光と闇の楔 ~光と闇の戸惑い~
最近、どうもこれ、楔のラストが頭の中で反復されてます。
あとは、なぜか魂さんのほうくらいかな?
といっても最近打ち込みしてるのは、これとWG、ときおり魂くらいですけど。
なんか脳裏で反復されまくるので、
一番の要、ともいえる主要なる心を前振りにもってきたり。
…いつになったら、【次代の意思】の覚醒にたどりつけるんだろう……(汗
幾度も繰り返される、記憶の再生と初期化。
それらは全て必要なもの。
この地をこのまま継続するか、それとも終息にむかわせるか。
全ての決定は一つの意思にとゆだねられる。
だからこそ、ゆっくりと世界を視て回る必要性がある。
一つの方向性しかしらないままで継承しても、うまく世界は廻らない。
だからこその処置。
初期化されるたびに増えてゆく、あらたな意識体。
それは場所によっては人格、とも、意思ともいわれている代物。
世界の終焉を願うものもいる。
終焉は新たな始まりではあるが、その地にいきている存在にとっては全ての終わり。
どちらを選ぶかは、それは個々の意思。
しかし、その意思を押し付ける輩がいるのも事実。
それら全てを踏まえて、きめる。
…新たな次代は、安定か、それとも発展か、…それとも、終息…か。
我にいずれは集う存在達よ。
愛しき子供たちが選ぶべき道は我は介入するつもりはない。
されとて…我もまたいまだに発展途中。
全てを知り終えたのちに、自らの使命に準ずるのが我の存在意義、なのだから――
光と闇の楔 ~光と闇の戸惑い~
ヘスティアがなぜかその場に倒れてしまい、心配するケレスに対し、心配ない旨を伝え、
さらには、どうやら疲労がたまっているらしいヘスティアをこの場でしばらく休ませる。
その旨をギルド協会に伝えてほしい、そうケレスにと頼みこんだディア。
かなり不本意ながらも、しかしギルド協会に説明にいかないわけにはいかないであろう。
あとでしっかりと説明してくれるようにと話しをつけ、この場を後にするケレス。
後に残されたのは、このたびの一件のあるいみ関係者、と呼べる存在達ばかり。
ある意味、この場に残されたもので完全に状況を確実に把握しているのは、
多少その認識の誤差はあれど、次代が何たるかを完全に理解しているサクラ、のみ。
「…補佐官、親衛隊会員?」
何かものすごく聞きなれない言葉をきいたような気がする。
というか、そもそも、女神と悪魔がどうしてこうして
仲よくしっかりと手をあわせて異口同音に叫んでいるのかもわからない。
というか、ディアが今いきなり出現させたのは、
彼女のよくしっているブロッコリーによく似ているような気がする。
というかむしろほぼ同じ。
多少の違いはあれど、同じように見えるのはおそらく気のせいではないであろう。
強いていうならば、菜とワラビとブロッコリー。
この三つをかけあわせてできているようなそんな物体。
「食べ物に関してはともかくとして……というか、二つの属性の王と補佐官…って……」
どうにか混乱する思考をまとめつつも、横にいるディアにとといかける美希。
戸惑いつつも、ディアに語りかけたその直後。
「う……あれ?ここは…」
先ほどまで完全に意識を失っていた横になっていた男性がゆっくりと目を開く。
ぼんやりとした思考で今、僕どこにいるんだろう?
そんなことをふとおもうが、やがてゆっくりと思考がはっきりと明確になってくる。
そして見慣れぬ…否、幾度か見慣れたことのある天上と、
横に視線をむけてみれば、なぜかこの場にいるのは自分だけではなく。
「…あれ?…って、ええ!?主様!?というか、サタちゃんたちまで!?」
思わずそのままの姿勢でがばっと起き上がり、いきなり叫ぶ。
そんなリュカに対し、
「リュカ。あなた、最近栄養補給してなかったでしょ?あれしきで倒れてたなんて」
思わず呆れ口調どそんなリュカにと話しかけているディア。
「いあ、主様!あれしき、とはいいますけどね!あれは無理ですよっ!
