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自作小説倶楽部 第5冊/2012年下半期(第25-30集)  作者: 自作小説倶楽部
第27集(2012年9月)/「○○の秋」&「夜」
18/38

7 紫草 著  夜 『止む事無し魂の果て』

注意・この物語はフィクションです。登場する人物・事柄は全て架空のものです。9月自作/夜 『止む事無し魂の果て』

 明けぬ夜はないというのに。

 暮れる日を、疎ましく思う。

 一日がいつ始まり、そして終わるのか。床をとる時。はたまた眠りにつく時か。


 眠れぬ夜の続き。

 陽は昇り、陽が沈む。

 それは星の営み。


 人は、時計の針の上。

 自分の都合のいいように、昼を決め夜を決め、そして眠りにつく。

 抗うのは、誰。

 永遠の眠りを拒絶した人は、今、静かに眠る。


 目覚めぬ人。

 すでに幾年(いくとせ)

 機械に繋がれるわけでもなく、只管眠り続けている。

 彼女には今、どんな時間が流れているのか。


 曰くありげな紛い物。

 恐れた自分の身代わりに、それを手にした彼女の強さ。

 待っていたのは、別れだった。

 原因不明の意識消失。

 心臓の鼓動はあるのに、生きてない。


 生きとし生けるもの。

 彼女の目覚めに手を貸してくれ。

 彼女の瞳を見られたら、どんな代償でも支払うものを。


 不老不死の仙薬。

 そんなものを信じた愚かな人。

 しかし、それを望んでしまったのは… 俺。


 永遠の命など、ありはしないものを。


 愛しき人。

 どうか、目覚めて。

 この腕のなかに、戻っておいで。

 不老不死など最早望まぬ。共白髪を誓い合う。


 そして、この命果てる時。

 三界六道に輪廻する、互いの魂の邂逅を願おう。


 愛しい人の横顔に、今宵も夜の帳がゆるりと下りる――。


【了】 


著 作:紫 草 

Copyright © murasakisou,All rights reserved.


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