光と闇の楔 ~動揺と状況説明?~
前々からいっていた、ついでに前日にもいっていた設定集をひとまずあげました。
基本用語等のみをまとめたものですので、こまかなところまでは編集しておりません。
とりあえず基本的なことがわかればある程度の裏設定は理解できる、かと……
しかし、この話し。…大震災前に考えついていたのもあるけど…
今の今で震災だのといった表現でてくるのがあるいみ不適切のような気も…
これ、思いついたのが二月なんですよね…んで設定しきつめてって…
投稿始めたときにはすでにもう物語は脳内完結してる状態だったからなぁ…
いまだに被災地は大変ですが…何もできないのが心苦しい…
さて、ちょっと個人的なことをば。
…せっかくの週に一度のお休みだったのに、ちょっと横に…
とおもって横になったら気づいたらすでに夕方…わ…ワタシのオヤスミ…
…疲れてるんだなぁ…切実に……
※51の題名が中心にこないのでいじってたらおかしくなったのであげなおしました・・・
一瞬、目を疑った。
視界にはいったのはどこまでも青く輝く、写真やテレビで見慣れた代物。
自分自身が宇宙空間に出向いてみているようなそんな錯覚。
いきなり翼が生えた女性が空から舞い降りてきたことにも驚いた。
言葉が通じずに戸惑っていると頭の中にと響いてきた声。
完全には理解できなかったものの何となくではあるが理解ができた。
というか、何でフランス語?
という突っ込みは確かにあるが。
母をたすけたくて自力でいろいろな勉強はしていた。
それに何より、日本語、英語と並んでフランス語は必須科目でもあった。
とはいえ学校で習う語学なので完全ではない。
流暢に話すその言葉を全部理解できるわけではない。
ここは危ないから、と諭され、つれてこられたどこかの避難地らしき場所。
空を飛ぶのにはもはやあまり驚かなかったが。
そもそも、住んでいた場所による交通手段は主にすでに飛行が主流となっていた。
…もっとも、自力で空を飛ぶ、という方法はどこかの研究者が研究していたらしいが、
いまだに日の目をみていなかったが……
抱きかかえられて移動する間、わかったことがただ一つ。
ここはまちがいなく、自分が住んでいた惑星ではない…ということ。
そもそも、月が二つ…どうやら誰かの悪戯で立体映像とかが浮かんでいるわけではなさそうだ。
時折、そういった愉快犯もいたのでそれを期待していたのだが……
たどたどしいながらもどうにかフランス語にて意思疎通ができたのが唯一の救いといえば救い。
というか、子猫用のミルクとかないって…
連れてこられた場所にいた人々の服装をみるかぎり、どうやら魔科学などといった代物はないらしい。
というか文明そのものが中世のような感覚をうける。
連れてきた翼の女性の名前をきいたときは驚いた。
アテナ?
しかも、天界からの使者?
確かアテナってあの神話にでてくるゼウスとヘラの娘の戦女神、だったはず。
…ギリシャ神話ですか?といいたかった自分は間違っていない。
絶対に。
彼女は何でも忙しいらしく、別に話しが通じる人をつれてくる、といわれたのがつい先ほど。
どこかの教師らしい女性とともにやってきた一人の少女。
年のころは自分よりも少し下、といったくらいなのだろう。
ごしごしと目をこすると先ほど一瞬垣間見えた地球の姿はどこにもなく、
そこにたっているのは白っぽいような銀色のような髪の色をした一人の少女。
…うん、もう、何をみても私はおどろかない。
というか、色彩豊かな髪の色の人間がいる、という時点でもうここは地球でないことは確定。
…歪みに巻き込まれて異世界トリップ!?…信じたくないがそう、らしい……
…ライトノベルなどの小説や映画などでよく話題にのぼってはいたが…
…もしかして、これまでの歪みに巻き込まれひとの行方不明者って…どこかにトリップしてたのでは……
元の惑星に戻れるのか、どちらにしてもすでに身よりもないのでさほど思い入れはない。
気になるのはよくしてくれた友達達だけど。
…あの巨大地震だったからな…無事であるかどうかも不明。
そもそも、最後の記憶が崩れてゆく大地、だったのだから。
…私、これからいったいどうなるのだろ?
