成長記録【三歳】魔力操作と魔法の危険性
リックは最近、魔法に関す本を読んでいる。
この家には、魔法について書かれた本が、ざっと五十冊以上あり、今日まで家族に気づかれないように読み漁っていた。
(魔法って割りと簡単なのな。これから本、全部見る必要なかったかな?)
まずは、魔力操作。
魔力とは、体内に流れる血液をイメージする。
そして、血液を体外に放出するイメージをすると、
体から青白い光がでる。これが魔力光だ。
後は、使う魔法のイメージを、明確にして発動する。一般的には、魔法名や呪文等を言ってイメージしやすく、よく使われる方法だ。
(よし、先ずは魔力操作からだな)
リックは目を閉じ、集中する。
すると、全身が青白い光に包まれたと同時に、部屋の扉が勢いよく開く。
「誰っ!」
「うわっ!」
入ってきたのは、フィーリだった。
「お、お母さん」
「リック?っ!」
フィーリは青白い魔力光に包まてるリックを見ると、少し顔を強張らせた。
「リック、何で魔力光が出てるの?」
(ヤバい!どうする?言い訳なんかできねぇし、正直に言うか?)
「え、え~と、その」
「すご~い。リックは天才ね」
「は?」
言い訳しようと必死になって考えていたが、何故かフィーリは、目をキラキラさせている。
(えっと、なに?いいの?ねぇ、いいの?そういやぁスキル欄に親バカって有ったけどその効果なのか?まぁいいか)
「あなた、あなた~」
フィーリが勢いよく出ていった。すぐに、また廊下の方から走って来る足音が聞こえた。
「リック!」
入ってきたのは、先ほど出ていったフィーリとグランだった。
「リック、今はまだ魔法を使ってはいけない」
「えっ?どうして」
フィーリとグランが悲しげな目でリックを見つめてる。
「魔法はな、危険なんだ」
「危険?」
「そうよ、リック」
「魔法は、遊び半分で使うとな、魔法に魂を喰われるんだ」
「魂を、喰われる?」
「そうだ、そして魂を喰われた者は悪魔になる。
生物からかけ離れた存在になるんだ」
グランはリックに必死に言い聞かせる。
「あなた、落ち着いてください。」
「あ、あぁ。すまない。だがしかしなぁ」
「わかっています。でもこの子はまだ子供です。そんな難しい話をしても分からないでしょう」
「そうだな。リック、今は魔法を使ってはいけない」
「わかった」
フィーリとグランは安心したように笑みを浮かべ、部屋を出ていった。
(本には、魔法の危険性については書かれていなかったけど、これ以上はやめてをこう)