光と闇の楔 ~悪魔と女神と補佐官と~
ろっこり~♪
そういえば、ふととある場所できいたんですけど。
何でもブロッコリーを利用した悪質詐欺さんがあるそうですよ?
…ブロッコリーが水をはじくのはあたりまえ、なのに。
水をはじくのは農薬つかってるからなので、この浄水器をつかえば!と勧誘するのが…
いやあの?ブロッコリーは農薬つかわずともふつーに水はじくぞ?おひ?
それでだまされて浄水器売ってる人…どんだけ知識がないんだろう?
というか、普通にプランターとかでも作ろうとおもえばつくれるんだが?ブロッコリー…
そのひとって…ブロッコリーとか食べたことがないのかなぁ?
それとも、わかってて浄水器説明にブロッコリーをもちだしてるのなら、
あるいみ、何かんがえてるだろ?それでだまされるひとがいるのか?とおもったり…
世の中、いろいろとわけわからん常識的なことを知らず?に馬鹿やってるひとが多いようです。
みなさんも変な勧誘などにはだまされないようにしてくださいね……
「え~と……」
どう対応したらいいものか。
「ヘスティア先生!リュカさんの具合はどうなんですか!?」
ギルド協会学校に出向いたところ、ヘスティア達はギルド寮に移動した、と話しをきいた。
その道中でリュカ、という男性を保護し連れて行ったと話しをきいて行き先をきき。
広い寮内のうち、気配を頼りに管理人に断りをいれて寮にとはいった。
しばらく進んでゆくと、何やら聞きなれた声がきこえ、
そちらのほうにむかってゆくと、そこに見えるのは数名の人影。
案の定、というべきか、先刻見知った人物と、そして伝道師サクラの姿。
「あれ?アテナ?あ~、もしかして、あちらの攻撃についていかれずにこっちに回された?」
聞こえる音はどうみてもアテナごときで太刀打ちできるような力ではないであろう。
もっとも、ごとき、というのは気の毒かもしれないが。
何しろ彼女とて神界においては実力者の一人として名が通っている。
しかし、今現在やってきている存在はそもそもその核から異なる。
「ついていかれないので私はこちらの護衛にまわりました。
というか、どうしてここにリュカさんが!?」
彼がここにいる、というのがかなり気にかかる。
先日出会って別れ、それ以来あっていない。
服装もかなり破れているらしく、ぱっとみため、かなりの重傷のようにみえなくもない。
「あ、あなたは」
やってきた女性…アテナに気づき、ぱちぱちと目をしばたかせる美希。
いきなり消えたとおもったら、こんどもまたいきなり現れた。
もはやもう何があっても驚かないつもりではあるが、
こうも続けざまに事がおこれば逆に冷静にもなってくる。
人間、極限の状態にまで追い込まれれば逆に冷めた視線で物事を視ることが可能。
つまり、美希も今そのような状況になりかけていたりする。
と。
バタン。
いきなり目の前の扉が開き、
「ほらそこ!そんなところで立ち話してないで!お姉様の部屋にはやくはいって!
『あ、はじめまして!次代様!私はヴリトラといいますっ!』」
突如としてその目の前の扉から一人の少女が出てきたかとおもうと、
いきなり叫び、それでいて美希の姿をみとめ、にこやかに笑顔をむけてかるくお辞儀をする。
「え?ヴーリちゃん?いつもどってきてたの?」
いつのまにかいなくなり、そしてまたいつのまにか戻ってきているヴーリの姿をみとめ、
思わずその場にて目をぱちくりしているケレス。
ケレスはいまだに何がおこっているのかまったくもって理解していない。
判っているのは、目の前にいつのまにか里帰りしたというヴーリと、
そして臨時教師であるアテナ。
そしてC組担任のヘスティアがこの場にいる、というその事実のみ。
『ヴリトラ…って…も、何があっても、私驚かないわ。ね。みゅ~ちゃん』
神話の一つにでてくる邪竜。
さらには幾多のゲームにもその存在は多様されていた。
ゆえにもはや驚かないことに決め、ため息まじりにつぶやく美希。
そんな美希のつぶやきに答えるかのように、
「みゅ~」
その場に何ともそぐわない、かわいらしい子猫の声が廊下中にと響き渡ってゆく……
光と闇の楔 ~悪魔と女神と補佐官と~
「…ディアさんの交流関係って一体……」
担任教師として生徒をよくしるのも務め、とおもっていた。
しかし、しかしである。