とにかく、みゅ~ちゃんだけは守らないとっ!
光と闇の楔 ~動揺と状況説明?~
楽しい。
かつて戦いの場に出向いていったときは悲しみのほうが強かった。
母が眠りについてしまい自分達の声も届かなくなってしまったあのとき。
父の嘆きをみているほうがつらかった。
そして母を守り切れなかった自分達が許せなかった。
補佐官様よりあれほど注意するように、と申し使っていたというのに。
だけども、今は違う。
母は永きにわたる不在の調整をするために月にと出向いていっているが、
それでも傍に母のぬくもりをしっかりと感じる。
「さすがは狭間の孤島。楽だよね~」
のんびりと横では待ち焦がれていた父がそんなことをいっている。
それが何よりも嬉しく、力がみなぎってくる。
「ヨル。ヘル。フェン」
『はいっ!!』
子供たちがそんなことを思っている最中、
その手に三日月状の杖らしきものを手にしている青年が、背後にいる三人にと声をかけてくる。
この場において彼らは姿を変える必要性はまったくない。
ゆえに本来の姿、巨大なる狼、巨大なる蛇、そして年若い少女。
巨大な生物の間にふわふわと少女が一人浮かんでいる様子もあるいみ異様といえば異様に見えなくもない。
「とりあえず、界全体に散らばっていた欠片は全て今、扉を通じて回収したことだし」
この場はもっとも、【門】に近い場所。
そしてまた。
「…あいかわらずの力、だな。ロキ。しかしようやく目覚めた、か。
お前達が眠りについてたらどれだけ大変だったとおもっているんだ……」
上空の何もない空間よりそんな声が投げかけられてくる。
よくよくみればゆらゆらと揺れる不安定な空の上に巨大な【何か】が垣間見えているにはいるが。
「ソト・ホースも相変わらず固いよね~。でもまあ、門の役目としては仕方がないのかな?
そうはいうけどさ。あのとき僕としてもどうしようもなかったしね~」
あのままだと確実に全てを破壊しつくしてしまっていた自覚はある。
なので、自らの肉体と魂をわけた【意思】の判断はある意味正しい。
自分の力に呑みこまれ、そのままこの恒星群すらをも呑みこみかねなかったかつての自分。
あのときの悲しみと怒りはそれほどまでだった、と今では自覚している。
完全に怒りがとけた、というわけではない。
しかし、愛する存在は傍にいる。
それだけでも心は安定する。
そして愛する子供たち。
ずっと自分達を守っていてくれた、ということに申し訳なさと愛しさが入り混じる。
純粋に自分を慕うその心をどうして踏みにじることができようか。
「とりあえず、ヨルは妖精界において入り込んでいる【ゾルディ】を喰らってきて。
フェンは精霊界にてユリアナの補佐と【堕ち存在】の処理。
ヘルは体が心配だから僕ととりあえず地上界、だね。
冥界のほうはハデスが霊界ともどもどうにかしてるみたいだし」
冥界、霊界において器をもっているのもはほぼ皆無。
ゆえに、あるいみ【心の結晶】ともいえる【念】にはかなりもろい。
しかし、【念】も裏を返せばそれもまた一つの【魂】のようなもの。
それに意思があるかないか、ただそれだけの違いに過ぎない。
伊達に創世時当時、神として同時にゼウスとともに創られたわけではない。
光の属性、闇の属性、両方をハデスは持ち合わせている。
強いていえば、弟であるゼウスのほうが光の属性が強かったがゆえに天界に残ったのではあるが。
兄であるハデスのほうは光と闇のバランスが常に保たれているがゆえに冥界に移動したのだから。
「お父様?霊獣界のほうはよろしいのですか?」
「あっちはみたところ、ヴリトラがおもいっきり暴れてるから問題ないでしょ」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なるほど』
さらっといわれ、思わずその言葉に納得する子供たち。
事実、霊獣界においては、ここぞとばかりにヴリトラが暴れており、
逆に竜族の長たるシアンはその後始末に追われているのが現状と成り果てている。
ある意味、他の界と違う意味で霊獣界は今現在、混乱に陥っている、といっても過言ではない。
「とりあえず、さくさくっと事はすませるよ!…どうも、面倒なことになってるみたいだしね」