というか、いきなり外に出向いていって偵察隊と戦えなんて無茶もいいところでしょ?!」
思わずそんなディアの台詞に突っ込みをいれるリュカはおそらく間違っていないであろう。
世界広し、といえども【三の意思】に突っ込みがいれられる存在はそうそういない。
そんなリュカの言葉に多少眉をひそめつつ、
「…【外】?もしかして、補佐官様。この世界の外で何かありましたか?」
一応、ときどき他の意思もやってくることもあり、
世界がここだけではない、というのは彼ら上層部の存在達はしっている。
「それについては私が説明します~!
三の姉様、とりあえず、外側は今のところ問題なしみたいですよ?」
かちゃり。
突如として部屋の奥にある扉が開き、そこからでてくる一人の少女。
歳のころならば十三程度。
その橙色の長い髪をポニーテールにし、
その髪になぜか柊の葉で編み込んだサークレットをつけている。
服装は上下ともに続いている薄橙色のワンピース。
その腰回りには今度は花であしらったベルトのような鎖のようなものをつけている。
瞳の色は茶色。
がちゃり、と奥の扉をあけて入ってきた人物に対しちらり、と一瞥したのち、
「五の姉様、いきなりそこから出てくるのはどうか、とおもいますけど?」
たしかにあの扉は全ての【場】と繋げてはいる。
いるが部屋の奥から出てきた、という説明を求められればどう対応するつもりなのであろうか。
この五の意思は。
そんなことをふとおもうディアはおそらく間違ってはいないであろう。
「いいじゃない。細かいことは気にしない、気にしない。
ここにいるのは天界と魔界の関係者達ばかりみたいだし。
『あ。はじめまして。次代様。私は五番目の惑星の意思にあたります。
おそらく、次代様が先日までおられた惑星では、木星、と呼ばれていた惑星にあたります』」
あちらの恒星群の成り立ちというか仕組みも大姉より報告はうけている。
異なるのは、あちらには十番目の惑星が存在しておらず、
しかも、なぜか九番目の惑星すら三番目の惑星の人類から恒星群の惑星の仲間から排除されたらしい。
そのあたりの詳しいことまではわからないが。
とりあえず、どうやら同じような惑星が誕生していた、という報告はうけている。
「…木星…も、ほんと、私、何があっても驚かないわ……」
月が二つある時点で自分が住んでいた惑星とは異なるが、そういうものだ。
とわりきるしかない。
世界には平行世界、といもうのも存在している、といわれている。
もしかしたらここもそうった存在の一つなのかもしれない。
「そういえば、三の姉様。外でなんでか転がってた雷神みつけたから連れてきたけど。
何かあったの?」
いいつつも、ひょいっとその小柄な体からは思えない力を発揮して、
まるで猫の子をつかむようにその首根っこをつかんでぶらぶらと…正確にいえば、ずるずると、だが。
とにかくずるずると何かボロキレのような物体をひこずっているのがみてとれる。
そんなディアと五の意思、と名乗った惑星名、かつて人類が呼び称していたところの木星の意思。
彼女とディアの会話はこの場にいるリュカ以外には認識されてはいない。
彼女達が今会話しているのは、惑星の意思達のみの間で使用されている特殊な言葉。
あるいみ、言葉のようで言葉ではない。
心と心をつないで直接に会話する念波のようなもの。
リュカはその性質上、それらを感じ取ることができるので一応、二人の会話は耳にはいっている。
強いていうならば、彼女達の会話は一種の超音波に近いものがある。
それゆえにリュカも理解が可能なの。
「…え~と、そのひこずられている男性は?」
十代の少女に大の大人がずるずると首根っこをつかまれてひこずられている様はあるいみ悲しい。
むしろ、男性の哀れさをよりよく強調しているようにもみえなくもない。
ゆえに内心、すこしばかり、ずるずるとひこずられている男性に同情しつつ、
首をかしげてといかけている美希。
「む。ゼウスではないか。すっかり失念していたな」
というか奇麗さっぱり忘れていた。
その姿をちらりとみて思わずうなっているサタンに対し、
「お父さま!?…は!?まさか、そちらのかたにまた不埒な真似をして返り討ちに?!」
どうやら娘にすらまったく信用されていないらしく、別の思考に陥り、思わずさけんでいるアテナ。
「何でぼろきれ状態に?…あ~。なるほど。ロキ達がいるのか。納得~。
