光と闇の楔 ~【美希(次代)】の入学~
利用規約がかわったようですけど、自身のHPに平行掲載してる場合ってどうなんだろう?
まあ、あちらにもきちんと、こちらに投稿してる旨はかいてるから問題ないのかな?
どっちにしても、あるいみ問題なし?のような気もしなくもなし……
ちなみに、HPのほうはなろうさんに上げて数日後に数話、まとめてUPしてたり。
まあ、うちにくるひとは基本的に二次さん目的の人がおおいので、
オリジ小説のほうを閲覧してるひとはごくわずか、と認識してますけどね(苦笑
※人物設定にサクラ伝道師の設定を追加いたしました
かつて、この地上は人類によって破滅にと突き進んでいた。
絶えず破壊されてゆく自然。
自然をないがしろにした発展、という名の文明。
そしてその文明はいつの日か、世界そのものを変えるほどの発明を生み出した。
そのまま不安定ともいえる発明のまま研究がすすんでいれば、
地球とよばれていた惑星を中心として空間が歪み、
さらには空間を構成している全ての粒子そものが消滅し、
銀河の存在そのものが危機となっていたであろう。
しかし、そこに至るまでに人類は愚かなるとあるプログラムを開発した。
神々の悪戯、と開発者によりつけられたそれらは、
絶えず全ての情報をよみとり、より進化してゆくブログラム。
そして…そのプログラムの暴走により、人類が開発、管理していた全ての装置。
コンビューター、と呼ばれしものに管理させていた全てのものが狂った。
その結果…大地にはいくつもの当時いわれていた化学兵器、といもうものが飛散した。
その後の結末は…いうまでもなく。
電磁波すらをも研究していた装置がそのプログラムに汚染されたことにより、
地球を取り巻いていた大気の電磁波が一時途絶えた。
さすがにこれ以上被害が及ぶとなると再生がおぼつかない。
そう判断した惑星の意思が表にでることを決意し、一時、惑星上の時間は全て停止した。
自転すら止めた一時的な措置。
そして、惑星を壊滅状態に陥った存在達の魂を保存、管理し自らの罪を背負わすことにした。
…それらの新たなる名前は【伝道師】。
二度と、かつてのような過ちを犯さないために、世界に設けた楔。
一つの種族のみが突発して発展したがゆえに、かの悲劇はおこった。
そう判断したがゆえに、光と闇に属する存在を生み出すことにした。
それにより参考にしたのは、
それまで大地で文明を気づいていた存在達があがめていた神々、
そして魔王達といった神話や伝説、といった代物。
実際、魔王という存在は、一部のものには認識されてはいたが、
次元を隔ててたしかに地球上に存在していた。
それを知る存在はごくわずか、ではあったが。
それらもすべて再構築し、あらたに全ての存在に認識できるように生みなおした。
様々な種族も同時に新たに構築しなおし、世界は新たな道を歩み始めた。
そのときに新たに【意思】が設けたのが、各【界】という代物。
様々な界にはそれぞれに異なる種族が住まい、またそれぞれがそれぞれに役目をもつようにした。
それは今は昔。
その当時のことを知る存在はほぼいない。
いるとすれば、再生時期、もしくは新創世記、ともよばれた時期にすでに存在していた、
伝道師と、そしてその当時にうみだされた神竜。
そして…惑星そのものの意思達、くらいであろう。
すでにだれもが口にすることのない、あらたな世界の創世記。
しかし、それが真実であり、全ての始まり……
光と闇の楔 ~【美希(次代)】の入学~
「…なんか信じられませんけど、ですけどある意味納得しました」
この世界における、自分が住んでいた場所との類似点。
おそらく同じような進化をたどってきていたのであろう。
異なるのは、かつてこの地上において、魔力、という存在が発見されなかったこと。
美希が住んでいた惑星上においては、科学も発展し、
また、物質をまとめる視えない力にも重点をあてていた。
いわゆる精神力とも、霊力、ともよばれていたそれは、科学とともに発展をとげていた。
ゆえに、魔科学、というものが発展し、様々な分野にそれらが普及していっていた。
しかし、この世界においてそういった存在はあくまでも一部の力、として普及しなかったばかりか、
場所によれば、それは異質なもの、として排除もされていた。
排除するか受け入れるか、それによりどうやら進化の道が異なったらしい。
