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光と闇の楔  作者:
30/74

光と闇の楔 ~通称【学園】の大混乱!?~

ようやく学園生活?らしきものに入れますよ。ええ。

まあ、混合会議はすぐさまに開催、というわけには様々な事情でいきませんしね(政治的な意味で

その間のちょこっとしたこれから当たり前になるギルド協会学校。

通称、学園の日常にいきたいとおもいますv

これすんだら会議&襲撃ですv

今回は、ギルド協会学校の仕組みを今までわざと飛ばしていたので、

そのあたりの学年の定義をいれております。



「会議?」

これはこれはこんなときに、いや、こんなときに、だからとでもいうのだろう。

「ちょうどいい。その一件と同じくして襲撃をしかければ、我らが目的も早く各界にしめされる」

各界からの、しかも人間側からの要請で参加していた存在達が、

自分達…世界に反旗を翻す存在達によって殺されたらどうなるのか。

おそらく各界とも人間側の不備をとき、また各界においてもそれぞれの界において不信感がつのるであろう。

まさに絶好に機会、とでもいうべきか。

おそらくは人間側の要請だけあってさほど実力はないがそこそこに地位があるものたちがくるはず。

ならば彼らを捉えて利用するのもよし。

「とりあえず、その会議の日程をテケリ・ショゴス側とも連絡をとりあい確実なものにするように」

これが自分達をおびき出すための罠、とも考えられる。

各界においてこの噂がどこまでひろまっているかもきにかかる。

「こういうときに我らに協力してくれていた邪神がいてくれたらかなり助かるんだがな……」

その邪神は今では魂と肉体とに分かれてとある場所で眠っている。

かの目的は世界に、というよりはとある存在にたいしての復讐であった。

しかし彼らからしてみれば目的はどうであれ、力あるものが協力してくれていた事実は疑いようがない。

天界における反旗組織グループ、【ハスター・ホテップ】

二百五十八代目たる総帥、ハスターはその口元ににやり、と笑みをうかべる。

長きにわたりいつも世界の存在達には煮え湯をのまされていた。

今こと、長年の目的をはたすとき!