【空間の揺らぎ】を確かに感じる。
相手がどこにいるのかまでは特定できないが、しかし確実に【揺らぎ】は存在している。
それも規模がかなり大きい。
自身の中の力を全てそそいだとしてもその【揺らぎ】には到底かなわない、と本能が告げている。
今現在、【各界】における【ゾルディ】の大量発生は、あきらかに人為的なもの。
心の不安をあおり、それらを発生させたのは、二界におけるこの仕組みに対する反感をもつ、
反旗組織、と呼ばれる存在達。
「しかし、彼らもある意味役立ってはくれたよね」
全ての欠片をこの地にて集めたがゆえに判る。
いくら小さな自らの【魂の欠片】だとはいえ、その数も膨大になれば取り込む力もまた膨大。
今までの力が一だとするならば、今の力はかるく五十を超えている。
どうやら彼らは彼らでかなりの数の複製を魔聖具【神々の黄昏】にて作成しばらまいていたらしい。
その意味では彼らも役にたった…といえなくはないのかもしれない。
「さて。と、それじゃ、ソト・ホース。子供たちをきちんと無事に送り届けてね。
さ、ヘル。僕たちは地上界に向けて出発だよ」
「はい!お父様!」
「…ずるい。ヘル姉さん……」
きらきらと瞳をかがやかせていうヘルと呼ばれた少女とは対照的に、
その巨大なる鎌首をしょぼん、と下げて小さくつぶやいている蛇が一体。
「…ヨルムンガルド。それは仕方ないだろう。我々の中でヘルが一番体が弱いのだからな」
産まれたときから常にその体の崩壊と共にあった妹、ヘル。
父が今手にしている魔聖具を創ったのは、表向きは自分達に対して一人一人接するため、
とかいってはいるが、実際は妹の体と魂をいくつも複製することにより、それらを融合し、
妹の体の腐食と崩壊がとまらないか、と思って創ったことを長男である巨狼フェンリルは知っている。
「これが住んだら家族でどこかにいこうね」
「は…はいっ!」
先ほどまでうなだれていた巨蛇がその言葉をきき、ぱっとその鎌首をもたげる。
「では…門を開くぞ?まあ、お前たち家族が動けばこのたびの騒動もすぐに収まるだろう……」
もっとも、災厄の兄妹とまでいわれている伝説ともいえる三人が動くことにより、
逆に不安をあおるかもしれないが。
それでも今の現状よりははるかにまし、であろう。
ロキとアングルホダの子供たちである彼らは【念】を喰らう能力をも持ち合わせている。
すなわち、【ゾルディ】として発生してしまったそれらの器と、それに至るまでの念。
それら全てを喰らい尽くすことが可能。
ゆえに彼らが動けば今の事態は大きく好転する。
それこそ、【王】自らが再び奇跡のようなことを起こす必要性もなく。
全員がこくり、とうなづいたのを視てとり、
ゆっくりと【ソト・ホース】と呼ばれていた【門】はその扉を開いてゆく。
門が開いたその先に視えるのは、真っ暗な空間。
その先にそれぞれの界に続く道があり、そこから様々な界へと移動することとなる。
しばしそんな会話をかわしつつ、この場において一時期彼ら四人はそれぞれ別行動をとることに――
「…え…え…えええ~!?」
【言霊使い】の能力をもつ生徒がいる、とは聞いていた。
これまでの授業で彼女のクラスを受け持ったことはあったが、
実際に直接会うことはなぜかなかった…とおもう。
ギルド学校の教師であるヘスティアに連れられてやってきたディアの姿をみて思わず叫ぶアテナの姿。
本来ならば、ディアはその身に不可視の術を纏っているのだが、傍にいる存在が存在。
その場に本来ならばいるはずのない、黒髪の少女の【力】により、全ての術や力は無効化されてしまう。
…もっとも、黒髪の少女自身にはまったくもってそのような自覚は皆無、なのだが……
両親以上、ましてや育ての親以上に誰よりも憧れている存在。
いくらその容姿が多少かわろうと、その気配は間違いようがない。
「Je defends qu'il fasse une remarque supplementaire d'une chose au sujet de moi」
――我に関する事を付言するのを禁ずる
これ以上、何か問題発言をする前にひとまずけん制。
…ティアマト様!?どうしてそのようなお姿でこのような場所に!?