魂が不滅というか死は消滅である、という概念は美希の住んでいた惑星には存在しない。
中にはそのようにいっている輩もいるが、
実際に魂を視れる装置が開発されてからは意義を唱えるものはいなかった。
もっとも、以前その装置が暴走してしまい、地上にいきている存在全てがそういった類なる存在。
それらを視る力がついてしまい、それらに対抗する組織ができていたのもまた事実。
しかし、この惑星はどうやらそういったことはおこらずに、
逆に意図的に認識できるようにと細工したらしい。
おおむね、日本語で美希には説明が成されたがゆえに、
ゼウスやサタン達は何を言っているのか理解できていない。
しかし、それは世界の根柢にもかかわることなので、彼らにおいそれと教えていい類のものではない。
万が一、自分達の存在意義を疑うようなことになればそれこそ本末転倒。
…もっとも、そうなった場合、即座に【意思】は対応し、【再生】させる気満々なのだが。
もともと、意思が願っていたのは全ての存在が共存できる世界。
いずれは、世界の隔たりも関係なく、
全てのものが手を取り合い生活できれば、とおもっているのも事実。
そうすることにより、よりこの惑星だけでなく、
この太陽系群全てが新たな一歩を踏み出せるであろう。
それは確信。
サクラとリュカと、そしてディアによる三人からの説明。
サクラからは伝道師の立場からみた今までの成り立ちを。
リュカからしてみれば第三者的な視点から。
そしてディアからは当事者的な視点での説明。
三者の視点より説明されれば、ある程度のこの世界の成り立ちとありようがみえてくる。
どうやらこの世界、美希のいた世界では完全なるファンタジー世界。
物語やゲームの中でのみで語られていた世界が現実のものとなっていると認識して間違いなさそうである。
もっとも、美希が暮らしていた世界には、バーチャルゲームというものもあり、
その精神体のみをゲームの空間にとおき、簡易的な異世界を堪能することも可能、ではあったのだが。
ここしばらくつづいた世界規模の異変により、それらを管理する会社そのものが運営上の問題で、
一時休んでいたりしたことはあったにしろ。
何しろいつ異形…つまり、敵意をもった霊体などに襲われるかわからなかった日々。
ゆえに学校の教育の一環として、それらを利用した実質的な戦闘科目もうけざるをえなくなっている。
それらがここでどこまで通用するかはわからないが。
もっとも、美希は母の入院費などを捻出するためにほぼアルバイトにあけくれていたので、
そういったゲームなどはしたことがなく、学校もいわゆる通信教育がほとんど。
それでも、母が最後を迎えた病院に移ったときに、その病院は完全看護が主体となっていたがゆえ、
ほんとうに数年ぶりに学校にかよえるようになっていた。
その学校もあの大地震の影響でどうなったかはわからない。
大地が裂け、沈む感覚。
あの地にいない以上、どれほどの被害がでたのかはわからない。
火山帯であったことから、休火山が噴火しない、ともかぎらない。
それでなくても、日々、火山活動には注意するように、と上よりお達しがあったばかり。
ふと、いつ戻れるのか、それとも二度ともどれないのか。
今まで暮らしていた場所のことを思い出し、顔を伏せる美希。
そんな美希に対し、
「それで、美希様はどうなさいます?この地に滞在するか。
それとも他の惑星に移動してみますか?
他の惑星、といってもこの太陽系の惑星のうちのどこかになりますけど。
ですけどいまだに他の惑星にはここのように数多な生命は誕生していませんが」
人類と呼べるものは確かに誕生を果たしている。
いるが、地球人とはまた異なる進化をとげているのも確か。
海中で生活するのに特化した人類が誕生している惑星もあるにはある。
もしくは、微生物などが進化し、知能をもった文明等。
いきなり見知らぬ姿のものの中に一人放り込まれてパニックになってもらってもかなり困る。
ちょっとしたきっかけでいつ何どき無意識の力が発動するかわからない。
それほどまでに、【次代の力】、というものは未知数極まりない。
「これは一つの提案なのですけど。まだ美希様はこちらの世界のことも詳しくないですし。
それに言葉も日本語と英語…あと少々フランス語の聞き取り?しかできないみたいですよね?
日本語とここでの言語の違いを教えますので、ここに住まわって、
ここに存在している学校に通ってみる、というのはどうでしょう?
