優しかったのはおばさんだけでした
「んんっ!…あれ?何してたんだっけ?…そう魔神!」
女が目を覚ましたようだ。
なんとタイミングのいい!
俺が魔人を倒した直後に起きやがった!
ほんとは気絶した振りしてたんじゃね?
「大丈夫?怪我ない?」
おお!
なんと優しい俺!
こんな人間見たことない!
「えっ!いやその…大丈夫です…」
女の顔がひきつっている。
こんな俺に惚れちゃった?
「てか貴方魔神!…じゃない?…あれ?」
俺の顔をじろじろとみている。
照れるだろ!てへ!
「あの…そんなに見つめないでくれます?俺がそんなにかっこいいからって」
「そ、そんな訳ないでしょ!馬鹿じゃないの!顔の偏差値見てから言ってくれる!私が見てたのは左目!その左目の赤と青の変な目よ!」
おいおい!
顔面偏差低いってはっきり言わないでくれる?
俺だって適当に思いつきで言ったんだから!
それに俺の見た目が変わってないんだったら偏差値60ぐらいはあるはずだ!
いや56かな?
…
そんなことはどうでもいい!
なんだって俺の左が疼くって?
…
…左目が赤と青の変な目?
ふっ!笑止
眼下に行くことをお勧めしまーす。
女は懐から何かを出している。
なんだ?何を出す気だ?チャカか?
「ほら見てみなさいよ!」
出されたのは鏡。
そこには俺が映っていた?
鏡に映っていたのは肩の下まで伸びた汚れた黒い髪。
見た目がわからないくなるほどに汚れた顔。
ボロボロになった制服を着た到底葉山優志とは思えないほどの顔立ちになっていた。
そして極め付けは左目。
左目の瞳が周りは青、中心が赤い。
ってか俺顔汚!
顔洗いてぇー
まいっか!
「これでわかった?っで!貴方何者?」
女は鏡をしまい、手を構える。
返答次第では、か。
背を向け槍に手を添える。
ふっ!
「拙者、名乗るような名もござらぬ」
女は間髪入れず魔法をはなってきた。
心なしか真顔になったきがする。
「っで?貴方名前は?」
「…ユーシとゆう」
くっ!男のロマンをなんだと思ってる!
なんなんだ!この常識の通じない世界は!?
あっ!異世界か!
「そう、私はユア。冒険者をやっている。で、ユーシは何者?」
「拙者、名の―」
またも女が魔法を放った。
痛くなんかないんだからねっ!
「お、俺は放浪人、だ」
口からでまかせとはこのことを言うのだろう。
今適当に考えた。
「へぇ~。でもなんでそんなに強いの?放浪人が私より強いなんて?」
だから何処からくるんだその自信?
「え~と、その、あれだ!昔、王国に使えていたりいなかったり…」
「へぇ~そのなりで?」
歳のことだろうか?
やべぇどうしよ!適当に言ったら追い込まれたよ。
あ~、なんで異世界人です!って言わないんだろ?
あれか?
誰かが俺に言わせないようにしてるとか?
そうか!そうなんだな!
きっと神だろう!
神なんだな!
クソ!神め!お前の所為で追い込まれたじゃねぇか!
…
違います。
最初に異世界人ですって言わなかったから意地です、はい。
嘘つきましたごめんなさい神様。
「はあ、もういいわ!で、ユーシはこれからどうするの?」
どうしよっか?
どうする?
何したいかな?
「何も無いなら一緒にクロリナ国に来ない?」
「え!?あ、その、えーと」
「来るの来ないの?」
「行きます!」
女の目が怖い。
ステータスでは勝っているのになんだか勝てない気がする。
しかし、何故急にこんな話になったのだ?
「そう!じゃあ!おぶって!」
ん?
「早くおぶって!」
んん?
「歩けないからおぶって!」
はあ?
こいつあれか?
あれなんだな。
そうか…
こいつは国に帰りたい。
でも歩けない。
ならば俺を使うと。
そして俺はさっき承認してしまった。
つまり詐欺だ!