そういいかけるアテナの声は声にはならず、ただただ口をぱくぱくさせるのみ。
「ディアさん。この子が先ほど説明しました言葉の通じない女の子です。
あなたの能力ならばどうにか会話が成り立つのではないか、とおもいましてね」
道すがら、言葉の通じない少女のことは、
横にいる担任教師でもあるヘスティア=アルクメーネより聞かされている。
「あ…あの?あなたは……」
連れてこられた少女…つまりディアの姿をぱちぱちと目をさせつつ凝視したのち、
戸惑い気味にと問いかけてくる黒目黒髪、さらにいえば上下とも黒服に身をつつんでいる少女。
この服装についてはディアは覚えがある。
かつてとある大陸の中の国にて【学生服】ともいわれていた代物。
しかも、今目の前の少女が語った言葉は……
「に…日本語!?」
思わず突っ込みをいれたディアはおそらく間違ってはいないであろう。
今ではもはや使うものは伝道師の一部のみくらいになっているその言語。
「に…?ディアさん?この子のいっている言葉がわかるのですか?」
ディアの言葉をうけて、横で首をかしげているヘスティア。
「え…ええ。と、とりあえず、しばらく私に任せていただけますか?」
どうして日本語なのか、というかどうしてこの御方がこんなところにきたのか。
疑問は尽きない。
しかもみたかぎり、当人は自分のことに気付いた様子もみえない。
どうやらその本質は一瞬見抜いていたようではあるが、それでも本質がわかたわけではなさそうである。
そのことからどうやら目の前のこの【器】となるべき【御方】は自分のことに関しても、
また力に関しても完全に覚醒を果たしていないらしいことは容易に予測はつく。
…たしか、覚醒していない器ほど厄介だっていわれてなかったっけ?
