国で俺たちのレベルは跳ね上がった。
そこらの奴には負けないだろう。
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名;御堂水月
種族;人種、勇者
Lv21
攻撃力 18567
防御力 35784
魔力 342098
俊敏力 24375
スキル
ドレインキル アンバランス 真剣術 真盾術 真護身術 火魔法Ⅱ 水魔法Ⅱ 土魔法Ⅱ 風魔法Ⅲ 光魔法Ⅳ 聖魔法Ⅳ 付与魔法Ⅳ 融合 心眼
称号
神の加護を受けしもの 人外なる魔力の持ち主 大魔導士
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俺は飛びぬけていいらしいが皆もこの国の騎士には負けない強さである。
「みんな大丈夫か!?」
「ああ!行けるぜ!」
俺のパーティは4人。
俺、長瀬千春、橋田績、古屋下恵里である。
俺と橋田が男、長瀬と古屋下が女である。
俺は中心でみんなのサポート。
橋田が前衛に出て盾。
長瀬と古屋下は魔法で遠距離である。
ゴブリンの檻と呼ばれるこの迷宮ではとにかく強いゴブリンが出てくる。
普通ゴブリンのレベルは3。
であるがここではれべる10~20レベルのゴブリンが現れる。
まあ俺たちの敵ではないんだがな。
「『顕現する炎の槍!フレイムランス!』」
後衛の長瀬さんが最後のゴブリンを倒した。
「やっぱ呪文詠唱って恥ずかしいよぉ」
長瀬と古屋下が顔を赤くしてぶつぶつと「黒歴史、黒歴史」と言っているのがわかる。
「みんな一緒だから大丈夫!ほらこう言うでしょ!危ない橋もみんなで渡れば怖くない!」
「それ赤信号でしょ!それにそのたとえだとみんな悪いことになるじゃない!」
「はっはっはっはっ!」
「笑いごとじゃない!」
古屋下が顔を赤くしながら怒鳴りつけている。
こんなやりとりをしているときは異世界であることを忘れてしまう。
こんなやり取りはこの迷宮では命取りだ。
まっ普通ならね!
「来る!かなり多いぞ!10、いや20はいる!」
橋田君のスキル、『空間認識』は半径30mの空間に起こった事象を認識できる。
これにより奇襲に1度も会っていない。
「鑑定!ゴブリンナイトレベル平均18!後衛は範囲魔法の詠唱!俺は橋田と前衛で盾をする!」
「「「了解!」」」
迷宮の中は洞窟で一本道。
前からくる敵に備える。
「『幻影なる神の代行者!我らを導け!フルエンチャント!』」
全体付与魔法、『フルエンチャント』。
3分間周囲の仲間を、攻撃力、守備力、魔法攻撃力、魔法防御力を1.5倍する。
因みに魔法攻撃力、魔法防御力がステータスに反映されないのはかなり不安定なものであるかららしい。
普通の攻撃力、守備力は最大値が表示されているらしい。
しかし、魔法攻撃力や魔法防御力は最大値を数値しようとすると情報が多すぎて魔法がパンクする。
つまり魔法が暴発する。
よって表示できないのだそうだ。
橋田が攻撃を仕掛ける。
橋田のスキル、『ノーカウンター』が発動している。
相手が橋田に引き込まれ、まるでカウンターを放ったときのような衝撃を放つことができるスキル。
これを発動していると俺も巻き込まれかねない。
半径10mの範囲スキル。
ゴブリンナイトの顔が飛ぶ。
盾役はどうした!
