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光と闇の楔  作者:
57/74

光と闇の楔 ~反旗組織の要と始祖?~

前回は、キーボードによる大問題発生したがためにあまり進まなかった自覚あり(汗

本当は前回で襲撃最中までいく予定、だったんですけどねぇ……

ちなみに、日本語打ち込みしてるので、さすがにXやらDやらFが使えないと、

打ち込みにもかなり苦労します(汗

今のところDは問題なしですが、XとFがまだ不安定…

どうもキーのしたについてるハメコミシキのやつがきちんとはまっていない模様…



「…何がおこったというんだ!?」

自分達の計画は完璧だったはず。

なのに、この状態はいったい全体どういうことなのか。

「ヤツラの説明と違うではないか!」

彼らがいっていたのは、かの品を使えば敵と同じ能力をもつ味方をえることができる。

そういって自分達にあの品が受け渡された。

たしかに、しばらくは問題なかった。

だがしかし、先日より突如として分けたはずのそれぞれの複製達が、

オリジナル…すなわち、基本となった存在にと吸収されていったと報告があがってきている。

さらにいえば、複製達を吸収したオリジナルともいえる彼らはさらなる力を得たようでもある、とも。

やはり、始めからだまされていたのか。

そんな疑念も脳裏をよぎるが、

「それが、あちら側も今現在、情報収集に追われているらしいです。

  リュカを向かわせて確認しましたところ、彼らもその【能力】は把握していなかったらしく……」

複製【品】を本家が吸収すればそれだけ本家が強くなる、というのはどうやら相手も知らなかったらしい。

しかし、本家側はそのことを知っていたらしく、それが計画の狂いを生じさせている。

「…で、その肝心要なリュカはどこいったぁぁっ!!」

各界の状況を随時把握できる彼の存在は組織にとって必要不可欠。

だというのになぜか彼の姿はみあたらない。

「それなんですけど、姿がみえないんですよねぇ~……」

「あれ?何かいつのまにかそこに手紙らしきものがおいてありますよ?」

ふと気づけばいつのまにか、机の上に白い封筒らしきものがおいてある。

表には、丁寧に、【テケリ・ショゴス様御中】と書かれていたりするのだが。

ぴらり、と裏を返してみれば、そこには【リュカ】の名が記されている。

「手紙?……」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ぴらり、と封筒をあけてみてみれば、その中には新たにもう一つの封筒が入っており、

そこには、

【脱会届&退職届】

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

『なにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃい!?』

しばし、その言葉を垣間見たメンバーの全員の目が点になり、

次の瞬間、何ともいえない叫びが彼らの本拠地の中にと響き渡ってゆく……




            光と闇の楔 ~反旗組織の要と始祖?~




「うううっ!大主様、人扱いがひどいっ!!」

思わず愚痴をいいたくなってしまうのは仕方がない。

絶対に。

そもそも、いきなり、三の意思より、大姉の元にいくように、と言われたとおもえば、

目の前に広がるは無数の異形の存在達。

「というか、何だってこんなに【バイアクヘー】もどきがいるんですか!?大主様っ!!」

愚痴をいいつつも、その手から発生させる光の光線のような代物でそれらを次々倒してゆくリュカ。

しかも、どうみても、ここの【ハスターの使い】…という感じではなさそうである。

確かに、この【地】否、【太陽系】にも同じような輩は存在している。

それらの外見をあげるとすれば、鳥でもなくモグラでもなく、ありや蝙蝠ではなく、

それらを融合したような複合した体が腐乱したいわゆる【合成獣キメラ】のようなもの。

しかし、しかしである、目の前にひろがる様々な色合いの異形の存在達は、

どうみてもここには存在しない生き物も混じっているようにと垣間見えるのは気のせいか。

「突如としてこの太陽系に侵攻してきたのよっ!こいつら!