目の前の女神にしろ、伝道師にしろ、さらには魔界の大侯爵にしろ。
どうしてそんな大物とたったのまだ十三程度の少女が交流をもっているのか。
伝道師、というだけでは絶対に理屈は通らない。
「それより。サクラ様。何だって補佐官様がこのような場所におられたのですか?」
おそらく、ヘスティアには知られたくないのか、はたまた隠しているのか。
おそらく後者。
それゆえに、天界共通語にてサクラに問いかけているアテナ。
「それは私も詳しくはしらないけど。尚人からきく限りでは、ここの学生やってるらしいわよ?」
「…えええ!?補佐官様とあろうお人がどうして!?」
サクラの言葉はあるいみ驚愕でしかない。
ゆえに思わず叫ぶアテナは間違っていない。
絶対に。
「あのぉ?それより、この人、かなり気になるんですけど…大丈夫なんですか?」
顔色が極端に青白いように感じる。
どうやら会話が通じる、サクラ、という人の知り合いのようであるが、
何もわからない以上どうしようもない。
「This person。Is it safe(この人、大丈夫なんですか)?」
今度は今度で英語らしきもので話している二人に対して思わずといかけている美希。
天界共通語。
それはすでにこの世界では失われた、かつて英国英語、とよばれていた言葉。
授業にて英語はひとまず必須科目であったがゆえに多少の読み取り、または聞き取りは可能。
ほとんど聞き取りのできないフランス語で話されるよりはある程度は気が楽ではあるが、
やはり聞きなれた言葉のほうが精神的にも落ち着くとおもってしまう。
それでも相手が英語らしきもので話しているのをきき、美希もまた英語でとりあえず問いかける。
美希のいた世界においては、英語は話せて当たり前、ともいわれていた必須科目。
フランス語は主にそれなりの職、もしくはお偉いさんになったときに必然的に必要となる語学であった。
ゆえに簡単な英語ならば美希とて使用は可能。
一度日本語で問いかけたものの、相手が英語であろう、と判断をつけ言い直す美希。
ある意味、臨機応変がきいているといえばきいている。
そんな美希のほうをみてしばしぱちくり、と目を大きく見開き瞬きをしたのち、
「It was surprised(驚いた)。あなた、天界共通語、話せるの?」
驚きの表情で美希にといかけているアテナに対し、
「…もしかして、そちらの世界でも、この言葉、英語、として流通してました?」
何となくではあるが予感がして別の意味でといかけているサクラ。
そんなアテナとサクラの問いかけに対し、
「?天界共通語とか意味がわかりませんが。お二人が話しているのは、英語、ですよね?」
これまた英語で問いかける。
「ええ。となると、美希様が話せるのは、英語と日本語の二ヶ国語でいいのでしょうか?」
「ですから、何で様づけ……。とりあえず、英語は日常会話の一つのたしなみ。
としても教育をうけていますので難しいものでなければ日常的なものくらいならば。
でも、やはり完全ではないので日本語のほうが助かります」
美希に話しかけるがゆえに、先ほどの天界共通語でもある英語から、日本語にと言語を変え、
美希の目をしっかりみつつも問いかけるサクラ。
ちなみに、彼女達の今の状態は、部屋の中央に寝かしているリュカ。
どこからかヴリトラが持ってきた布団にリュカは寝かされている。
そんな彼を取り囲むようにして座っているアテナ、サクラ、美希、そしてケレスにヘスティア。
ヴリトラはなぜか部屋の中をうろうろし、まったくもって落ち着きをみせていない。
ある意味、けが人?の横でそんな会話をしなくても、と思えなくもない。
しかしいつ彼が目覚めるかわからない以上、この場を離れるわけにはいかないであろう。
それゆえにこのような体制で会話をつづけている彼女達。
「え、えっと。とりあえず、あのおかたの担任をされてるんでしたよね?ヘスティア先生は」
どうしても、あの御方、と言ってしまうのは仕方がない。
直接当人を確認してしまった以上、
以前のように、普通の生徒のようにディア、と名を呼ぶわけにはいかない。
まだ完全にその容姿を確認していなかったので、名前を普通に呼んでいただけに過ぎない。
しかし知ってしまった以上、呼び捨てなど言語道断。
「?いきなりディアさんに対して丁寧語になってませんか?アテナ様?
