光と闇の楔 ~新たなる邂逅~
今回の副題は、どちらかといえば、決意、というか再起?の意味合いです。
なので副題をどうしようかな?といろいろ悩んだ末に、
この話では邂逅もひとつの軸なのであえてこの言葉を選びました。
今回は、光につつまれたそれぞれの感想、というか光につつまれたもの達が感じた出来事、です。
次回からようやく本編にはいります。
※今回は短めの18kbです
自らの力の限界を感じるのはふとしたきっかけから。
それまでは抑えられていたはずの負の力が表にではじめたときから、
次代となるべき器を探すことになる。
世界を安心してまかせられる器たる魂、という存在はそうそうありえない。
しかしそれでも、純粋に全てを守り慈しみたい、という存在はいる。
この世界においてはたまたま、女性の率が高いのみで、
今まで【マァト】として即位したのは全て女性。
ゆえに、ある場所では女王陛下、とも呼ばれている。
しかし、あくまで世界を見守り、導くためだけに存在しているにすぎず、
世界を治めたりとかそういうことにはいっさい関与していない。
なので、陛下、というのは少しばかり訂正があるとおもう。
だけど、ようやく次代となる器に全てを引き継ぎおえられる。
やっと肩の荷がおりるときが近づいている。
だけども、ごめんなさい。
リーナ・イノ・アルデュイナ。
あなたにはこれから永き時を私と同じ孤独を味わいつつ世界を見守ることとなる。
マァトでなくなってしまった私の寿命は普通の精神生命体と同じく時が限られてしまう。
【マァト】となりえた存在の時間の流れは他者の時間の流れと激しくことなる。
全ては【マァト】を置いて逝ってしまう。
自分のことを覚えていない、かつての仲間達。
いくら惑星の意思達と交流を深めようとも、惑星の寿命がつきればそれはそこまで。
これから強き意思が必要となってくる。
あなたがその強き意思に自らが耐えられるようになるまで私は私なりに傍にいるつもり。
今までの私の【マァト】としての意見が、あなたの役に立ちますように――
光と闇の楔 ~新たなる邂逅~
全てが幸せでありますように。
誰もが幸せでありますように。
温かな光が世界全てを包み込む。
それはこの惑星上にとどまらず、すべての銀河。
否、超銀河と呼ばれている空間そのものが、
いつもは銀色に輝いている色が淡き金色の光に包まれている。
あるものは空を振り仰ぎ、そしてあるものはその場にて膝まづく。
このような現象がおこることは一つしかありえない。
しかしその事実をしっているのもは、【世界】の構成にかかわる一部の存在達のみ。
重力に縛られていない数多の浮遊惑星における意思達もまたその歩みをとめ、
その温かな光の中に自分自身の身を一時ゆだね浄化を図る。
この光は全ての力を正常な方向にと浄化する効果をもっている。
とはいえ、それぞれの存在により、何が正常か、何がよくないのか、というのは異なっている。
それぞれが正常、とおもうものが昇華されよりよくなり、
よくないもの、とおもわしきものは浄化され光の中にと吸収される。
それはいわゆる【マァト】からの祝福、と呼ばれしもの。
この現象がおこるとき、
すなわち、それは次代の【マァト】が目覚め、その力を継承したに他ならない。
全ての命在る存在達は邪念を捨て、この光の中にその魂そのものを一度ゆだね、
その魂そのものの昇華と浄化を無意識のうちにとはかることとなる。
そして、それは当然、かの地にもいえることで――
温かい。
突如として温かな淡き金色の光に包まれた。
言葉のあやでも何でもなく、本当に。
広大なる宇宙空間。
その本来ならば漆黒であるべきはずの空間すべてが淡く金色にと輝いている。
黒き漆黒は優しい金色へと変化し、そこにある全ての命そのものを包み込む。
ふわふわとした感覚はおそらく気のせいではないだろう。
どこか懐かしい。
淡き光につつまれ、しかしこの感覚を自分達は知っている。
―― …あれは……
自身の体がそこにあるようでそこにない、精神体のみで何かを視ているような不思議な感覚。
おそらく、実際に視ているのであろう。
懐かしき、遥かなる古の光景、を。
『う~…?』
まどろみの中から目がさめれば、そこは温かな淡き銀色の空間。
きょろきょろと周囲をみれば同じように今誕生したばかりの仲間達の姿。