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◇リンリ王国にて
「追跡していた異世界人が冥府の森に入り、追跡を断念しました」
「そうか、入ったのが冥府の森ならば死んだな…してその異世界人のステータスはどうであった?」
「国民の平均の半分も無いほどです」
「努力値は?努力値次第で強くなる異世界人が昔いたと聞いたがどうであった?」
「はっ!努力値はすべて1、国民の平均の4分の1以下でした」
「そうか、それほどのクズなら放っておいてもいいな、わしの計画に弱者はいらぬ!くっ!必ず覚えておけよリエネめ!借りは必ず返してやる!それで他の者たちはどうなった?」
「はっ!ご命令の通りに!」
「そうかそうか!ならば順調!それまでに異世界人達をまともに戦えるようにだけしておけ!リエネの悔しがる顔が目に浮かぶ」
「はっ!」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「ほら!早く動く動く!」
「うるさい!おぶってもらっている分際で俺に指図すんな!」
森を抜け、土の道を歩く。
後ろには女。
五月蠅い女。
うざい女。
…女。
ネタ切れとかじゃないぞ!
言い出したらキリがに無いだけだぞ!
嘘じゃないもん!
「あーそっちじゃない!こっち!…あーもう違うって!」
うぜぇ!
「貴方馬鹿だったのね!こっちって言ってるでしょ!ほらこっち!」
「だあ五月蠅い五月蠅い!こっちの気がするんだよ!」
「ユーシはそれでも放浪人なの?こんな簡単な道すらわからないなんてどうやって生きてきたの?…さては貴方方向音痴?」
女は俺を馬鹿にしたような声、顔で騒ぐ。
否、馬鹿にしている。
さっき馬鹿って言ったな!
馬鹿って言った方が馬鹿なんだぞ!
俺と女…ユアがいがみ合っているとレーダー(気配察知)に生物が入り込んだ。
「ちょっと何?急に笑い出して、気持ち悪!」
それはかなりひどいんじゃないかな?
俺の木製のハートにひびがはいっちゃうよ!
木製のだよ!
「へっ!やっぱりこっちじゃねぇか!こっちには魔物がいる気がしたんだ!」
ダッシュだダッシュ!
俺の糧となれ!
「ちょっ!待!もくて――」
――――――――――――――――
地盤ゴーレム Lv44
攻撃力 812
防御力 50045
俊敏力 8
魔力 7
スキル
強固 監獄 頑丈 投術 土魔法
――――――――――――――――
「え!嘘!なんで!…なんで!こんなところにAランク魔物がいるの?」
ユアがそれに驚いたのもつかの間、俺は地盤ゴーレムを一突きで砕け散らした。
【レベルが10上がりました!】
【レベルが10上がりました!】
【レベルが10上がりました!】
【レベルが上がりました!】
【レベルが上がりました!】
【スキル『リセット』が発動しました!】
「嘘…!なんで!地盤ゴーレムは硬さの所為でAランクのはずなのに…」
ふっ!見たか!俺の実力!
これで俺を見直して――
「あっ!その杖、私のでしょ!返して!」
ユアは俺の腰につけていた杖を指さす。
今ので服の下にあった杖が見えたようだ。
「すまんすまん、借りてたわ」
魔人狩りで使ったままにしてたの忘れてたわ。
因みに俺は今、折れた槍と剣しか持っていない。
なぜならユアの所為で背負えなかったからな!
ユアに杖を渡す。
ユアが杖を持つと杖がはじかれ地面に落ちた。
「きゃ!嘘なんで!?私の物なのに拒否反応が起こるの!?」
ユアにまた杖を渡すが反応は同じ。
それはともかく拒否反応ってなんぞや?
物に拒否反応?
俺の知ってる拒否反応は皮膚移植によるものぐらいしか知らんのだが。
「なんで触れないんだ?」
「分かんないわよ!あーもう!これ私が頑張って倒したドラゴンの骨を使って作った一点物なのに!」
リアは俺の顔を殴る。殴る。痛いって。
「で、拒否反応って何?」
これ気になるだろ。
「はあ?何言ってんの?拒否反応って言ったらこの世界では常識でしょ?なんで知らないの!?」
今ユアの顔は見れない、があきれたような顔をしていると予想できる。
「知らん!」
知らんもんは知らん!