…まあ、気持ちはわからなくもないですけど。ええ。しかし、ディアさんっていったい……」
補佐官と知り合いである、ということからも、丁寧語に変えて対応することにしても不思議ではない。
伝道師達は、天界においても崇高なる存在だ、として敬われている、ときいている。
ゆえにこの反応は別段おかしくないであろう、そう彼女の中で結論づけているヘスティア。
実際は伝道師サクラの存在はまったくもって関係なく、ディア当人の正体が問題であるがゆえに、
アテナの口調が変化したのだ、とはゆめにも思っていない。
何やら話しはじめているサクラと美希、となのった少女とは別にそんな会話をしているヘスティアとアテナ。
と。
「あ、お姉様がおもどりになったみたい!」
ふとその気配に気づき嬉しそうな声をあげ、ぱたぱたと扉のほうへむかってゆくヴリトラ。
そして、そのまま扉を開け放ち、
「お帰りなさい!お姉様!…あれ?なんでサタンやロキ家族までいるの?
あ、メフィちゃんだ~。ひさしぶり~!!」
その扉に先にいる人影を目にし嬉々とした声をあげたのちに、
きょとん、とした声をあげる。
そんなヴリトラの視界にはいってきたのは、ディアの姿はともかくとして、
なぜこの場にいるのかよくわからない、暁の魔王サタンと、邪神ロキ家族。
そしてまた、悪魔メフィストフェレス。
そんな彼女の姿を垣間見て、
「…なっ!?神竜様!?」
思わず驚愕の叫びをあげているサタン。
…よもや、ここにいたり、こんな場所で神竜ヴリトラと邂逅するとは思っておらず、
いわば不意打ち。
それでなくとも補佐官の傍にいることで緊張していたというのに、さらにとんでもない存在がそこにいる。
となれば…その緊張度もピークに達する。
「あいかわらず、ヴリトラは無茶してるのかい?」
ざっと世界を見渡したゆえに彼女がどんな行動をしていたのか知っている。
ゆえに苦笑しつつも問いかけているロキ。
そしてまた。
「あ、ヴリトラ様。おひさしぶりです」
ぺこり、と頭をさげている執事服に身をつつんだヨルムンガルドに、
「…補佐官いるところ、常に神竜あり、だな」
どこか悟ったようにつぶやいている小さな黒い子犬の姿に姿を変えているフェンリル。
「ん?あれ?もしかしてこの中、他にも誰かいるの?」
中に他の気配を感じ、そんなことをつぶやいているヘル。
その一つの気配はかなり見知った気配のような気がするのはヘルの気のせいか。
「お、お久しぶりでございます。ヴリトラ様」
目の前にいきなり人間形態で現れた神竜ヴリトラに驚きつつも、
すぐさま礼をとりその場にざっと膝まづいたのちに言葉を発しているメフィストフェレス。
「ヴリちゃんのほうも終わったみたいね。とりあえず。
積もる話もあるでしょうし。中にはいりましょ」
そんな彼らの様子はさらっと無視し、そのまますたすたと部屋の中にはいってゆくディア。
そんなディアとヴリトラに続き、戸惑いつつもその後ろにつづく彼ら達。
そもそも、彼らにとって、補佐官の命に背く、というのは王の命に背く、ということであり、
自らの存在意義すらをも否定する行動にもつながる。
ゆえに素直にそのままディアにつづいて部屋の中へと入ってゆくことに……
「あら?皆してここに集まってたの?」
ぞろぞろと連れ立ち、とりあえず寮に全員の気配が集まっているのを感じ直接に移動してきた。
町にはいるところまでは普通に歩いていたが、さすがに美青年二人に美少女二人。
ついでに容姿端麗、ともいえる露出度の高い女性が一人。
さらにはなぜか執事服を着こんでいる青年もいれば嫌でも目立つというもの。
ゆえに普通に町にはいるフリをして、その手前の空間を少しばかりいじり、
自らの部屋としている寮の前の廊下にその空間を繋げたのはつい先ほど。
いろいろと説明を受けたいのは山々。
されど突如として空間をいじられ、別の場所に移動したがゆえにいまだに話しを聞けていない。
おそらく一番状況を理解していたであろうアスタロトは魔界へと戻り、
かの存在達のおそらく裁判の準備をしているところであろう。
それゆえに思わずその場にてため息をつかざるをえないサタン。
扉から出てきた神竜であるヴリトラがここにきているのはディアは気づいてはいた。
いたが別にそれは説明することでもないので言わなかっただけ。
案の定、向こうのほうから扉をあけて廊下にでてきたヴリトラの姿。
一言、二言かわしつつ、そのままひとまず全員を伴い部屋の中へ。
扉をあけて部屋の中にいるのは、ヘスティア、ケレス、そしてアテナにリュカに美希と子猫が一匹。
いまだにリュカは意識がないのかそのままその場にて横にさせられているようではあるが。
兵士達はといえば、彼らもいまだに役目途中であるがゆえに、気になるものの、
それぞれ自分達の役目を果たすべくこの場よりたちさり、今はいない。
ぞろぞろと連れ立ち、入ってきたディアの姿を確認し、
「Assistant(補佐官様)!!」
「三の意思様」
同時にさけんでいるアテナとサクラ。
そしてまた、
「ディアさん!?戻ってきたのですか?というか、詳しい説明をお願いしてもいいでしょうか?」
ディアの姿をみてホッとすると同時、おそらくこの事態を説明できるのは彼女しかいない。
そう判断し、ディアにむかって問いかけているヘスティア。
たしかに事実を正確に説明できるのはこの場において彼女以外にはいないであろうが。
そしてふと、そんな彼女の背後から一緒に入ってきた人物にと視線をむけ、
「……まさか、とはおもいますけど、そちらの方々もとんでもない方とはいいませんよね?」
その場にいる美少女と美青年、なぜこの場にいるのかわからない黒い子犬。
執事服を着こなしている青年はディアさんの執事なのかしら?