始めに発した言葉は言葉ともいえない、小さなうめきのようなもの。
ああ、そうか。
これは自分達が誕生したときの……
それぞれの視点において、自分達がこの世界に【生】をうけたときの記憶。
「あなた達の名前は……」
そういって優しく問いかけてくるその声の主の姿はよくみえない。
しかし、この空間そのものがその声そのものだ、と漠然と理解した幼き日。
「あなた達はいずれ、聖と魔。それぞれの代表として、天界と魔界。
それらを創りだした後にその世界において責任ある立場として存在してもらいます。
もっとも、今のあなた達の魂は新しく産まれたばかり。
今はその身に慣れるべく仲間達とともに在ることを優先させること」
天界だの、魔界だの、といわれてもよくわからなかった。
しかし、なぜかするっとその言葉は理屈ではなく理解ができた。
それはどうやら周囲にいた他の仲間達。
数でいえば自分をいれて十二名。
それぞれが相反する属性をもっている、と無意識のうちに理解する。
自分と同じ属性をもつものが六名、そして反する属性をもつものが六名。
そのうちの一人は二人で一人なのかその身の中に二つの精神を宿しているのが視てとれる。
しかし、二つの精神、とはいえ基本は同じ精神が二つに分かれているらしく、
「時がくれば、あなた達の身は二つにわかれるでしょう。……ハデス。そしてゼウス」
名前。
それぞれに振り分けられたその名を与えられることにより、より強き力が満ちてくるのがわかる。
「あなた達がある程度育ったらあなた達の親を創りだしますかね」
…そういえば、自分達の親たる存在は自分達より後から創られたのだったな。
すっかり永き年月の間のそのことを忘れ去っていたが。
それはかつての記憶。
自分達が誕生して間もないときの幼き日の記憶。
そして…思い出す。
あのとき、それぞれが自分自身がどうあるべきか、それぞれに考えて日々を過ごしたことを。
そして……それぞれの界が創られ、責任ある立場として出向いていったその日のこと。
遥かなる過去の出来事であったがゆえに記憶のかなたに飛んでいたある日の記憶。
それが今こうして目の前にてなぜかその光景が記録映像のごとくに再生されている。
自分達の精神体はどうやら周囲の空間に溶け込んでいるらしく、外側からかつての出来事を視ている。
そんな感覚がうけとれる。
【汝、初心を忘れることなかれ】。
そういわれ、それぞれが役目に熱意と誠意をもって挑もう、そうおもったあの若き日。
あのときの熱意は失われてはいない、とはおもう。
しかし、初心を忘れていないか、といえばそれは忘れてません、とは言い難い。
役目はあくまで役目であり、あのとき自分達が目標とした初心、それは……
『母なる意思の手助けとなること』
それは今も…根本的のその意思は変わっていない。
そういえば、いつだっただろう。
母なる意思のもと、がいつのまにか【王】の意思のもと、にすり替わったのは。
それはごくごく自然のようなことにおもえて疑問も抱かなかった。
しかし、【王】の意思は【母】の意思、とまったく疑わなかったのもまた事実。
素直な魂そのもので見つめれば答えはすぐそこにあった、というのに。
常に、母なる意思は【王】として自分達を見守っていてくれたのだ、というその事実が――
「ゼウス。ハデス。ポセイドン。ヘイムダル。シヴァ。クロノス。……あなた達が光の属性。
サタン。ベルゼブブ。アスタロト。リバイサアサン。アスモデウス。ベリト。…あなた達が闇の属性。
そしてシヴァ。ベリト。あなた達はそれぞれ異なる属性を持ち合わせる。
属性。それはあなた達全てがそれぞれ得意とするもの。そして…司るもの」
あのときから、自分達が司る力が決定された。
そして…その力は、今も変わっていない。
世界が成長すれば自分達が司る力も比例するかのごとくに大きくなる。
それが自分達と世界との関係。
その関係をきちんと把握していない輩もたしかに増えてきてはいる。
……汝、初心を忘れることなかれ、か。
この光は…その初心を自分達に確実に現実にその光景を見せることにより思い出させている。
この光の祝福は、王の…母なる意思のもとか、それともさらに大きな意思のもとなのか…
おそらく、これはどちらの意思もあわさって、のものなのだろう。
今はただ…過去の記憶にただただ我が身をゆだねるのみ……
ほぎゃぁぁっっっっ!
