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光と闇の楔  作者:
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光と闇の楔 ~転校生と留学生~

・・・なんか、最近仕事おわって家にもどったら、打ち込みしてたら異様に眠く…

・・・そのうちに、眠気にまけて毎日更新…滞りそうです…すいません(汗

さて…世間様では連休にはいるが、毎年のごとくにお休みはなし・・・

このたびは10日連続勤務、です…ま、いつものこといつものこと……



「…え~と……」

提出というか送られてきた書類をみて思わず絶句。

絶句する以外、何と表現すればいいのであろうか。

それすら言葉がみつからない。

「…まあ、何だ。このたびはいろいろと試練、とおもってがんばってくれたまえ」

ギルド協会の会長より呼び出しをうけた。

それはいい、いいのだが。

渡された書類をみてその場に立ちすくんでしまうのは仕方がない。

絶対に。

送られてきた、というその書類渡されたとき、まず始めに感じた感想。

何?この冗談?

というのが本音。

それでなくても、今現在、すでに魔界の大侯爵に天界の女神。

さらには竜族の少女をうけいれて、今までにない状況になっている、というのに、である。

「とあり人物の入学依頼って…しかも、後見人が雷神様と暁の魔王様!?」

そう。

問題は、入学届とともに届けられた一つの書類。

聞いたことのない学校名が記されていることから、おそらくどこかの界に所属している人物か、

はたまた、それとも個人経営していた学校からの転校生なのか。

それはわからない。

しかし、その人物の後見人、として

きちんと正式に天界と魔界より書類がとどいたのだからたまったものではない。

さすがに邪険にできる内容ではないがゆえに、こうして学校の理事長を呼び出した。

そこには、この学校にて常識を学ばせてほしい旨が簡潔ではあるが記されている。

しかし、どうして自分達のギルド協会に?とおもうのは仕方がないであろう。

何しろ協会が経営している学校の支部はいたるところに存在している。

たしかに、地上界において本部のあるこのテミス王国の学校は、

地上のどこよりも様々な分野を学べる場として起動してはいる。

いるが、常識を学ぶのならば、別の界において学んでもいいはずである。

それがなぜに、ここ、地上界?