俺はいつものように『アンバランス』と『ドレインキル』を使う。
『アンバランス』は相手のステータスを一部に移行する。
例えば攻撃力200、守備力200ならば攻撃力を守備力に移行、守備力を400に変更するスキルである。
しかし、制限もあり、自分の一番低いステータスより多い数ならば変更できない。
一つのステータスでも超えていれば変更できない。
つまり、現在の18567より小さいやつなら変更できる。
そして『ドレインキル』は相手の体力、魔力を吸い取り、殺す。
そのとき、吸い取った体力、魔力を自分のものにする。
触れた時間によって吸い取る量がかわる。
どちらも手で触れることで発動する接触スキル。
ゴブリンナイトの攻撃、槍を避け、手で触れる。
『アンバランス』発動。
防御力をすべて魔力に変換。
俊敏力をすべて攻撃力に変換。
『ドレインキル』発動。
体力、魔力を吸収。
これをすべてのゴブリンナイトに使用。
後衛に行かないように防ぐ。
後衛の魔法が構築された。
「「離れて!『『フレイムエクスプロージョン!』』」」
ゴブリンナイトたちに魔法攻撃がヒットする。
さっきあいつらの魔力は0にした。
魔法防御力は魔力がなければ0になる。
よって全滅だぁぁぁ!
【レベルが上がりました!】
またレベルが上がった。
これで元の世界に戻るまでまた1歩近づいたようだ。
行くぞみんな!元の世界に戻るんだ!
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門の前には騎士団員と思われる人が6人いた。
これを見つからずに突破するのは不可能。
しかし、城壁を超えれば見つかるだろう。
どうしたものか…
もう一度ブッ倒して外に出るって手もある。
なんで外に出たいか?だけどさ~。
なんで出たいか分かるでしょ?
そう!
戦っていない!
昨日はほとんど戦っていない!
体が動きたくてうずうずしております。
しかし、ここで暴れるわけには生きません。
皆強くないし。
ここの奴らじゃ俺、満足できそうにないんだよねぇ~。
あっ!
でもあの『団長』はなかなかであった。
てか魔法強ぇぇ。
何?
俺って魔法に弱かったりするの?
もしかして目つぶってたら戦力が半減するみたいな厨二展開?
やべぇテンプレ(異世界)だ。
金?
いや~どうしよっかな~。
考えてるよ!ほんと!
いや~どうしよっかな~。
さて、ほんとどうやってあそこを突破しようか?
もう体がうずうずして持たないんだが…。
誰か助けてぇ~。
「む?貴様なにも――」
ドス!
「なっ!なにも――」
ズパ!
「なんだ!なにが――」
ドカ!
「「う、うわあああ――」」
ズコ!
「て、敵だあああああ――」
ベシ!
あ・・・あれ?
俺なんでこんなとこいるんだっけ?
しらないな~。
あれれ?
後ろに6人倒れた兵士の姿があるように見える気がする~(棒)
気のせいか!
「ふっ!安心しろ峰打ちだ!」
いや~これ言ってみたかったんだよね~。
わかる?
分かるか友よ!
そうだろう、そうだろう。
さて狩りとしよう。
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「何!?また出ただと!場所は何処だ!?すぐに向かう!」
赤いロングの髪を束ねた優しそうで威厳があるとは言い方い容姿の『クロリナ国騎士団団長エイリ』が机をたたいて前に飛び出てきた。
「はい!団長!南東の門にて6名の騎士が倒されていました。おそらく侵入者は何か事情、または依頼を済ませたのちに逃走したと思われます!」
騎士団の兵士が声を張り上げ、ピンと背筋を伸ばしている。
「そうか…ならば!私一人で侵入者を追う!その間にお前たちはそいつが何をしていたか、なんのための侵入かを調べ、排除しろ!」
兵士の一人に指をさし、目の奥に炎でもあるかのように睨んでいる。
優志に負けたことが相当に悔しいのだろう。
「危険です!それでは団長に何かあったときに守れるものがおりません!第二隊をともに向かわせましょう!そうで無くてはもし敵の仲間が待ち伏せしていたら団長一人で対処することになります!」
兵士も負けじと声を張り上げ威嚇する。
しかし兵士は諦めたようにため息をつき脱力してしまた。
「…わかりました…でも危なかったらすぐに応援を呼ぶか、逃げてくださいね…」
兵士は脱力したまま部屋を出て行った。
静かになった部屋頭を抑えていた。
「…もちろんだとも…今は私が『団長』なのだからな」
誰にも聞こえないような小声で悲しそうにつぶやいていた。
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◇昔、こんな童話があったとゆう。
何処にでもいるような若い男がいた。
その男には何の才能もなく、みな男を必要としなかった。
男は皆に必要とされるために努力した。
ひたすらにひたむきにただただ必要とされるために。
するとある時男の住んでいた村に魔物の群れが現れた。
何百年に1度あるか無いかの大きな群れであった。
皆が逃げ迷う中、男は確信してしまった。
純粋な心の中の傲慢な心が生まれた。
『これが俺の使命である』
と。
家に帰って剣を取り、魔物どもを切りかかった。
狂気。
男は笑いながら魔物を切る。
剣がは崩れをおこし、手から血が出て、目に帰り血がかかっても切り続けた。
男の前にどれだけ大きな魔物が来ても一振りで肉塊へと変える。
剣はもう元の姿を無くし、自分と魔物の血で真っ赤になっている。
狂気の時間は1日中続いた。
その間ひたすらに剣を振り続ける。
いつもなら必ず根を上げるほど動いているのに止まらない。
楽しくして仕方ない。
すべての魔物を倒し、村の人達に会いに来た。
よくやった!
