光と闇の楔 ~【マァト】の覚醒~
キリがいいところで、とおもったら今回はひさかたぶりに18Kさん。
ようやく今回にて美希の覚醒&引き継ぎですわ。
…んでもって、ディアの本質をもちらほらとだしてみてみたり(マテ
あとのこりわずか!
…これの番外は多々とあるけどどうするかは今だに自分の中では不明、です…
今は別な話しで脳内が埋め尽くされ始めてるからなぁ……
ともあれ、今回もゆくのですv
まどろみ垣間見るのは全ての光景。
自らの夢は形となり現実となる。
しかし全ては幻であり、だけどもそれは真である。
夢幻の世界なり、とは誰が紡いだ言葉だったのか。
おそらくは【自ら】の心を無意識に感じ取ったのかもしれない。
ゆえに我はまどろむ。
全てを垣間見ながら――
それが我であり、我が我である所以であり、自らが確かに在る、という証でもあるゆえに――
あ~…何だか変な夢をみた。
そもそも、夢をみる意思体ってなんなんだろう?
つくづく思う。
…大姉様達はそのようなことはない、といっていた。
この間、自らの内に不可思議な力を見つけて以後、よくみるこの手の夢。
まあ、所詮は夢。
きっとおそらく、今の今まで地上に紛れ様々な生物になったりして遊んでいたせいだろう。
そう自分自身にと言い聞かせる。
しかし、それより今、問題なのは……
「……この世界、どうしよ…?」
とりあえずこのままでは生命という生命体は死滅してしまう。
今とにかく頑張っている生命体だけは維持しなければならないとつくづく思う。
というか、すこしばかりまどろんでいる最中に二度も隕石衝突ってどういうこと!?
という思いはどうしても捨てきれない。
外による歪みの訂正と内部の訂正。
…それでも、どうにか生命体がのこっているのはどうやらこの惑星のみになってしまっているらしい。
…というか、他の姉様達、耐えきれなかったんだ……
まあ、連続して歪みなども発生しまくってたしなぁ……
そうはおもうが、今はともかく自らのことが重要。
「……あの小さな種族達だけでも繁栄させるように仕向けないとこりゃ、まずい、かな?」
しかしかの種族はいずれは人類、ともよべる種族にまで再び発展してゆくであろう。
もしもそれらが再び過ちを犯したとき自分はどうすべきなのか。
それはわからない。
そもそも、大地を闊歩している巨大なる生物達もまたかの人類による手がくわわったがためである。
彼らからしてみればよかれ、とおもってしたことが全ては彼らの破滅を導いた。
そしてそんな彼らもまた二度の隕石の衝突によって一部を残して死に絶えた。
かろうじて残っている存在達はその自らもてる力の全てをもってして
どうにか【結界】の中にと閉じこもった。
いずれ世界が安定してゆけば彼らは結界の中より再びでてくるであろう。
「ま、とりあえず。あの子たちの進化を見守るとしますか♪」
進化の過程をみているのはとても楽しい。
自分が少し意思をむけて道を示すだけで様々な方向性へと地上はむかってゆく。
…在る程度命が再びあふれたら、他の姉様のところにも【魂】達を移動させる、という手もありよね。
何しろ他の姉様のところは魂ごと消滅している場所も多々とあるっぽい。
…外に意識をむけていたがゆえに、内部のことにまで手がまわらなかったとかいっていたが。
…普通、外に意識をむけていても、内部のことも全ては平等にできるんじゃあ?
……もしかして、私だけが特別なのかな……謎……
光と闇の楔 ~【マァト】の覚醒~
「…何だ?」
何、とはいわないが、しかし感じるのはいつもよりも濃い気配。
「おそらくどこかで王が実体化されたか、
もしくは補佐官様が力を扱われているか、のどちらかでしょう」
空といわず大気そのものが力に満ち溢れているのを感じる。
それは魔界においても、天界においても、そして他の界においてもいえることであり――
「……ゾルディ達が震えて固まっているってどけだけの力なんですか!?」
目の前に無数に存在していた害ある念によって誕生していた存在。
それらがその【気配】を敏感に感じ取り、その場において完全に竦んでいるのがみてとれる。
所詮、下っ端でしかないしがないあまり力のない存在がそんな上司達の声に対して思わず叫ぶ。
それはある程度は仕方がないといえば仕方がないのかもしれない。
そんな部下達の驚愕は何のその、
「前回このように力が大気全てに満ち溢れたのはいつだったかな?」
「…ぼけましたか?サタン殿?確か最近では今から五千年前ではなかったですか?