…彼らは、自分達という存在のあり方すら、【世界】に翻弄されている、ということに気づいては…いない……






               光と闇の楔 ~通称【学園】の大混乱!?~





ギルド協会学校。

文字通り、様々な知識と技術を学ぶために創設された、ギルド協会の要ともいえる施設。

一般の人々は、正式名称が長く呼びずらいことから、通称、学園、と呼び称している。

様々な技術面に特化した学科もあれば、総合的に学ぶ学科もあり、

さらには特殊方面に特化した学科も存在している。

そして、通称、【学園】の知名度をよりあげているよもおしものが……

「…学園祭?」

「正確にいうならば、協会主催、修学過程検証実技大会、なんだけどね」

先日、クラスに神話やおとぎ話でしかきいたことがなかった、人の姿をした竜族が転入してきた。

学校側いわく、臨時的な措置として留学生、という立場にして迎え入れた、とのこと。

何でもほうっておいたら今度こそまた学校に侵入され、今度は下手をするとけが人どころか死人もでかねない。

ならば人間側の常識をも知ってもらういい機会だろう、という結論に陥ったらしい。

ヴーリ、と名乗った神竜ヴリトラがクラスに転入してきて数日。

さすがにその破天荒であり、天真爛漫なそんな彼女に始めはおっかなびっくりであった生徒達も、

今ではだいぶ慣れている。

とはいえときおり、ヴーリが無意識に放つ【気】にのまれて気絶するものが多発しているのは事実なのだが。

「あ~、何か聞いたことがあるわ」

たしか報告をうけたことがあったはず。

以前、何を考えたのか暇だからといって、天界、魔界側からわざわざ生徒に扮して侵入した存在がいた。

当人達は久しぶりに全力がだせてすっきりした、とはいっていたが巻き込まれたほうとしてはたまったものではない。

しっかりと彼らの聖魔結界を張っていたがゆえに被害はなかったものの、

どちら側にも非があるということでしっかりとお灸は据えておいた。

ふとその時のことを思い出し、すこしほほ笑みながらも答えるディア。

「そうなの?なら話しははやいけど。この【学園】が様々な学科、そして階位に別れているのは知ってるわよね?」

普通なら、一学年、二学年、と呼んだほうがしっくりくるであろうが。

しかしギルドの規定でそう呼ばずに、それぞれの段階において階位、という形で呼び称している。

下から十二階位、そして一番上が一の階位、となっている。

つまり、十二階位、と呼ばれている学年が一番下であり、一の階位、と呼ばれている学年が最高学年となる。

さらには特階位。

というのも存在し、そちらのほうはもはや研究者レベル、つまりは下手をすれば

知を探求しつくしもの…つまりは、賢者の地位にも匹敵する。

入学にあたりうけた試験における点数と受け答えにより、それぞれ個々の階位は決定される。

ディア達が今在籍しているのは第六階位。

年齢からして一番無難な位置にあたる階ではある。

なぜに、【階位】という単語を用いているのか。

その理由は至極単純。

他の【界】においても、各方面においてそれぞれ【階位】という表現で大体統一されている。

ゆえに人間側においても違和感がないように、という意味合いをこめてこの名前をとっている。

世の中にでていけばおのずと他の界のものに出会うこともあるかもしれない。

そしてそこで、いきなり【階位】というのをきいても意味がわからないかもしれない。

そのためのいわゆる慣れるための処置。

まあ、他の界にかかわるような仕事に就く場合、

それぞの界における特権階位については、別にきちんと習うことになるのだが。

「内容が内容だけに、みんな学園祭ってよんでるのよ。

  まあ、それはそうとして。この祭りにおいてはすべての階位が参加する、というのは知ってる?」

「まあね。…たしか一般参加も可能、でなかったかしら?」

一人の生徒の言葉に別の生徒が突っ込みをいれてくる。

事実、この祭りともいえるあるいみ大会では学校関係者でなくても参加することは可能。

ちなみに、ギルド協会主催、である。

国をあげて…というよりは、どちらかといえば世界各国すべてをあげて、といったほうがいいであろう。

会場となる場所は地上でもどこでもなく、精霊達の協力によって創られた特殊空間。

その空間にはどの国からも自在に入ることが可能。

とはいえ、きちんと手続きを踏まなければはいることはできないのだが。

文字通り、世界各国をあげてのお祭りともいえるこの催し。

ゆえに、ギルド協会学校の生徒達は、この催しを【祭り】と呼んでいる。

希望者にはその様子を視ることができる水晶珠すら各地で売買されている。

「それで、ここにかよっているものは全員強制参加なんだけど。

  ディアさん達はどの科目に参加する?一人がいくつも参加してもいいみたいだけど」

文字通り、この祭りでは実力がものをいう。

つまり実力さえあれば、最下階位の生徒達も特階位に勝つことができる。

そしてそれは、卒業するにあたり必要な【単位】をより多く獲得できる手段にもなる。

ましてや、世界各国の重要施設の要人達もこの催しには興味をいだいており、

後ろ盾となり卒業後はそのまま国に雇われる、という生徒もすくなくない。

「ん~。私はこれ、といってないかな?技術面にしろいろいろな面にしろ」

そもそも、ディアがその気になれば何でもできる。

否、【この惑星内】で起こりえていることならば何でも、という注釈がつくが。

「お姉様、わたしもあそべるの!?」

話しをきいているだけで何だかとても面白そう。

ゆえに瞳をきらきらさせて、ディアの横からちょこん、と顔をのぞけていっているヴリトラ。

「…ヴリちゃんがでたら人間はかなわないでしょ?