あらあら、元気なこと。
どこか懐かしい声がする。
ほわほわとした温かな感覚。
ゆっくりと目をひらくと同時、自分のありようがすんなりと世界から入り込んでくる。
あれは……全ての命あるものがその姿を垣間見る。
母から生まれ出る子は自らの誕生を、
そしてまた、力が満ち溢れ存在しうる精霊達は自らの誕生の瞬間を。
命あるものには必ずといっていいほどに、誕生の瞬間とそれに伴う出来事、というものが存在する。
光に包まれ、全ての命あるものが垣間見ているのは自分達が世界に生まれ出た瞬間の出来事。
自分達がどのようにしてうまれ、そしてどのように育ったか。
それらはまるで走馬灯のように命あるものたちの目前において繰り広げられる光景。
それぞれの意識はそこにあり、それでいてそこにはない。
各自の意識は周囲に完全に溶け込んでおり、客観的な視点からその光景を眺めているに過ぎない。
それは自分自身のことでありながら、どこか他人のことのような気もしなくもない。
自分からみた視線と外からの視点とでは視た印象も感じる印象もまったくもって異なっている。
かつて、当時はわからなかった親の思い。
そういったものが理解できるようになっている年齢の存在は自分達の過去に思いをはせ、
そしてまた、基本成長というものがない精霊達などは自分達の誕生と、
そして新たなる命の誕生とを照らし合わせ、今の世界の情勢を比較する。
自分達が産まれたときと今の世界とでは同じようでいてどこか違うところもある。
世界は常に変動している、というのがより強く認識させられる。
無機質を核とする精霊にとっては本体が消滅、もしくは壊れないかぎりその生が終わることはない。
あるいみ不老不死、ともいえる存在。
その精神体を輪廻に回したい場合、力あるもの。
すなわち、黄竜である竜王にその自らの器と精神体を分離させてもらうしかない。
そしてそのような行為ができるのは、竜王、もしくは神竜。
そして…魔界と天界における補佐官、ごくごく数は限られている。
それでも、精神体をうしなった核たる無機質にもいずれ力がみち新たな命が宿り世界はめぐる。
命は始まりであり、そしてまた終わりでもある。
この世界においてはその命の循環がより判り易く形式化されているので迷うことはない。
浄化され終えた魂はこの【世界】より【外】にいくことはあれど、過去の記憶は覚えていない。
記憶をもったまま輪廻に回される存在は何らかしらの役目をもって産まれることとなる。
誰の目にも明らかにすることにより、死にたいする恐怖を和らげた。
そしてその仕組みはどのような存在にも言えることであり、
その命がたとえ精霊であろうと人であろうと、行き着く場所は必ず同じ。
そしてまた、新たに誕生するのもまた同じ種族、とはかぎらない。
新たな命が芽吹いてゆくように、魂もまた新たな道を歩みその魂の質をあげてゆく。
いずれ、完全に魂が昇華された力ある魂はどこぞの惑星の意思になりえたり、
もしくは銀河の意思となりえるマァトともなりえる器となる。
別に意識してこの仕組みを作り上げたわけではない。
しかし創ってみればこの仕組みは世界に優しい仕組みだ、と自分なりに理解できる。
自分の中において様々な命あるものが自ら産まれおちてからの光景を視ている。
それは瞬時に理解できる。
しかし、それだけ、ではない。
その光景はこの惑星内だけではない。
この惑星外。
太陽系内におよばず、銀河そのものにおよびその光景が及んでいる、そう漠然と理解する。
外より今この地をみればこの銀河は金色に輝いており、やがてその光は年月をかけ、
別の惑星にその光をとどろかすであろう。
それこそ、超新星爆発、とどこぞの人類がいっていた強き光のごとくに。
しかし、この光は生みだすだけの光ではない。
力を失いかけていた惑星群にとってはあるいみ救いの光でもある。
そのまま光にのみこまれ消滅していっている惑星の数も多々とある。
消滅していった数多のわくせいの命はやがて別の命となり新たな生をむかえることとなる。
命はどのような存在であっても必ずめぐっている。
終わりがあれば始まりがあるように。
死は終わりであり、そしてまた始まり、でもあるのだから――
覚えているのは、新たな【世界】が出来る、というその言葉。
この【世界】を構成しうる【マァト】より投げかけられた言葉。
かつてその場には別の銀河系が存在した。
しかしその銀河は寿命を迎え、永き年月の果てに新たな再生を果たした。
その中の一つの【世界】を自分に任せる、という強き意思の意向。
自らがしっかりすればそれに伴い、力は力を呼び寄せる。
主系列星として自らの存在が決まった以上、意思を強くもたなければ世界は発展しない。