そんなことを思いつつも、先刻、美少女と美青年には短い間ではあったがあっている。
もっとも、その後に、サクラより彼らが噂の邪神ロキ当人である、とは聞かされたが……
「先生?先生もどうしてここに?まあ別にいいですけど。
とりあえず、サクラ、お疲れ様。ってアテナもここにきてたんだ」
一瞬、ディアが部屋にはいってきたとき、全ての視界が真っ暗になり、
一瞬その目に青き球体が映り込んだような気がするのは目の錯覚か。
おもわずごしごしと目をこすったのちに叫んだアテナに対し、さらっといっているディア。
この場に美希がいる以上、常にディアが纏っている認識阻害の力は無効化される。
つまり、視る存在の受けてによってその姿は変化して相手の都合のように見えるようになっている。
もっとも、美希はそのような能力を発揮している、というのはまったくもって無意識極まりないのだが。
名を呼ばれたことにより、相手が補佐官ティアマトだ、と認識したがゆえに、
今のアテナの視界において、ディアの姿は天界の補佐官ティアマトの姿、として映り込んでいる。
サタン側からしてみれば、もともと魔界の補佐官ルシファー、という認識であったがゆえに、
一時、青き惑星に目を奪われたものの、すぐさまにその意識をディアにとむけ、
今のは何の白昼夢だろうか?と多少首をかしげていたりする。
「って、メフィストちゃん!?」
ふとそんなディアの背後に見慣れた姿をみつけ、思わず目を見開いて叫ぶアテナ。
この場に絶対いるはずのない人物の姿をればおもわず叫んでしまっても仕方がないであろう。
「って、アテナちゃん!?どうしてあなたがここに!?」
ある会を通じ、顔見知りであるがゆえに思わずこちらもまた驚愕の表情をうかべるメフィストフェレス。
そんな二人を交互にみつつ、
「?あの?すいません。ディアさん、といわれましたよね?その後ろの方々は?」
戸惑いながらもおそるおそる問いかけている美希。
やはり、部屋にはいってきたときに見えたのは宇宙空間に浮かぶ青き星。
先刻、説明された惑星の意思そのもの、という言葉がより信憑性を増してくる。
…といっても、その意思が形を成して自らの中に生息している生命達にかかわるのか。
ということを思えば…疑問視せざるを得ないのだが。
「ああ。こっちはさっきもあったとおもうけど。ロキとその娘のヘル。
あとはその息子達よ。それでこっちはシャイターンとメフィストフェレス」
あえて、幼名であり愛称でもある名で紹介するディア。
この場にはヘスティアも滞在している。
サタン、という名はあまりにも有名。
魔界においてこの名をもつものは他にはいない。
しかし、シャイターン、という名はその強さにあやかって時折似通った名をつける魔族もいたりする。
ゆえにあるいみ無難、といえば無難な紹介の仕方。
「まあ、とりあえず、立ち話も何ですし。
あれ?ヴリちゃん。座布団もだしてないの?しょうがないわね。
とりあえず座布団だしますので皆さん、すわってくださいね」
いいつつも、少しばかり部屋の奥にひっこみ、いくつかの座布団をその手にもって戻ってくるディア。
そのままリュカと少し離れた場所に座布団を置き、その場にいる全員に座るようにと促し、
そして戸惑いつつも全員がその場に座ったことを確認し、にこやかにほほ笑みつつ、
「とりあえず、この場でそれぞれの自己紹介、としましょうか。
あ、その前にとりあえずみなさん、飲み物でもどうぞ?」
いってにこやかに、いつのまに用意していたのか、紅茶カップを差しだすディア。
コップに紅茶を注ぎつつ、
「それより。先生は学校のほうに戻らなくてもいいんですか?」
おそらく今、学校側もギルド協会側も混乱を極めているであろう。
先刻の暗闇と、そしてまた、
各界の地において、手こずっていた念の集合体たるゾルディ達が突如として消滅した。
その報告をうけ、おそらく今ごろは事実確認に翻弄していることは明白。
これから話す内容はどちらかといえば人間であるヘスティアに聞かれてはあるいみ困る内容。
というか、そもそも地上界の言葉で話す気はさらさらない。