ここで生きるにしろ、様々な資格をとるにしろ。とりあえずギルド協会学校に通い、
必要最低限の力などを身に付けたほうがいいとおもいますし」
日本語にて美希にディアが提案しているそんな中。
「しかし、補佐官様が…学校に?」
「何を考えておられるのか我は理解できかねる……」
何やらしみじみと唸るようにしてつぶやいているサタンとゼウス。
彼らは気づいていない。
自然と、名前ではなく、【補佐官】としか呼んでいないことに。
それはディアが干渉しているからに他ならないのだが。
ゆえに、互いが互いに補佐官、と呼んでいても、
サタンからしてみれば、
ゼウスが補佐官、と呼んでいるのは魔界の補佐官ルシファーであるからそう呼んでいる。
そう解釈し、ゼウスからしてみても、
サタンがそのように呼んでいる、というのは天界の補佐官ティアマトだからであろう。
そう解釈しているので、互いの疑念に気づくはずもない。
そもそも、本来ならば、天界の、魔界の、をつけて補佐官、と呼んでいるのだが。
今、この場では互いにその敬称すらつけていない。
同一の存在である、と認識されると後々面倒極まりないので、多少彼らの魂に直接干渉しているディア。
当然、ディアにより生み出された魂である彼らはその干渉に気づくはずもない。
ゆえに、それぞれが違和感を抱くことなく、互いが互いに、
この場にいるのは互いの界の【補佐官】一人のみがいる。
そう認識していたりする。
もっとも、その干渉にリュカとサクラは気づいてはいるが、わざわざそれを説明する義理はない。
というか、下手に説明して後からお仕置きをうけるほうが彼らにとってはかなり問題。
ゆえに、この場は黙って彼らが勘違いしているままにとしていたりする。
一方で、
「ええ!?アテナちゃん、ずるいっ!補佐官様と同じ学校にかよってるの!?
…私もいこうかなぁ……。ここは親衛隊会員として、やはり同じクラスになるべく裏工作をっ!」
何やら別の意味で盛り上がっているアテナとメフィストフェレス。
「ずるいっ!メフィストちゃん!私だって補佐官様と同じクラスがいいわっ!
ああ、補佐官様とクラスメート、そしてめまぐるしい麗しき日々……」
何やら自分の世界にはいりかけているアテナの姿が見て取れなくもないが。
まあ、彼女が自分の世界に入り込み自分に酔うのはいつものこと。
それゆえに、いつものごとく、父であるゼウスとて完全無視を決め込んでいる。
「そういえば、学園側には、補佐官様の親衛隊というかファンクラブはあるの?」
「聞いたことがないわ」
「ならさっそくつくらないと!」
「そうね!ああ!でも、私も生徒になるべきか、それとも教師をつづけるべきかっ!」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
そんなこの場の雰囲気とは別の意味で盛り上がっている二人の会話に一瞬無言になりつつも、
「……主様、頑張って」
ぽそっと思わず同情の声を発しているリュカ。
「あの二人、ほうっておいたらどこまでも暴走しそうね~。
というわけで、リュカ。あなたも転入してきなさい」
ぽそっと同情の言葉を紡いだリュカに対し、にこやかな満面の笑みを浮かべつつもさらっと言い放つディア。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・って、えええええ!?」
何やら、さらり、とこれまた重大なことをいわれなかったであろうか。
思わずその場にて叫ぶリュカは間違っていない。
絶対に。
「なら、私も学校に所属するようにしたほうがいいですかね?三の意思様。
次代様が学園に通うようになれば、いろいろとフォーローも必要となってくるとおもうんですよ。
伝道師の特権で多少のことはごまかせますし。