おもわずかつて聞いたとある伝承が心をよぎる。
とりあえず、当人に自覚がない以上、普通に接する以外に方法はない。
それゆえに。
「えっと。はじめまして。とりあえず今はディア、と名乗ってはいますが、正式な名前は別にありません。
かつてはアースとか色々と呼ばれてはいましたが。好きに呼んでくださって結構です。
恐れ入りますが、あなたのお名前を聞かせていただけますか?」
とりあえず、ディア、という名はあくまでも偽名というか一つの仮初めの名。
自分達に正式な名前はない。
いくら何でも当人に自覚がない、とはいえ【器】である【意識体】に嘘はつけない。
それゆえに無難な自己紹介をかねて問いかけているディア。
「に…日本語!?よかった~。私、フランス語苦手で……。
あ、はじめまして。私、佐藤美希、といいます。というか、名乗ってるとか、正式な名前がないって…
あの、というか、ここ、どこなんですか?…私がいたところでは確実にない、とおもうんですけど。
そもそも、ここにも日本語があるんですか?」
聞きなれた言語をききほっとしつつも、
ディア、と自己紹介してきた少女に問いかける佐藤美希、となのった黒髪の少女。
「あの、あと気のせいかもしれませんけど、何であなたに関することをいわないように、
とかいきなりこちらの女神さんにいってたりしたんですか?」
いくら何でも彼女にとっては神話の中の人物と同じ名前の女性。
ゆえに、名前を呼び捨て、というのも悪いような気がして、無難な呼び方で落ちつけている。
「あ~。すこし色々とありまして。彼女、暴走したら面倒なんですよ。
周りが見えなくなる、というか自分の世界に浸る、というか。そのためのまあ処置、と思ってください」
「・・・・・・・・・よくわかりませんけど。何となくは理解しました」
自分の世界に浸り、周りがみえなくなる、という友人は彼女、美希にもいたのでよくわかる。
あまり突っ込まないでほしい、という気持ちもよくわかる。
何しろ妄想などに突入してしまったかの友達を現実に引き戻すのにどれだけの動力を使ったことか。
…その友人も幾度も続く世界異変によって起こった噴火に巻き込まれて命を落としたが……
不幸であった、としかいいようがない。
彼女ののっていた飛行機がよもや噴火の余波に巻きこれまたのは。
噴火の兆候があるから、というので国から脱出の指示があり、避難していた矢先のことであった。
ふと今はもういない友人のことを思い出しつつ、はっと我にと戻り、
「とりあえず、そのことについてはあまり聞かないことにして。
あなたも日本語を話せるんですか?というかここにも日本があるんですか?」
まずそれが聞きたい。
日本語がある、ということ自体がとても嬉しいが、しかしここでは日本語ではあっても日本語、
というのではないのかもしれない。
すでにもう、女神だの何だのという存在がいる以上、ここが地球ではないとは自覚している。
それゆえの問いかけ。
そういえば、別の同じような進化を遂げていた惑星に彼女はいたって大姉様がいってたっけ……
ふと先日の会話を思い出し、彼女が多少なりとも勘違いをしていることにと思い当たる。
「とりあえず、詳しく説明しますね。あ、えっと、美希様は宇宙の仕組みをどれくらい理解されてますか?
とりあえず、いえるのは、今美希様がいるここは、美希さまがおられた銀河系ではなく、
別の銀河系であり、同じような進化をおそらくは遂げてはいるとはおもいますが。
ここもまた、太陽系とよばれる恒星群にあたります」
この世界の文明レベルから見ても、宇宙だの銀河だのといった言葉がでてくるとはおもわなかった。
それゆえに多少目を丸くしつつも、
「銀河団までは私たちの惑星では把握していましたけど。
というかそこまでは自由に旅も可能でしたし。他惑星への移住もできてましたし。
ここにも銀河とか宇宙とかという概念があるんですか?」
とりあえず自分のもっている常識を説明したのちに、疑問におもっていたことを問いかける。
「ああ。これは私のような存在や、一部の存在しかそういった概念はもっていません。
とりあえず……」
いいつつ、その場にかがみこみ、
ふっと手をかざしたその先にちょっとした小さな棒のようなものを虚空から取り出すディア。
そのまま地面にいくつかの円のようなものを描きつつ、その円をいくつか書いたのち、
その円もまた巨大な円と成り果てる。
「ここが、私たちの存在している銀河系です。ここはこの銀河の端の部分における恒星群、です。
もっとも誕生してからまだ約50億年しかたっていませんが。
ここの宇宙が誕生したのが約150億年といわれてますから、まだまだ若い銀河なんですけどね」
地面に描いた一つの円を指し示しつつも、佐藤美希、と名乗った少女に説明してゆくディア。
「宇宙地図とかはないんですか?」
「とりあえず、用途がないので私は今手持ちにはないのですが……
とりあえず、大姉様を通じてならば手にはいる可能性はあります。
ですがおそらく、あなた様が今までいたという銀河の地図はこのあたりにはない、とおもいますよ?」
