象徴詩『珊瑚島に暮らすは楽園の日々』
脳天に滅り込む
瑠璃の大鎚で
生存域の通電
インターホンが
引っ切り無しに鳴る
ピンポンピンポンピンポンピンポン
ピンポンピンポンピンポンピンポンピン
ポンピンポンピンポンピンポンピン
ポンピンポンピンポンピンポンピンポン
ピンポンピンポンピンポンピンポン
ピンポンピンポンピンポンピンポンピン
ポンピンポンピンポンピンポンピン
ポンピンポンピンポンピンポンピンポン
ピンポン
「借りた金を返せ」
「ゴミ溜めに火を点けたのはアンタでしょう」
「帰って来て、早く帰って来て、
お願い申し上げます」
「警察です。開けろ」
屋内配電盤から
デジタル感染して
窖の換気扇を一斉に回らせる
ぐるぐる
ぐるぐる
頭が瑠璃と性行して
僕の脳は脳病院の管轄ではなくて
なくて
なくて
なくて
瑠璃と混じって宝石
地球とヤグルマギク
ぐるぐる
ぐるぐる
風車が回る
ブツブツの出来た紫色の
ハラワタを掻き混ぜる
昔の思い出の思い出の思い出
僕は此処に
いなかった筈だ
ああ そうだ
珊瑚島にいたんだ
オレンジの陽射し
スミレの岩影
果物がたくさん
果物がたくさん
真空を消すのは
円筒羽根に
円の夢の淡い透明な
手に入らない
逃げてゆく
円の少女が絡まりダルマ
血肉が飛び散ったダリア
ダリア
ダリア
あの赤くてキレイなダリア
あのダリアが
僕の命を生かしていたんだ
甘い撒き餌に
熱帯の魚が集まり始める
七色の魚
七色の水
ノルアドレナリンの海
液体呼吸を忘れた僕が溺れている
此処はゴミ箱
ゴミクズ
上も下も右も左も
僕を否定するために
用意された人間