  それとも、力を人のそれまで落として制限してやってみる?」

いくらその姿が人のそれとはいえ、基本、ヴリトラは竜。

しかも、竜の中の竜、神竜である。

そこいらの神族や魔族なども太刀打ちできるはずもない。

「…うっ…あれは痛いからいや~……」

肉体における耐久力まで人のそれとまったく同じにされてかなり痛い思いをしたのは記憶にあたらしい。

もっとも、人の視点からみればその出来事も遥か昔の出来事なのだが。

「でも、ヴーリちゃんやディアさんは気をつけたほうがいいかも」

「何が?」

そんな会話をしていると横から別の生徒が口をはさんでくる。

「何か上の階位の人達が、最近目立ってるディアさんやヴーリちゃんをあまりよくおもってないらしいのよね」

事実、自分達ですら成し遂げられなったことをやすやすと成し遂げているディア。

そしてまた、学校に侵入をはたし、さらにはそのまま特別措置として編入がきまったヴーリ。

さらにいえばディアは王宮にもとある一件の確認のために呼ばれたことがある。

それらの要素がかさなり、やっかむ生徒達もすくなくない。

つまり、いいかえるならば、この制限のない祭りの中で彼女達に何かしでかそう、

と邪な考えをいだく生徒もでかねないということを示している。

「まあ、周りを巻き込むようなら特定の存在の周囲の空気すべてを無くしてしまえばいいだけでしょ?」

「それか、そのまま心の闇に捉えてもいいよね?姉様!」

何やらさらっと二人からとてつもない単語がきこえたような気がするのは彼らの気のせいか。

人はすくなからずとも、おそらく確実に空気がないといきていかれない。

さらっと周囲の空気をなくす、といったディアはそのことがわかっていっているのであろう。

たしかにディアのように精霊達に直接お願いができる立場ならばそれも可能なのかもしれない。

実際は精霊達を介せずともディアは何でもできるのだが、生徒達はそうはおもっていない。

ヴーリのいう、心の闇に捉えるという意味はわからないがとてつもなくいやな予感しかしないのも事実。

「まあ、どちらにしても、子供の癇癪みたいなものでしょ?」

「人間っておもしろいよね~。なんで実力の差とかわからずにいきなり喧嘩とかふっかけるんだろ?

