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自作小説倶楽部 第5冊/2012年下半期(第25-30集)  作者: 自作小説倶楽部
第28集(2012年10月)/「温泉」&「寄り道」
22/38

4 ぼうぼう 著  寄り道 『ツメクサのネックレス』


シロツメクサにアカツメクサをポイントに。


小学五年生のマイは独り言を言いながら、次々にツメクサを編んでいく。

”寄り道はするな”という親の小言はささやかな冒険心をくすぐり、マイは夢中になって「王女のネックレス」の作成に夢中になった。


気づいた時ー「王冠」になるはずのツメクサはぐったり、しおれ、あたりは闇の手がジワジワ彼女をを包み込もうと目論んでいた。


ハッと気づいたマイは、夜の闇を振り払いつつ、現実の我が家に走りだした。闇の手が彼女の足を何度かかすめたの感じ、一層彼女は全力で走った。


ツメクサの王冠が、ぐったりとしおれるのを感じながら、マイは走った。悲しかった。王国は崩れ去り、現実が恐怖とともにマイにまとわりついた。


電灯の灯った我が家に飛び込んで、マイはしおれた王冠を隠しながら、親の叱責にさらされていた。涙が床にシミを作った。同時に、握りしめた、しおれたツメクサからそっとマイに伝わった。

「また王冠は作れるさ」


「こんなにあたりが見えなくなるまで遊ぶのはダメって約束、何回目?」

お母さんが涙目で怒ってる。


「心配の…あま…りの…怒り…は…理解でき…」

根からマイが引きちぎったツメクサの振り絞る最期を手から感じながら、マイはこぼれる涙のまま、返事をした。

「もう暗くなるまで遊ばない」

そう言いながら、ツメクサの王冠がマイから離れていくのをマイは感じていた。


彼女は知らなかったが、大人への第一歩の階段を踏み出したのだ。ツメクサは二度とマイに語りかけることはなかった。

(完)



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