先日の力の解放らしきものでは大気そのものまでここまで力があふれませんでしたし」
前回意図的に解放された力とはまたことなる力。
逆をいえば大気そのものが力に満ち溢れたことにより、
それらを糧ともする彼らもまた格段に力を向上させる。
所詮、神族も魔族も、そして他の界における数多の種族もまた【惑星】上における力に比例する。
つまり本来常に受けている【力】よりもさらに【濃い】力をうけることにより、
いつもよりも数倍の力を発揮することが可能。
「アスタロト。お前、人間界の臨時教師をやりだしてから容赦なくなってないか?」
「おかげさまで。伊達に補佐官様と共にいるわけではありませんよ」
「・・・・・・・・・・まあ、常に傍にいたらそれは気がぬけないのは事実だろうがな……」
どうでもいいが、どうしてこの上司達はのんびりとそんな会話をしているのであろうか。
というか指示をまっている自分達にこれからどうすればいいのか、次なる指示を飛ばしてほしい。
切実に。
しかし、相手はこの魔界の実力者であり、自分達はしがない一兵士に過ぎない。
ゆえに何やら場違いともいえるそんな上司達の会話がすむのを大人しくまつしかない。
ぴりぴりと自らの力すらをも向上させるほどの濃い力。
「…これが…王の…力?」
先日のあの力とはまた異なるこの力。
あのときの力は全てのゾルディを一気に駆逐した。
しかしどうやらこのたびの【力】はどうやら【生命体】全てに力を分け与える効果があるらしい。
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
いまだ産まれて間がない下っ端の魔族達はその圧倒的な力を肌にて感じ取り、
ただただその場にて固まるしか術はない。
しかしそんな情景に陥っているのは何もここ、魔界だけではない。
それは天界においても同じこと。
そしてまた……
「あれ?これって、お姉様?…というか、お母様、久しぶりに元々の姿をとられたのかな?」
自らの力が制御不能となったときにこの波動は感じたことがある。
もっとも、おそらくあの姿をしっているものはごくわずか、であろう。
「どうりで気配というかこの【力】で数多とした堕ちた輩が消滅していったのか~」
先日、突如として霊獣界の中において、堕ちた存在が多々と増え始めた。
どこから入り込んだのかわからないが、あまりよくない【念】達が霊獣界の存在達の中に入り込み、
そしてそれらは堕ちた存在として普通に暮らしている存在達にと襲いかかった。
このたび、この霊獣界の中に入り込んだ念の属性はどちらかといえば【無】としかいいようがない。
つまりは、全てを無とする強き意思により誕生した【念】と言って過言でないであろう。
しかし、いくらそれらの念が強くても、この地…すなわち、この惑星内部にいる限り、
どうしても惑星の力には引っ張られてしまう。
ましてやそれが巨大な力であれば、その意思の力とその念がもつ力とどちらが強いか。
それは比べるまでもない。
「妖精界のほうはリュカがいってるみたいだし。お姉様、本気で一気にカタをつける気、かな?」
この気配を解放した、ということはおそらくそういうことなのであろう。
いずれおそってくるといっていた【超空洞】。
次代たる存在がこの惑星上にいる限り、その衝突はいずれさけられない。
知識だけは知っている。
この宇宙の成り立ちの仕組みは、伝道師達からも聞いている。
もっとも、伝道師達とて【超空洞】に意思があったり、
あげくは銀河そのものにも【意思】があったり、というのは生前しらなかったらしく、
そのことを苦笑まじりに話してもいた。
そんな当時のことがありありと思いだされる。
この気配になったときの【第三の意思】の【力】と、他惑星の【意思】の【力】。
自分の存在が力に敏感にできているがゆえに嫌でもわかる。
それでなくても、三の意思たる彼女の力の底はヴリトラでもわからない。
「ま、とりあえず、後始末が面倒なんだけどね~……」
いっそのことこのまま、霊獣界における存在全ての記憶捜査をしたほうが手っとり早いかも。
多少、あるいみ恐ろしいことを思いつつぽそりとつぶやき、
「さて。とりあえず、後始末といきますか!」
すでに突如として発生した【念】の具現化でもある【堕ちた存在】達は存在していない。
むしろ体を乗っ取られていた存在達がその場にてそのまま倒れ伏している。