というか、久しぶり~。ようやく目がさめたんだね。ロキ君達」
そこにいるロキ達家族に気がついて、いつものようにほんわかと語りかけているリュカ。
全員がかろうじて、英語で話しているがゆえに、美希も漠然とその会話の内容は理解ができる。
できるが、状況把握するまでには至らない。
「というか、あなたもかわりばえしませんねぇ。リュカ殿?」
自分がたしか眠りにつく以前からこの調子。
彼と話していればいつのまにか脱力してしまうことはざら。
ゆえに、リュカの言葉に苦笑交じりに答えているロキ。
「さて。と。リュカも目覚めたことだし。とりあえず、サタン。
今からリュカをも含めた簡単な状況説明を開始するから、ゼウスに雷でも直撃しといて」
「はっ!」
補佐官ルシファーに直接何かを頼まれることは何よりも誇らしいこと。
ゆえに、感極まりつつ、その場につくっとたち、礼式をとるサタン。
・・・室内で雷ってでるの?
そんな男性の様子を横目でみつつ、どこか違う突っ込みを心の中でしている美希。
次の瞬間。
ばりばりばりっ!
突如として出現した黒き稲妻が一瞬のうちにその場にころがっている物体もどき。
すなわち、ひこずられている物体…もとい、雷神ゼウスを直撃する。
「ぎゃぁっ!?」
何か短い叫びとともに、
その体からぷすぷすと黒い煙のようなものがでているように見えなくもないが。
やがてゆっくりと、体全体から黒い煙のようなものをゆらゆらとたなびかせつつ、
「…って、サタン!いきなり攻撃はないだろうっ!」
気づきざまにおもわず叫んでいるその男性。
そしてふと、その場にいるディアにと気づき、一瞬硬直し。
「あああ!?補佐官様!?いったいどちらにいかれていたのですか!?」
その視界に一瞬うつったのは、どこまでも真っ暗な空間そそこに浮かぶ一つの青い球体。
そしてまた、もう一つ、茶が様々な色に変化している不思議な球体。
おもわずぱちくり、と目をこらすと先ほどの光景は幻のごとくにかききえ、
彼の視界にはいってきたのは、黒き髪に黒き瞳の、彼らが敬愛している補佐官ティアマトの姿。
それぞれがそれぞれに、異なる姿で視えているがために、
ゼウスとサタンがどちらとも補佐官、とよんでも誰も違和感を感じてはいない。
そもそも、補佐官が直接、他界に出向くことは幾度かあった。
二界の補佐官が並んでいる様はまさに圧倒的な威圧感があったとまことしやかに噂されている。
もっとも、ディアからしてみれば、その体たる器をいくつ出現させたところで問題ない。
基本的に、ディアの意思は惑星そのものであるがゆえに、
その媒介ともなるべき【アンテナの役割】をしているだけにすぎない器はいくつでも表すことが可能。
どちらの界にも、それぞれの王と補佐官が姿を消したことが伝わっている。
もっとも、事が事だけに、
上層部の一部のものしかしらない重要機密扱いではあるが。
「さて。と。ゼウスも気がついたことだし。とりあえず現状説明と報告にうつりましょうか。
さて、リュカ。反旗組織にてつかんだことをこの場でとりあえず彼らにも説明してね」
有無をいわさないディアの言葉。
「はぅっ……。いいですけどね、いつも主様が唐突なのはいつものことですし。
それはそうと、そちらの方は…もしかして?」
この場のものではない気配の持ち主。
この場にいるこの少女とその懐に入って小さくなっている子猫はあきらかにこの【場】の気配ではない。
この恒星群の内部において発生した様々な命は独特の気配をもっている。
ゆえにどのような姿になっていても、内部のものかどうか、というのはわかるようになっている。
しかし、しかしである。
目の前の少女達からは異なる気配をかんじる。
どちらかといえば、意思達よりも遥かに大きな、全てを包み込むようなそんな感覚。
恐る恐るといったふうに戸惑いつつもディアに問いかけるそんなリュカに対し、
「ああ、説明してなかったかしら?こちらの方がなぜかここにやってこられた次代様よ。
『えっと。美希様。こちらはリュカといいます。彼も日本語は話せますので安心してください』」
伊達に永く『生きて』いるわけではない。
彼もまた、日本語は完全に把握している。
実際問題として狭い部屋のはずなのに、ここまでいろいろと集まっても狭く感じないのは、
この部屋そのものの空間をディアがいじっているがゆえに他ならない。
「えええ!?やっぱりこの御方が次代様!?