おそらく、元いた場所の地図とこのあたりの地図を見比べて帰る方法でも摸索しようとしているのであろう。
そう予測をつけたがゆえに説明するディア。
元々、惑星であるディアは地図などといった代物は用をなさない。
そもそも、基本的に遠くに出向くとしても意思が惑星を離れる、ということは、
その間、惑星における意思が涸渇することにより、下手をすると惑星事態の衰退にもつながりかねない。
まだ同じ太陽系内部ならば移動しても問題はない。
基本となるべき核たる太陽の加護をうけている空間内ならばどれだけ移動しようが問題はない。
が、加護が届かない場所においては、確実に自らの器である惑星に何らかの影響がでる。
「ともあれ、ここの説明に移りますね。ここには確かに昔、日本、という国は存在していました。
でも今から四億年前。人類が愚かにもちょっと間違いを起こしまして。
一度全ての地上における生命体はほとんど死滅してしまったんです。
その後、新たな理を元にして今の仕組みの元に世界は再生したんですけど。
今現在のこの惑星…あ、ここも一応、かつては地球、と呼ばれてはいましたけど。
とにかくここには、今現在、天界や魔界、といったかつては神話、として人類に伝わっていた伝承。
それらを元にした世界が実際に存在するような形になっています」
「?…あ~。もしかして、昔、この地にもギリシャ神話とかといった代物があったんですか?」
ならば背後にいる女神アテナ、となのった人物のことも納得はいく。
…あまり納得したくはないが。
「人類における空想力は目を見張るものがありましたからね。
いろいろとありましたよ。クトゥルに北欧にギリシャに悪魔論に……
もっとも、今ではそのことを知っているのは私のような【存在】達と、一部における【存在】のみですけどね。
その一部の存在、というのは伝道師、とこの地では呼ばれています。
彼らはかつて過ちを起こしてしまった人類の代表者です。
二度と同じ間違いを起こさないために、その魂に枷をつけて理をもって楔でつないであります」
その説明で理解できるかどうかはわからないが。
しかし一応説明しておく必要性はある。
そのような説明をうけつつも、ふと
「…さきほどから、私のような【存在】とか、何かあなたは人ではないような言い回しをされてますが…?
それに、女神さまの反応もきになるんですけど…?」
文明が発達しているのならばまだわかる。
しかし、今、たしか目の前のディア、と名乗った少女は一度、人類はおろか、
生命体は全て死滅した、といっていたはず。
なのにどうしてそこまで詳しく説明できるのか、それがわからない。
しかも先ほどからの言い回しだと、どうも人ではないような印象をうける。
気のせいなのかもしれないが、何となく、目の前の少女の姿をしている人物は人ではない。
そのような気がして仕方がない。
始めて目にしたとき、その姿が一瞬、地球そのものにみえたのにも起因しているのかもしれない。
「まあ、隠していても仕方ありませんし。ええ。私は人、ではありませんよ?
あくまでもいまは人のフリ、をしていますが。【器】は大切ですしね。
私には実体があるようで実体はありません。私はこの惑星の意思、そのもの、ですので」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい?」
一瞬、目の前の少女のいっている意味がわからない。
ゆえに、佐藤美希、と名乗った少女はしばし目を点にしその場にて固まってゆく……
「?ディアさん達は何を話されているのでしょうか?」
「…さ、さあ?」
いきなり判らない言葉を話し始めた目の前の二人。
ヘスティアからしてみれば生徒がいきなり意味不明な言葉で話し始めたにも気にかかる。
すくなくとも、ヘスティアにとって、ディアは守るべき担任している生徒の一人。
どうやら言葉の通じなかった少女に敵意はないようなので危険はない、とはおもうが。
それでも心配なものは仕方がない。
一方、アテナのほうはといえば気が気でない。
そもそも、どうして天界の補佐官であるティアマトがその髪の色と瞳の色を変えてこの地上界にいたのか。
言霊使い、とは聞いていた。
しかし、ティアマトならば全てのつじつまがあう。
というか、言霊使い、なのではなくて全てを統治する立場にいるティアマトならば全てが従って当然。
「…あ~…だから、大侯爵様が使いっぱしりをさせられていたのか……」
ここにいたり、学校の中で聞いていた噂をふと思い出す。
いわく、大侯爵、と知られてはいないものの、アスタロトことアシュタロスと名乗っている魔界の実力者。
その彼が一生徒にしか過ぎない少女にほぼ使いっぱしりのようにあつかわれている、とはきいていた。
よくよく話しをきけば、ヴーリ、と呼ばれる少女と、ディア、と呼ばれる少女によく使われているようではあったが。
当人に確認してみても、言葉を濁すばかりでラチがあかなかったが……
ヴーリという少女は、学校側からも竜族、と説明をうけたのですぐにピン、ときた。
というか、神竜様は何名前をかえてわざわざ学校にきてるんですか!?