「シアン!とりあえず、倒れている存在達の介抱を。
まだ意識があるものが多少いるみたいですからね。
それと、他のものは朽ちてしまった場所の浄化!」
『はっ!!』
凛としたヴリトラの言葉はその場にいる竜族達に威圧感を伝え、反射的に肯定の言葉を紡ぐ。
「武将達はそれぞれの部隊を率い、霊獣界のそれぞれの場所を確認すること。
それぞれが自らの役目を果たすことを期待する!」
いつもどこか役目放棄をしているように見えるヴリトラではあるが、
いざとなればその役割をきちんと果たす。
もっとも、そのイザとといとき、というのが多々とあってもまた世界はこまるのだが。
竜王シアンとてヴリトラの言葉に意義を唱えるつもりはさらさらない。
ゆえに、竜王、竜族の長として部下達にと指示を飛ばす。
しばし、獣霊界においてそんな彼らの様子がみうけられてゆく――
三者三様。
正確にいうならば、他所様々、といったところか。
様々な場所においてそれぞれがそれぞれに思うことはあるものの、感じることは皆同じ。
すなわち【世界】を構成している、といっても過言でない【聖なる力】。
その力が今現在、いくら鈍いものでもわかるほどに満ち溢れている。
そしてその力はそれぞれの存在達により強き力をもたらす感覚をももたらしている。
何がおこったのか、また何が起こっているのかを知らないものはただただ戸惑うばかり。
と。
パアアッ……
突如として全てが淡き金色の光の中にと包まれてゆく……
「ここは……」
先ほどまでいた場所とはまた異なる。
否、異なってはいない。
ただこの場にて別の力が具現化しただけのこと。
ゆらゆらと輝く銀色の空間に、新たに追加された淡く金色に光る特殊ともいえる空間。
どこか温かく、それでいてどこか冷たい。
ディアこと【第三の意思】が深層意識の中においてよく使う力の空間によく似ている。
そんな中、上下も左右もないであろう空間の中、ぽつり、と座っている小さな姿が一つ。
「みゅ~…ちゃん?…いえ、卵の欠片、といったほうがいいのかしら…?」
小さな子猫の姿は、今現在、
淡き光につつまれ、先ほどまでの子猫の姿とは雰囲気からして異なっている。
『―― …ここに来た理由がわかりました……。
しかしおそらく今はそれはいわないほうがいいのでしょうね……』
どこからともなく響いてくる優しい声。
しかし、ディアはこの【声】を知っている。
いつ知ったのか、というのはわからない。
わかるのは、ただ知っている、という事実のみ。
「?それはそうと、美希様は……」
『…次代の後継者は今は卵の空間の中にはいられました』
卵の空間。
それはいわゆる引き継ぎの空間、ともわいれている特殊なる空間。
それはそもそも、宇宙を守る意思と、宇宙を構成している意思が異なる場合に産まれた仕組みであり、
卵、とはまさに宇宙を構成している意思が自らの心を形にしている様を現している言葉に他ならない。
「そう…なら、ついに始まるのね。新しい歴史が……」
彼女が選ぶのは、この【世界】の存続か、はたまた【消滅】か。
それは彼女の意思が決めること。
今はただ、ディアとしてみればその決意をここにて静かに見守るより術はない。
「あ~。他の姉様達にも伝えて、
あとは各界の責任者にも動揺しないようにそれとなく伝えとかないと」
この金色の光はこの地だけではない。
この空間だけでなく、この太陽系そのもの、否、銀河系そのもの。
正確にいうならば、【マァト】が管理している宇宙の全て。
それら全てに降り注いでいる。
この【地】が時が止まらずに普通にすごせているのは他ならない、【三の意思】の力が強いがゆえ。
他の場所においては完全に【時】が止まり、世界は今現在、制止している状態と成り果てている。
しかし、それはディアにとってはどうでもいいことであり、またそこまで気にかけるつもりはない。
もっとも、ディアが意思の疎通を図ろうとしても、他の惑星。
すなわち、太陽を含んだ全ての惑星の意思の時間そのものも制止しているがゆえに、
ディアの言葉に対し答えることはできないのだが。
この光の中、普通に行動できているのは、ディアの意識下にいる存在に限られている。
すなわち…【第三惑星】内に存在している数多の生命体のみ……
突如として光に包まれた。
しかしこの光は違和感を感じるものではない。
むしろとても心地よく、そしてまたよく知っているはずのこの気配。