  竜族とか他の種族とかなら本能的に相手の力なんてすぐにわかるのに。

  相手が意図的にその力を閉じてさえいなければ」

そのいい例がディアであろう。

その気配はそのまま【世界】そのものであるにしろ、ばっと見た目、実力はゆえにまったくもって判らない。

わかるのは、周囲にとけこんでいる、ということくらいであろう。

「そうね~。なら私はとりあえず戦闘部門に登録しましょうか。

  今の存在達の潜在的な力とかも実際にみてみたいし」

どこまで育っているのか実際に視てみたい、とおもうのはディアなればこそ、であろう。

直接視ることにより魂の質もまた瞬時に判る。

素質のあるものならば別な場所を任せることも可能。

もっとも、それらは当人の決意次第、になるであろうが……

「ヴリちゃんは武術部門、ね。術の仕様不可能だからそのほうがいいでしょ。

  ヴリちゃん、肉体的な武術、いくらいってもなかなか上達してないしね~」

それでもその肉体における強度から太刀打ちできるものはいないのだが。

しかし、武術に関しては注釈がつく。

たしかに、術の仕様は使用禁止、とはなっているがそれはあくまでも目にみえる範囲でのこと。

精神面に作用するような術の仕様などは禁止されていない。

今、ディア達が話しているのは先ほどの授業の終わりに教師がいった言葉に起因する。

近々祭りがあるので近いうちに担任よりそれぞれ希望する分野を調べることになる。

そう授業の最後にいって教室をでていった教師。

ゆえに教師がさったその後の教室内において生徒達が必然的にその話題に写ったのはいうまでもないこと。

「いまだに痛みにも慣れないしね~」

「む~。だって痛いものはいや~」

そもそも、彼女に痛みをあたえられるのはまちがいなくディア、もしくは彼女に連なるもののみ、である。

伝道師達はといえば彼女を精神面的にダメージをあたえることは可能なれど、

肉体的な痛みをあたえることはまずできない。

まあ、マグマの中にはいりこんでも痛みすら感じない神竜を傷つける、そんな行為はまずできない。

すくなくとも、ディアのような存在達を除けば。

しかし、会話に参加しているクラスメート達はそんな事実には気づかない。

竜も痛みが苦手なんだ、そんな認識であったりする。

まあ、その認識はたしかに間違ってはいないが、根本的に、

人でもどうにかすれば傷つけられるかもしれない、という考えをもっていることが間違っている。

その事実に彼らは気付かない。

否、気づけない。

「ディアさん…戦闘部門って…そこって何でもありの場所じゃぁ……」

文字通り、実戦さながらの戦いをする場所であり、下手をすれば命すら落としかねないともきく。

大会が催されるのが特殊な空間であることから、そこで死だとしても実質的には死ぬことはないのだが。

しかし、精神的に死ぬことはときどきある。

その結果、廃人にもちかしい存在も数年の間に数えるほどではあるが誕生していたりする。

まあそれらはその個人の弱さが招いた結果である以上、さほど問題視されないのだが。

そもそも、その場を自らの力を見極めようと選んだものは前もって誓約書に同意をせまられる。

いわく、つまりは何があっても文句はいいません。責任は問いません。

つまり戦闘部門を選ぶ生徒や一般人においては自己責任においてその場を選ぶこととなる。

「そのほうがいろとろと視れて楽しいしね」

「いや、いろいろと見れるのは見れるだろうけど……」

彼らが心配しているのは別の箇所。

特殊な空間で行う以上、普通に滞在しているであろう精霊達がどうなっているかなど、

はっきりいって知られていない。

精霊達が創りえた空間とはいえそこに精霊達が存在しているかどうかすらわからない。

つまり、常にディアがおこなっているのは精霊達に声をかけて協力をあおいでいるわけであり、

精霊達がいない状態でもしも高位の術などをかけられればディアとて何があるかわからない。

そんな心配をしていたりする。

その心配はまったくもって杞憂なのだが。

そもそも、彼女に怪我を負わすことは、

巨大な海の中に小さな砂粒以下の何かを投げ入れて、それで海が壊滅するか?というようなレベルである。

そして…つまるところ、その砂粒以下、ともいえるのが大地に生きている存在達そのものであり、

ゆえに彼らがどうあがいても勝てるはずもない。

しかしそんなこととはつゆにも知らず、心配し参加箇所をかえたほうがいいのでは?