その意図がわからない。

天界の関係者なのか、はたまた魔界の関係者なのか。

妖精界の関係者…という可能性もなきにはあらず。

「…まさか、妖精界の補佐官ミルッヒ様…ということはないですよね?」

「…それはわからん……」

かの妖精界の補佐官はどのような姿をしているのか、いまだに様々な分野において意見がわかれている。

何でも育てた存在の影響をうけその姿を変える、とは伝えられている。

どうやって産まれるのか、それをしるのは妖精達のみ。

何でもその産まれを公表すれば、産まれを阻止しようとする愚か者がでるかもしれないから、

というのが基本的に隠されている理由らしい。

しかし、妖精界の補佐官は、妖精達を守るべく様々な知識を吸収することが義務付けられている。

ときく。

「しかし、妖精界の補佐官様ならば、精霊王か精霊神からの推薦があってもおかしくはない、がな」

推薦、もしくは後見人。

基本的に、妖精と精霊は仲がよく、互いに互いが必要不可欠ともいえる存在である。

ゆえに、天界と魔界が介入してくるよりは、精霊界のほうから介入があったほうがよりしっくりくる。

しかし、だからといってその可能性がない、とはいいきれない。


彼らは知るよしもない。

…よもや、その届け出にあった少女が他の銀河よりの来訪者であり、

そしてまた…この地を含む全ての銀河を抱擁している、主たる銀河。

その次代となるべく器【マァト】であることを……


しばし、その届けられた書類を前に、頭をかかえるギルド協会の役員達の姿が見受けられてゆく……




           光と闇の楔 ~転校生と留学生~




「なんかもう、何でもあり、ですよね。ここ……」

ここが特殊すぎるのだ、と、いまだに他を知らないがゆえに、

この世界が全てこのようなものだ、と勘違いしてしまっている美希。

結局のところ、とりあえず同居人、という形でディアの部屋にと居候することに決まったのだが。

もっとも、なら部屋が必要ですね。

といって、さらっとディアがこれまた美希の部屋を一瞬のうちに具現化させた。

元々、住んでいた家の構造などをきき、とりあえず紙に簡単に書いてもらい、

本来ならば、水晶にでも念じてその映像をだしてもらおうか、ともおもったが、

何しろ相手が相手。

自分の意思で力のコントロールができていないと確信が持てる以上、

力がヘタに暴走しかねない方法はとらないほうがいい。

それゆえに、紙に書いてもらう、という方法をとったディア。

その結果、美希の説明と、紙にかいてもらった形を元にして、

元いた場所とほぼたがわない場所を創りだしたディアもさすが、といえばさすがであるが。

この世界にはいまだに普及、というか発明すらされていない冷蔵庫や暖房器具。

美希の住んでいた世界においては、

世界に満ちている魔力と、そして太陽エネルギーを利用した力において、

それらがきちんとほぼ全世界に普及していた。

…もっとも、その自然に満ちていた力の使いすぎで世界の安定が狂いかけていたのも事実、なのだが。

本来は狭いはずの寮の一室。

しかし、この部屋においては、ディアが空間をいじっていることからも、ちょっとした屋敷程度の広さはある。

もっとも、普通に入口からはいったときにみえるのは、他の部屋と変わらないようにしているが。

それらの部屋に入るためには、部屋に設置してある、扉をくぐる必要性がある。

ちなみに、その扉も本来ないものであるからして、壁に絵画のようなものを飾っているようにみせかけ、

その絵画が扉替わり、となっていたりする。

この場にディアこと、『補佐官』が残る、といったのは仕方ないにしろ、

それでも、やはり彼らとしては【王】と直接連絡がとれるのは彼女しかいないがゆえに、

どうにか戻ってきてほしい、と頼みこんだ結果、

何かがあれば、こちらに使いをよこすように、ということで話しはまとまった。

ちなみに、最後の最後まで、サタンもゼウスも、それぞれがそれぞれに。

自分達の【界】の補佐官である、と信じ切っていたことは、互いが互いともに気づくことはなかった。

まあ、滅多なことで手を患わすようならば、それなりの対処を考えなければならない。

と遠回しにきちんと説得しているがゆえに、滅多とこちら側に話しをもってくることはまずないであろう。

「いやいや。次代様、これ、お姉様だからだってば。普通はここまで文明科学も発達してないよ~」

もっとも、ディアがこの場にて創り上げたものを科学技術、というのかどうかは不明だが。

全て自然の力を利用しているに他ならない。

何しろこの世界に満ちている自然そのものは、ディアそのもの、といっても過言でない。

ゆえにそれらの力の一部をとある特定のモノに利用するなどディアにとってはたやすいこと。