「……ようやく、あえましたね。リーナ・イノ・アルデュイナ」
ふとどこかで聞いたことのある声が聴こえ、思わず振り向く。
振り向いたその先にみえるのは、その金色の長い髪を身長よりも伸ばした優しい雰囲気をもつ女性。
「……アー…ジェン…ト…様?」
先刻、脳裏に浮かんだ、というよりは思いだした、といったほうがいいであろう。
世界を守りし聖なる存在。
世界、とは銀河そのものであり、そしてこの目の前の女性は銀河をいくつか統べる存在であり、
そしてまたそれらの銀河構成を一人の意思において支えている存在。
リーナ。
それは美希の本来の名。
今の自分を構成すべく魂の真なる名。
真名と決められたモノには必ず何かしらの制約と力がかかる。
この真名は美希にとっては存在そのものとしての名を示す。
この名であったとき、この【銀河】の意思によって新たな次代として見出された。
それをうけるかどうかは当人の意思次第。
しかし、当時、美希であったリーナはその申し出を受け入れた。
何よりも彼女の住んでいた惑星は【マァト】の力の涸渇により敏感な位置にと存在した。
日々、朽ちてゆく惑星そのものの力。
ゆっくりと力を失ってゆく太陽。
そして次なる次代の器となりうる魂が存在するまで、世界がもつか、といえば…答えはおそらく否。
次代となりうる魂は簡単に生まれるものではない。
ましてや同じ世界内で産まれる確率などなかなか難しい。
今の【マァト】であるリージェントの意思の力でどうにか世界が保てても、
次代が誕生するまでにいくつもの世界こと銀河が消滅するのは目にみえていた。
だからこそ、星が消滅の危機におちいり、その【意思の声】を聞き…その申し出を受け入れた。
そのときから、リーナは自らの名を失い、世界を視てまわるために幾多の世界に降り立った。
全てを受け入れる覚悟。
たとえそれがどんな存在であっても受け入れられる心がマァトには必要不可欠。
その心をはぐくむために。
そして…今。
【ヴォイド】を受け入れたことにより…その条件は満たされた。
相手がいくら抵抗しようとしても、その本質にある心にはかわりがない。
そもそも、仲間を求めていること自体が自分を認めてほしい、という心の裏返し。
だからこそ、美希はヴォイドに対して問いかけた。
それはどうしていいかわからない幼子のようであり、だからこそ何もいわずに抱きしめた。
慈愛の心は全てをつつむこむ。
そしてその心こそが世界を存続させ安定させうる力となる。
「どうやら間にあったようですね。…あなたの覚悟はきまりましたか?リーナ?」
自分もかつて歩んだ道。
マァトの役目を次代に引きついだ存在はそのまま別の場所に降り立つか、
それともそのまま転生を果たすか。
そのどちらかを選ぶこととなる。
もっとも、しばらくは新米マァトとなった存在の補佐をする形となりうるのですぐに、というわけにはいかないが。
「はい。リージェント様。…お待たせしました。私は…私は皆を、世界を守りたい。
その思いは今も…昔から今まで変わっていません」
誰かがなさなければならないこと。
永き時を引き受ければ過ごすこととなる。
それもわかっている。
引き継ぎのときに世界そのものを一瞬再生させることも可能。
しかし、それはしたくない。
すわわち、再生させるということは今まで生きていた全ての存在を一時とはいえ消し去ることに他ならない。
誕生があれば死もある。
それはこの世界における常識。
この【超銀河空間】もいずれは消滅の時を迎えるであろう。
そのとき、銀河における数多の命を存続させるか、それとも他の場所に受け入れてもらうか。
それを決めるのはその当時の【マァト】の意思。
そして…それは、そのまま自分に当てはまる。
今代のマァトであるリージェントが短い期間でその力を使いはたしてしまったのも、
超銀河空間の中心となる場の力が衰えてきているからに他ならない。
だからこそ、強き意思の心が必要となってくる。
強き意思の心は時と場合によってあらたな核をも生み出せる。
親が子を産み落とすがごとく。
「では……」
「はい。私、リーナ=イノ=アルデュイナは二百五十八代マァトになることをここに誓います」
右も左も上下も左右もない淡く金色に光る特殊なる空間。
この場にいるのは、金色の髪をもつ優しい表情をしている見た目二十代程度の女性。
そしてまた、十代後半であろう少女である美希。