  とにかく、頑張って!リュカ!あっちが片づいたらロキ達も応援にくるはずだからっ!」

侵攻というよりはむしろ侵略に近い。

狙いはわかっている。

だからこそここで食い止めなければ自分達の未来はない。

文句をいわれつつも、その身すらをも実体化してそれらに対し応戦している大主、

ともよばれている、この太陽系の要たる太陽の意思。

「…だからって、何で僕がこんな物騒やヤツラと戦わないといけないんですかぁぁっ!!」

いきなりの呼び出しであったので、とりあえず退職願というか退職届はだしておいたが。

正確にいえば届をそのまま手紙の形にしてそこに移動してもらうように三の意思に頼んだのはつい先ほど。

いくら、いくら自分がかの異変時に突然変異をした種族とはいえ、

宇宙空間にいきなり呼び出さないでくださいっ!

…そんなリュカの心の叫びを聞くものは…いない……



「そもそも、アース様、いきなり呼び出しておいて、さらには、この子が次代様!?」

もはやもう、頭の中は混乱している、といってもいい。

いきなり呼び出されるのはもう慣れた。

しかし、しかしである。

きょとん、としている表情をしている少女が【次期マァト】だと聞かされて混乱しないほうがどうかしている。

「あら、懐かしい呼び名」

「懐かしい、でなくて!で、私を呼ばれた理由は何ですか?」

そんな彼女の台詞にのんびりとそんなことをいってくる目の前の意思たる存在の言葉に

思わず突っ込みをいれつつも、理由を聞かなければ先に進まない。

そう判断して問いかける。

「この美希様なんだけど。前にいたところから当人も気がつかないうちにここにきてしまったらしくて。

  …まあ、理由は判るけど。大姉様から聞いていた情報によれば、

  たしかこの御方がいた世界って魔科学とかが発展した魔力に満ちた世界だったはずなのよね」

魔科学などといった代物を完全に理解し、説明できる存在といえば、彼女、サクラほど適任者はいない。

かの地と比べてどこまで魔科学力が追いついているかどうかはわからないが、

すくなくとも、何もわからないままにここに【移動】した佐藤美希、と名乗った少女の道しるべくらいにはなる。

「というわけで。しばらくサクラ。あなた、この御方の付き添いね」

「何が、というわけなんですか!?」

「仕方ないでしょ?

  そもそも、次代の【移動】は当人の無意識下と、【当代の意思】によって行われているもの。

  かといって、この世界にこの次代様を一人で行動させるわけにもいかないし」

自分の意識はあくまでも、惑星、としての意識でしかない。

どうやら当人は自らを人、と信じて疑っていない。

そもそも、惑星の意思だ、と名乗ったときに唖然としていたことからも、

惑星などといった代物に意思があり形を成せる、とはゆめにもおもっていなかった、という感情が読み取れた。

本来ならば、【器】たる【次代】の感情は絶対に読み取れない。

しかしそれが読み取れた、ということは当人の感覚的には完全に人のそれと変わりがなくなっている。

ということに他ならない。

いつ覚醒するかどうかもわからない以上、

やはり、【人】としての心をもった存在を傍においておいたほうがよい。

何よりも少しでも話しが通じる相手がいることにより、彼女の気が休まれば、という思いもある。

「でも、補佐官様、なんで学校にかよってるの?」

二人の会話を横でききつつも、きょとん、と首をかしげてといかけているヘル。

「…まあ、いつもの気まぐれ…イエ、ナニデモナイデス」

そんなヘルに続き言いかけたロキに対し、横目でにらむとボウヨミで明後日のほうを見始めるロキ。

「あ、あの?ディアさん?この方たちはいったい?」

いきなり現れた美青年といっても過言でない青年と、美少女の部類に入る少女。

その名もロキにヘル…どこの北欧神話ですか?ねえ?

