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光と闇の楔  作者:
67/74

光と闇の楔 ~しのびよる『超空洞(ヴォイド)』~

なんか、今回もまた、ヴォイドのたくらみ?をいれるにあたり、

ほとんど現代宇宙論の論説みたいになってしまった罠…(汗




『……ふぅ』

「…いかがなさいました?」

おもわずもれでたその思考がどうやら完全に【声】にでていたらしい。

『何でもないわ。それより、【後継者】はまだみつからないの?』

そろそろ周期が一周する。

誕生すると同時に発生した歪み、ともいえる空洞。

その中に吸い込まれていった、次代の魂。

「はい。手をつくしてはいますが…おそらくは、引き継ぎも何もないままに、

  その存在意義の定義にのっとり、内部を視察しているかとおもわれます」

この【地】における、【意思】の定義。

それは、次なる【営み】を紡ぐべきかどうか、

それぞれの【意思】が判断するためにと誕生当初に決められた【理】。

この誕生当初に決められた【理】は絶対的なものであり、【母】に誓いを立てることと等しい。

『最近、どうもヴォイドのほうも行動が活発化しているみたいだからね。…はやくしないと……』

何もしらない状態で彼らに捕えられ、そして間違った道を選んでしまえばこの場の未来はない。

おそらく、永久にこの【身】を深遠なる母の内部で眠りにつかせることになるであろう。

まだ反発する力が少しでも意思として残っていれば、

それは新たな命の卵の誕生へのきっかけにもなりはするが。

『闇は光に、光は闇に…そして、有と無は表裏一体……

  だけども、有は有であり、無は無であるがゆえに有にはなりえず、

  また有も有であるがゆえに無はなりえない……』

同じようでいて根本的に異なる。

しかし、互いが互いにその心を理解しているのもまた事実。

「わかっております。

   おそらくこの地のヴォイドも自らの半身の欠片の波動を探していることでしょう。

   半身の元である貴方様が先にかの姫君をみつけなければ、

   おそらくこの地の全ては虚無、と化すことも」

そもそも【ヴォイド】…とは、全ての意思に共通している、意思の心のうちにある相対する心の結晶。

なにごとも、異なる方面から感じる心をもってこと、正しき道を進むことができる。

これは、この世界…母なる胎内においての絶対的な【理】――

数多な光が渦巻くとある空間。

摩訶不思議としかいいようのない空間内部にて、

【姿のみえない】とある存在同士の会話が繰り広げられてゆく――





             光と闇の楔 ~しのびよる『超空洞ヴォイド』~





くっ…!