という意味合いをこめてきいてくるクラスメート達。


そんなクラスメート達の意見にただただディアは笑みを浮かべるのみ……


「ふ…ふふふ……」

何か最近、あらたに入学してきたという第六階位の少女が最近何やら目立っているらしい。

しかも、特階位の自分達や、第一階位の生徒達すら無視したような噂と活躍ぶり。

おそらくその噂のほとんどはオヒレがついたものであろうことは予測はつく。

しかしだからこそ面白くない。

実力のない存在がまことしやかに噂される今の状況は彼らにとってはっきりいって面白くも何ともない。

自分達の実力をあがめていろいろと噂になるのならわかる。

わかるが、どうして偶然に退けられただけだ、という少女の言葉を信じるのか。

教師達、そして国の幹部達の考えにも疑問がのこる。

自分達がしっかりと現実を彼らに直接つきつけることにより、今の雰囲気はかき消えるであろう。

しかし、彼らは知らない。

噂がはっきりいって事実であり、それは別にねつ造でも、もしくは尾ひれがついてひろまった。

というわけではない、というその事実を。

彼らは触れてはならないはずの存在に喧嘩を吹っかけようとしている。

その事実を…まだ、彼らは気づいてはいない。

そしてまた…そのことに気付いていても視て見ぬふりをされている…ということも。



「ほんと、いろいろあるな~」

いつもおもうが人の想像力、というのはたくましい。

人の思いを糧として、さらには力としている彼女だからこそそれはよくわかる。

「でも、いつも思うけど…どの世界にも愚かものっているよね~」

とりあえず本日の授業は滞りなく終わった。

ひとり、てとてとと校舎内をあるいている一人の少女。

なぜに一人なのか、という答えは簡単。

つまり迷子になっていたりするのが実情なのだが。

ディアについていこうとして、そのまま迷子になっていたりするこの現状。

いくら彼女とて【意思】の気配を見つけ出すことは不可能。

そもそも、感覚をむければどこにでも【意思】の気配は存在しているのだから。

彼女が一人で行動していてもディアが回収…もとい、迎えにこない理由は至って簡単。

今、彼女…ヴリトラの力はかなり制限がかかっている。

それはディアが直接かけたものであり、ディア以外では解くことすらできない。

もっとも、それでもその実力から考えればとてつもない力をいまだにヴリトラは擁しているのだが。

とりあえず自分がいないときもある。

ゆえに、ディアとしても一人でこの学園のすべてを把握させようとわざと追いかけてきているヴリトラを巻いたのだが。

そして、ヴリトラが今いるのは、一般の生徒が間違いなく立ち入ることが許されない場所。

この一角は、特階位、と呼ばれる存在達の学び場であり、

部屋によってはそのまま研究施設などもまるごとあったりする。

迷子になってというか一人になっておもわず右往左往してしまったのだが、

ティミからの報告により、とりあえず学園内部の構造などをきちんと把握しなさいとの伝言をうけ、

とりあえずいわれるままにギルド協会学校の全容を把握するためにとてとてとあるいているヴリトラ。

まあ、何か下手な行動を起こそうものならばすぐさまにディアが反応して何かしらの行動をとるのであろう。

そうでなければ、簡単に学校、もしくは国全体を一瞬のうちに壊滅できるほどの力をもつヴリトラを自由にさせておくはずもない。

事実、ディアにはディアの考えがあり彼女を一人で行動させているのだが。

どうもこの学校の上層部に位置するはずの生徒達がここさいきん、ぞんざいな態度をとっている。

そのことは知っていた。

精霊達からもその報告はうけている。

自分の力に過信し、さらには自分達だけが偉い。

そう勘違いし、力で他者を屈しようとするものが増えている。

そこにヴリトラがやってきたのでちょうどいいとばかりに一人で行動させているディア。

つまるところ…ていのいい、おとり。

さらにいえばヴリトラの性格を熟知しているディアならではの判断、ともいえるだろう。

なぜならば……

「うん?なんだ?きさまは?ここは一般人がはいれるような場所ではないぞ?」

案の定、というかディアの予測通り、というべきか。

おもいっきり上から目線でとてとてと一人あるくヴリトラに気づきそんなことをいってくる男たち。

年齢的にはおそらく二十歳を超えているであろうが、あからさまに人を卑下した態度をとっている。

「うん?あ!教諭!この子、たしか先日の襲撃してきたって噂になってる子じゃないですか!?」

真っ白い髪に七歳前後の女の子。

そんな少女はこの学校すべてをさがしてもまちがいなくヴリトラしか今のところ在籍していない。

彼らとて襲撃してきたといわれている輩の容姿くらいはきっちりと把握している。

というか本当ならば彼らが襲撃してきた輩を自分達の手で排除しよう、

そう決めて行動しかけた最中、襲撃騒ぎが終わってしまったのである。

ゆえにその久しぶりに自分達が周囲をきにすることなく暴れることができる。

という甘美な行為が排除の名のもとに規則にふれることなく実行できる。

そうおもい楽しみにしていた、というのに。

しかしその可能性をもののみごとにつぶしてくれた襲撃者。

ゆえに半ば腹立ちまぎれというのもあり、その襲撃してきた存在の情報はしっかりと集めている。

そしてその襲撃者があろうことか特別措置としてこの学校に転入してきたことを知った。

そのときの彼らの心情は、自分達の楽しみを奪っておいて何のうのうと学生になりさがっている。

ということにつきる。

襲撃者の実力など彼らにとっては関係ない。

ただ、捕獲しようとした教師達ですらあっさりと排除したという襲撃者に興味を抱かなかったわけではない。