あとあと詳しく説明するのもまた面倒。
ゆえに彼女のほうからこの場から立ち去ってくれれば話しは早い。
それゆえにさらっと話題を変化させつつも、にこやかにヘスティアにとといかけるディア。
サタン達はといえば、補佐官自らが入れた紅茶を断るわけにもいかず、
恐縮しつつも、コップを受け取っている様子がみてとれる。
「いや。私は事実確認をする義務がある」
きっぱりはっきりいわれれば、それ以上、無理を言ってこの場から退去させるわけにはいかない。
ゆえに、軽くため息をつきつつも、
「わかりました。とりあえず、『Tout le monde est difficulte(皆御苦労さま)』」
『意思』たる意思をもってその場にいる全員を見渡しひとまずねぎらいの言葉をかける。
それと同時に、ざっと敬礼しているサタン達。
ディアが何をいったのかヘスティアには理解できない。
しかし、周囲の人々の反応からして何かをいったのであろうことは明白。
ねぎらいの言葉をかけただけでここにいるみなさんの反応って…
そんな様子に思わず唖然、としている美希。
たしかに、少し冷静になった頭で考えれば、彼女がこの惑星の意思だとして、
その意思よりねぎらいの言葉が直接かけられる。
それはかなり彼らにとって『母』でもある彼女に優しい言葉をかけてもらえれば
…考えなくずともうれしいはず。
そのことにすぐさま思い当たる。
自分とて、母に褒められればうれしかった。
怒られても、自分を思ってくれていたからこそなのだ、と理解していた。
その母も今はもういない。
彼らの存在が、事実、悪魔や女神、さらには神々、といった存在ならば、
すくなくとも、それらを生み出したのは、その『母なる意思』に他ならないのであろう。
つまり、親にほめられてうれしくない子はまずいない。
しかし、ふと気になることが一つある。
さきほど、一人の名前をシャイターン、もう一人のなぜかかなりスタイルのようポンキュッポン。
といっても過言でないスタイル抜群の女性のことをメフィストフェレス。
そう彼女は紹介したはず。
その名はたしか、サタンの別名、アラビア語の呼び方じゃなかった?
メフィストフェレスなんておもいっきり悪魔の名前だし。
とある漫画では女性であったが、伝承では男性と女性、どちらのバージョンもあったはず。
…とあるアニメではたしか、男、として描かれていたが。
そんなことをふとおもう。
それを踏まえてどうしてもこれだけは聞いておきたい。
どうしてこうして、
女神であるアテナと、悪魔であるメフィストフェレスが親しそうにしているのか、ということを。
ゆえに、
「That ?I'm sorry. Are couple's relations good?
Do though it is an anti-attribute?」
――あの?すいません。お二人は仲がよろしいんですか?反属性なのに?
何しろ女神と悪魔。
天と地。
光と闇。
聖と魔。
完全に対局に位置している存在達である。
光があれば闇があるように、闇があるからこそ光もまた認識できる。
それはわかっている。
いるがどうしても聞かずにはおられない。
そもそも、定説としては聖と魔は相いれないもの、と彼女の世界の伝承などでも伝わっていた。
物語などにおいても然り。
おそらく先ほど英語で話して通用したので英語ならば通じるであろう。
ゆえに英語で戸惑いつつも、自分の横に並んで座っているアテナとメフィストに対して問いかける。
そんな美希に問いかけに対し、二人は顔を見合わせ、
「だって…」
「私たちは」
「「Parce que c'est un membre Gardes du corps de l'assistant(補佐官親衛隊会員ですからっ)!」」
きっぱりはっきり、二人の声が同時に発せられる。
まるで申しあわせているかのごとくに。
「…補佐官って…何?」
思わずその言葉をきき、ぽそっとつぶやく美希は間違ってはいないであろう。
聞きなれない言葉ではあるが、すぐさまに思い浮かんだのは某ゲーム。
補佐官ってあの補佐官?