いきなり、いきなりだった。

それこそ唐突。

まさに、その言葉がふさわしい、といえるであろう。

『……ダメです。主が取り込まれました……』

がくっ。

その報告に意思が砕けそうになる。

そもそも、自分達は、主がいなければいずれは死滅してゆくしかないであろう。

自分達には自ら光を発し燃ゆる力はない。

内部のいまだに冷めやまないたぎる力を利用したとしても、主の力には到底及ばない。

さらにいえば、主の意思を取り込んだそれは無意味に膨張を繰り返し、

それらは主の引力内にいた全ての【意思】に影響を及ぼす。

そして全てを取り込んだ後、一気に全てを飲み込むかのごとくに収縮しやがて重力崩壊を引き起こす。


本来、主軸となる主系列星となる恒星が誕生する際、

様々な事情によってその場に核となる【意思】がまず誕生する。

やがてその意思の周囲には圧縮された密度の高い空間が出来上がり、

それらによって意思の重力が強くなり、周囲に満ちている様々な物質を引き寄せるようになる。

それらを繰り返し、重力を意思の力にて操りながら、加速的に密度を高く形成してゆく。

重力によって発せられているエネルギーが熱にと返還され、それにより温度が上昇し、

熱放射が始まり、そこにおいてようやく【器】となるべく原始たる主系列星が誕生する。

そしてそれは徐々にではあるが意思の判断によって収縮しつつ、

重力によって発生している力を熱に変えて中心の温度を上昇させてゆく。

やがて中心の温度がある一定の温度を超えると、

水素がヘリウムへと換される核融合反応が起こり始め、それによって発生する大きな力により、

器の収縮は押しとどめられ、ここにおいてようやく主系列星としての器を形成することとなる。

主系列星とは、その重力により様々な意思をもつ惑星を従えている【星】のことを指し示す。

彼らは基本的に、その場において【主】などと呼ばれており、

核融合反応が激しくなると膨張して温度を下げて反応を弱め、

逆に反応が弱くなると全体を収縮させて反応をつよめてゆく。

それらの判断はすべて、【主系列星】ともいえる【恒星】たるものの【意思】の判断によるもの。

しかし、【意思】にも限界がある。

自身を保つべく物質が涸渇したとき。

そのときこそ終焉のとき。

やがて物質が涸渇し、重力が崩壊し、[

膨大な量の力が解放されると同時に恒星全体が吹き飛ぶこととなり、

それらの現象のことをある存在達は【超新星爆発】とも呼んでいた。

【恒星の意思】は一生のうち約90%の時間を【主系列星】として過ごし、

ゆえにその間、自らの重力圏内にいる【意思】達を束ねる役目をも兼任している。

しかし全ては【意思】により管理されている仕組み。

その意思の衰退。

すなわち、管理するものがいなくなった後の【恒星】においては衰退の一途をたどるより他にない。


質量が大きい恒星では密度が比較的小さいために

中心核が縮退することなく核融合反応が進んで次々と重い元素が作られ、

最終的に鉄が生成されたところで核融合反応はぴたり、と停止する。

何よりも鉄原子は安定している原子であるためにそれ以降は核融合反応が進まない。

それゆえに重力収縮しながら温度が上がっていく。

さらにその中心温度が約100億度に達すると鉄の光分解という吸熱反応が起き、

中心核の圧力が急激に下がって重力崩壊を起こす。

重力の崩壊。

すなわちそれは完全なる【恒星の意思の死】を意味している。

その死を新たな命に繋げてゆくか、どうするかは、意思が死する前に決定する事柄。

しかし、何事にも例外、というものは存在する。

そう、【意思】達の内部に位置している空洞ともいえる特殊な空間。

器たる惑星はそれらの空洞をあるいみ取り囲むようにして存在しているに過ぎない。

だからこそ、内部からの干渉を強くうけてしまう。

それでも、【意思力】がつよければそれらの干渉もはねのけられはするのだが……


『・・・・・・・・・・・・せめて、他の場所にこのことを・・・・』

『・・・・・・・・・・・ですね。我々はどうしますか?』

【ヴォイド】そのものが直接活動を開始しはじめた。

それはあるいみ脅威、といえば脅威。

しかし、裏をかえせば、今の【マァト】の意思の寿命が残りわずか、ということに他ならない。

『私たちの子供たちまで巻き込むわけにはいきません。

  私たちは私たし達の手で自らの後始末をつけましょう』

彼らにこのまま取り込まれてしまえば、

自分達の内部に芽生えた生きとしいける存在たちの未来はない。

何しろかの存在に取り込まれたものは魂すらそのまま虚無、すなわち無にと転換されてしまう。

…それだけは、何としても避けなければならない。

そう、何としても。

…たとえ、まだ普通に何もしらずに平和にいきている子供たちを自らが行動を起こすことにより、

全てを死滅させる結果となろうとも、…魂が消滅するよりははるかにまし。


…この日、ひとつの恒星群こと、一つの小さな太陽系がしずかにその痕跡を消してゆく…

それもそれぞれの惑星における内部の熱の暴走、という形で、全ての惑星が自ら自爆した。

最後の【惑星の意思】達の力において、自らのうちにそれぞれ誕生していた魂のそれらを、

別の場所、すなわち別の空間たる恒星群に未来を託し飛ばしたのは…

死を選んだかれらのみ知る事実………