何より記憶改竄装置はすでにもうどの界のものでも使用可能の域に達していますしね」
永い年月の間、自らの研究の果てにそのような装置をも開発しているこのサクラ。
「「…いやあの、ちょっとまってください!」」
思わず何やらかなり問題極まりない会話をしているような気がするのは錯覚か。
ゆえに、共通語にて会話するディア、リュカ、そしてサクラの会話を小耳にはさみ、
思わず同時に突っ込みの声をあげているサタンとゼウス。
「あら?何かしら?サタンもゼウスも。
ここに、異なる世界、外の世界から何もわからないままに迷い込んできた方がいるのに。
そんなおかたを他人任せにして役職にもどれ、とはいわないわよね?」
それ以上、抗議の声をあげようとする二人に対し、さらっと有無をいわさずにたたみかける。
「うっ…そ…それは…」
「たしかに…いや、でも……」
しかし、それはわざわざ補佐官自らが行うことではないような気がする。
しかし確かに、異なる世界からの訪問者ともなれば何か不安定要素が起こっても不思議ではない。
おそらくそれらに素早く対処できるのは、まちがいなく補佐官以外にはいないであろう。
それだけは確信をもっていえる。
「私も意見に賛成~。そもそも、他の惑星だと、きっと次代様、混乱しかねないもの。
何しろ次代様と同じ容姿の人類、いまだに発展してないし」
異なる発展をとげている生物はいるにしろ。
しかし、それらも、地球時間でいうところの四億年前に、
三の惑星より基本となる素を譲り受けたからに他ならない。
この時間の概念は、他の惑星によって大きくことなる。
それらは個々の惑星の自転率に比率する。
「二の姉様も心配だからくるっていってたし」
「ええ!?二の姉様が!?」
さらっという五の意思の台詞に思わず叫ぶディア。
その惑星における直系や質量的なものから、二の惑星とは昔からいろいろと協力しあってきている。
かつてとある存在が、第二惑星のことを双子惑星、姉妹惑星等。
と呼び称していたが、たしかにそれは的を得ていた、といえよう。
それらが狂ったのは、器の誕生時。
同じように発展していたかの惑星は、そのときの衝撃により、大地を覆っていた海を失った。
結果として、三の惑星とは異なる進化の道をたどる結果となってしまったのだが。
それももう、今は昔。
ゆっくりとではあるが、新たな大気を形成し、すくなからず海を形成しはじめている二の惑星。
二の惑星の大気は、基本、二酸化炭素より形成されていた。
しかし、大異変の際、三の惑星より、二酸化炭素を糧とし、別の物質を生み出す生物を移住させた。
そのことにより、第二惑星は新たな進化の道をたどり始め、
結果として、分厚い大気の層の下に、新たな世界がひろがりはじめていたりする。
それらの生物は熱につよく、ゆえに五百度を超える二の惑星の気圧にも耐えぬいた。
元々、かの惑星においては、その惑星における大陸の高度、五十km以上からは、
気圧と気温が第三惑星と酷似していた。
例えるならば、
たとえば高度52,5kmと54kmの間における気温は37度から20度の間であり、
高度49,5kmにおいての気圧は第三惑星における海抜0mとほぼ同じであった。
ゆえに、古代文明においても然り、第二惑星のその層に植民を行おうという声もあったほど。
いずれ、あちらの惑星が安定すれば、こちら側の存在を一部移住させてみようか。
という話しも前々から一応あがってはいる。
もっとも、それは意思達の間のみで交わされている会話であり、
ゆえに、他の存在がしるよしもない事実。
彼女達いわく共通語、しかし美希にとってはおもいっきり英語。
そんな彼女達の会話をききつつ、
「…学校?それに…ギルド?」
ギルドって、あの、ゲームの中とかではかなり定番の、あのギルド?
そんなものまであるの?