「はあ、拒否反応って言うのは他者の物を奪うことで起きる反応。これは今から300年ほど前にどっかの神様か魔術師が世界に魔法をかけ、『強奪』を無くしたとされているものよ。だからこの300年間でスキルの『奪取』『強奪』などが使用できなくなったり、強盗なんかもほとんどいないわ。」
へぇ~そんな便利なものがあるんだ。
すごい人?神?もいたもんだ。
ん?
あれ?
俺、魔物の物、ユアの杖やらなんやら取れたんだけど…。
「所有者が死んだらどうなるんだ?」
「ユーシは本当に何も知らないのね!何処で生きてきたの?この魔法がかかっていないところなんてないはずだけど…。まあいいわ。所有者が死ぬと前の所有者のもとに召喚されるか、倒した者に送られるのよ」
「魔物の皮とかは?さっきあんたはドラゴンの骨で作ったとか言ってたじゃん!」
「…もう疲れたよ。…魔物の素材がなくなったらどうやって冒険者は暮らしていくのさ!」
なるほどなるほど元生き物は強奪の範囲に入らないっと。
なんか適当だな。
「っで、ユーシはなんでは私の物を奪えたの?」
なんでだろ?
スキルか?
でもスキルも封印されてる的なこと言ってたしな…
あっ!異世界人だからか?
多分そうかな?
「まあいいじゃん!それよかどうやって所有権を移すんだ?」
この魔法、所有権を移せなければ最悪の魔法だ。
商人涙目。
「渡すっとゆう意思があれば渡せるわ。しっかりと渡す相手を認識すればいいの。で、どうやって私の物取ったの?」
ほう。
これはめんどくさい。
つまり商人には情報がばれるんだ。
へぇ~。
じゃあ試しに杖返すか。
「はいこれユアにあげま~す」
「これは元々私の物でしょ!」
ユアは俺が渡した杖を掴めた。
おお!ちゃんと返せた。
なるほど不便。
「っで、何してたんだっけ?何処行くんだっけ?」
「ク・ロ・リ・ナ・に・い・く・の!」
これから約5時間、ユアに怒られながら歩いた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「はああああ、もう疲れた」
クロリナ王国の城壁に到着。
一体どれだけ悪口を言われただろうか?
ユアが俺の背中から降りた。
「ほら早く入るわよユーシ」
この女め!
こいつ途中から歩けるようになったはずだ。
出なければ今、歩けるわけがない!
「このクソ女め!」
「あら!そんなこと言ったら国に入れてあーげない」
ユアは勝ち誇ったように笑う。
うざい。
お前の力なんて借りなくても入れるわ!
っと言おうとしたが
「ユーシ、貴方その感じだと身分証持ってないでしょ?身分証が無いと国に入れないわよ?」
くっ!
どうすればいいんだ!?
こいつに頼りたくない!
ここまで来て違うところに行くなんて論外だ。
くっ!何かないか!?
「諦めて『入れてくださいユア様』と言いなさい!」
「×××入れてくださいユア様」
ユアの顔が赤くなる。
ふっ!勝った!
「貴方何言ってんの!死ね!死になさい!」
「おい!言ったぞ!中に入れろ!」
「中って…嫌よ!私は貴方となんか嫌!」
ユアは胸元を隠す。
完全勝利とはこのことを言う。
「…もういいや。国に入れいてくれ…もう疲れたし風呂も入りたい…」
「嫌よ!自分の力で入りなさい!」
ユアは俺を置いて城門の方に走って行ってしまった。
やらかした…。
どうしよっかな?
ふざけなければよかった…。
あーどうしよ…。
とりあえず何とかなることを祈ろう。
城壁は石のレンガででており、かなり厳つい。
いかにも城といった感じがする。
国一体を囲っている。
まあ城はもっと先なんだろうが…。
城門は木製、誰が入るのか分からないぐらい大きい。
門の前には厳ついおっさん、兵士が3人ほどいた。
「すいませ~ん、中入りたいんですけど何が必要なのでしょう?」
申し訳なさそうに言っておこう。
身分証以外でお願いします。
「む?おぬしはクロリナに入りたいのか?必要な物は身分証だな」
やっぱそうですよね~。
「身分証もって無いんですけどどうやって発行します?」
「身分証は銀貨5枚かかるぞ」
金、金か…持ってる訳ないじゃないか!