もっとも、手っ取り早く、無制限ともいえる力を宿した特殊な【石】を創りだし、

形を模したそれぞれの道具にそれらを組み込んでいる。

ゆえに、ディアがこの場にて美希のためにと具現化された品々にはそれらの【石】が埋め込まれている。

当然、力の涸渇などあるはずもなく、いわばあるいみ安全極まりない動力源、といえるであろう。

思わずつぶやく美希に対し、横のほうですかさず突っ込みをいれているヴリトラ。

いまだに霊獣界のほうは落ち着いていないものの、そちらのほうは竜王シアンに任せていれば何とかなる。

そもそも、あまり神である自分がおいそれと出向いていれば、それこそ力の強さゆえに、

その【場の力】のバランスが崩れて特殊な歪みが発生しかねない。

伊達に、かつての生き物達の心を元にして創られている以上、

かつて発達していた文明などといった代物も、伝道師達からも聞かされているがゆえに、

一応、ヴリトラは理解はしている。

その気になれば自分自身を構成している様々な【念】に意思をむければ、

それぞれの個々の【念の記憶】すら垣間見ることが可能。

もっとも、面倒なのでそれはやったことはないにしろ。

何しろ神竜ヴリトラを形成している念の数は一つや二つ、ではない。

当時、生きていた全ての生命体における存在達の念。

それらの集合体、といっても過言ではない。

それは、人類だけではなく、自然界の全てにおける生き物において彼女の核となりえている。

それら全ての記憶を昇華吸収し、今のヴリトラ、という【個の意思】が出来上がっている。

「さて。と。とりあえず、美希様の今後、ですけど。

  とりあえず、美希様も合意されたことですし、ギルド協会学校、通称学園に通うことになりますが。

  この学園の定義をひとまず説明いたしますね。

  まず、この世界において生きてゆくために、またいろいろ事業などを起こすにあたり、

  資格、というものが必要不可欠、となります。

  …このあたりは美希様がおられた世界でもあったのでは?」

実際、霊体専門とした特殊な仕事もありはした。

それらも資格が必要となり、様々な修業を成し終えた、そして能力に優れた存在達がそれに携わっていた。

各専門技術職においてもまた然り。

ゆえに、資格云々、というのは美希とて何となくわかる。

資格をもっていなければ、とある仕事にはつけない、というのはいわばもはや暗黙の了解ともなっていた。

もっとも、資格をもっていないものは、その職につきながら、その資格を所得するために、

こつこつと勉強、もしくは修業をこなしていくしかなかったのだが。

「そうですね。資格がなかったらたしかに、決まった職とかにつくことはできませんでしたね。

  何しろ無知というものはものすごく危険、ですから」

きちんとした知識をもたないものがその職についた場合、とんでもない間違いを犯すこともありえる。

それゆえに、どうしても、資格、というものは必要最低限の条件、とされていた。

職につきながら修業を行う、という場合でも、

必ず教える立場の…いわゆる、師、と呼べるものがいてこそ成り立つ仕組み。

それはどの世界でもいえること。

無知とは究極の罪だといいきれる。

知識をきちんと知らないばかりに、何かを傷つけ、また何かを壊す。

そしてまた、無知であるからこそ、知能を得た存在達は、

自分達の力ならばそれらを管理できる、と思い込んで愚行に走る。

「そう。それで、この世界では、それらの資格を全て、ギルド協会で取り仕切ってます。

   ギルド協会とは様々な生活に必要な技術や能力、それらを取り仕切る総合部署のようなもの。

   たとえば建設ギルドなどというのもあれば、商人ギルド、というものもありますし。

   職人ギルドや医学ギルド、総合医療ギルド、といった特殊なものもあります。

   冒険などに関してならば、探究ギルド、というものや、

   傭兵ギルド、文字通りそのまま、冒険ギルド。などですね」

そこまで説明し、相手が疑問をおもっていないのを確認し、

「建設や商人、というのは今さらおそらく美希様には説明する必要がないかとおもわれます。

  医学は文字通り、治療などに関する特殊科目を学ぶギルド、ですね。

  そして総合医療ギルドにはいるには、医学ギルドが発行する特殊な資格が必要となります。

  探求ギルド、とは様々なことを追求、研究する存在達の集いのようなものであり、

  冒険ギルドは、その言葉どおり、様々な場に自由に出入りし、また何かに縛られないギルドでもあります。

  もっとも、資格が必要ないのは、冒険ギルドと傭兵ギルド、ですね。

