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光と闇の楔  作者:
26/74

光と闇の楔 ~混乱の中のギルド協会~

毎日閲覧に来てくださっている方々、ありがとうございます。

しかし…どうもずっと客観的視点挑戦してるけどなかなか上手にならないです……

まあ、下手だ、という自覚はありありなんですけどね。

そもそも脳内ではきちんと映像化されてるのにそれをきちんと客観的視点で文字にできない・・・

一人称にしたらものすっごぉぉぉぉぉく簡単なんですけどね…

ともあれ、この話しは客観的視点で最後まで突っ走りたいとおもいます。




「では、そちらの王の行方もまだ判らない…と」

『はい…よもやそちらのほうの王も行方知れずとは……』

他界を行き来するためには門を通らなければならないが、

門より渡された特殊な水晶を用いることにより、隔たれた世界間での会話は可能。

しかしこれを扱うにはかなりの精神力を要するがゆえにそこいらの存在達では手だしができない。

「それで、ゼウス殿の考えはどうなのですか?」

諜報員より地界に今度は深界の痕跡がでてきた、そう報告をうけたのはつい先日。

さすがにかの地のものとなれば黙っているわけにもいかない。

彼らは時として彼ら、魔族、そして天界人すらをも取り込むことがある。

魔宮の一角。

本来ならばそこの奥深くには魔王が鎮座しており、魔界すべてを監視して治めている。

が、その魔王は今は行方知れず。

玉座の間の両隣にとある通信の間。

この間に入れるのはごくごく限れた存在達のみ。

そしてこの場にいるのはその背に漆黒の対となった十二枚の翼をもつ

麗人、としかいいようのない容姿の存在が一人。

『おそらく。我が王のことです。今回のことを見越して地界にいかれている可能性も』

「なるほど。それはこちらも同じ意見です。我らが王もおそらくは地界にいかれてる可能性が高い。

  そう我らもこのたびの一件で判断いたしました」

しかしそれですんなりと見つかる、とはおもわない。

それでなくてもいくら側近の役目を担っているとはいえ彼らは実際に王の素顔を一度たりとてみたことがない。

実際に取り次ぎをしていたのは補佐官とよばれる存在のみ。

それは魔界においても天界においてもいえるのだが。

「では、それぞれ。このたびの一件の調査と王の探索を兼ねて捜索隊をだしますか?」

『そう、ですね。それにそちらの反政権組織がこちらの反政権組織と手を組んだようですし。

  ここは互いに常に連絡をするとして、それぞれがそれぞれの行動を邪魔しないように制約を結びましょう』

中には天界人においても、魔界人においても、界が異なる、というだけで毛嫌いしている存在もいる。

上層部が互いに不干渉、という約束をしていれば地界でぱったりとであったとしても、

そうそう混乱はおきない…はず。

そう思っての彼らの提案。

『では。そのようにしましょう。それでよろしいですか?サタン殿?』

「では、ゼウス殿。そのように……」

魔界と天界。

それぞれの通信の間において二つの界におけるあるいみ実力者トップクラスの二人が、

しばし密談を交わしてゆく様がこの日、しばらくの間みうけられてゆく――






                  光と闇の楔 ~混乱の中のギルド協会~






「なんか今日はにぎやかね……」

昨日は本当にいろいろなことがあった。

精霊王の呼んだ火竜にのり首都テミスまで戻ってきたのは昨日のこと。

いろいろとディアに聞きたいことはあったがよほどつかれていたのか部屋にもどると、

そのまま倒れ込むようにケレスはそのまま眠りについた。

しかし翌日の学校を休むわけにもいかず、こうして学校に遅れずに登校してきたのだが……

「なんか今朝からあわただしいみたいよ?」

そんなケレスにとクラスメートが声をかける。

ケレスのクラスはA組Aクラス。

つまりは総合科の中でも一番エリート中のエリート。

特待生ともいえるべきクラス。

ゆえにこの場にいる生徒はほとんど家名などに何かしらの意味合いをもっている生徒が多数。

そして、中には……

「昨日、天界と魔界より通信があって、それでちょっと王宮でばたばたしてるからな」

そんな彼女達に近づきながらもいってくるのは一人の少年。

淡い金色のふわっとしたすこしばかりウエーブの入ったやわらかそうな髪質。

透き通っているかのごとく緑色の、大きいというよりは少し切れ目な感じをうける瞳。

一見、人形?としか思えない少年が一人近寄ってくる。

「あら。殿下。…って、天界と魔界からの通信?」

「ああ。この俺も参加したい、といったのに。

  おやじのやつ、俺にはまだはやい、とかぬかしやがった……」

見た目の年齢はおそらく十歳。

実際に目の前の少年はつい先日十歳になったばかなりのだが。

しかし、ぱっとはたからきいただけでかなり重要ともおもえることを

こんな教室の一角でいっていものなのであろうか?