俺は何も持たずに国逃げしたんだから!
「あの…お金貸してくれます?」
おっさんの顔が笑顔になる。
満面の笑みだ。
「帰れ!」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
さて俺は今どこにいるでしょう?
時刻は大体0時。
城門の前におりまーす。
兵士がとても眠たそうにしていまーす。
ニヤニヤ。
さてさて問題でーす。
俺はこれから何をするでしょう?
「ぐっ!何も―ぐはっ!」
「何!だいじょ―ぐはっ!」
「あっ!あああああ―ぐはっ!」
兵士三人の意識が飛ぶ。
これで中に入れるってもんだ。
いい作戦だろ?
これでばれずに中に入れる。
ん?
後でばれるって?
ふっ!俺が何も考えてないわけないだろう?
もちろん変装済みである。
全身葉っぱ人間である。
なんせそれ以外なかったからねっ!
葉っぱをすべて落として中に入る。
ここでも誰にも見つかってはいけない。
ここで誰かに見つかればこの国を敵に回すことになる。
俺、異世界人だけどさすがに国と戦えば負けるだろ。
さすがにまだ死にたくない。
…でも国にけんか売れば戦えるか…いや死ぬかもしれんしまあいいか。
ここでは俺の便利スキルの『気配察知』がなんの役にも立たない。
そこらじゅうに気配がある。
この『気配察知』は人が視覚するとそこにあるのがわかるように五感が一つ増え、点のように気配感じられる。
これが殺意を感じるとか視線を感じるとかの類ならここでも役にたつだろう。
中は赤いレンガでできた家が沢山ならんでいる。
街灯は炎ではない黄色い光がともっている。
おそらく魔法であろう。
宿屋はないのか?
いやあるだろうがこの時間に空いてないか…。
はあ今日は一日起きているか…。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
あれから2時間がたった。
何故か寝むい。
何故だろう?
最近全く寝てなくても大丈夫だったのに…。
あっ!ちなみになんですが、あの五月蠅いインフォ切りました。
あれマジで五月蠅かったんで。
それと今更なんですが左目を隠そうと思いまーす。
結構暇だったんで考え事してたんですが、この目の所為であのクソ女に攻撃されたんで左目、閉じときまーす。
片目閉じる生活にシフトしまーす。
左目が疼く…。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
目が覚める。
いつから寝ていたのだろうか?
寝たのはかなり久しぶりな気がする。
俺大丈夫か?
しかしなんで寝なくてあんなに元気だったんだ?
まあいっか。
あたりを見渡す。
俺が寝ていた場所はどうやら家と家の間だったようだ。
狭い。
人一人分のスペースしかない。
後ろにはゴミと、ん?
「おおい大丈夫か?」
女がいた。
ゴミの上に倒れている。
赤い髪のロング、かなり乱れた髪である。
目は黒く、顔は小さい。
騎士のような恰好をしていた。
門番と同じような恰好である。
「うっうう」
女が目を覚ましたようだ。
「ここは…そうだ!あの男を追って、魔法を…で、なんでこんなところに?」
頭を押さえながらぶつぶつとつぶやいている。
女がこっちをみた。
「よ、よぉ」
独り言をつぶやくおかしな奴って印象の所為で引いてしまった。
俺も独り言よくするんだけどね!
「あんたは!『光の御前!天よりの御前!光の業火を!ライトファイア!』」
女は俺に手を向け、魔法を発動する。
いきなり何しやがる!
ふっ!
しかし俺に魔法は効か――
ボッン
女が放った魔法が俺の目前に出現し、爆発した。
「痛ってぇ~」
爆発の衝撃で道に出た。
周りの人が皆こっちを見ている。
「やった!当たった!何よ!魔法効くじゃない!」
女は感嘆の声を上げながらまた魔法を詠唱する。
冗談じゃない。
またあれを食らうのはごめんだ。
何故かあの攻撃は俺のステータスをガン無視している。
ごっそり体力が削れた。
やばい。
逃げろ!
「あっ!待て!逃がすか!」
女が追ってくる。
しかし遅い!
へっ!そんな速度じゃおいつけねぇよ!
ゴン!