そんなことを思いつつも、事態についていけずに茫然としている美希。

いくら言葉が違えども、彼らは彼らでどうみてもフランス語で会話している。

ゆえに名前くらいならば把握は可能。

美希としても自分がおかれている立場と状況がまったくもってのみこめない。

そもそも、先ほどきいた、この惑星の意思が実体化している、というのも信じがたい。

だがしかし、彼女の知っている最新の研究結果においても、

どうやら星にも意思がある、という研究結果は証明されている。

その意思がどのようなものなのかまではいまだに証明されてはいなかったが……

そんな茫然としている美希に代わり、戸惑い気味にとディアに問いかけているヘスティア。

伊達に教師、という立場についているわけではない。

不測の事態がおこっても、絶えず冷静に対処するように、との教育はうけている。

まったく状況が理解できない。

それゆえに問いかけるヘスティアの判断はおそらく間違ってはいない。

「…ロキ様にヘル様まで……しかも、なぜにサクラ教授まで?」

教授、とはサクラが自分のことをそう呼んでほしい。

と魔界、天界の存在達にいっている呼び名。

伝道師であることには違いがないのだが、自分はあくまでもいまだに研究者でありつづけている。

ゆえにこそ、そのように呼び方も徹底しているサクラ=フラクタル。

そんな彼らの会話を聞きつつも、ぽそっとつぶやいているアテナ。

どうやら、補佐官に関すること以外ならば口にだせるらしい。

そのことに気付き、はっと口元にと手をあてる。

「そういえば、ロキはしばらく眠ってたから今の現状はあまりわかってないでしょ?

