光と闇の楔 ~反旗組織と魔聖具~
ぱたぱたと、メモ帳にかいてた設定をまともに編集してたら、
いつのまにかかなり時間が経過……
なので打ち込み遅れました……
「…あら?」
こんなところにどうして?
ふといつものように見回りにとでていた。
ふと目にはいったのは、ふらふらと歩いている一つの人影。
全身真っ黒な服を着ているのもきになるが、気配からしてみてもどうみても人以外の何ものでもない。
みたところまだ子供らしく、しかも何も武器防具らしきものはまったくもってもっていない。
よくよくみればその服の中から小さな顔がちょこん、とのぞいているのがみてとれる。
バサッ。
このままでは惨事は免れない。
ゆえに、その背の真っ白い翼をはためかせ、眼下の少女にむかって舞いおりてゆく。
「…きゃっ!?」
どこを見渡しても町らしきものはまったくみえず、自分がどこにいるのかもわからない。
見上げる空にかかっている太陽は見慣れたもの。
地震の影響で多少なりとも空間に歪みが生じてどこかに飛ばされたのかもしれない。
そんなことを思いつつもとにかく誰かを探さないと、とおもって歩いていた。
しかし、こんな自然豊かの場所が今現在の地球上にあったであろうか?
という疑念はつきない。
マダガスカル島の辺りか、もしくは南国の島々か。
何かの声がきこえたような気がした。
しかも何か動物の唸り声のようなもの。
道らしきものがあることから絶対に誰か人は住んでいるとはおもうのだが。
いったい自分はどこに飛ばされたのであろうか。
伊達に魔科学、という代物が発達していたわけではない。
時折、世界の魔力…霊力、とも言われているが。
ともかくむそれが歪み、突発的に別の場所と繋がる現象が起こることは証明されている。
ゆえに、今の自分もその現象に巻き込まれたのだ、と思っているのだが……
「みゅ~!」
ふと、懐に入れている子猫のみゅ~が空を見上げて何か訴えかけてくるように鳴きはじめる。
「みゅ~ちゃん?何が・・・って…嘘…」
言われて見上げたその視界にはいったのは…ありえるはずのない、黒い月と…白い月。
月が二つある、など聞いたことがない。
ここってまさか、地球上ではないの?
ありえない。
というか誰かの悪戯で月が二つあるように視えているだけだ、と信じたい。
混乱する思考の中、その場にしばし立ちつくす。
…真っ白い残像が彼女の元に羽ばたきの音とともに舞い降りる……
光と闇の楔 ~反旗組織と魔聖具~
ふらっ……
さすがに力を常に出し続けて入れば精神力が涸渇してくる。
自らの分身ともいえる【彼ら】であるが、同時に侵攻してくれば疲れもするというもの。
それでなくても今はある出来事がおこるかもしれないのでさほど力は使えない。
自らの力が弱まれば、すなわち、世界における精霊…つまり目に見えない物質的な力が涸渇する。
大気の中の成分や、この世界に蔓延している成分のほとんどは自らの管轄のうち。
「あ。いたいた~、ユリアナ~」
精霊界の中心部においてその力全てを界全体に注ぎ込んでいた。
そんな矢先、何やら間の抜けた声が聞こえてくる。
「…リュカ殿?」
パタパタと飛んでくる黒い蝙蝠から発せられている声はあきらかに、意思につかえる【リュカ】のもの。
おそらく中心地にいるであろうと予測をつけて飛んできたら案の定。
精霊界の神でもあるユリアナは中心の聖なる場において結界を張るべく力を注いでいた。
「うん。僕~。あのね。あのね。主様からの伝言だよ~。
『今後のこともあるので、ラウフェイを目覚めさせます』だってさ~。確かにつたえたよ~?」
ラウフェイ。
それは今、このような状態に陥る原因ともなった、邪神ロキの真名。
今のこの現状は彼の創りだした魔聖具によって産みだされた傀儡的な意味での精霊王。
彼らが敵の駒として攻めてきているからに他ならない。
さらにいえば、精霊界にも【ロキの魂の欠片】はいくつか入り込んでいた。
もっとも、異物はすぐさまに察知し、すばやくヘル達にと引き渡してはいるが……
「では…もう少し頑張ればどうにかなる…のですね……」