たしかに学校に通ってみないか、という提案はとても魅力的。
しかも、言葉は目の前のディア、となのっている惑星の意思がどうやら教えてくれるつもりらしい。
先が見えない以上、自力で帰る方法をみつけるかどうかしなくてはいけない。
といって、誰もたよるものがいないのも事実。
郷に入れば郷に従え。
それは日本のことわざにもあった。
ゆえに。
「私なんかがその学校にかよってもいいんですか?」
恐る恐るといかける美希。
不安はあるが、未知なる知識に興味もある。
すくなくとも、誰しも、天界や魔界などという存在が存在している世界において、
まず確実に思うのは、魔法もあるであろう、ということ。
女の子ならば誰でも一度はあこがれる。
いわば、魔法少女。
美希達の世界においては、そうった類の分野ではなく、霊力、というものが主体となっていた。
…もっとも、それだけでもかなり魔法に近い活躍をしていたといえばしていたのだが……
「そのあたりは大丈夫よ。サタンとゼウスが後見人になってしまえば誰も文句はいえないから」
何しろ、天界と魔界における実力者二人の後見人ともなれば、ギルド協会がわも無視はできない。
よもや異界よりの迷い子、とは説明できないにしろ。
名目は多々とある。
詳しく明記しないまでも、地上界における勉強のため、と追記しておけばさほど追求はされないはず。
下手に詳しく突っ込み知ろうとすればとんでもない事実につきあたることがある。
それは今までの経験上、ギルド協会側とてよく知っている。
ゆえに、そのあたりはあるいみ暗黙の了解、と化している。
アテナが学校の臨時教師をしていたり、アスタロトが臨時教師をしているのもそれにあたる。
すなわち、藪をつついて蛇を出すな、の諺が示すごとくに、
下手に追求すればロクなことがない、と彼らは知っている。
ゆえに二人の貢献と推薦があるだけでも、さくっと話しは早くまとまる。
ゼウスやサタンからしてみれば、補佐官には自分達の界にと戻ってきてほしい。
しかし、そこまでいわれて、否、といえるはずもない。
「いいんでしょうか…?」
何か彼らの意見を完全に無視して、進めているような気もするけど。
いつも常に人から一歩退いていたがゆえに、どうしても気おくれしてしまうのは仕方がない。
そんな美希に対し、
「いいも何も。あなた様に何かあったらこちらも困りますし。
と、いうわけで、サタン、ゼウス。これにサインしといてね」
「「って、すでに入学届を用意されてるんですかっ!!」」
すっと突如として目の前に突き出されたとある紙をみて思わず再び同時に叫ぶサタンとゼウス。
用意がいい、というか何というか。
用意周到。
たしかに、補佐官は常にそのようなところがありはする。
するが…つまり、ずてにこれをも用意している、ということは、絶対に断ることは許されない。
そう暗に示しているから性質がわるい。
「さて。じゃ、私はとりあえず、美希様にこのあたりの様子を説明しにいってくるわね~。
あ、ヴリちゃんもいらっしゃい。リュカはとりあえずそこの二人の暴走頑張って止めておいてね。
サクラは二人がさぼらないように見張ってて。五の姉様もご一緒にいかがですか?」
いまだに、アテナとメフィストは補佐官のファンクラブを創るだの、
同じクラスに行くためにはどうしたらいいだの。
何やら空想世界ともいえる彼女達の世界にひたり、話しを盛り上げている。
いまだに何やらわめこうとするゼウス達をそのままに、
「え、え?あ、あの?」
「とりあえず、美希様の服をかいにいかないと!」
「あ、三の姉様、私も選ばせてください!」
戸惑う美希をそのまま有無を言わさず立ち上がらせ、
そのまま部屋からでてゆく、ディアとヴリトラ、そして五の意思、と呼ばれている少女。
何が何だかわからない。
戸惑う美希とは対照的に、
「みゅ~~~♪」
どこか楽しそうな子猫、みゅ~の声がしばし響き渡ってゆくのであった……
「そういえば、美希様は何か得意なものとかありますか?」
「いえ、あの…その、何で様づけ?」
どうして自分のことを様づけで呼ぶのかわからない。
それでなくても、さきほどから、ジダイだの何だのよくわからないことをいわれている。
そもそも、時代って…何?
もしかして時代ごとに異世界からの訪問者とかがあって、迷子の名称だったりして?