目の前の家にぶつかった。
前を見ていなかったからであろう。
痛いです。
気持ち的に…。
数分後。
「くっ!あの男は何処に行った!?くっ!団長の私がしっかりとせねば…」
ふっ!
俺はお前の後ろにいる!
さあマヌケ!
俺を見つけてみろ!
「あっちか!」
どっかいったわ。
雑魚め。
相手にならん!
さて、この状況を整理しよう。
おそらく俺が門を無断で入ったところを見られた、もしくはその後。
そしてあの女はさっき『団長』っと言っていた。
つまり騎士団のような物の隊長なのだろう。
あいつが馬鹿で良かった。
もし仲間を沢山呼ばれていたらこの国を逃げる他に手がないだろう。
まあそれもそれでいいか。
さて、とりあえず、身分証が欲しいな。
つまり金が欲しいな。
どうしよっかな?
今の俺の手持ちは折れた槍一本、剣一本、ボロボロの制服。
やべぇ~どうしよ…。
そうだ!
剣を売ろう!
「すみませーん、このあたりに剣を売れるところはありますか?」
通りがかった女の人に聞いてみる。
「ん?あんた旅の人かい?それより体洗った方がいいんじゃない?」
通りがかった女の人は親切にも気遣ってくれた。
見た目からしてもかなり優しそうなおばさんである。
「いや、そのお金落として…」
嘘がうまくなったな俺!
「そうかい…そりゃあ残念だね、それで剣を金に換えようとしてるんだね」
悲しそうな顔をしてくれる。
なんと優しいか!
俺があった二人の女とは大違いだ!
「じゃあ!あんた内に来て手伝いな!それで金貸したげる!必ず返してもらうよ!」
ほんとに天使!
おばさんだけど!
おばさんの家は食堂のようだ。
人が溢れかえっている。
「さっ!働いてもらうよ!まず体洗いな!」
ふう、あの団長女に合わずにこれた。
良かった~。
ちょっとした賭けだったんだよねぇ。
食堂は外側はレンガ、中は木で出来ていた。
テーブルは30個ほどありかなり広い。
裏手に井戸があった。
ここで洗うのだろうか?
おばさんはどこかに行ってしまった。
しかたない適当に行こう!
頭から水をかぶる。
水を飲むのも久しぶりなきがする。
そういえば俺、飯ってリンゴみたいなのしか食ってないよね?
大丈夫、俺?
体中の汚れを落とす。
かなりこべりついていたようだ。
しかし匂いがしないのは何故だろうか?
まあいいか。
「おお!あんた!風呂沸かしたのに外で洗っちまったか!まあいい、これに着替えな!」
おばさんは俺に茶色いいかにもド○クエとかに出てきそうな旅人の服をくれた。
いやー異世界はこうでなくちゃ!
服をすべて脱いでこれに着替えた。
制服もういらんだろ!
ポイッ!
みなさんポイ捨てはしてはいけません!
「おお!似合ってるじゃないか!それになかなかの面だねぇ!私の予想通り!それで?目、どうしたんだい?見えないのかい?」
おばさんが着替え終わった頃にやってきた。
「ありがとうございます何から何まで!目は少し訳があって…見えないわけじゃないです」
「勘違いしちゃいけないよ!私はあんたに仕事させてやっと金を貸してやるっと言ったんだ!これ以上はできないよ!目のことはもう聞かないからさっさと客に料理届けな!」
おばさんはいい人である。
名前なんて言うんだろうか?
こうゆうときにはこうするのだ覚えておけ!
「よろしくお願いします!ユーシと言います!」
「そうかいユーシと言うのかい!私はアリシャ!この食堂『肉の旅人』をやってる!よろしくね!じゃあこれあのテーブルに持って行って!」
アリシャおばさんに酒ビンとコップに料理を渡された。
大丈夫かな俺?
俺、バイトで裏方はやったことあるけどホールはやったことないんだよな~。
「お待たせひまひぃたお客様!」
盛大に嚙んだ。
顔が熱い。
「おう!ありがとよ!新人さんか?またあのばあさん金貸したんだろ!あのばあさんの貸しは高いぞ~」
笑顔で話しかけてくれる。
こんな人が一人目で良かった。
「坊主!がんばれよ!」
「はい!」
「アリシャさん!酒3つ!あて3つ!」
「あいよー!」
数時間がたった。
今は人が多い昼間。
注文が飛び交う。
「おっ!ありがとよ!ところでなんで坊主は金が欲しいんだ?」
注文の品を届けるときに客に話しかけられた。
「えっと…その…」
ここで正直に身分証がほしいですって言うべきだろうか?