そしてまた、自らの意思に伴い、自らの器となるうる【形】もまた決まってくる。
大きすぎず、かといって小さすぎず。
いくつかの惑星を維持できるほど程度のよい大きさ。
それがどれくらいがいい、なんてものは判らない。
それはあくまで勘であり、一度核をつくり、そこから発展させてゆくより他にない。
しかし核を確定してしまえばそれ以上の成長は見込めない。
だからこそ、他者の同じく主系列星となった意思達の意見を伺いつつ、自らの行く末をきめてゆく。
自分が核を纏い、形をつくるにつれ、周囲にあつまってくるそれぞれの物質。
自らの力に引かれあつまってきたそれらは、やがて原始太陽系、ともよべる姿をとる。
いくつもの惑星ができかけては消滅し、それらは互いにぶつかりあっては新たな物質をまき散らし。
そして…自らの器が完全に固まったのと同時、
自らの力が及ぶ範囲に存在しうる惑星は十ほどとなっていた。
まだそれらの惑星は産まれたばかりであるものの、どうやらすでに意思は遣わされてきているらしい。
すなわち、惑星の意思たる魂がすでにそれらには存在している。
その魂が目覚めるか否かはこれからの自分の実力次第。
「……これは……」
自らの感覚を通じて視える光景。
自らの器である太陽、そこから視える淡く金色に輝く空間に視えるのは、
自分が誕生し、そして自らが守るべき意思達が存在しはじめた始まりの時。
自らの内部に一時存在した生命体は自らの力に耐えられず、
近くの惑星、すなわち、第一惑星へと降り立った。
第一惑星から第二惑星へ、そした第三惑星へ…
順調に全ての惑星の連係がとれるように生命が移動しては発展し、
それぞれが同じ仕組みで発展しそうであったのに、その文明が突如として暴走。
正確には自分達の力を過信するあまり、自分達の滅びを招いた、といっても過言でない。
そこからあらたにそれぞれの惑星の意思達が自分達の力によって生命を発展させていった。
惑星の意思達にとってはとある時間軸でいうと五十億年と少し前の出来事。
そしてまた、自らにとってはさらにそれより前の出来事。
始まりがあるからこそ今がある。
そしてそれはこれからもかわることがない。
やがて自分達の寿命もつき、この世界は光に包まれ虚無と化すであろう。
しかし、そこには無だけでなく、新たな有も存在しうる。
一度消滅した世界の仕組みは無意識ながらも次にその場に誕生する世界にと受け継がれる。
そしてそこに生きていた生命体達の意思の力が強ければ強いほど、
いってみれば念の力がつよければ強いほどその力は繁栄される。
だからこそ今の自分達はここにいる。
話しには聞いたことがあったが、実際に経験してみると、自分を顧みるいい機会、だとつくづく思う。
今までの出来事がまるで走馬灯のようによみがえる。
忘れていた小さな出来事までも、しっかりと意思の中にと刻まれる。
過去の失敗、そして成功、その全て。
忘れていないつもりでも忘れていた出来事は多々とある。
この光はそれら全てを思い出し、より初心に還るきっかけを与えてくれる。
それこそ、今新たに生まれ変わったかのごとくに。
これが世界を守り慈しみ導いてゆくべき【マァト】の力。
強制的な【力】によって捻じ曲げるのではない。
あくまでも当事者達の意思力に働きかけ、初心を思い出させる、神聖なる力。
自分もいつかこの域にまで達することができるであろうか。
せめて、自分とともにあることを選んでくれた十の意思達の終わりにはこれくらいの力を与えたい。
重力にとらわれず、浮遊惑星となっている数多の惑星の意思達にも。
それにはまだまだ自分は精進すべきであり、今後もいろいろと学んでゆくこともあるであろう。
その結果、失敗し、数多の惑星に迷惑がかかるかもしれないが。
しかし、失敗を恐れていては先にすすめない。
その行動をおこすときにはあらかじめ意思達に伝えることにより、その影響は最低限に抑えられるはず。
そこまでの力はすでに十の意思達は身につけている。
だからこそ…思う。
いつか、自分も惑星達の寿命がつきたとき、ここまでの力ではないにしろ、
その浄化の光にて彼らを無事に送り出すことができるように…と。
ふわふわとどこかに漂っている感覚。
だけども漂っているのではない。
漂わせている、というほうが正しいか。
自分、という存在の意義。
それは第三惑星における意思、ということには違いない。
だけどもこの空間には覚えがある。
というよりは、むしろとてもいとおしい。
何か重要なことが抜け落ちている。
だけどもそれは自らが決めたことなのだからこれでいいのだ、という思いもある。
本来ならばこの光にて自らが誕生した瞬間から生命の発展に至るまで。
それらの記憶を金色の空間に映し出されることにより、あらたに振り返る、はずなのに。