ありがとう。
と男を褒めたたえる村人たち。
しかし、男はもうさっきまでの純粋な心の男ではなかった。
傲慢で強欲な心が心から離れない。
体の震えが止まらない。
視界が赤い。
赤い血。
血。
血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血。
男の視界には生物の姿はない。
しかし、村の中には生臭い血の匂いがあった。
ニヤリと笑う男。
姿は赤い血で姿がわからない。
ただ前の純粋な男の姿とはかけ離れているだろう。
この物語はまだ続く。
しかし、それはまた別の機会に話すとしよう。
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外に出て道なりに数分歩けばばそこには大きな海があった。
俺が入ったところとは違うところであったらしい。
さて、情報によると森に『迷宮』なる魔物が多く出るところがあるらしい。
いわゆる『ダンジョン』だわ。
森に二つ、山に二つ、海の近くに一つの迷宮がるそうだ。
ん?
この情報何処からって?
『豚の旅人』で客が話してたんだよ。
クロリナから北東に町、南東に迷宮があるそうだ。
ひとまず俺は迷宮で狩りをするとしよう。
気配察知の範囲に生物が入っていた。
気を抜いていた!
「そこのお前!待てー!」
後ろの方から女の声が聞こえた。
まずい!
俺が逃げたのばれた!?
後ろの方からくる女は昨日俺を追い回していた団長様様だ。
「すまないがー、このあたりで妙な者を見なかったかー?」
かなり遠いところから声を張って聞いてくる。
これはもしかしてばれてない?
「見ましたー、町の方に走っていくマントをかぶった男を見ましたー」
ポーカーフェイス!
お、俺し、知らないよ~。
「そうかー!すまない助かったー」
団長は今来た道を引き返し、町の方に向かったと思われる。
ふう。
よし!急ごう!
ダッシュだダッシュ!
迷宮までノンストップ!
今の内に迷宮について確認しておこうと思う。
迷宮は知能がある魔物が作り出した巣の成れの果てだ。
あるとき突然特定の魔物が進化を遂げ、知能を持つ。
その魔物は決まってある欲望をもっている。
『安住』
このために家臣を作り、家を守らせるそうだ。
そして部下に食料を取りに行かせ、ダンジョンの最深部で待つとゆうものらしい。
これにより、迷宮内は知性ある魔物の装備や武器などがそろっていることが多い。
そして重要なところがある。
進化した魔物、ここでは『マスター』と言っておくが、マスターは家臣である魔物たちに戦わせ、自分が戦うことは滅多にない。
迷宮には宝を求めて人間やそれに連なる種族が入ってくる。
そのとき、マスターは最後に戦うことになるだろう。
マスターは戦うことはないからレベルが低い、と言うわけではない。
家臣はマスターの僕として扱うので、経験値が3:7に分けられる。
つまり、家臣が勝てば勝つほどマスターのレベルが上がるのだ。
これにより、迷宮にはいくものは制限されてしまったと言うことらしい。
もう少し詳しくはちょっと知らね。
俺には関係ないんだけどね!
重要なのは一つ!
マスターはかなりの強さである、ということだ!
いやー楽しみですなー!
