第キュ~章
最近 毎日書き足してます@@
ガジェット暦0年8月17日(ガジェット化10日目)
ガジェット化3日目に、邦之叔父と女性陣5名が亮介のグループに加わって7日が経過した。
邦之が合流した事で税関跡地で暮らす人間は12名になり、夜間の見張りも亮介と邦之でローテーションで廻す事が出来るようになって一安心である。
邦之といっしょにやってきた女性達は、
*高木可奈・年齢30/薬剤師
*寺田良子・年齢23/看護士
*山田ひとみ・年齢20/看護助士
*渥美ケイ子・年齢19/看護助士
*加藤恵・年齢27/彩色デザイナー
の5人だった。
亮介達は邦之の指導で全員がアーチェリーを習う事になり、新たに洋弓も全員分製作した。
長壁夫妻と亮介の母渚は、敷地内に野積みされたコンテナをガジェット分解してレベルが一つ上がり、10歳ほど若い身体を手に入れた。特に渚は、望み通りバストアップ、括れウェスト、ヒップアップを手に入れ、今や分解魔と化している。
今日は午後遅くから、税関棟の会議室で現状報告と当面の活動方針について会議を持った。
「どうせ会議をするなら、議長と書記を決めて、挙手と指名で効率的に会議を進めましょう」
全員が席に着くと同時に、邦之が全員に提案した。流石に医学学会とかで研究発表をしてきただけはある。
「議長と書記は誰がやる?」
亮介が邦之に言った。
「そんなの、誰だっていいさ。毎回持ち回りでやればいい。そうすれば緊急の時、誰でもが会議を開いて対応を決められる。そうだな、今回の議長は高継さん、書記は可奈さんにお願いしようか?」
邦之の言葉で議長と書記が決定し、会議が始まった。
「発議を取ります。はい、亜理紗さん」
高継は挙手した全員を見回して亜理紗を指名した。
「私達、暫くここで生活していかなきゃいけないでしょ? だから、コミュニティの名前を付けたいんですけど」
「書記、発議を書き留めて下さい」
高継は可奈に指示を出した。
可奈は部屋の隅に大量に積まれているコピー用紙を適当に掴み取ると、外国製の安いえんぴつを使ってメモを取り出した。
「暫く、自由発言を許します」
「はい、ホーム・ベースがいいと思います」
と、亜理紗。
「それ、安直すぎねぇ?」
と亮介。
「自由の砦とかどう?」
と渚。
「義姉さん、恥ずかしくないですか?」
と邦之。
「塀とかカッコイイじゃん」
と亮介。自分で言ってゲラゲラ笑っている。
「ぶわっかじゃないの? 何駄洒落てんのよ! どうせ塀作るのが大変だったって理由でしょ」
と亜理紗。
「始まりの家とかどうでしょうか?」
と良子。
「ラブ・ハウス、愛の家ってのはどうだ?」
と邦之。
「なぁに、それぇ? ラブ・ホテル的な?」
とつばき。
「私はラブだけで良いと思います。ラブは勿論ゼロという意味もあります」
と恵。
「なんか、それ素敵」
とケイ子。
「何も無い処から始まるから、ピッタリかもね」
その時『パンッパンッ』と高継の拍手が鳴った。
「それでは、挙手により決議を取ります。書記、読み上げてください」
高継の指示で可奈が候補名を順次読み上げ挙手を求めた結果、今後この税関跡地は『ラブ』と呼ばれることになった。
亮介の『ヘェー』は勿論不採用である。
「それでは、次の発議を取ります。はい、秀美さん」
高継は挙手した全員を見回して秀美を指名した。
「『ラブ』の責任者を正式に決めたいと思います」
「書記、発議を書き留めて下さい」
高継は可奈に指示を出した。
「議長として提案しますが、漠然と責任者と一纏めにするのはどうかと思います。安易に責任だけを押し付け、他の者が安易に義務を放棄する恐れがあるからです。
当座は『ラブ』の安全と食料管理、生産の3つの責任担当を決めるべきです」
高継は皆を見回して言った。彼の言葉に反論は無かった。
「書記、では発議の修正を記録して下さい」
高継は可奈に指示を出した。
「各責任者は、全員の推薦を取り、副責任者は責任者選出後本人が指名する形式にした方が良いと思いますが、異議は有りますか?」
再び高継は皆を見回して言った。
「異議が無い様なので、書記、各責任者の選出方法を記録して下さい」
高継の議事の進行は見事なものだった。
「安全責任者から選びたいと思います。各自適任だと思われる人の名前を挙げていって下さい」
彼の指示でテーブルに着いた端から候補者名を挙げて行った。現在『ラブ』で一番レベルが高いのは邦之だった。また、洋弓の腕は正に『オリンピック・クラス』、全員が邦之を指名した。
「安全責任者は、鋼伝寺邦之君に決まりました。邦之君は副責任者を指名してください」
「亮介を指名します」
邦之は即座に答える。
同様に粛々と各責任者が決められていった。