  アンと一緒に学校にかよってみる?今地上界における常識とか身につける手っとり早い方法だけど」

ディアがそういったその刹那。

「…三の姉様、それ、無理です。大姉様からの伝言です。

  次代様の気配に気づいた輩が襲撃してきた模様です」

「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」

ふわり、といきなりその場、彼女達の頭上にいきなり浮かぶ一つの人影。

「ええ!?偵察隊じゃなかったの!?アレら!?」

とりあえず、リュカを向かわせたのでどうにかなった、とおもっていたのだが。

いきなり現れた第三者に驚き、ディアとロキ以外はその場にて驚きを隠しきれない。

全員が全員、空に浮かんでいる子供らしき人物を唖然として眺めていたりする。

「ええ。偵察隊、ですね。…おそらく、波動を感知してやってきたのでしょうけど……

  私たち全員でどうにか対処しなければ、危険、との大姉様の判断です」

「…あ~…まあ、そりゃねぇ…こんな弱小な場の力じゃ、危険なのはわかるけど……」

世界の理に反対する輩は、何もこの世界における問題ではない。

そもそも、銀河そのものの存在すらをも不服としている輩も存在している。

つまり、完全なる滅びと終焉を願っている輩もいるのである。

そして…そういった輩が狙うのは、【器】である次代のマァト。

次代、という仕組みをとっている銀河において、器が死ねばやがてあらたな器が誕生する前に、

問答無用で銀河空間は疲弊し、下手をすればそのまま力が暴走し消滅してゆくこととなる。

彼らは常に空間の歪みを察知しては、それらに偵察隊を向かわせているらしい。

しかし、その偵察隊にここにその【器】が移動してきた、と知られるわけにはいかない。

絶対に。

ならば、今すべきことは……

「アテナ!あなたはロキとヘルに協力して!ラウ、こうなったら悠長なことをいっている暇はないわ。

  …いっきに、始祖となった元を呼び出して、彼らの【思い】を一度駆逐しなさい」

すっと立ち上がりつつも、その場にいる、アテナ、ロキ、ヘルをそれぞれ一瞥したのちに、

きっぱりはっきりと言い放ち、

そして。


「Laissez vrai pouvoir de toi detacher maintenant ici et,

  comme pour la chose de mon intention, faites-le」

――我が意思のもと今ここに汝らの真実の力を解放せん


次の瞬間。

空気を震わさんばかりのそれでいて空気に溶け込まんばかりの不思議な旋律が、

辺り一帯にと響き渡る。


『C'est un coeur(御心のままに)』


その声をきき、その場にてぴしっと自然と姿勢を正し、うやうやしく礼をとるアテナとロキ。

この【声】に彼らは逆らえない。

否、逆らうことすら畏れ多い。

旋律とともに、自らにかけられていた力の枷が完全に解放されたのを瞬時に理解する。

そのようなことができるのは、世界広し、といえどもアテナが知る限り一人しかいない。

いつもは、代理、として補佐官がその意思を伝えていた。

今回もそうなのか、しかし、声にふくまれていた力はいつも【天界】で感じていた巨大なる力そのもの。

少し冷静になれば疑問に思うであろうに、その力があまりに圧倒的すぎて疑問に思う間もない。

そしてヘルに至っては驚愕に驚きに目を染め、それでいてあわてて礼をとっていたりする。

この【声】は【補佐官】のものではない。

むしろ…どちらかといえば…

そのことに思い当たり、驚きをかくしきれない。

その可能性はありえるのかもしれない、とは予測していた。

時折訪ねてきていたアスタロトやノルンからも話しはきいていた。

自らが様々な知識を習得していった過程でもその可能性にはつきあたっていた。

しかし、こういった場でその自らの予測を裏付けることができるなど、夢にもおもっていなかったが。

「では、ヤツラをおびき出すのに、アスタロトも利用しても?」

「彼も退屈してるでしょうし。かまわないでしょ」

何やらさらり、ととんでもない会話をかわしているディアとロキ。

ヘスティアがその会話の意味を理解すれば、まちがいなく止めていたであろう。

「では、場が必要となりますね。とりあえず、今のところ結界が完全なのは、テミスのようですから。

  そこをエサにしておびき寄せますか?お父様?」

伊達にディアやアスタロト、さらにはアテナが滞在していたわけではない。

今、この地上界の中で一番強い結界が張られている場といえば王都テミスより他はないであろう。

自分達がうみだした場では相手も絶対に警戒するのが目にみえている。

しかし、元々ある地ならば彼らもそうは罠、とはおもわないであろう。

「ヤツラは絶対に入れないようにいじっておくから、そのあたりは任せたわ。

  それと、サクラ!」

「は…はいっ!」

何だかとても恐ろしいような会話を交わしているような気がするが、しかし口をはさむ立場ではない。

久しぶりにきいた、【意思たる声】に威圧されつつも、思わずその場にて硬直していたサクラであるが、

名前を呼ばれ、はっと我にと戻り、あわてて返事をかえす。

「あなたは、そこの先生と、あと次代様をつれて、とりあえず王都テミスへ。

  そこで次代様の護衛をあなたにたのむわ」

「は…はい!わかりました!…って、護衛ぃぃ!?」

何やらとてつもない任務をいわれたような気がする。

それはもうひしひしと。

ゆえにその場にて思わず叫ぶサクラをさくっと無視し、

「先生。すいません。なんかちょっと面倒なことになりそうなので。