この現状をみて、彼が何もしない、とは思えない。
というか、むしろ絶対に逆に行動を起こすであろう。
…まあ約二名ほどその対象外になる可能性のある神はいるが。
それはまあ彼らの自業自得。
と。
「…あれ?あ、目指せ覚めます。でなくてもう目指せさせたみたい~」
感じる波動はあきらかに、懐かしいもの。
さらに今まで薄かった月の加護の気配もまた濃くなっている。
それに気づき、先ほどの伝言を訂正している蝙蝠ことリュカ。
「…月の力が…?では、嘆きの女神も目覚められたか……」
おもわずほっとしてしまうのは仕方ないであろう。
精霊達もまた月の力に左右される存在。
かつて新たに創りなおされた【月】は全ての力を照らし、そして先を照らす役目をもっていた。
その力が月の女神である彼女が眠りについたことにより涸渇していたのはいうまでもない。
【世界】全ての力を反射し、隅々までその力を行き渡らせる。
それが【月】がもつ本来の役割。
そのように、かつての大異変のときに壊れた月は創りなおされた。
「…って、月の力が回復したら、テケリもハスターも行動をやめるかな?
ううん。それはないか。だまって報告にまわってるからなー。また間者にもどらなきゃ。それじゃ~ね~」
いまだに組織に入り込む、という任務は終わっていない。
ゆえに伝えるだけ伝え、パタパタとその場から飛び去るリュカ。
そんな彼の後ろ姿を見送りつつ、
「では…私ももうすこしがんばりますか」
月が回復したのならば今まで以上に頑張りがきく。
ゆえに、気を引き締めて、あらたに界全体にとその力をもってしての結界を施してゆく――
「誰だ!?」
突如として目の前に現れたとある青年。
その整った容姿からしてただものであるはずはない。
だがしかし、ここ、組織の本部には仲間にしかはいれないように結界が施してあったはず。
その結界をやすやすと越えられる存在、といえばかなりの実力者に限られる。
柔らかな薄い金色の髪に金色の瞳。
その瞳に光があたるたびにゆらゆらとその色が変化しているようにも垣間見える。
「うん。君が今代のショゴス?また今代はかなり若者が代表者になったものだね~」
思わず素直な感想を漏らす。
大体、この組織においても、もう一つの組織においても不思議と代表となるのはいまだに若い存在達。
つまりはあまり年をかさねていない存在が大多数。
若いがゆえに自分の力に盲信し、絶対的な力を持ちえている、と勘違いしている輩が少なくない。
闇に所属しているとはいえ、その髪は明るいまでに金色に輝いている。
その背には白き鳥の羽のような翼が垣間見えていることから、鳳翼種とも呼ばれるどうやら天界人らしい。
その白き羽が多少くすんでいるのをみれば、光の住人であるがゆえにその心に闇を宿し、
ここ、魔界にやってきたのであろう。
光が強ければ強いほど、その心が闇に閉ざされたとき、より闇の濃さは増す。
そして、闇を打ち払うにはそれ以上の光が必要となる。
それは必然の理。
警戒を崩さない羽を有した青年に語りかけている男性は気を抜けば同性でも見惚れてしまうほどの整った顔立ち。
何の心構えや自分自身に防御の術を常に張り巡らせていなければ、
彼のもつ独特な雰囲気に呑みこまれ、まちがいなく見惚れてしまう。
それも男女問わず、種族問わず。
「ウボ・サスラの欠片を取り込んで組織のトップに立つまではまあいいとして。
とりあえず、品物は返してもらうよ?」
自らが組織のトップだ、と目の前の男は理解しているらしい。
しかし敵意も何もみえないようにみえる。
みえるが仲間、とは到底思えない。
むしろ何となく嫌な予感のほうが先にくる。
そんなことを思っていると
「Rassemblez-vous dans ma main」
――我が手に集え
「Un saint et un diable et un bâton de l'intervalle」
――聖と魔と狭間の杖よ
「Maintenant ici」
――今、ここに
突如として目の前の青年が不思議な旋律を紡ぎだす。
…しまった、精霊の歌か!?