「ふわぁぁ~~~……」

思わず大きな声がもれだしてしまう。

「そういえば。ふとおもったんですけど。やっぱり惑星も夢とかみるんですか?」

目の前の少女の実体が実はこの惑星の意思である、ということからもといかける。

そもそも、始めは半信半疑ではあったが、さすがに星の記憶をみせられて、

さらには同時にいくつも仮初めの器の具現化を発生させたのを目の当たりにすれば信じざるを得ない。

この地に迷い込んできた当時はなかなか信じられなかったが今では恐ろしいとはおもうものの、

人は慣れる生物なのだ、とあるいみ納得してしまっている美希。

事実、ほんの数カ月の間に美希はこの地にかなりなじんでおり、

この惑星上の仕組みといわず太陽系の仕組みも一応把握した。

「みますよ?古代文明を栄えさせたとある種族は、

  私が思いだす過去の出来事を、【星の揺りかご】と言い表していたようですけどね」

別名、星の瞬き。

物事は一瞬であり、振り返ることのできない貴重な時。

過去をやり直すにはそれなりの代価を必要とする。

最近、なぜか時折、覚えのない目がさめたらさみしくなるような夢を垣間見る。

そんなことがあるはずがない、というのに。

自らの意思がこの場に産まれたときに、すでに主系列星である恒星は形をすでに形成していた。

自分達はいわば、主系列星の子供たちのようなもの。

かの惑星が誕生したことにより、ひきよせられた物質の集合体。

おそらく、その夢の記憶は今の姿になる以前のもの、なのであろう。

普通、自分達のような【意思】は以前のことを魂そのものには記憶するものの、

それらが表の記憶、としてでてくることは絶対にない。

それはこの【空間】における暗黙の了解。

「揺りかご…ですか?」

「ええ。ある意味そのとおりではありますけどね。

  そもそも、星そのものが命の揺りかご、ですし」

惑星に誕生する生命体にとって、星は命の揺りかごといっても過言でない。

もっとも、その基本的なことすら忘れてしまい暴走してしまった種族もかつては多々といた。

惑星云々、という定義はともかくとして、

今のこの惑星上においては各界そのものが【命の揺りかご】、という認識をもたせている。

下手にこの大地が一つの惑星…すなわち、球体のようなものであることをしれば、

いまだにまだ未完成な技術や能力、知能などを持ちえない生命体は、

まちがいなく再び過ちを犯す。

それゆえの措置。

「たしかに。そうですね。まあ依存しない生命体も多々といるのも事実ですけど。

  そういえば、ここにはそういった生命は存在していないんですか?」

宇宙空間にのみ生息している生命体も多々といるのは美希の知識としては常識中の常識。

「ここはまだそこまでの生命が発達するほどの力を持っていませんからね」

そういった生命体はある程度、その星系に力が満ち溢れたときに誕生する。

もしくは、主系列星にかなり余力がある場合に誕生するか、そのどちらか。

「ここはまだそういった類のものはいませんね。

  そもそも、私たちのような惑星、そして小惑星を維持するのが精いっぱいのようですし。

  初期のころには数多に他にも惑星は存在していたんですけどね。

  しかし、【力】と【安定】が定まらずにいくつもそのまま惑星になりきらずに、

  もしくは、そのまま成長しきらずに意思をもたない塊、になったものも多々といますし。

  まあ、一番の原因はかつてこの地を襲った大量の流星群、ですけどね。

  それによって数多の星が消滅したり、

  もしくは起動がずれてそのまま保護下でなくなり死をむかえたり。

  この地も例外ではなく、それでもまだここはましではあったとおもうしかないんですけど。

  当時、私たちの力もある理由で意思力が低下していまして、

  それらを食い止める力が涸渇していましたからね。

  その結果、この大地に二度にわたり隕石を迎え入れる結果になってしまいまして……」

自分達の感覚からしてみれば、たかが数十万年、という年月は一瞬ともいえるもの。

今こうしていることもまた、永い生の中における一瞬の夢。

力が及ばなかった、としかいいようがない。

それでも、一度目のときにはどうにか他の降り注ぐ隕石はふせぎきった。

とはいえ、一つは力およばずにそのまま地表に落下してしまったが。

一度目に大地に降り注いだは、直径十キロほどの隕石。

今はなき大陸、メキシコのユカタン半島と呼ばれていた沿岸付近にその痕跡を残していたそれは、

かつて文明を栄えさせていた人類いわく、【チクシュルーブ・クレーター】と呼んでいた。

そのさらに約三十万年後、今度は直径約四十キロに及ぶ隕石が再び落下してきた。

それらの痕跡はかつて海底に直径五百Kほどのくぼみを作り出していたものの、

一度表面全てを海にと還し、

再び大陸を生み出した今の世界にその痕跡はまったくもって残っていない。

強いていうならば、その【シバ・クレーター】があった位置に、【聖地】ができている。

聖地の広さもまたそのクレーターとほぼ同じ形式をとっている。

それはかつて自らが抑えきれなかった外からの被害を、

自分自身に戒めるためにその地に【意思】が設けたにすぎない。

「恐竜滅亡、ですか。そのあたりの歴史もどうやら同じようなんですね。

  どこから私のすんでいた地球とここは歴史というか歩みがかわったんでしょうか?