  先生もとりあえず先に王都に戻っていてください」

「え?え・・?ディア…さん?!」

何が何だかわからない。

直後。

ディアが軽く手を動かすと同時、

その場にいるヘスティアを含む普通の人々の体が瞬く間にと輝きだす。

「…Transfert(転送)」

刹那。

ディアの言葉をうけ有無を言わさず、その場にいる普通の存在達全員がその場より消え去ってゆく……



ゆらゆら。

空中に浮かぶは二つの影。

一つは椅子らしきものに座った黄色いマントを全身に着込み、

その体には黒き帯状の、それでいていくつもの目らしきものがついているそれらが幾多も巻きついている。

それらのいくつかはゆらゆらと、浮かぶその体よりしたにむかって下がっており、

黒き帯状についている目がぎょろり、とせわしなく動いているのが見て取れる。

名状しがたきもの、とはよくいったもの。

そしてまた。

巨大などろどろとしたねっとりとした液体のようなまるでアメーバのような体をもちながら、

その体らしきもののいたるところには、目や鼻、そして口、といった代物が無数に浮かび上がっている。

いくつかの目や口らしきものは、ねっとりとした触手のようなものをその体より伸ばし、

その先に目や口を移動していたりするのが見て取れる。

形なき反逆者。

その呼び名が示すとおり、それにとって形、とはどうにでもなる不安定であり不定期な代物。

「…な、なんだ!?あれは!?」

「うわぁっ!?」

何やら背後からは誰ともなくそんな悲鳴が上がっているようではあるが。

「で、ロキ。こいつらはどうする?」

四億年、という年月はどうやら伊達ではないらしい。

しかもこれらにいたっては正確にいえば五十億年、という時間を蓄積して産まれた、といっても過言でない。

少しばかり、【補佐官】としての気配を解放したように見せかけた道具を彼らに渡した。

ただ、それだけ。

しかし、あっさりと【相手】はそれにひっかかってきた。

彼らの一番の標的は王であり、補佐官の抹殺。

計画が挫折しかけている今であるからこそ、トップを殺せば全ては丸く収まる。

その考えのもと、面白いまでにこの場にやってきた、二つの組織の主たるメンバー達。

さすがに自分達だけの力ではかなわない。

そう判断しているがゆえに、切り札、ともいえる輩を召喚している反旗組織のリーダー達。

彼らの組織のトップにたったものは、彼らの力の源となっている存在を呼び出すことが可能。

その存在の意義を知らないまでも、彼らはそんなそれらを自分達の始祖となりえた力、とあがめている。

事実、たしかに似たような存在であるので、その考え方は間違っている、とは言い難いのだが。

王都における頑丈な防壁。

国を守るためにぐるり、と王都全てを取り囲み張り巡らされている城壁の一部。

その要塞の頂上部分。

そこにつづく足場に出てきていた兵士達が空中にその姿を認め思わず叫びをあげる。

もしもそのまま【ソレ】に攻撃をしかけると、

それぞれから触手が伸びてきて攻撃してきた対象者を有無を言わさずに取り込んでしまう。

いきなりロキが訪ねてきたのにも驚いたが。

一番驚いたのは、敵のせん滅を好きにしていい、といわれた、ということであろう。

しばらく、生徒達のみを相手にしていたので少しばかり暴れ足りない…もとい、遊び足りな…

…でなく、何かも少し濃い行動がしたかったのも事実。

補佐官…否、王の命令でなくてもその案にすぐさま彼は同意したであろう。

「…な、なんなんですか!?アレはっ!?」

一人、それをみて驚愕の声をあげているアテナ。

彼女はソレをみるのははじめて。

まあ、神々の中でソレラの姿を見知っているものなどごくわずかなのだから仕方がない。

といえば仕方のない反応なのかもしれないが。

「何でもクトゥル神話といわれていたソレを参考にして創られた存在らしいぞ」

あまり形式が奇麗でないのでその容姿はあまりアスタロト的には好きではない。

逆にしかし、ベルゼブブはその容姿をかなり気に入っていたりする。

「あっちの肉の塊がショゴス。形なき反逆者、とも呼ばれている存在。

  この地上においてそういった念を抱いていた輩の全てが実体化した存在」

世界に反逆心を抱く念は蓄積されていっていた。

世界が一度滅びかけてもその念が浄化されたわけではない。

どちらかといえば、ちょうどいいのでそれをも利用しよう、としてそれに器が与えられ、生み出された。

知性があるかぎり、どうしても反発心、というのは産まれてしまう。

ならばそれらを吸収する存在を簡易的に創れば多少なりとも安定するであろう。

かつて、伝道師、と今では呼ばれている人々が話し合いの結果生み出した一つの存在。

ちなみに、それの元、となったのはクトゥル神話、と呼ばれていた物語にでてくる、

元奴隷が反逆を企てた、という存在。

その話しを元にして創られた。

そこまで詳しく説明しないまでも、淡々と驚愕しているアテナに説明しているロキ。

今、この場にディアはいない。

他の惑星の意思と共に、惑星の外にて行動している。

「あのショゴスはひたすらに、周囲の生き物や魂などを取り込む性質をもつから気をつけるように」

「…って、そんなのがなんでだからこんなところにいるんですかっ!?」

むしろ、それはもはやもう、神話級といっても過言でない存在なのではなかろうか。

かつての天界大戦争においてたしか似通ったものが出てきたとお伽噺ではきいている。

「補佐官様の気配を感知して、確実に息の根をとめるためにヤツラが呼び出したにきまってるでしょう?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