『え。ええと、改めて自己紹介させていただきます。
僕はリュカといいます。一応、意思様の間者もどきをやってます!』」
「…リュカ。何よ、その自己紹介は……」
おもわずそんなリュカの自己紹介に思わずつっこみをいれているディア。
「え?だってこの説明のほうがしっくりきません?」
どうやら本気でそういっているらしい。
それゆえに、かるくため息をついた後、
『とりあえず、彼はまあ、私の手足になって動いてくれる存在という認識でいてください。
私とて常に行動ができるわけでもないですし。あまり動くと世界が崩壊しかねませんし』
それは本音。
というかそもそもすでにもうかかわりすぎているような気もしなくもないが。
それでも、力はほとんどだしていないのでどうにかなっている。
彼女が本気をだせば、一瞬のうちに、この惑星上に存在している全ての命は死に絶えるであろう。
「は…はぁ。とりあえず、改めまして。私は佐藤美希といいます。この子はみゅ~です」
「みゅっ!」
しかしここまで大人しい子猫、というのも珍しいであろう。
先刻からずっと美希の懐にはいったままで大人しくしている様が何ともかわいらしい。
ふわふわ、もこもこの子猫が甲高く鳴く様はあるいみ見ていてほほえましくおもわず和む。
とりあえず相手のほんわかとした雰囲気に今まで張り詰めていた緊張が少しばかりほぐれてくる。
「あの?少しきになったんですけど。さきほど私の聞き間違いでなければ、
補佐官親衛隊とかいってませんでした?それっていったい……」
とりあえず疑問を一つづつ解決していかなければ話しにならない。
そんな美希の問いかけに対し、
「?補佐官様?こちらの方はいったい?我らにも判らない言語…
伝道師様達が使われている言語によく似ているようにも思いますが…?」
いまだに完全に美希の紹介をされていないゼウスが首をかしげつつも、
それでいて恐れながら、といった感じでディアにと問いかけてくる。
「え?ああ。そうね。とりあえずこの場にいる全員にも一応改めて紹介しておかないと。
それに、このかたの今後のこともあるし」
とりあえず、大姉の話しの結果によってはしばらくここに滞在することになるかもしれない。
しかし、彼女が次代の器、次代のマァト、という事実をいうわけにはいかない。
ならば、彼ら…
天界と魔界の実質的な実力者であるゼウスとサタンに説明できること、といえば限られてくる。
それゆえに。
「彼女は、別の世界からここにやってきた、いわゆる異なる世界からやってきたお客様。
今後どうなるかはわからないけど、おそらくしばらくはこの地に滞在するようになるとおもうの。
それで、ゼウスとサタンには彼女の後見人、という形で推薦状をかいてほしいのよ」
「「・・・・・・・・・・は?」」
異なる世界。
たしかに、自分達が存在している世界よりも他に数多の世界がある、とは聞かされている。
しかし、しかしである。
そのような存在がやってくるときは、必ず門に何らかの事前現象がおこりうる。
さらにいえば、時空神クロノスがそんな空間の歪みを察知していないはずがない。
この地はかの大異変の後に、そういったところにもかなり敏感に反応するように創られた。
そうきかされている。
「あなた達の疑問もわからなくもないけど。
クロノスの管理する空間にも引っかからないで迷い込んでくる。
そういうこともありえる、ということよ。だけどこの方はこちらの常識も何も知りえないし。
ならば、学校にかようことによってある程度の知識を身につけてもらっては、とおもってね」
彼女を一人で行動させるわけにいかない。
万が一、彼女の身に何かがおこりかけ、無意識のうちに彼女の力が発動すれば、