という思いが先にたったのはいうまでもない。
しかし、傍にいるであろうディア、という人物が、実は補佐官、なのば全てのつじつまがあう。
アスタロト大侯爵もまた天界の補佐官に対し尊敬と畏怖の念をもっているのはアテナとて知っている。
彼女に命じられれば彼はまちがいなく動くしかないであろう。
基本、悪魔という存在は力が全て。
つまり実力のある存在には絶対に逆らえない。
本来ならばかなり意識が高騰し舞い上がること間違いなしのこの現状で、
どこか冷静でいられるのは、先ほどの補佐官、ティアマトの言葉による枷が利いているのだ、と理解できる。
あの言葉には、感情すらにも枷をかける効果があったらしく、ある程度までの感情はたかぶれど、
それ以上の感情の高ぶりは見受けられない。
しかし…しかし、である。
「…ほんと、何を話されているんでしょうか…?」
言葉の通じなかった少女。
その少女とまともに話している補佐官ティアマト。
補佐官ならば自分達の知らない言葉知っていても不思議ではない。
ないが話しの内容がきにかかる。
そもそも、地面に描いたいくつもの円は一体何を意味するのであろうか。
二人してそれぞれそんな思いを巡らせているそんな中。
「アテナ様!ここより下った先の町にてゾルディが大量発生した模様ですっ!」
突如として伝令兵が緊急事態が起こったことを告げにやってくる。
補佐官のこともきにかかる。
しかし、今自分のやるべきこと。
「わかった。ヘスティア殿。では私はいってきますので、後はよろしくおねがいします」
後ろ髪を引かれる思い。
とはまさにこういうのをいうのかもしれない。
しかし、憧れの補佐官にいいところをみせる機会には違いない。
ゆえに、気を取り直し。
「あいわかった!私が直接にでる!皆は民の避難を優先するようにっ!」
『はっ!!』
凛とした姿勢でその場にいる兵士達にと指示を飛ばすアテナ。
何やら話しこむ、ディアと美希とは対照的に、襲撃の一方をうけた避難地、
と美希が感じていたが、実は被害における対策を施すための陣営の一角。
そんな一角においてそんな光景がしばし見受けられてゆくのであった……
宇宙、銀河誕生の定義は、定説よりも多少プラスしてある年代にしてあります。
例:宇宙誕生歴/137億年→150億年
例:太陽系形成/46億年前+4億年→50億年
このような形で変えております。あしからず※現代宇宙論の最新定説を元にしてあります
まあ、器である美希には嘘はいえない、というか言ったら恐ろしい(まて)ので、
さらっと真実暴露しているディアだったり(力が力…ですからねぇ…しみじみ…
もっとも、二人は日本語で話しているので周囲にその認識は不可能、です。
美希という人物は、あるいみこの物語のもう一人の主人公でありヒロインさんvでもあります。
まあ人物設定の紹介でおもいっきりネタバレしてますけどね(苦笑
さてさて、今回で襲撃?にまでいけるとおもったけど容量的に次回に回します。