はーはっはっはっはっはっ!
などと考えている内に迷宮到着。
迷宮内には大量の気配がある。
いやー楽しみだなー。
迷宮の中は1本道とは限らないらしいが、しかし、これは多すぎるのではないだろうか?
青白い壁、道が10個ほど分かれている。
入ってすぐのところに分岐である。
んーこれはどうするべきであろうか?
右から順に敵が多い。
やはり敵の多いところを攻めるべきであると思う。
だから俺は右だ!
右の道を歩く、あと数秒で魔物とエンカウントするのはわかっている!
さあ来い!
俺を楽しませてくれ!
………
えー、報告だけでいいっすか?
現在失望中につき、激おこです☆。
じゃ報告を
まず最初に現れたのはガイコツソルジャー8体。
今回、俺の失敗点を挙げるならば、俺の封印されし左目を開けてしまったことに他ならないだろう、キリッ!
…
向かってくる生物は俺の攻撃が当たる前に散っていった。
戦闘時間およそ5秒。
…
次だ次だ。
俺はここで同じ失敗を繰り返す男ではない!
左目を封印。
さて、今度こそやってやる。
次の相手はゴリラのような見た目のグリズリーベアーと言うやつだ。
名前的には熊なんだろうと思う。
俺のもっている武器は剣と折れた槍、ここは剣を使って誰が俺を責めるだろうか?
うおおおおおおやってやるぜええええ!
ヒュウヒュウ。
軽く振り回したらいつの間にかグリズリベアーが倒れた。
オオマイガー
俺がなにをしたか分かったか?
素振りだよ!
す・ぶ・り!
素振りで死んだの!?
あの、なに?…剣圧?…みたいなので死んだの!?
うわあああああああん
何それ全然楽しくないんですけどおおおおおお!
おいしくないんですけどおおおおおおおお!
ああもうこうなったらやけくそだ。
こんな迷宮いらないだろう。
魔物の惨殺祭りだああああああ!
ボス部屋まで左目開眼!
わあ魔物が端から死んでいく。
わーおもしろーい。
わけあるかっ!
つまんねぇ!
つまんねぇよぉ~
いや、待てまだ希望はある。
BOSSが残っているではないか!
BOSS待っていろ!
俺がお前を助けて(惨殺)してやる!
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名:葉山優志
種族:人種 勇者
Lv1
攻撃力 3266028
防御力 3682684
魔力 -E
俊敏力 3478021
スキル
リセット 剥奪 絶邪眼(new) 王神眼(new) 完全 写出 カウンター 気配切断 気配察知 威圧 真剣術Ⅹ(new) 真槍術Ⅱ 弓術 真盾術Ⅱ 対抗魔法 破裂魔法 断裂魔法 反転魔法 結合魔法 状態耐性(new)
称号
Lv1の誇り
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時は少々遡る。
クロリナ国東門にて赤髪の団長。
東の門の前、気合を入れて走り出した。
団長である私がやつを捕まえなければ!
道は二つある。
海近くの町か、迷宮か。
逃亡者Aは東門から出たということは逃亡者はリンリ王国の者でない可能性が高い。
東には海が広がり、海を越えた先に魔族領がある。
今は魔族達は3つの派閥に分かれ、それぞれがにらみ合っている状況であるらしい。
このタイミングで我が国に何か起こす理由がわからない。
っと考えるとやはりリンリ王国が戦争の口実作りのために何かしたのかもしれない。
あの国は昔からそうゆうことをやっている国だ。
唯一奴隷制度を導入している国でもある。
その理由の一つとしてはリンリの近くに亜人国があるために他ならない。
あの国の民は人種以外を毛嫌う者が多い、つまり差別主義者が多いから仕方ない。
だから我々の国と長年戦争しているのだ。
忌々しい。
奴隷なんぞしてなんになるというのだ!