それこそこの太陽系どころか銀河は消滅してしまう。
「…まあ、これはまだ当人に確認はとっていないんだけど。
そうなったら二人には改めてその旨をお願いするわね。さて…と」
いまだにその場にてなぜか固まるサタンとゼウスをそのままに、
「では、改めて、現状説明にうつるとしますか。
あ、美希様は先ほどからみるかぎり、英語がいけそうですね」
「え?あ、はい」
「なら、これより、共用語にて会話することにしましょう」
英語で語りかけた後、それにたいし反応が帰ってきたことに安堵し、
その場にいる全員を見渡し、うながしているディア。
「英語かぁ。まあ、いいけど。
あ、えっと。次代様。先ほどの疑問だけど。
この世界には、主神と魔神に仕えている存在である補佐官様達の親衛隊、というものがあるの。
二つの世界において二人をひと組、として親衛隊組織なんてものができててね。
んで、そこのアテナちゃんとメフィちゃんもその組織の一員。
ちなみに、発起人はヘラさんだよ~。あ、ヘラっていってわかる?」
「……判りたくないけどわかります。たしか大神ゼウスの妻、ですよね?」
どこまで神話の神々がでてくれば気が住むんだろう?
北欧神話にギリシャ神話。
…まさか、クトゥルフ神話まででてくる…とはいわないわよね?
そんなことをふと思う美希。
しかし、美希はまだ知らない。
実際問題としてかの神話にでてくる神々もこの地には存在している、ということを。
おそらくこの中で彼女に違和感を感じさせずに説明できるのは自分のみであろう。
そう判断して説明しているリュカ。
当然、美希が頭の中で夢物語といっても過言でない神話の神々の名がでていることに戸惑っている。
などとは夢にもおもっていない。
「さすがリュカっち。でもたしかに、次代様も混乱してるよね。記憶もないみたいだし?」
次代の器である存在なのでどこまで威圧感漂う存在なのか身構えていたが、
どうやら、当人は今のところ【次代】、という認識すらないらしい。
おもわずぽそっとつぶやくヴリトラに対し、
「あの?神竜様?その次代とかって何ですか?」
先ほどからどうも気になって気になって仕方がない。
そもそも、彼女を保護してから、そのような台詞は幾度もきいている。
それゆえにといかけているアテナ。
「ん~、何、といわれても。次代様は次代様、だし。
それより、天界と魔界のほうの反旗組織の撒いた種はどうなってるの?」
何と説明していいものかわからずに、さらり、と話題をかえているのはいかにもヴリトラらしい技。
わざと話題を変えられたことに気づくことなく、
「とりあえず、魔界においては、
そちらのフェンリル殿のおかげで全ての念は不本意ながら回収できています。
第三者の力を借りての騒動の収束…不覚としかいいようのない失態ですっ!」
自分達のみで解決できなかったことを悔いているらしく、強い口調でいいきるサタン。
何しろ魔界にはびこっていたある一定以上の力をもつ【念】の全て。
その全てがフェンリルたったひとりの手により完全に駆除された。
彼らが様々な手をつかって四苦八苦していたというのにもかかわらず。
いくら彼らの能力に【念】を喰らう力があるとはいえ、さすがにへこむ。
ゆえに悔しさがどうしても表にでてしまうのは仕方がない、といえば仕方がないのであろう。
さらに、魔界をあるいみ平定したのち、
フェンリルは天界にも移動し、同じようなことをしでかしている。
つまり、天界と魔界。
どちらの界においても、フェンリル、という一つの存在の力により、
人為的にばらまかれた【念の種】ともいえるそれらがすべて駆除された。
念の形は様々。
それらが害意をもつのか善意をもつのか見極めて攻撃をしかけていた彼らと異なり、