なぜだろう。
あるのは、ただ金色の空間の中にある銀色の空間。
先ほどまでこの空間内には自分と、次代の器である美希と、
そしてこの超銀河の意思ともいえる欠片のみゅ~。
そういえば、アテナとケレスもいたようだが、この光の奔流の中に取り込まれ、
気がつけばそれぞれあるべき場所に戻っている状態になっているはず。
それぞれが本来、あるべき姿へ戻り、還りゆくこと。
それがこの【光】の特性の一つ。
そのように取り決めた。
全ての命あるものが、自分自身を顧みて、己を振り返る。
それは別に悪いことではない。
むしろ、それはとてもいいことであり、悪事にそまっていた存在ですら、
己の過去の記憶を目の当たりにし、今の己がそれでいいのか、という自己問答をするきっかけとなる。
「さてと…そろそろ、全ての引き継ぎが終わるころ…かしら…ね?」
漠然とだが、なぜか判る。
だからこそ。
「全員がそろうのはあの地がいいでしょうね。やっぱり」
美希が初めてこの地に降り立った、いわばこの【地】にとっても始まりの地。
かかわった存在達をその場に移動するように少しばかり細工し、そのまま意識を周囲に溶け込ませる。
ずっとこのままこの光の中、否、光を感じていれば思いださなくていいことを思い出してしまう。
それは第三の意思として思いださなくていいことなのだ、となぜか理解している自分がいる。
しかし自らの直感は今の今まで外れたことがない。
生命達による進化にしても然り。
そのために不都合がおこりそうなときには、神託のような形で多少口をはさんでいたが…
その結果、かつての地上ではいくつかの宗教、というものが産まれてしまい、
それをきっかけに聖戦、とは名ばかりの宗教戦争が多発してしまっていた。
すべては自らの意思のもと、その言葉を受け取った存在達が行動したに過ぎない。
しかしその教えは歪められ、その教えに沿わないものは異端、とされ。
かつては自らの力の一部をつかえるものたちを異端児として裁判にかけ、
力もつかえない存在達ですらその財産目当てに処刑する、ということもおこってしまった。
ゆえに、新たな世界の後世にあたり、そのような勘違いが芽生えないように、
誰の目にもあきらかのように、神々や魔王達といった力あるものたちを創りだした。
確実なる対象者がいることにより、かつてのような宗教を盾にした戦乱は今のところおこってはいない。
もっとも、そうなりはじめたときに、利用されそうになった存在が粛清に及ぶこと。
そのように理に定めている。
…もっとも、とある国があがめている存在が存在だけに粛清すべき対象者である存在が、
自分には関係ないから、とあるいみ傍観を決め込んでいるので不干渉となってしまっている国もあるが。
かの国の首都を守護するは【門】の子供でもある。
ゆえに信仰の対象者であるヴルトゥームが不干渉でもさほどひどいことにはならなかった。
…このたびの、反旗組織による介入によって他国にまで攻めこむ。
という何ともいいようがない暴挙にでてしまったが、しかしそれらは彼らの本意ではない。
無意識のうちに操られ、そしてそのままいいように道具とされてしまったかの国の上層部達。
すでに操られていた原因たる核は浄化され残ってはいないが、
かの国では国王を始めとした主要たる権力者達がこぞって道具にさせられており、
ゆえに今は自国の混乱を他者に気づかれないようにすることに全神経を使っている。
もっともその情報は筒抜けでしかないのだが、今の今まで自国にしか目を向けていなかったがゆえ、
そういった諜報活動の成果、というものをかの国はあまり判っていない。
しかし頭のかたい存在達が一斉に消えたことにより、かの国も新たな歴史をこれより生み出すであろう。
「かの草原に関係者を全員移動させるとしますか。
…とりあえず、大姉様達の精神体も呼んでおいたほうがいいかしら?」
本来ならばこの光の中でそのような思考をもつことはまず不可能。
自らを省みるにあたり、自由に行動などできるはずがない。
しかし、三の意思でもある【ディア】にとってそれは些細なこと。
そもそも、どのような【力】でも【かの意思】をとどめることなどまず不可能、なのだから――
ふとおもうことあり。
ふとおもったんですけど、普通の小説においても然り、原稿用紙にしても然り。
一行40文字なんですよね…
だいたいその前後目指してやってはいるものの、
完全に40行以内で収まるように打ち込みしてみようかな?とかおもったり…
以前はきちんとそうしてたんですけどねぇ(苦笑
今回は、それぞれのあるいみ本当の意味?での邂逅(回想)みたいなものです。
前回の光につつまれたときのそれぞれの心情、とでもいいますか。
これがすんだらあとはラストにむかって一直線v