そうは思うがすでに遅し。
次の瞬間。
「……な!?」
目の前の男性の手に突如として握られた杖をみて思わず驚愕の声をあげる。
しっかりと保管していたはずの、彼らにとっては聖なる杖がこともあろうに、
目の前の不法侵入者の手にしっかりと握られていたりする。
ありえない。
そもそも、アレにはきちんと登録をしておいたはず。
他者の意見を簡単にきくような代物ではないことは彼は使用してみたがゆえに理解している。
「まあ、これを使うな、とはいわないけどね。
だけど。使い方がちょっと気にいらないのも事実なんだよね」
これを本来創った目的とはかけ離れた使い方を彼らはしている。
多少の混乱を招くだけの悪戯目的でつかうのは構わない。
しかし、大切な【家族】を引き裂く使い方を目の前の彼らの組織はしていたりする。
何よりも【家族】という絆を大切にしている【彼】にとってその使い方は許せない。
「さってと。Au chiffre qu'il devrait y avoir originairement(本来あるべき姿へ)」
目の前の美青年、としかいいようのない人物がそうつぶやくと同時、
彼の手の中にあった杖が瞬く間に光輝き、その形状を変化させてゆく。
その先端についていた水晶が光輝き、その形は花のようにと変化する。
さらに杖の色も茶色いどこにでもある色から銀色へと変化をとげ、
杖の先端ともいえる先もまたまるで三日月のごとくに形状をかえてゆく。
これこそが、本来のあるべき【神々の黄昏】の姿。
今まで彼らがつかっていた杖の能力はあくまでもほんのごくわずかに過ぎない。
この姿に変化し始めて杖は本来の力を完全にと発揮する。
「…杖が…まさか…まさか、邪神の関係者か!?」
可能性として、氷の覇王フェンリルか、はたまたまどろみの覇者ヨルムンガルドか。
いくら何でも冥界の管理人ヘルということはないであろう。
目の前の青年はかなり奇麗な分野にはいるとはいえどうみても男。
わざわざ少女であるはずの冥界の管理人が男性に姿を変えている、とはおもえない。
「関係者、ねぇ。まあ、似たようなものかな?さってと…ねえ、知ってる?」
無邪気にその手に変化した杖をもちつつも、くるくるとまわしつつ、
屈託のない笑みを浮かべて問いかける。
「知ってる?イチカケルイチはあくまでもイチでしかないけど、
イチカケルフクスウは、そのフクスウの数字になるってこと?」
「何を……」
目の前の青年が何をいいたいのかわからない。
刹那。
「À l'existence que pouvoir ou un grand nombre de
pouvoir devraient avoir le chiffre du chiffre comme pour le pouvoir
――力は姿 姿は力なり 数多な力はあるべき存在へ
カッ!!