  この二つだけは、簡単にギルド所属が認められます。もっとも、それからの後は自己責任ですが」

淡々と説明されてゆくその内容は、大まか、美希がファンタジー小説や、

数多とあるゲームなどでよくつかわれていたものと大差ない。

さすがに母と娘二人きりで、さらには母が病弱で、常にアルバイトをしていた美希にとっては、

そういった類のゲームなどはあまりする機会はなかったが。

それでも、そんな頑張る二人にプレゼント、とばかりにそういった品を送ってくれる人々はいた。

当人達に断わりをいれて、家計の足しにしていたりしたのもまた事実、なのだが……

「で、それら全ては、協会、という一つの組織から成り立っていまして。それがギルド、ですね。

  そして、それらの根柢ともいえる最低限の知識やそれ以上の知識。

  もしくは資格を有するための知識と実力を学ぶ場。

  それがギルド協会が設立しているギルド協会学校。通称、学園、となります」

長々と説明されて大体大まかなことろは納得する。

どうやら、全ての資格などは一つの組織がまとめて司っているらしい。

このあたりは、あるいみ評価できるといえば評価できる。

様々な機関が別々であれば、内容を引き継いだりするときに必ず申請漏れが起こってしまう。

実際、きちんと引き継ぎが行われずに幾多と問題になっていた世界であったからこそ美希はよくわかる。

そもそも、あの世界は様々な組織があったわりに、どうもそのあたりの情報収集力がかけていたともおもう。

その分、個人的にそういったかけた部分を埋めるための組織がまた立ちあがったりもしていたが。

「大体のところはわかりました」

「そうですか。さすがです。

  それでは、今度は日本語とこちらで使われている地上語との変異性、ですね。

  とりあえず、一覧にしてみましたので、これを参考にしてみてください」

いつのまに用意したのか、そこには分厚い一冊の本がディアの手に握られている。

もういきなり物が突発的に具現化したりすることにはもう慣れた。

慣れた、とはいえ慣れとは恐ろしいわよね…そんなことをも思う美希だが。

美希とてその気になれば自力で何かを具現化どころか創造することすらできるのだが…

美希はそのことをまだ知らない。

気づいていない。

当人が理解し自覚するまで、ディアとて説明する気はない。

下手に説明し、自らの力の扱い方も理解できていないときに誰かにその力を利用されたりでもしたら、

それこそ世界に未来はない。

否、世界、というかこの超銀河全てにおいて未来はない、といえるであろう。

「ひとまず、日本語、というのもありますし。

  五十音表にて文字の違いと読み方を示してあります。

  あとこちらは美希様のおられた世界にあったかはわかりませんが、

  日本における国語辞典版の相違版、です。こちらにも言語の違いなどを載せてあります。

  ちなみに、イラスト付です」

こちらはこちらでさほど厚さがないようにも思えるようなきがするが、だが、しかし。

「…あ、あの?この表面の五十音の『あかさたな、はまやらわん』は一体……」

なぜか見開きのページにその文字が書かれており、その他のページはどうやっても開かない。

「ああ。まず始めにそちらの中から、知りたい行の文字を選んでなぞってください。

  それによって、その行にかかわるイラストと文字と説明が出るようになっています」

「…あ~、電子辞書みたいなものですか……」

どうせならば、そのまま電子辞書のような形、つまり薄い板のような形にしてほしかった。

小さな板ならば持ち歩いてもかさばらないが、本だとそうはいかない。

「ちなみに、板のような形にできはしますけど。

  この世界にはそのようなものは普及していませんからね。

  天界や魔界などで使用しているのもほとんど水晶などを通じた【「Une vision幻影】。

  それがまかり通っていますし。本の形状であれば不思議にはおもわれど、

  違和感をもつものはまずいません」

もっとも、本そのものが貴重でもあるのだがそれはそれ。

普通の人が持てないほどの代物ではない。

「とりあえず、それで知りたいことを調べつつ、何かわからなかったらいろいろと聞いてください」


しばし、ディアによる、美希の為の勉強会もどきが繰り広げられてゆく……



「ず…ずるいっ!メフィストちゃんっ!」

「んっふっふっ。何とでもいって!これぞ悪魔の特権よっ!」

「…いや、それ特権、というか職権乱用?」

思わずそんな彼女達の台詞に突っ込みをいれてしまう。

いや、いれるしかない。

どうしてこうして、目の前にいるのはどうみても十代と少しという姿に変えたメフィストフェレス。

そしてまた、結局のところ、教師を事態して学生になる!

