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33.

 長谷部結香の弁護士事務所が、氷賀一彦の原稿と同封されていた手紙を署に提出した。


 宅急便の伝票の筆跡も、氷賀一彦のものと鑑定された。氷賀一彦は原稿をかきあげると、香葉の外出中に知人の長谷部時宗にあてて宅急便で送り、自宅の書斎で自殺した。高遠檀はそのあと、氷賀一彦を訪問して死体を発見し、逃げ出したらしい。檀はひとめで状況を察し、書斎には入らず、余計な小細工もしなかったから、現場の状況や指紋、痕跡も檀の証言とすべて一致した。


 氷賀一彦死亡七十二時間後、氷賀一彦の自殺が決定された。


 捜査本部は解散し、村上が刑事課強行犯係配属となり、吉鷹は署長付きとされた。

 もともと村上が牛込署刑事課配属予定で、そこに吉鷹がわりこんできて、吉鷹が刑事課配属、村上は交通課配属となるはずだったが、吉鷹の一連の暴走を見て組織にはむかない――村上のほうがまだまし、と判断されたのだ。


 自由に動けるし、署長の業務につきそえるのであれば、警察署の一連の業務の流れを知ることができる。

 名より実を取ったと考えれば、思いやりのある悪くない配属だし、吉鷹にとってはどうでもいいことなのだが、世間的にはどうみても挫折だろう。


 この配属を報告するため、吉鷹は定時で上がり志摩津の道場に立ち寄ったが、さすがに志摩津当主で養父でもある飛梢の顔をまともに見ることはできなかった。


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