青年が新たな言葉を紡ぐと同時、杖全体が光輝き、
その光は彼らのいる建物を突き破り、空に一直線に向かったかとおもうと次の瞬間。
まるで光の螺旋階段のような模様を描きつつ、きらきらと周囲に光の粒を降り注ぐ。
光の螺旋階段はいくつにも枝分かれし、その枝分かれした先は突如として空間内にととけきえる。
何のことはない、その階段の先は【裏門】を通じ各界にその光を描き出す。
反旗組織のリーダーでもある彼は気づかない。
この光がどのような意味をもつのか、ということに。
そして…さきほど、青年がいった、イチカケルフクスウはフクスウになる、というその意味にすら……
「…何だ!?あれは!?」
きらきらきら……
空に突如として出現した真横に伸びる光の螺旋階段のような代物。
その光の階段らしきものからは、地上にむけてきらきらと粒のような光が舞い落ちてくる。
それと共に、その場にいた【傀儡】達の体もまた突如として光輝きはじめ、
そしてまた、
「な…何だ!?」
傀儡の元となったであろう、それらと同じ姿をしている存在達の体もまた光りはじめる。
光はやがて呼応するかのように呼び合いはじめ、点滅を開始しはじめる。
「…これは、黄昏の威力の本領が発揮された…のか?」
本来、かの道具がもつ意味合い。
それは、自分達の力を高めるためにも利用できる、というのをかつて聞いている。
先刻よりあきらかに強くなった月の気配。
それが意味すること、すなわち嘆きの女神が目を覚ました、ということに他ならない。
そして彼女が目をさました、ということは、おそらく【ロキ】もまた目覚めるであろうことは容易に予測がついた。
しかし、嘆きの女神がじつは月の化身でもある存在だ、と知っているのもはごくわずか。
ゆえにいきなり月の気配が増したことに戸惑いを隠しきれない存在のほうが大多数。
しかし、しかしである。
「よっしゃぁぁっ!これで問題はなくなるっ!」
「ず…ずるい!複製の数の分だけたしか力を増すはずでしょ!?これって!!」
この光に覚えがあるがゆえに思わずそんなことを叫んでいる精霊王達。
そう、彼らは知っている。
この光を。
今だかつてこの光を三度、その身にうけたことがある。
永き時を得て忘れかけていたが、この感覚は忘れようがない。
この光は、元となった存在と、そして複製された存在。
それらを再び融合させるための光。
しかし、ただの融合、というわけではない。
融合することにより、元となった存在の力が融合する存在の数だけ少しづつではあるが増してゆく、という効果をもっている。
元となった存在と複製された存在の光の呼応。
それらは互いの力を微々たる量とはいえ高めてゆく。
つまり、本来あるべき存在に同じ存在が複数、複製されていたとする。
しかしその複製はこの光によって元となる存在へと同化が可能となる。
この力の使い道はそこにある。
より多く分身を創りだすことにより、あまり苦労もせずに自信の力を増やすことが可能。
この仕組みは、ロキが娘の体を直さんがために創りだした仕組み。
肉体の強度がたかくなれば力に呑みこまれることはないのではないか?
とおもい、杖を創ったときに効果を付属してみた。
しかし、肉体における強度だけでなく力まで増してしまったがゆえに結局は失敗に終わったのだが……
今の今まで自分達の複製である傀儡のような人造人間達に翻弄されていた精霊王達。
彼らはこの光を浴び、その状況を一気に好転させてゆく。
自らのその身に自分達の複製を取り込み、その力を増し、その力をもってして悪意あるものを駆除してゆく。
しばしそんな光景が、精霊界において見受けられてゆく……
「ディア!?どこにいってたの!?」
いきなり空にと現れた光の螺旋階段のようなもの。
そして空より降り注ぐ、光の粒。
きらきらと降りてくる様は確かに奇麗ではあるが、その光に触れても何も起こらない。
そもそもこの光は複製された存在とそして、複製の元になった存在。
それらの存在達にしか効果はない。
ゆえに他の存在にとってはただの光の粒、でしかない。
「ちょっとね。って、ケレス、どうしたの?」
何やらケレスの様子がただ事ではないような気がするのは、ディアの気のせいか。
「先生がディアのことを探してたから、私も探してたのよ」
「?先生?」
ケレスがいっている意味がよくわからない。
「ああ、先生っていってもアシュタロス先生でないわよ?担任が探してたの」
「ヘスティア先生が?何かしら?」
別に呼び出しをうけるような理由は今のところないはずである。
そもそも今の状態なので授業にでていなかったり、という理由での呼び出しはないであろう。
実質問題として重要な授業はこのたびの攻撃もどきがおこってからは行われてはいない。
むしろほとんど生徒たちもまたほぼ実戦授業が主とあいなっている。