と駄々をこねまくったアテナをどうにか職務の途中で投げだすとは何ごとだ!

としばらくお説教をかねたお仕置きを施してどうにかあきらめさせたリュカ。

ちなみに、今のリュカの姿もまた、いつもの青年の姿ではなく、

なぜか子供の姿に変化していたりする。

基本、彼の本来の姿は、人型のそれではない。

ゆえにその意思により自在にその姿を変化させることは可能。

「それより、リュカ殿。はやくいきましょ?」

「…いや、ユリアちゃん。何で君まで……」

脱力せざるを得ない、とはまさにこのこと。

なぜか、結局のところ、彼女まで学校に通うことにする!

といってきたのか、どこまでこの子達は僕の仕事を増やすつもり!?

そんなことを思いつつ、ぽそっとおもわず本音をつぶやく。

ちなみに、ユリア、と呼んだその少女は…どうみても、八歳かそこら。

ヴリトラの人間形態といい勝負というかおもいっきり同い年にしか垣間見えない。

本来持ちえていた七色の髪は今はおとなしめの、それでも薄い桃色を奏でており、

その瞳はどこまでも透き通るほどの青色を有している。

「あら?だってここに主様がおられる以上、当然、でしょう?

  大丈夫ですっ!私が精霊神だなんて絶対だれもわかりませんから。

  あの神竜ヴリトラ様だって気づかれていないんですもの」

「・・・・・・・・・・・いや、そういう問題じゃないから……」

どちらにしても、【意思】の手を煩わせるわけにはいかないので実質的に自分が覚悟するしかない。

それはわかっている。

いるのだが…それでなくても、暴走しがちな、アテナとメフィスト。

その二人を止めるのにどうしようか、とおもっていたら、なぜか精霊神ユリアナまでこの地にやってきた。

いわく、【意思】様だけの手をわずらわすわけにはいかない、とか何とかという理由で。

しかし、リュカは知っている。

絶対に、興味本位、そしてまた好奇心から行動を起こしている、というその事実を。

そもそも、この地にそれでなくても、悪魔や女神、さらには神竜に精霊神。

あげくの果てには、惑星の意思たるディアに次代の器であるマァト。

…これだけとんでもない存在がそろっている、というのにも関わらず。

悩みの種を増やしてほしくない、というのがリュカの本音。

「文書は偽造…でなかった、きちんと用意してあります!

  精霊界からの留学、という形をとっていますので大丈夫ですっ!」

しかも、肩書は派遣見習いのための留学。

派遣、とは様々な界より他の界に使者を使わした存在のことをまとめてそう称する。

使者、もしくは派遣員、として一般的に知られているそれらの存在達は、

様々な界のことをよりよく知るために、それぞれのギルド協会学校に所属することも多々とある。

その制度を利用してのもぐりこみ…というか留学生という立場をとって学校に侵入する気まんまんの精霊神。

ゆえにリュカとしては頭をかかえるより他はない。

「……ウィンの気の毒さがいまさらながらによくわかるよ……」

おそらく、彼女が突如として地上界に出向いてしまった今、

かの精霊界の秩序を問答無用でまかされることになっているであろう、水の精霊王に心底同情する。

「…くれぐれも、メフィストちゃんも、ユリアちゃんも下手な真似などをして正体がばれないようにね?