基本的に、フェンリル達は、全てのある特定の力以上をもった【念】を喰らいつくす。
それこそ、善意や悪意、といったものにはまったくもって関係なく。
「妖精界のほうはそこのヨムちゃんこと、ヨルムンガルドがはびこる念を駆除してくれたみたいだし。
私の方の霊獣界も面倒だけど全部の念を取り込みおわったし」
ちまちまと本当ならば行動して多少なりとも暴れたかったが。
どうもそうはいっていられない事態と判断し、しかたなく力の全てを世界にゆきわたらせ、
そこにはびこる全ての【念】を我が身に取り込んだヴリトラ。
念、とは強気意思であり、強き心が一人歩きして形を成したもの。
ほうっておけば、害ある存在に姿をかえるか、はたまた誰しもに幸運を授ける存在に変化するか。
それはその念の性質しだい。
片方は、いまやゾルディ、と呼ばれ、片方は、ロア、とよばれている存在たち。
この場に集っているのは、魔界、天界、そして霊獣界に属する存在達。
あるいみ、王以外で考えるならば、三界の実力者がこの場に集っている、といっても過言でない。
「まあ、僕の子供たちならばそんなことは簡単だけどね。
それより。補佐官様?僕ら家族はのんびりとしててもいいの?それともやっぱり何か役目あり?」
きになっていたのはそこ。
次代の器たる存在がこの場に来ている以上、何となくどんな役目を言い渡されるかは理解している。
いるがやはり、直接確認しておきたい、というのもある。
できうれば、妻と子供たちとのんびりと過ごしたい、
とおもう彼の気持ちはおそらく間違ってはいないであろう。
誰しも、離れていた家族が共に過ごせるようになったならば、
まちがいなく動乱の中に身をおくよりも、家族との安らぎを選ぶ。
しかし、このたびの出来事は、家族を優先したばかりに、
家族が安らげる場所すら失いかねない重大な出来事にと発展している。
「とりあえず、
ロキ達家族は、アンの神殿でもある、月の神殿にしばらく住まわっていてくれたら助かるわ。
そこから引力圏全てにおいて結界の維持、それとこの惑星の周辺の空間結界。
あの神殿からならばどの界にも自在にゆくことは可能なので、さほど問題はないでしょう?」
月の神殿。
月の抱擁でもあるアングルホダの聖殿でもあり、彼女が本来住まうべき場所。
しかし、彼女はロキと恋に落ちた後、その身を天界にと置いていた。
もっとも、その結果として色情魔、としかいいようがないゼウスに目をつけられてしまったのだが……
「なら、僕はとっととアンのもとにいってもいい?彼女、きっと一人でさみしいとおもうんだ~」
「お父さま!私もお母様のもとにいきたいです!」
「わたしも!」
「僕も!」
そんなロキの言葉をうけて、その場にいる少女と青年、そして子犬のような狼が同時に言葉をはっする。
「邪神ロキとその三兄弟……」
たしか、北欧神話では、彼らがラグナログの要の存在だったような気がするけど。
だけどどうやら同じ名の神々がいる、というだけで
その神話の世界感が繁栄されているわけではないみたい。
何となくこの三人と一匹をみていれば、
かつて中古本や配信レンタルでみたとある話しをおもいだしてしまう。
まあ、あれも元々は北欧神話の邪神ロキに焦点をあててた話しだったし。
それゆえの親近感みたいなのがあるのかな?
あるいみ、のろけともとれる邪神ロキ、と名乗った青年の言葉と、
彼の子供たち、と説明をうけた二人と一匹をみつつどこか冷静にそんなことを思っている美希。
そんな美希の心を知ってか知らずか、
「なら、さっそく、お願いしてもいいかしら?いつまた厄介なことになるかわからないしね。
さきほどの偵察隊による仮初めの襲撃はナイアルラルホテップによってどうにかなったけど」
ぶっ!