つまり、補佐官って偉い人を補佐する立場…の人のことよね?
…何で星の意思が補佐官ってよばれるわけ?
一人、ぐるぐると思考をめぐらせるそんな美希に対し、
「あ。すいません。次代様。いってませんでしたっけ?
私、とりあえず自らのうちで、それぞれの属性の王と補佐官の両方を務めているんですよ」
さらり。
どうやら混乱しているらしき美希にとさらっと説明しているディア。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい?」
さらっと日本語で説明され、本日いく度目かもわからない唖然とした声をもらす美希。
さもあらん。
誰しもいきなりそのようなとんでもない、しかもかなり重要度の高いことをきかされれば、
思考がおいつかなくてもしかたがない。
そもそも、属性の王?何それ?
というか王と補佐官兼用!?
というか異様に息があってない!?
ねえ!?
しばし二人の反応に対しさらに混乱を隠しきれない美希。
説明をうけて、余計に混乱する美希の姿がしばしその場において見受けられてゆくそんな中。
「さて。と。…とりあえず、先生のほうは眠っていただけたようですね」
ふとみれば、ヘスティアの紅茶にのみ睡眠効果があるように細工しておいたがゆえに、
いつのまにか座ったまま意識を失っているヘスティアの姿が目にはいる。
彼女の口からギルド協会側に話しが伝わってもおもしろくない。
それゆえの処置。
あとから記憶のほうは少しばかり改善しておけば問題ない。
「さてと。ロキ。彼女をとりあえずペットにはこんどいて。
さて、それじゃ、とりあえず簡単な状況説明に入るとしますか」
少しばかり悪戯が成功したかのようなほほ笑みをむけたのち、
その場にいる全員ににこやかに笑みをむけ、そして。
「それはそうと、リュカがまだ目覚めないのねぇ。とりあえず、ロッコリを取り出して…っと」
そうディアがつぶやくと同時。
ふいっとどこからともなく栄養が高いといわれている緑黄野菜の一つ。
ロッコリ、という野菜を虚空より取り出すディア。
ちなみに、ロッコリとはこのあたりでは定番の野菜の一つ。
ゆでても煮ても焼いても重宝する野菜の一つでもある。
ちなみに生でもたべられるしその花はすこし甘みをおびており、ちょっとした甘味にもなる。
ゆえに庶民の味方、としてかなり普及している野菜の一つにあげられる。
どうしてそのような野菜を突如として取り出したのか、この場にいる一名以外知るよしもなく、
ゆえに、
「「補佐官様?」」
「三の意思様?」
思わず同時に聞き返している、ロキ達家族、そしてまたサタン達。
一方で、
「…そういえば、リュカさんってロッコリに目がないんでしたっけ……」
伊達に彼に育てられているわけではない。
彼が好んでそれらを食べたり液体状、すなわち飲み物にして飲んでいたことを知っている。
ゆえにおもわずぽそっとつぶやいているアテナ。
「性格にいうならば、今のリュカの体がこれに含まれている成分と非常に相性がいいから、なんだけどね」
今のリュカの器となっている肉体の元となっている種族は基本的に草食。
つまり、緑黄色がより含まれている植物などは彼にとってはあるいみこのたびにおけるぜいたく品。
このロッコリ、という品は彼のこのたびの体にあわせて『意思』自らが生み出した野菜であり、
ゆえにその栄養素のバランスは、彼のためにつくられている、といっても過言でない。
もっとも、その事実をしるものはリュカ以外では『意思達』しかいないのだが。
アテナも好んで彼がこの品を食していた、ということしかしらない。
ふわり、とリュカの口の上にロッコリが浮かんだかとおもうと、
それは瞬く間にまるでミキサーにでもかけられかのように液体と化し、
それらはゆっくりと、液体状のまま、まるでストローを通すかのように一本の線となり、
ゆっくりとリュカの口の中にと吸い込まれてゆく……
初回も初回、初めのころにでてきた、とある食材、ロッコリさん。
実はリュカのためにディア自らがつくった野菜だったり。
そのために初期の初期に世間一般にでまわってますよ~
というのをだしたんですけどね(ようやく複線?もどきの回収完了・・・
次回でゼウスも合流予定、です。