  太陽系の構成具合もほぼ同じ、歴史もほぼ同じ。にもかかわらず。

  この地は私のすんでいた地球と異なり、

  物語やヴァーチャルの世界等でしかみることのなかった、

  様々な神話級の生命があふれていますし」

どちらかといえば、あまりに直視するのもはばかれるような存在よりも、

そういったまだどこか救いがあるような類の部類が視えていたほうがまだよかったかもしれない。

しかし、どの世界においてもよい部分と悪い部分は存在する。

文明が発達するのがはたしてよいことなのか、悪いことなのか。

実際問題として美希の住んでいた世界とて全てがよかったわけではない。

移住した先で先住民とトラブルになり、侵略者のような行動をとった開拓星時代。

最近でこそきかれなくなってはいたが、根本的にそういった類の問題点は解決していない、

とそう習ってはいた。

「…さて、と。とりあえず、つきましたけど。寒くないですか?」

「それは平気です」

今、二人がきているのは、南極、とよばれし南に位置する氷の大地。

この地はどの大陸にも属しておらず、基本的に滅多と他種族のものは立ち入らない。

この地にいきるは、大自然とともにいきる種族のものか、もしくは動物たちのみ。

本来ならば北の地でもよかったのだが、

たまたまこの近くに用事があったからこちらにしたにすぎない。

それでも、その地をみてみたい、という美希の要望もあり、この地にともにやってきたディア。

「でも、何があるんですか?」

いきなり、すこし気になることができたので、美希に先にもどってほしい。

そういわれたのはつい先刻のこと。

そういわれても、なぜか美希もいかなければならないような気がし、こうしてともにやってきた。

「それが、わからないんです。大姉様達も異変を感じ取ってはいるようなんですけど……」

【外】…すなわち、自分達が存在しうる宇宙空間。

その空間が最近震えているとの報告。

本来、宇宙空間の物質安定値は、

暗黒物質ともよばれるダークマターを含めた物質が約三十パーセント。

そして暗黒エネルギーが約七十パーセントの割合となっている。

それはどの宇宙空間…すなわち、真空空間内部においてもいえること。

その安定値が狂えば、文字通り【宇宙空間】そのものが狂う。

下手をすれば、物質が物質として存在できなくなってしまう。

【宇宙】の形は、物質と反物質とにより構成されている、といっても過言でない。

本来ならば圧倒的大部分において物質がまさるのだが、

どうも最近その法則に変化の兆しがみえるらしい。

最近、反物質の影響力が日増しにたかまってきている、との報告をもうけている。

さらには、とある主系列星を含む銀河系においては、反物質が突如として膨れ上がり、

またたくまに銀河そのものを消滅してしまった、という報告もはいってきた。

どうやら本格的に、【超空洞ヴォイド】が活動を活発化してきているらしい。

そしてその波動はどうやらこの地にまで及び始めている、とのこと。

表からだけの結界では裏からの干渉にどうにもならない。

いくら表面部分を強化しても、その膜ともいえる空洞との境界線。

その【境界線】を強化しなければまちがいなく根柢から仕組みそのものが崩されてしまう。

境界線の膜を作り出しているもの、それはそれぞれの惑星に存在している自転軸の存在。

自転することにより、自らの表面に強力な特定の磁場をつくりだし、

特定の膜を表面上につくりだし、また逆に宇宙空間からにおける干渉を防ぐための膜をも作り出す。

この自転軸による磁場形勢がなくなってしまえば、おのずからそれぞれの惑星は【宇宙】に漂う、

もしくは降り注ぐ数多な物質の影響を直接うけ、まちがいなく進化することなく死滅してしまう。

いいつつも、自らの心臓、ともいえる自転軸となっている点にとたち、

外と内部の安定性を調べ始めるディア。

こういった些細な違いは直接触れてみなければわからないことが多々とある。