さらっといったディアの言葉に思わず口にしていた紅茶を吹き出しそうになってしまい、
おもわず、
「ごほほっ!」
その場にてむせ込む美希。
いやあの、その名前ってクトゥルフ神話の中でも有名な神の一角で、
さらには様々な物語などにも多様されている神の名前じゃぁ!?
そんな美希の心の動揺をものともせず、
「あ~。なんかそうみたいですね。とりあえず、では、僕たち家族はこれにてひとまず失礼しますね。
あ、次代様。今後ともよろしくおねがいしたします。
できましたら、うちの娘と仲良くしていただけるとありがたいです。
何しろこの子は妻ににて、ものすごく引っ込みじあんで、でもものすっごく優しくて……」
何やら延々と子供自慢が始まっているような気がひしひしとする。
そんなロキの姿を横目でみつつ、
「…あいかわらず、子煩悩だな。お前は」
思わずあきれた声をだしているサタン。
彼の子煩悩差はあるいみ、天界においても魔界においても有名すぎるほどに有名であった。
…すこしばかり、子供をからかったものでもいれば、父親である彼がでむき、
その存在をてっていてきに懲らしめた…という話しも多々とある。
ゆえに、ロキの家族にはかかわるな。
それが様々な界において暗黙の了解ともなっていたのだが……
その暗黙の了解を破ったのが、オーディンとゼウスに他ならない。
「はいはい。子供自慢はいいから。それじゃ、後何かあったらまた連絡するわね」
まだ言い足りないのに。
そんな不満そうな表情を一瞬うかべるものの、
「それでは、我ら家族はこれにて。さ、いくよ。皆」
「「「はいっ!」」」
いいつつも、先ほど五の意思がでてきた扉にむかって歩きだすロキ達家族。
おそらく、彼女がでてきた、ということはあの扉はそれぞれの場に繋がるはず。
そう確信しての行動。
そのまま、扉をあけて、その向こうにはいってゆき、
やがて、パタン、と静かに扉がしまりゆく。
しばしその後ろ姿を見送りつつも、はっと我にと戻り、
「あ、あの?あの扉の向こうって…どうなっているんですか?」
さっきも見知らぬ少女…当人は、木星の意思、と名乗っていたが。
とにかく見知らぬ少女が出てきたことからして、どこかに繋がっている可能性は遥かに高い。
もしくは、その扉の先に転移するための装置があるのかもしれない。
彼女の住んでいた世界においても、転移装置、というものはいくつかあった。
惑星間における移動などは主にその装置を使って行われていた。
もっとも、いまだに一般的に普及しておらず、一般家庭に普及するまでには数十年はかかるであろう。
とはいわれていたが……
「ああ。ただ他の場所と自由に繋がるように設定してあるだけですよ?」
「だけ…って……」
もう、ここは私の常識が通用するような場所ではない。
そう確実に割り切らないといけない…んだろうなぁ~……
さらっといわれ、どこか脱力しつつも、そんな自分の思考に陥る美希。
たしかに、かつての常識に捕えられていては、どうにもらなないであろうことは明白。
かといって、すぐに状況になれる、というわけでもない。
どうやらしばらくは、戸惑いつつも帰る方法がわかるまでここで御厄介になるしかない…みたいだし?
そんなことをおもいつつも、自然と深くため息をつき、
「……とりあえず。すいません。ここでの常識。あと何がおこっているのか説明ねがいます……」
まずは状況把握。
どうやら目の前にいる全員が全員、自分に害をなすつもりはまったくもってないらしい。
それだけはなぜかわかる。
ゆえに、自分の置かれた状況を今一度確実に把握するためにと、
おそらく全てをしっているとおもわれるディアと名乗った【地球の意思】にむかい、
しっかりとその視線をむけてといかけてゆく美希の姿が見受けられてゆくのであった……
うう…話しがまたまた進んでない……
次回でさらっと美希に状況説明。
んでちょっとしたアテナ達の暴走気味?を入れた後。
ようやくまたまた学園生活再開、ですね。
ようやくラストまであとすこし!のところまできましたよ。ええ。
ロキ家族も月の神殿にむかったことだし。
おそらくここまでくれば、ラストのイベントはみなさん予測は可能かと・・・