今、ここに制約の儀が…執り行われてゆく――
気がついたときには何もない空間に漂っていた。
否、正確にいうならばまばゆいばかりの空間に、といったほうがいいであろう。
そして…理解した。
自分の意思により、ここがどのようになってゆくか、ということを。
かつてのことなどはわからない。
ただわかるのは、自分の存在意義。
このまま全てを吸い尽くす空間となるか、はたまた命を数多と誕生させうるか。
それは自分の意思一つにてゆだねられている決定事項。
かつてこの場にあったであろう数多の生命体の意思はこの場にはいない。
この場にあるのは、ただ虚無なる空間であり、また再生の空間のみ。
このまま無を選べばこの空間は周囲の数多なる命を吸い込んで、
やがて無の空間を広げてゆくこととなるであろう。
自らよりも強き意思が自らを取り込まない限り、それはあるいみ永遠に続く枷となりうる。
だけども、自分の心はそれは嫌だ、と訴えている。
数多の命があってこそ、自らは輝けるものであり、そしてまた力をつけられる。
そしてそれは…母なる意思の願いにそったものとなる、ということが漠然と理解できる。
自分達の存在。
全ては母なる意思のたゆたう夢のごとく。
―― きゅぅぅぅっ……
だからこそ、願う。
自らの力と意思をゆだねられる存在を。
自らとともにあゆめる存在を。
…世界をその慈愛の心にて包み込める聖なる心の持ち主を。
そして…その願いは母なる意思にとどき、
この地に【マァトの卵】たる魂を誕生させるきっかけとなる。
自らだけの力ではどうしても力が及ばず小さな空間しか維持できない。
しかし、一つの力だけでなく二つの力が交われば、そしてその力が増幅し合う属性であれば、
世界はより発展してゆく。
この銀河の始まりであり、そしてまた、数多な銀河系が産まれるきっかけとなった原初たる光景。
空間の卵でもある意思はやがてその意思をそれぞれ自らの内部に分身を生み出してゆく。
それは無意識の欠片ともいえるべき存在達。
そして同じく、マァトとなりえた存在もまた、自らの無意識を世界全てにひろげてゆく。
少しのほころびも逃さぬよう。
全てが幸せであるように。
翻弄されるほどの光の濁流。
流れ込んでくる数多の記憶とその心のありかた。
少しでも油断すれば自らの意思もまたその奔流に呑みこまれそうなほどの巨大な光の塊。
小さな鼓動に心をそわし、全てに意識をむけること。
そう。
マァトとなるべく次代の試練をうけることにきめたときに現マァトより言われた言葉。
見つけるのは元となっている卵の本体。
自らはリーナであると同時に美希でもあり、
そしてまた今まで降り立った世界において請け負った名、全てが自分であり
全ての人格もまた自分自身。
これまで様々な世界に降り立った。
その都度、自らの性格は根柢はかわらないままも周囲の状況によって多少変化はあったとおもう。
命あるもの、知識あるものの醜悪もこれまで数多と見知っている。
自分のことしかかんがえない知能あるものもいるのも判っている。
それでも…守りたい。
大切だ、とおもえる存在達がいる世界だからこそ。
名もなき命が日々を必死に生き抜いているのをしっているからこそ。
「―― ……マリティマ」
この場における、【世界】こと【超銀河】を構成しうるに当たる意思たる名。
真名をみつけそれを呼ぶことにより、その意思の卵を見つけることが可能となる。
そしてまた、意思を全てに同調させることにより、その真名を読み取らなければ継承の儀は成功しない。
この名はとある世界…否、美希がかつていた世界、そしてまたディアが意思を務めている世界。
それらの世界において、かつてはこの呼び名はとある意味をもっていた。
ドイツ語において、【海の上】…まさに全てを現している名、ともいってもいいであろう。
美希のつぶやきと同時、美希の手の平に小さな卵が舞い落ちてくる。
その卵はゆっくりと光につつまれ、やがて新たな産声をあげる。
その産声はまた新たな光の奔流となり、世界全てを包み込んでゆく――……
ここまできたら、ラストのオチはみなさんおそらく予測してるかと。
おそらくみなさんのご想像通りです。
ここまで読んでくださっている方々に感謝です!
気がむきましたら最後までおつきあいくださいv
ではまたv
ps:最近なんか打ち込み気力というかパソつける気力がなくなっている薫です・・