当の本人は心底悔しそうに手をぎゅっと握りしめていたりする。

「…ジュノー殿下。そう国家機密に近いことをさらっといっていいものなのですか?」

たしかに、今ジュノー、と呼ばれた少年がいったことはおそらく国家機密にも近い内容にあたるであろう。

だがしかし、

「内容も聞かされてないんだ。ただ通信があっただけで情報漏洩にあたるはずないだろ?

  そもそも、何か面白そうなことがおこるかもしれないのに

  何でおやじは早く学校にいけ!なんだよっ!」

直接通信があった、というだけでも何かかなりの出来事が起こる可能性。

もしくは起こった、ととらえるのが常識のような気もするのだが。

どうやら話しあいに参加させてもらえなかったがゆえにそのあたりのことは完全に失念しているようである。

「…この国、大丈夫なのかなぁ?…まあ、ティミ様の加護が他にも渡れば政権交代もあるか」

「おい!ちょっとまて!」

王都、といえども完全に血筋で王位は交代されるわけではない。

基本的に王位を継ぐものは、王都を守護している精霊の加護の力加減による。

よりつよい加護をうけたものが王位につくならわしとなっている。

今のところ常に王位を継承しているのはこの国においては三家系。

それでもまだ幼い彼が時代の王、と呼ばれているゆえんは至って簡単。

今現在、守護精霊ティミの加護をより強くうけている存在がいない。

当代国王の次に加護を厚く受けているのがこのジュノー、と呼ばれている少年なのである。

ゆえに、他に精霊の加護を強くうけている存在が現れなければ、自然と彼が次代の国王となる。

「…ジュノーてさ。いつもおもうけどだまってさえいればお人形のように清廉潔白な王子、なのにね~」

「だよね~。あの口調だし…いつも外見からだまされるのよね~」

そんな会話をききつつも他のクラスメートがそんな会話をしていたりするが。

彼がよく爆弾発言に近いものいいをするのはいつものこと。

ゆえに同じクラスでもある彼らはすでに慣れっこになっていたりする。

しかし…しかし、である。

次期国王がこれでは、たしかに民も安心してはいられない。

もう少し、秩序等をもってほしい、とおもうのは何も間違ってはいないであろう。

始めて彼が入学してきたときは、相手が王子、というのもありかなり遠慮していたが。

その思いも今やどこへやら。

すでに初期に抱いていた尊敬の欠片ももはやない。

「王宮のほうに二界から?おい。ジュノー。それは本当か?」

そんな彼にと話しかけている別の少年。

こちらはこちらで漆黒の髪に漆黒の瞳。

しかしその表情にどこか陰りがあるように見えるのはおそらく気のせいではないであろう。

顔立ちは目立ってこれといった特徴のない顔立ちで、黙っていればまず影が薄い、とすらいわれるほど。

もっとも、それらすべては彼のせいでなく、彼が幼少時よりうけている特訓のせいで、

常に日頃から自らの気配をより無に近くしているせいでそうなってしまっているのだが。

「なんだよ。マリオ。俺が嘘つくとでも?」

「いや、そうか。どうりで父さん達も今朝からあわただしく出かけたわけだ」

マリオ、と呼ばれた少年の父は知る人ぞしる実力者。

冒険者の中で実力あるものを数名あげろ、といったらまず十人中九人は必ず彼の父親の名をあげる。

ちなみに次にあがるのが彼の母親の名前である。

つまり、彼は名のある実力もある両親の元に産まれてしまい、

その結果、幼少時より普通の子とはまったく違った育ち方をしていたりする。

この学校に入れられたのもその一環。

つまり、すべてにおいて一流になってこそ、冒険者の仲間入りになれる、とは彼の両親の談。

「あれ?たしかマリオのお父さんってさ。冒険ギルドの協会長やってなかった?」

「当人はほとんど仕事としょうして現場にでてて母さんがきりもりしてるけどな」

実際に表向きは確かに彼の父親が協会長の立場となっているが、

実質キリモリしているのは彼の母親。

もっとも実力があるから、という理由でその役目がまわってきているのも事実なのだが。

「二界より直接通信があるくらいだ。

  おそらくすべてのギルド協会長に出向命令くだったんじゃないのか?」

それもおそらく強制的に。

本来、王国からギルドに直接強制的に何かを強要することはできない。

しかし、他界がからんだ場合のみは特別措置としてその特例がみとめられている。

何しろ他界におけるごたごたはどうしても彼ら協会員達と話しあう必要性が必然的におこりえる。

王国のみだけでは対処できずとも、ギルド協会自体はこの世界すべてにおいてその勢力は流通している。

他界においても然り。

ゆえに各ギルド協会長と話すことにより、各界におけるギルド協会側へもその連絡が行き届くことになる。

もっとも、それらの判断もまた各ギルド協会長に一任されているのだが。

「…しかし、天界からの直接通信・・しかも魔界から、ともなると…