しかし、ディアにとって些細なことでも、

惑星上にいきる生命体にとっては重大な問題になりかねない。

「…これは…やはり、内からかなり干渉をうけている結果…

  …外、からの偵察が無理、と判断してこんどは内より偵察を仕掛けてきたみたいですね……」

どうやら、内部より子どはこちらに仕掛けてくるつもりらしい。

たしかに、外からの襲撃というか偵察隊は全て撃退したが、

よもや内部より仕掛けてくる、とはおもわなかった。

基本的に、自分達といった存在は真空の深淵なる空間に物質と反物質の安定性をもってして、

存在しているに他ならない。

それらの安定が崩れれば、いかに太陽の重力圏にいたとしても、

すぐさま安定を崩し惑星の存在自体も危ぶまれてしまう。

そもそも、太陽そのものが同じ場所に存在することすらできない現象もおこりえる。

ヴォイド、と呼ばれし存在は、宇宙にはびこる暗黒物質を自在に操ることも可能。

滅多にそのような行動をすることは多々とないのだが。

今まで確認されているうちでは、それぞれの銀河や一つの主系列星における意思は一つであり、

大概は、超銀河などといった一つの【塊】に一つの意思、そのように認識されている。

どうやら数多の命が誕生する過程で、

それぞれの場所の【空洞たる意思】にもまた個々の意思が芽生えるらしい。

「…うちから?」

「つまり、外の宇宙空間を形成している暗黒物質。

   それそのものに悪意をもったものが仕掛けてきているみたいですね。

   このままでは、この太陽系内部の重力場と安定値が狂うことになってしまいます」

何やらさらっととてつもないことをいっていないだろうか。

目の前のこの【惑星の意思】は。

安定値が狂う、すなわちそれは惑星を存続しうることが難しい、といっているにも等しい。

「って、何ですか!?そんな物騒な攻撃をしかけてきている輩はっ!?」

さらっといったディアの言葉に思わず叫ぶ美希は間違っていない。

絶対に。

もしもそんな攻撃をしかけられるものがいるとすれば、

それははっきりいって無敵、といっても過言でない。

どちらにしても、宇宙があり、惑星が存在し、

逆をいえば惑星は宇宙の海の中に浮かんでいる個々の物質にすぎない。

そして宇宙の海を構成しうる物質は暗黒物質であり、ゆえにその物質を操るものがいるとすれば、

それらは自らの意思において、どのようにも世界を創ることも、また滅ぼすこともできるであろう。

なぜそこまでぱっと脳裏に詳しく内容がうかぶのかは美希とてわからない。

しかし、脳裏にそれが真実だ、となぜか伝わってくる。

否、伝わってくる、というよりは知っていなければおかしい、そんな感覚が満ちている。

「これはしばらく、磁場をより強力にするしか対処法はなさそうね。

  …あ~、まあ、各界の代表にはその旨をつたえとかないと……

  ま、地上界は空に多少のオーロラが発生する程度でどうにかなるでしょ。きっと」

「いやあの!それってかなりの大ごとですから!何そんなにおちついてるんですかっ!?ねえ!?」

磁場が狂えば自然と大規模な自然現象が必然的に巻き起こる。

下手をすれば世界規模の異変が起こらない、ともいいきれない。

「ですけど。美希さん。私は自らともいえる大地をとるか、それとも命をとるか、といわれれば。

  まちがいなく、大地をとりますよ?もっとも時と場合、状況にもよりますが」

彼らの魂を保管してあらたに再生すれば彼らの魂そのものは救うことができる。

たしかに、今の状況のまま生きてゆくことは難しいかもしれないが、

それでも魂が消滅しないかぎり未来はある。

生きる力とその気力と意思がつよければ、逆にそれはそれぞれの器の進化のきっかけにもなる。

かつての生命体達はそのようにして自らの器を変化しつつ、そしてその命を未来に紡いでいっていた。

今の生命体にはそういった根性にもちかい気力がかけている。

それはこの仕組みを創りだしてしばらく世界を見守っていて始めに感じたこと。