よもや、ロキ達を目覚めさせて、さらには今後の話しあいをしていました、と正直に話すわけにはいかない。
ゆえに言葉を濁し、さらっとどこにいっていたのかは追求されないようにさくっと話しをすすめるディア。
「とりあえず、職員室にいって…って、気配は職員室ではないわね。
これは…町の外の陣営?」
町の外に設けられている避難民のための仮の陣営。
どうやらそちらから担任であるヘスティアの気配を感じる。
さらにいうなればその傍にはアテナの気配もまた感じ取れる。
少し目をつむり、そちらにと意識をむけることしばし。
そして……
「……げ!?」
まあ、アテナだけならいい。
いざとなれば以前のように記憶を閉じ込めればいいだけのこと。
しかし、しかし問題は一緒にいる別の気配。
あからさまに自分の中にいるはずのない気配が傍からしてくるのはこれいかに。
「ディア?」
その場にて思わず立ちすくんだディアの様子をみて首をかしげつつも問いかけるケレス。
ディアがこのように立ちすくむ、などケレスはいまだかつてみたことがない。
ゆえに不思議な表情をしてディアの顔を覗き込む。
そんなケレスの表情に気づくことなく、しばらくの間その場にて完全に硬直するディアの姿が見受けられてゆく……
「…困りましたね。私たちと会話が通じない、というのは……」
通訳の術をかけてみてもダメだった。
というかどういうわけか目の前のこの少女には自分達の術はまったくもって通用しないらしい。
懐にいる子猫にも試してみたが右に同じ。
「ですね。私はかろうじてところどころは理解できるのですけどね」
それでもまったくできないよりはましだったとしかいいようがない。
そもそも、自分が空より降り立ったとき、この目の前の少女は目を見開いて驚いていた。
言葉が通じないことから念波を試みてみたがそちらもどうやら通じることはなく、
そもそも、全ての力を目の前の少女ははじく体質らしくまったくもって効果がない。
それでも何となくではあるがかろうじて多少の言葉は理解できたがゆえにどうにかここまで連れてきた。
あのままではあまりに危険、というのもあり、どうにか保護したのはつい先刻。
「術がだめならば、言霊ではどうでしょうか?」
言霊は術の分野にあらず。
自然界の力を言葉にしたものであるがゆえに、どの種族にも通用する、ともいわれている。
一説には外の世界にも通用するといわれているがそれがどこまで真実なのかはわからない。
しかし、自分達の言葉がまったく通じない少女。
着ている服装もまったくもって視たことがない。
そもそもこのような布地はいまだかつておそらく発明すらされていないであろう。
継ぎ目のまったくない布地は均等に染められており、しかも服からは多少なりとも魔力を感じる。
よくよく視てみれば服に小さく何かの陣らしきものが編み込むようにして縫われているのが見て取れる。
しかしその流れはほんのわずかであり、その陣もかなり小さなものであるからしてぱっと見た目にはわからない。
「ああ。たしか言霊使いの少女っていう子のこと?
そういえば私、直接その子ときちんと出会ってないように思うわ」
気にかけているはずなのに、授業にいざ突入する前にそのことを奇麗さっぱりと失念する。
その現象が教員としてここにきてから後、ずっと続いている。
まるで何かに邪魔されているかのごとくに、認識ができない状態がつづいている。
実際問題として、ディアが周囲の気配とまったく同じに同化しているので気がつかない、というのがあるのだが。
彼女が自分に気がつけば、まちがいなく平穏な学生生活は望めない。
それがわかっているからこそ、彼女には気配も何もかも隠している。
一度、彼女の前に姿を見せたのは、その心の奥底に確実に鍵をかけるため。
その鍵をディアが握っているかぎり、彼女はディアの姿を認識することは愚か、話しかけることもままならない。
「この子と会話がかろうじて通じるのは、アテナ様だけのようですから。
では、アテナ様はこの子のことをよろしくおねがいいたしますね。私はディアさんを探しにいってきます」
言霊使いのディアならば、少女のことが何かわかるかもしれない。
そんな期待をこめつつも、ディア達のクラス担任であるアスティアは、迷子の少女を女神アテナに託し、
その身を王都の中にと踊らせてゆく。
おそらくは、王都のどこかで日々何かトラブルを起こしては解決してあるであろう生徒を探して――
ちなみに、今現在、個人的あることでとある人と話しあい中…
…………もう思えばあれから半年以上たつ……
というのにまだどこかで信じきれていない自分がいます…
…
このたびの震災でもそうですが、人の別れ、というのはほんといきなり、ですよね……
…天国からでもいいので、夢でもいいから会いに来てほしいです…切実に……