おっと話がそれてしまった。
結果は犯人を捕まえて聞き出すことにするとしよう。
きっと町に向かったと思うが、裏を読んで元訓練用迷宮へと続く道へ行ってみるとしよう。
この道は数十年前までは普通に使われていた道であったが、迷宮のボスのレベルが昔計ったとき1500レベルなのだ。
そしてレベルが2000レベルに達すると国を作りだすとされている。
これにより一つの国が滅び、新たな魔物の国が出来てしまったそうだ。
国々はその道に近づかないようにさせたのだ。
まあ、こんな道に人がいるわけ――
おっ!人がいるではないか!
逃亡者か?
いや違うな。
見た目は逃亡者Aとはまるで違う。
雪のように白い肌で片目を閉じ、茶色い服を来た旅の人っといった者であった。
逃亡者は肌が黒く、紺の見たことのない服を着ている者であった。
少し遠くであったが仕方ない。
今は時間がないのだ。
「そこのお前!待てー!」
その者は男であった。
「すまないがー、このあたりで妙な者を見なかったかー?」
「見ました―、町の方に走っていくマントをかぶった男を見ましたー」
なんと!やはり逃亡者Aは町に向かったか。
ならばすぐに向かわねば。
「そうかー!すまない助かったー」
町に引き返す。
道の途中には誰もいない。
魔物さえいない。
何故この違和感に気が付かなかったのだろうか?
普通の商人などが二日かけて突く着く町に8時間で着いたことに関しては、まあ置いておこう。
私はこれでもクロリナ国騎士団団長補佐、いや、今は団長だ。
これぐらい当然なのだ。
「おい俺見ろよ!近接魔法師のエイリだぜ!」
「ほんとだ!うつくしいな~」
「あの騎士団の――」
町の人達が私を見ているのだろう。
まあこんな事慣れているからスル―できる。
しかし――
「ねぇ姉ちゃん!俺とあつ~い一夜をともにしな~い?」
こんなやつには少々私の心にイライラが現れる。
虫唾が腕を走るのがわかる。
ほんとに勘弁してほしい。
しかししかし、今、私は団長だ。
寛容な心で――
ドゴンッ
投げるとしよう。
ナンパ男(笑)を背負い投げし、地面に投げつけた。
「このあたりにマントをかぶった怪しげな男を見なかったか?」
「……見て、ない、です……」
「そうか…すまんな」
男は目をぱちくりさせながら地面に横たわったまま動かない。
動揺でもしているのだろうか?
もしかして逃亡者の仲間!?
いやいやいや、それはないだろう。
こんな阿呆雇わないだろうし、こんなやり方はしないだろう。
しかし、逃亡者は男…ん?
あの男は何故男だと知っているのだ?
あの男には妙な者としか言っていない。
マントをかぶっているのならば顔が見えないのではないか?
そうでなければマントのメリットがない。
マント姿は町中では意外と目立つ。
しかし、それ以上に顔を見られる方がデメリットなのだ。
顔を見ている又はそれ以外を見て、もしくは仲間。
仲間。
いや、全く断定はできない。
いや、でもしかしならあいつは何故迷宮に向かった?
もしかしたらボスのレベルを急速に上げ、近隣国であるクロリナに魔物どもを?
いやなんの根拠もない。
この考えには穴がありすぎる。
しかし、私の勘が言っている。
´悩むなら行け´っと。
結局、なんのあてもなく探すより、私は私なりに私の勘で動くのが性にあっている。
もう決めた!
私は迷宮に行くぞ!
私の国を守って見せる!
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◇リンリ王国にて
「何!今あの国には´団長エイリ´がいないのか!」
「はっ!潜入者の情報ですと魔族軍の何者かが事を起こしたららしく、それを捕縛するために現在、団長が不在にあります!」
「すぐに兵の準備をせい!勇者を集めよ!」
「はっ!しかし、勇者は迷宮にいるため、早くとも一〇日かかります!」
「くっ!それでは間に合わんではないか!肝心なところで役に立たんな~」
「はっ!しかし今ならば少し派手に事を起こしても魔族軍に責任をつけられます!」
「ほうなるほど。そうだな。ならば異世界人の何名か、特に戦闘には役に立たない者を連れていけ!どうにか丸め込んで彼の地で暴れてもらうことにしよう」
「はっ!」
「ふっ!見えてきたぞ。これであと少し。あと少し」