   …いっとくけど、主様のお怒りに触れても僕は助けられないよ?」

それは事実。

ゆえにとりあえず入るのは構わない。

というか絶対に断ってもいろいろ手段をもちいて入り込むであろう。

ならばまだ目が届く範囲にいてくれたほうがはるかにまし。

しかし、先に牽制だけはしてこく必要性がある。

『うっ!!』

その言葉にその場にいる、リュカ以外の全員が思わず絶句しその場にて硬直する。

いくら何でもディア、となのっているかの御方の怒りに触れれば無事とは到底おもえない。

いつもはその柔らかな笑顔で誰しも抱擁するような優しい雰囲気をもっている彼女ではあるが、

しかし、ひとたび怒ればどうなるのか、それぞれかそれぞれに身をもって知っている。

「…ま、いいけどね。とりあえず、ならいこっか…は~…気が重い……」

どこをどう調整したのか、もしくはいじくったのか。

それは判らない。

もっとも、同じクラスにしなかったのは、おそらく【意思】の力が働いたのであろう。

そう確信をもっているリュカ。

おそらく、同じクラスになってしまえば、彼女達は絶対にボロをだす。

それだけは断言できる。

もっとも、学園に通うことになった以上、彼女のことを言えないようにおそらく制限はかけられるであろう。

当人達はそのことに気付いているのかいないのか。


しばしそんな会話をしつつも、リュカ、アテナ、メフィストフェレス、そしてユリアナ。

彼ら四人はそのまま、ギルド協会学校の理事長室へとむかってゆく……




ざわざわ。

先日の騒ぎは何だったのか。

ようやく、騒ぎの収束宣言はでたものの、しかしいまだに油断することなく、

警戒態勢の中であることは変わりがないらしい。

いまだにいきなり異形の存在、すなわちゾルディが発生した、という報告は絶えることがないが。

しかし、しかしである。

「…あれって、どうもそれぞれの個々の思いが強かったら発生するって説明したほうがいいのかな?」

伊達にアスタロトの授業を実戦的に受けていたわけではない。

自分の体から、異形のそれらが発生する様をまじまじと見せつけられていれば、

理解もする、というもの。

ゆえに、様々な村や町などでそれらが発生した、

という話しをきいたほとんどの生徒達の心情は穏やかではない。

しかし、その事実はおそらく経験してみなければわからないこと。

そしてまた…人、とは異形のソレを生み出した人物すらも堕ち者と判断し駆除してしまう。

一般の人にとっての堕ち者という存在は、絶対に救えないもの。

一度、堕ちたものは二度と元の姿には戻ることはできない。

そうなぜか信じられていたりする。

実際は元の姿にもどることもできるし、

ただゾルディなどといった心の悲鳴が強くなりえて生みだされる元となった核となる存在。

その核たる存在は別に堕ちているわけでも何でもない。

いわばあるいみ無知と勘違いにより無実のものを排除しているに過ぎない。

実際、それを知るまで、生徒達も育った町や村でそれが正しいこと、

と教わって育っているゆえに、その心は穏やかではない。

そのときに、教師アシュタロスより言われた言葉がつきささる。

『知は知らねば無知。無知は時として罪を生み出します。しかし罪は罪。

  知らなかったから罪にはならない、ということはありません。きちんとした裁きはうけるでしょう』

実際問題として、今までにも罪なき存在を殺した存在達は、

きちんとした審問によりそれぞれのふさわしき【地獄】にと落とされている。

それぞれの罪をきちんと自覚し、また同じ痛みを知りえる場へと死してなお苦しむこととなる。

「はい。みなさん。席についてください。今日はみなさんに新しい仲間を紹介いたします。

   とりあえず、まだこちらに不慣れのようですからみなさん、いろいろと協力してあげてくださいね」

一応、美希の正体は、ヘスティアは知らされている。

といっても、異世界よりの訪問者、という立場の事実のみ、ではあるが。

しかしそれを他のものにいうわけにはいかず、その事実は一部の上層部の存在、

もしくは関係者のみが把握している今の現状。

ヘスティアは美希が保護されたすぐ後に彼女にあっているのである程度の事情は聞かされている。

伊達に総合科の教師をしているわけではない。

彼女とて天界共通語は一応マスターしている。

ゆえに、美希が英語を話しても、ヘスティアと会話は通じる。

…もっとも、さすがに日本語まではヘスティアとてマスターしておらず、

その存在そのものも把握していなかったりするのだが。

「彼女はちょっとした特殊な事情でこちらで通用している言語はいまだに勉強途中です。

  離れ小島に住んでいたらしく、そこでは天界共通語が主流だったらしいですので。

  とりあえず、みなさんもこれまで天界共通語は学んでいますよね?