どうやら完全に守られている、という安心感は

逆に個々の生命体の進化の気力を奪ってしまったらしい。

そのことにたいして多少の焦燥感はあるものの、しかし完全にそれらは失われたわけではない。

かつてのように劇的な変化は遂げていないものの、ゆっくりと、ゆっくりと、

今度は様々な周囲の現状を読み取り、

精神的にも、そして器的にも進化を遂げていっているのはわかっている。

この調子でいけば、いつかはかつてのような過ちをおこさず、

全ての命を大切にする、という概念のもと、いずれは星の海に出向ける日もくるであろう。

そうなれば、自らもかつてのように、

こっそりと生命体に紛れて周囲と同じように生きてゆくことも可能。

かつてはときおりそのようにして気を紛らわせていた。

もっとも、【意思】がまぎれて存在するにあたり、

それにより世界にかなりの影響を及ぼしたのもまた事実。

しかしその事実をしっているものは、はっきりいってディアと同じような存在達しか存在しない。

…時には、その行動がきっかけで世界に戦乱を巻きおこすきっかけとなったとしても、それはそれ。

惑星の意思にとってはそれらはすべて、幻のごとく一瞬の夢に過ぎない。

中には意思として存在しつづけることを憂いて自ら死を選ぶ意思もいるときく。

しかし、せっかくこうして【意思】として存在している以上、

やはりいろいろとやってみるのも一つの経験、だとディアからしてみれぱおもっている。

どうしてなのか、意識が浮上したころよりそう確信がもてている。

それはなぜなのかわからない。

おそらくはもしかしたら自分が今の自分になるまえに何かがあったのかもしれない。

しかし、それが何なのか当然ディアにはしる術はない。

「……まさか、真空原子がこの地上というか大気中に紛れ込むなんてことはありませんよね?」

とある惑星でそのような現象がおこった事件を美希は知っている。

その結果、その星にすまう【息が必要な生物】全て死に絶えた、ということも。

「まさか。そこまで今の私の力は衰えてませんよ?

  まあ、いざとなれば、胎内にいる全ての子供たちの力をかりることになるかもしれませんけどね?」

美希の問いかけに悪戯っぽくほほ笑み、何かをたくらんでいるかのような含んだいい方をするディア。

胎内の子供たち。

すなわち、それは第三惑星に生息している全ての生命体のことを指し示す。

遠回しな言い方ではあるが、その事実に気づき、

「……全生命エネルギーを利用しなければならない力って……」

たしかに、少量の力でも数が増えれば多大なる力にと変化する。

おそらくそれをいざ、というときに利用するつもりなのであろう。

その利用方法はどういった手段かは美希にはわからない。

されど、とてつもない威力のものだ、というのは理解ができる。


しばし、自らの自転における磁場形勢の構成組み換えをするディアと、

何やら考え込む美希の姿が、その場において見受けられてゆくのであった――



アテナ達の活躍の場がそろそろ…かな?活躍、ともいえない活躍のような気も。

さて、世界と太陽系すべてにおいてをまきこんだ動乱まであとすこし!

というわけで残りもあとすこし!・・のはずなのに、

・・・打ち込みしたらあと何Kあるのだろうか?かなりなぞ・・・

なんか最近、疲れてるのか朝もぎりぎりまでねているし、

さらには夜は風呂からでたらそのままぱたっと横になってたり・・・

・・・・・連休にあたり、忙しいから、という理由で公休日がひきのばしになってます

・・・まあ、いつものことですけどね。

まあ、それでも10日後にはお休み(一日だけ)でもあるからまだまし。と。

年末は数カ月休みなし、というのはざらですからね・・・

ともあれ、これからも気がむきましたらよろしくおねがいいたしますv

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