そんなことを思いつつも、まさかね、と
心のどこかで否定しディアの問いかけに戸惑いの声を発する美希。
ジダイ様、という呼び方も、いくら呼び方をかえてください、といっても、
ヴリトラ、と名乗った…どうみても、神話にでてくる邪竜にはみえない少女の答えはといえば、
「次代様は次代様だもん!」
の一言で簡単に却下されてしまっている。
「別にないですけど。…あ、ただ周りがいうのは異様に運がいい、ということでしたが」
美希としてみれば運がいい、とは思わないのだが。
懸賞という懸賞全てにあたっていたり、または、お金がたりなくなって、
宝くじを購入し、目標額が必ず当たる、これぞ運がいい、といわず何というのであろうか。
もっとも、母一人、子一人であったがゆえに、無料の懸賞には応募できたものの、
宝くじといった代物はどうしても先立つ資金が必要となるので、
何かのイベントなどでもらったクジがあたっていたのだがる
「「あ~…なっとく」」
思わずそんな美希の台詞に、ディアと
…当人いわく、テル、と呼んでほしいといってきた五の意思の声が重なる。
何しろ美希当人の自覚がなくても、その魂そのものは次代のマァトの器。
つまり、全ての願いはマァトの意思となり、ゆえに、全てが達成されることとなる。
いわばどのような理不尽なことでも…世界の理に反しない限り、絶対に実現することとなる。
ゆえに思わずそのことを大姉より聞いていたディアとテルは思いっきり納得してしまう。
ちなみに余談ではあるが、
五の意思もまた、女性形態をとっている以上、その容姿は普通よりもかなり目立つ。
つまり、いわゆる美少女の分野に思いっきり入る。
しかも美希の容姿もこれまた目立つ。
そこに小さな少女であるヴリトラが加わり、三人と小さな子供連れ。
そんなメンバーで王都を歩いていて目立たないはずがない。
もっとも、先刻まであった正体不明の轟音や、いきなり光という光がかき消えた漆黒の空間。
それらの動揺もいまだに町の人々の中ではおさまっていない。
町の至るところには兵士達がばたばたとどうやら現状を確認すべく走り回っているらしく、
せわしなく動いている様子がみてとれる。
「大切なお客様ですから」
事実を当人にいって混乱させるわけにはいかないので、ひとまず無難な説明をしているディア。
「服はどのようなものがお好みですか?動きやすものとか、それともフリフリのフリルの服とか…」
「いえ。普通の!でおねがいします!」
切実に願う。
フリフリの服、というのをきき、思わず過去のトラウマを思い出す。
小さな子供が珍しかったとかいうので、とある場所にて着せ替え人形とされた幼少時の記憶。
お人形さんみたい、かわいい!
と言われ続けてほぼ着せ替え状態であったかつての記憶のような状態になるのだけは断じて避けたい。
それでなくても、学校に通いだし、簡易的な服しかきていなかった美希に対し、
周囲のクラスメート…なぜか特に上級生達がこぞって美希にかわいい服をきせようとした。
という事実もあったりした。
ゆえにこそ、それだけは経験したくない、とばかりにすぐさま返事を返す美希。
「?美希様はかわいらしいとおもいますけどね。
まあ、希望がそうでしたら、普通の、それでいてしっかりとした服を選ばせていただきますね!」
「いや、ですから安いので……」
どうやら美希の意見はあまり聞き入れてはもらえないらしい。
といっても、この世界でどのような服が普通なのかはよくわかっていない。
おそらく美希のいた世界のような服装は、どうみても、この世界には材質からして存在していないっぽい。
街並みをみても、中世あたりのような感じをうけなくもない。
事実、戦闘において剣だのつかっているところをみれば、
まだまだ発展途上、なのであろう。
一度、疲弊した世界が一からやり直す、ということはよくあること。
それでも、他から手を差し伸べてくれれば元の状態に戻すことは可能なれど、
世界規模でそれがおこれば、もはやもうそれは不可能に近い。
「私も学校に通おうかなぁ?私がいてもいなくても、あちらは別に問題ないし。
何かあれば自分の中のことなのですぐにわかるし」
「それは構わないとおもいますけど。でも五の姉様、すぐにボロをだしそうですよね」
「うっ!」
確かに、十の意思の中においても、一番素直、とまでいわれている五の意思である。
万が一、存在そのものが、惑星の意思の化身だ、とわかったときの人々の対応というか反応…
考えただけでもかなり怖い。
というか考えたくもない。
かつて、それを知られたときに、宗教なるものが出来上がり、
そのまま宗教戦争に突入し、文明というか大陸ごと滅んでしまった経緯をもっていればなおさらに。
「とりあえず、まずは美希様の通学服、ですね。学生服なども買わないと」
「あれ?でもお姉様、私服でもたしかいいですよね?」
「おそらく、美希様はきちんと学生服があればそれを着こなす性格だとおもうのですけど。
ちがいます?」
「…いえ、そのとおりですけど……」
何でわかったんだろう?
たしかに決められたことは従わないと何か自分が悪いことをしているようで心苦しくなってしまう。
説明してもないのに性格を見透かされ、首をかしげつつも肯定する美希。
でも、学生服か。
…向こうの世界の学生服と同じようなものかな?
そんなことを思いつつ、そのままディア達につれられ、しばし美希は王都を探索してゆく――
ふふふ。ようやく学園生活?の意味がわかってきたかと。
学校に入学してくるのは、当然、次代の器である美希だけではありませんよ?ふふ♪
まあ、生徒や先生達にはこれからちょっとした騒ぎに巻き込まれてもらう予定です