さらっと言われればそれ以上突っ込みようがない。

「生理的に私はショゴスは受け付けないから。私の相手はあちらのハスターでよいか?ロキ殿?」

幾度みても、アレはどうも生理的に受け付けない。

否、受け付けられない。

どろどろとした感覚はまあいい。

しかし、あの腐ったような匂いとぬるぬるとした感覚がどうも触りたくない。

いくら魔界の大侯爵とよばれ、実力者でも、嫌なモノは嫌であり、

むしろ悪魔だからこそ好き嫌いがはっきりしている、といって過言でない。

「…ハ…ハスタ…って……」

天界の反旗組織のグループの名、ハスター・ホテップ。

その名の由来になったという、とある存在の名前。

天界のお伽噺にもでてきて、あるいみなじみの深いその名前。

さらにいうならば過去にあった天界大戦争においてもその存在は出現し、

天界のほぼ全てを壊滅状態にまで陥らしたらしい。

そんなとんでもない存在の名前がどういて今ここで、大侯爵アスタロトの口から発せられるのか。

ものすごくいやな予感がアテナの脳裏を駆け巡る。

間違いであったほしい。

そんな切実な彼女の願いもむなしく、

「名状なきもの、たしか彼の別名は死の使い。だけどアレは私には関係ない」

きっぱりといいきっているヘル。

いくら目の前のソレが実力ある存在だとしても、ヘルの力には到底かなわない。

それでなくても、先刻、【王】より彼女の本来の力の枷が解き放たれている。

彼女の体が崩壊しないのは、かつて補佐官ティアマトにもらったお守りがあればこそ。

「な、何?いったい、何が起こっているの?!」

この場で唯一、状況をしっかりと理解していないのは…おそらく、アテナ、ただ一人……




「な…何がおこったの?!というか、何これ!?」

気が付いたら、なぜか学校の校庭。

周囲にいる兵士達もまたざわめきを隠しきれない。

「…すご~い。これって瞬間移動?私のいたところでも瞬間は無理だったのに。

  よくて転送だったのに」

外、すなわち宇宙空間から特定の場所に向けての移動手段は確定されていた。

主たる施設などに移動する手段としてもその方法は用いられていた。

どうやら今度は自分だけでなく、周囲にいた人々もまた同じく移動していることからそう結論づけける。

「転送法式がもう確定されていたのですか?そちの世界では?」

おもわずそんな美希にと問いかけているサクラ。

研究者、としての心が騒ぐ。

未知なる知識はより知的好奇心を刺激する。

「え?あ、はい。サクラさんっておっしゃいましたよね?そうです。

  あの、ところで、さきほど、あの少女がいっていたことなんですけど……」

どうやら目の前の女性は日本語で会話がつうじる。

そのことにほっとしつつも、気になっていたことをといかける。

「え?ああ。三の意思様のことですか?とりあえず、改めて自己紹介をいたしますね。

  とりあえず、三の意思様こと、アース様…あ、アース、というのは私たちが以前、

  この惑星をそう呼んでいたから私がそうあの方も呼んでいるだけなんですけど。

  アース様よりあなたの護衛の依頼をうけました。サクラ=フラクタルと申します。

  かつてこの地に普通の人間として生きていたときは、日系二世、です。

  私の母が日本人だったもので。次代様のお名前をお聞かせねがいますか?」

?じだい?ナニ、それ?

その意味が彼女、美希にはわからない。

だがしかし、とりあえず相手が丁寧に自己紹介をしてきた以上、

こちらも丁寧にかえさなければ礼義に反する。

それゆえに。

「あ、私は佐藤美希といいます。あの、じだいって何ですか?」

「次代様は次代様、です。しかし、今は美希様、とおよびしますね。

  美希様はいったいどうしてこの地にやってこられたのですか?」

「それが、私にもわからないんです。母の葬式がおわってふらふらと歩いていたところ、

  いきなり巨大地震が起こりまして……」

大地が裂けたところまでは覚えている。

気づいたときには、別の大地に立っていた。

空から翼をもった女性が舞いおりてきたのも驚いた。

しかし、言葉が完全に通じる、というのは気分的にも安らげる。

何より、目の前のサクラ、となのった女性はどうみても見た目は日本人そのもの。

もっとも、目鼻の顔立ちが整いすぎている、という感は否めないが……

二人がそんな会話をしている最中。

「あ、あの!?いったい何がおこったのか説明していただけませんか!?」

…一人、いまだに混乱しているヘスティアが、そんなサクラにと問いかけてくる。

おそらく、この現状をただ一人、きちんと説明できるのは彼女であろう。

そう判断しての問いかけ。


あるいみ、教師という立場上、人を視る目は確か、のようである……



明日の更新、もしかしたらかなり遅くなるかもしれません・・・


とりあえず、ようやく外(惑星外)の襲撃?も出せ始めた今日この頃…

さて、あと何話打ち込みしたら終わるかな?

ともあれ、クライマックスにむけてがんばります!

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