考えていると周りの声が聞こえてくる。
「なあ知ってるか?昨日の夜に門番の奴らがやられたらしいぜ!」
昼間っから酒を飲んで鼻を赤くしている。
「うお!マジか!じゃあ誰かがこの国に侵入したんじゃねぇか!?」
集中している中、周りの声がよく聞こえる。
「どうした坊主?気分でも悪いのか?」
「いえ!大丈夫です!」
「それで?入ったやつ捕まったのか?」
「いやまだらしい。昨日は騎士団の団長が朝まで魔法を放ったがびくともしなかったそうだ!なんとも化け物みたいなやつだよな!」
「そいつの特徴とかは?」
「ここらへんじゃ見ない服装で、紺色の服の奴らしいぞ」
「全く早く捕まってほしいよな!」
「そうだな!おーいあんちゃん!酒もう一杯!」
「は、はーい!」
やべぇ!
やべぇよ!
俺、お尋ね者かよ!
そうか、そりゃそうなるか…。
どうしよっかな?
つかの間の休憩の時間に水を飲みながら井戸のあった外に出る。
この国の通貨は
金貨一枚は日本円で一万円、銀貨一枚で千円、鉄貨一枚で百円、銅貨一枚で一〇円、石貨一枚一円となっている。
今日俺が働くと銀貨五枚アリシャおばさんが貸してくれる。
返しは金貨一〇枚。
…
まあ、いっか!
助けてくれたんだし!
何とかして稼ごう!
「ユーシ!休憩は終わりだよ!働きな!」
「はい!」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「色々とありがとうございました!」
夜、最後の客が帰った。
「あんたよく働くねぇ!五人分ぐらい働いていたよ!」
「あんまり持ち上げないでください…調子に乗っちゃいます!」
おばさんは食堂から出て料理をもってきてくれた。
「今日、働いたからご褒美だ、食べな!」
「ありがとうございます!」
久しぶりに飯を食べた。
マジでうまい。
飯ってこんなにおいしかったんだ!
これからは毎日食おう!
「それで?あんた泊まるところあるの?」
せっせと食べる俺に優しく話しかけてくれた。
「ふぁいふぇふ(無いです)!ふぇふぉ、ふぉふぉふぁふぇふふぃふぇふふぉふぇ、ふぁふぃふぉふふぇふ(でも、そこら辺に寝るので、大丈夫です)!」
「食べてからしゃべりな」
「グンッ!適当に寝るので大丈夫です!」
「そうかい、なんなら今日、泊めてあげようかい?」
「いいねですか!」
「ああ!一日だけだよ!」
「はい!」
泊まるとこゲットだぜ!
イェイ!
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
目が覚める。
アリシャおばさんに泊めてもらった場所からでる。
今日は身分証の発行と金を稼ぐところを見つけなければ!
「色々とお世話になりました」
「いいんだよ!好きでやってる。金は必ず返しにきなよ!銀貨一〇枚貸したげるから金貨二〇枚で返しな!」
アリシャおばさんは笑顔で金を貸してくれた。
「え!なんか増えてる…返す量も…」
「あんたはこれからかなり稼ぐと私の勘が言ってるんでね!もう少し貸しても問題ないと思ったのさ!それにあんたは返してくれそうだ!」
テンプレにはこんな優しい人がいるんだな!
俺一応犯罪者だからかな~り罪悪感あります。
「必ず返します!待っていてください!」
「ああ!またおいで!」
手を振ってお別れ。
いやーいい人であった。
こんな人に敬意を払わないようなら人としてすたるね!俺、人間だよ!
ステータスのはバグだよ!
バ~グッ!
…
現在の時刻午前5時頃。
どうにかこの国を一旦出て行かなければ!
槍が壊れているのにそのままにしていました。
正しくは折れた槍です。
HPと表記していましたが、ただしくは体力です。
また「門」っと表記していましたが間違いです。