食料管理責任者は長壁高継、副責任者は鋼伝寺渚。開発責任者は鋼伝寺亮介、副責任者は鋼伝寺邦之と長壁亜理紗になった。亜理紗が副責任者に選ばれたのは、安全責任者と開発責任者が完全に重複してしまったからだ。
「それでは、書記、各責任者の名前を記録するように」
高継は可奈に指示を出した。
「それでは、次の発議を取ります。はい、亮介さん」
高継は亮介を指名した。
「『ラブ』の現状を把握したい。そして、今後1ヶ月の方針も決めたいと思う」
「発議が2件同時に成されましたが、まず、『ラブ』の現状から話し合いましょう。書記、発議を書き留めて下さい」
高継は可奈に指示を出した。
「折角責任者を決めたのですから、各責任者の把握する範囲で結構ですので、説明をしていただけますか? 先ずは邦之さんから」
高継は邦之に説明を促した。
「この『ラブ』の敷地は400メーター×200メーター東と北は海で、南と西は高さ2・3メートル厚さ40センチのコンクリート塀で囲われている。東南の角に鉄柵製のの門があり、それぞれの上部には亮介の作った『ヘル・レイザー』が張り巡らせてあるって訳だ。
世界がガジェット化した所為で、銃火器は殆んど使用不能になったが、此処を襲撃できないって訳じゃない。
まず、東と北の海側からの侵入に対して無防備なのが致命的だ。簡単な箱舟位なら誰でも作れるからな。
それと、西側に隣接する工場の屋根からロープ等の単純な道具で侵入される可能性もある。勿論南の塀も、木製の陸橋を掛けられたら入られ放題だ。
それに対して『ラブ』は、人員12名、各自洋弓で武装しているが、白兵戦に対処できる格闘技経験者は、文字通り『ゼロ』。辛うじて格闘技経験無しでも使用できる武器は日本刀3振り。
僕が指摘した方法で30人前後の戦いなれた人間が侵入してきたら、確実に全滅する。」
邦之の指摘に、その場に居た全員がゴクリと唾を飲み込んだ。
「な、何か対処はできるんですか?」
高継が恐る恐る聞いた。議事の進行の事など頭から抜け落ちているようだ。
「対処ねぇ……まあ、取りあえずは侵入口を塞ぐ事だが、僕としては白兵戦の知識のあるその道のプロを10人位スカウトするのが先決だと思うなぁ」
邦之は首を振りながら言った。
「具体的にどうやってその人材を確保したら良いんだい?」
亮介は言った。
「取り合えず、『ラブ』の外がどうなっているのか調査する事かな。潜在的な敵の戦力を知らなければ、何人ぐらいスカウトが必要か分らないだろ?
僕の経験から、食料強奪の為に徒党を組んでいる奴らの人数は、多くて20人位だと思う。そんな奴らは戦略的にものを考えないから、大きな脅威にはならない。
問題なのは、ある程度備蓄食料を確保していて、組織力を持っている集団……この辺りでは元自衛隊、元警察、元消防が僕達の脅威になるはずだ。
こいつらは当面の食料を確保しているので、継続的に食料を確保する方法を模索するだろう。農地や養鶏場、養魚場など利用価値のあるものを接収したがるはずだ。まあ、僕達も同じ戦略で動いている訳だけどね」
邦之はそこまで言って肩を竦めた。
「でも、そういう人達は元々国や市民を守っていた人達なんでしょ? 何も悪い事していない市民を無闇やたらに攻撃したりしないんじゃない?」
つばきは悲鳴に近い声音でそう主張した。
「……つばき、甘いな。練乳蜂蜜漬けの黒砂糖ぐらい甘いよ」
邦之は馬鹿にしたように言った。
「何その組み合わせ……」
いつもはすこぶる無口な良子が露骨に嫌な顔で呟く。
「……良子、そこ突っ込むか? ……もう、法律も義務も無いんだ。救命の権化だった医者の僕でさえ、涼しい顔で人間が殺せるんだよ。寧ろ殺さないと生き残って行けないというのが現状なんだ。人殺しの訓練を受けた連中は尚酷いだろうさ」
邦之は冷たく言い放った。この災厄が始まって以来、人を殺した事がない他のメンバーは、一様に押し黙ったままテーブルに視線を落とした。
「く、邦之君……具体的な対策に付いて話し合っていたんだが、偵察には誰が行くんだね?」
高継が冷や汗を流しながら聞いた。
「僕と……亮介でしょう。出発は今夜」
鋼伝寺亮介・総合レベル10
肉体強化レベル3
スキル=暗視・ステータス・アナライズ
レベルアップボーナス、4
長壁亜理紗・総合レベル3
肉体強化レベル3
レベルアップボーナス、0
鋼伝寺邦之・総合レベル14
肉体強化レベル12
スキル=暗視
固有能力・ヒール・ドレインヒール
レベルアップボーナス、3
鋼伝寺渚・総合レベル1
肉体強化レベル1
レベルアップボーナス、0
長壁高継・総合レベル1
肉体強化レベル1
レベルアップボーナス、0
長壁亜秀美・総合レベル1
肉体強化レベル1
レベルアップボーナス、0