  いい機会です。彼女との交流でみなさんもきちんと天界共通語を学んでください」

美希の設定は、離れ小島で住んでいた小さな集落よりの転校生。

その設定でゆくこととなっている。

この世界、大きな大陸のみが表だって授業などでも説明されているが、

小さな島々も幾多か存在する。

それらの島々では独自の文明などをもち、自給自足という生活を送っている民も少なくない。

ざわっ。

天界共通語。

その言葉にクラスにいた生徒達がおもわずざわめく。

「詳しくはディアさんに聞いてくださいね。ディアさんの親類らしいですので。

  それでは、美希さん。入ってきてください。『Miki, please enter』」

生徒達にむけ、そしてまた扉の向こうにいる美希にむかい語りかけるヘスティア。

総合科C組A。

いきなり知らない人々の中に放り込むわけにはいかない、というので、

ディアと同じクラスに在籍させよう、という話しにまとまった。

ゆえに、今から美希が通うのは、ディアと同じ総合科であり、同じクラス。

C組Aの担任であるヘスティア=アルクメーネの言葉に従い、

ゆっくりと扉をあけて教室の中にとはいってゆく美希。

長いその黒髪はミツアミにしてその後ろで一つに束ねられている。

ちなみに左右にも編みこみのミツアミがほどこされており、

きちっとまとまった頭は美希の容姿をよりよく引き立てている。

漆黒の瞳はどこまでも澄み切っており、みるもの全てを一瞬魅了させるのではないか。

という雰囲気すらもっている。

特質的なのは、この教室ではあまり着られていない、ギルド協会が奨励している制服をきていること。

「「わっ!美人っ!!」」

誰からともなくそんな声が発せられ、

しばし、教室の中が一気に騒がしくなる。

「はいはい。とりあえず美希さんの席は、ディアさんの横ですね。

  ヴーリさんはとりあえずディアさんの後ろに移動してくださいね。

  とりあえず、美希さん、みなさんに自己紹介のほどをおねがいしますね。

  えっと……。It asks Miki and everybody for the self introduction for the time being」

こちらの言葉はまだよくというか理解していないらしく首をかしげる美希に対し、

とりあえず天界共通語で言い直すヘスティア。

ヘスティアが紡ぎ出した英語の言葉をうけ、ようやく何をいっていたのか理解し、

「Nice to meet you。It is said Miki Sato.。It will ask suitably in the future。

  It would be greatly appreciated if it could teach variously while still studying a word here」

【はじめまして。佐藤美希といいます。これからよろしくおねがいします。

  こちらの言葉はまだ勉強途中ですのでいろいろと教えていただけたら幸いです。】

英語で自己紹介することは多々とあった。

ゆえにこういった自己紹介は一応慣れている。

ゆえに生徒達にむかい流暢な英語で語りかけ、ぺこり、と頭をさげる美希。

あまりにも流暢すぎるその天界共通語の使用に対し、

その場にいる生徒達のざわめきがさらに大きくなってゆく。

パンバン。

そんな生徒達に対し、

「はいはい!騒がない、騒がない!彼女の住んでいたところはこれが通常だったんです。

  とりあえず。席はディアさんの横にお願いしますね」

すでに話しあいにおいてディアの横の席に座ることは決定していた。

ゆえに何をいっているのかわはらかないが、視線で席を促したことをうけ、

そのまま、もう一度クラス全体をみわたし頭を下げたのち、

美希は見知ったディアの横の空いている席のほうへとむかってゆく。


これは始まり。

美希にとって、そしてこの第三惑星とこの太陽系においての新たな始まり――



ちなみに、WGさんはまだ11Kの打ち込み途中なのでしばらくまってください・・・

ようやく学園中心とした騒乱のとっかかりまでこれました・・・

70まではいかない予定(打ち込みしてみないと何ともいえませんがあまりもう長くはありません)

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