しかしふたをあけてみればその容姿はどうみても七歳程度の女の子。

教師達が怪我をしただの、十人がかりで挑んでもかてなかっただの。

それらの噂はすべてただの眉ツバである、そう彼らは認識していたりする。

それが事実だ、と裏をとることもせず。

何より正確な情報はときとして命の有無すらきめることがある。

彼らはその簡単なことにすら気づいていない。

いな、自分達の実力を過信しているがゆえにそんなことはありえない、そう信じ切っている。

自分に向けられてくるあからさまな負の心。

悪意にみちたその心。

しかしその憎悪は逆にヴリトラにとってはとてもここちよいもの。

「おじさんたち、だぁれ?」

「「おじっ!?」」

きょとん、と首をかしげて目の前にいる三人ほどの男性にわざとらしくといかける。

こういう手の輩はだいたいどういわれれば反応するのか、ヴリトラとて長年生きているわけではない。

嫌でも知り尽くしている。

自分に憎悪をむけてきたのである。

これくらいの些細ないたずらくらいは許されるであろう。

それゆえの彼女の台詞。

「この俺達をおじさん呼ばわり、とはな。おじょうちゃん。

  しかしここは一般のものは立ち入り禁止。しかし俺達の実験に付き合ってくれるなら見逃してやってもいいんだぜ?」

にやり、と笑みを浮かべて三人の中でもおそらく一番彼がリーダー格なのであろう。

さきほどから他の二人を制して話している男性がヴリトラにむけてそんなことをいってくる。

「実験?」

「噂ではきさま、竜族、というらしいが。ばかばかしい。人の姿をとれる竜など。

  この世界にいるものか。その偽りの仮面をはがすべく、俺達がしっかりと教育し直してやるよ」

自分達が知りえているだけのことがすべて。

世界は自分達の常識だけでまわっている。

そう彼らは信じ切っている。

ときどきこういう完全なる勘違いをしている存在は多々と産まれてくる。

彼らは圧倒的な力を目にするまでその誤解に気づかない。

そしてその傲慢さは時として他者を巻き込む脅威にすらなる。

「教育?ああ。つまり、遊んでくれるの?いいけど。別に。

  でも、おじさんたち、私に触れることができる…かな?ふふふふふ」

ぶちり。

完全に自分達を見下したように、笑みをたたただ浮かべる目の前の少女。

その様子に彼らの中で何かがきれる。

つまりは、すこしばかり手加減してやろうとおもっていたのに、この少女はてっていてきにいたぶる。

そう彼らの中で結論づけられる。

彼らは自分達が触れてしまったものに気づかない。

少女の雰囲気が先ほどとはすこしぶれたことにすら気づかない。

「遊ぶのなら、他に迷惑かかったら、お姉様におこられちゃうから、なら…この空間であそぼうよ?ね?」

無邪気な笑み。

そう表現するより他にはない。

にこやかな笑みを浮かべた少女の言葉とともに…周囲の空間が瞬く間にと闇にと包まれる。

漆黒の闇。

四方どこをみても闇だけで、そこに見えるのは彼ら三人と少女のみ。

「ちっ。まやかしを。…気がかわった。おじょうちゃん。大人をからかったらどうなるのか。

  それに他人を欺いたらどんな目にあうか身をもっておしえてやるよ……」

いまだに彼らは目の前の少女から発する気に気づくことなくそんなことを言い放ってくる。

もしも彼らが少女…つまりはヴリトラの気配の変化に気付いたならば自身のもっていた感想が間違っている。

そうすぐさまにわかったであろう。

しかし、彼らは過ちを認めることができない人種。

つまり、自分達が導きだした答えは絶対に正しい。

…ゆえに、徹底的な力の差をみせつけられないかぎりは、彼らは間違いを認めない。

その間違った知識のままにつっぱしる。

それが彼らのような傲慢な考えをもった存在達。

ゆえに、ディアは遊びたがっているヴリトラの性格を考慮して彼女がここに迷い込むように、

すこしばかり空間をいじったのだから。

しかし、彼らもヴリトラもディアにいいように扱われている、ということに気づいては…いない……



いくら彼らがヴリトラに悪意をむき出し対応しようとしても、

それは逆にヴリトラの機嫌をよくし、さらに気持ちを高揚させるに過ぎない。

なぜならば、ヴリトラの【核】ともなった【心】こそが、

かつてこの地に存在していた様々な存在達のそういった【悪意ある心】なのだから……

憎悪を向けられるたびに、ヴリトラの感覚は人間でいうならば酔っぱらったような感覚におちいる。

そしてそれはより強く、より純粋な思いであればさらに気分は高揚する。

今のヴリトラはとても機嫌がよい。

なぜならば、ひさしぶりに人よりむけられるそのような感情、なのだから。

ここしばらくはなぜか人間界に降ろしてもらえなかったヴリトラにとって。

この彼らからの提案というか遊びはまさに渡りに船、といえる。

…しかし、ヴリトラにとってはたかが遊び、でも、静寂な人の身からしてみれば、

それはまさに死刑宣告よりも険しい地獄よりもつらい現実の始まりでしか…ない……




とりあえず、ギルド協会学校の生徒達のたちいち的なものをば。

日本とこの世界の概念であわせて説明します。

小学一年生=第十二階位

小学六年生=第七階位

中学一年生=第六階位

中学三年生=第四階位

高校一年生=第三階位

高校三年生=第一階位

大学生&大学院レベル=特階位(特級階位)

大体こんな感じとなっております。階位、に関してはわかる人はわかるとおもいますけど、

神話&伝承などでは天界、魔界ともそういうのがあるんですよね…悪魔とかにも・・

なのでこの取り入れです

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