  やっぱり先日の堕ちたキマイラの一件がらみ、か?」

さすがにあの一件のことはすでにもう知れ渡っている。

「その可能性が高い、かな?」

「……なんか、世の中っていろいろとあるのね……」

昨日の精霊王の性格、といい、今聞いている内容、といい。

まるでどこか夢をみているような感覚だ、とおもってしまうケレスはおそらく間違ってはいない。

がらっ。

「はいはい。みなさん、騒いでないで。授業がもうはじまりますよっ!」

彼らがそんな会話をしている最中、教室の扉が開き、担任教師が教室の中にとはいってくる。

それと同時。

カラ~ン、カラーン…

授業開始を告げる鐘の音が周囲にと響き渡ってゆく……




ざわざわ……

テミス王国首都にある国の要、ともいえる王城。

その一室において様々な人々が集められており、部屋の中は何ともいえない雰囲気に包まれている。

ざっと見渡しただけでも様々な種族がこの場にいることは一目しただけでもわかる。

しかもそれぞれがそれぞれに何らかの独特な気配をもっていることは疑いようがない。

ほのかに揺らぐ燭台の明かりが彼らの顔を照らし出す。

壁にはところどころ装飾品なのか実用品なのかわからないような武具などが立てかけられており、

長い長い机には数十名以上の存在達が向かい合い座り合っている。

「では、深界、も動き出した…と?」

かすれる声でそう声を漏らしたのはこの中の誰なのか。

それすら判らないほどに周囲の空気は果てしなく重い。

「ギルド協会に所属する各協会長の方々に来ていただいたのはそういうこと、です。

  かの界のものはその特性からどのような界のものでも自分達の種族に取り込むことができます。

  また、彼らは特定の媒介さえあればどこからでも出入りは可能、なのですから」

そう。

彼らに関していうならば、門という制限はほぼなきに等しい。

門とは異なる移動手段を持ちえている。

彼らのもつ技術、次元回廊。

初期に産まれた深界の存在がそれを作り出した、ともいわれている。

次元とはすなわち、各界のこと。

つまり、門を通さずとも移動ができ、さらに困ったことにそれの媒介になるモノはどの聖にも存在する。

例えぱ。水であり、闇であり、その媒介になる要素は様々。

「しかし。深界のものが動いた、というのは事実なのですか?

  ここ最近、かの界のものたちは静かだったとおもうのですが?」

ここ最近、かの被害報告はうけていない。

それゆえの疑問を投げかける。

確かにその意見も至極もっとも。

「しかし。かの界の中には腐食の術を得意とするものもいたはずでは…いやはや。

  では我らが建築ギルドのほうでは、

  魔術士ギルドのほうにすべての建設物において術を施してもらわなければいけないのでは……」

腐食の術をもつものがやってきたばあい、建物の中にいても建物が腐食し中にいた存在は捕えられる。

「しかし、このたび報告にあったのはどの種族の存在がやってきたのか、まではまだわかっていない、とのことですし……」

コーティング、ともいわれている術を施せる魔道士はさほどいない。

特殊な術であり、精霊の加護とそしてまたその建設物に宿る精霊達と協力し

それが同調することにより成果を成す。

同調がうまくいかなければ術は失敗し、まったくもって意味を成さない。

「先日の堕ちた存在については、魔界より正確な回答がありました。

  あれは魔界の反組織、テケリ・ショゴスが無理やりに道を開いた結果、だそうです。

  かのキマイラは彼らの実験体であろう、とのことです」

実験体。

その言葉にこの場に集まっているすべてのものたちが顔をしかめる。

つまりそのようなものを実験として創っている、ということは

大量生産もありえる、という可能性を指し示している。

そして…今の彼らの戦力でそのようなものを投入されればまちがいなく勝てない。

精霊達とて一斉にかく乱されるように攻撃されると保護をする力が薄れるであろう。

高位の精霊ならば同時期に異なる場所にその姿を示して力を発揮することができる。

とは伝えきいてはいるがそれがどこまで真実かなどはわからない。

圧倒的なまでの精霊達の力をみてただそのように伝えられているのかもしれないし、

またそれが事実だとしても本当に複数の箇所…

たとえるならば百か所以上になった場合もそれが可能なのか。

その判断はつきかねる。

「むぅ。やはり他世界混合会議を開くべきだと私はおもうのですが……」

今までこれが開かれたのは一万年と少し前だ、そう伝え聞いている。

実際にそのときのことを知るものはこの場にはいない。

いくらエルフ族などでも一万年も生きられない。

よくて数千年がやっと、である。

その当時のことを知っているのはおそらく精霊達、もしくは伝道師達くらいであろう。

神々や魔界における魔王関連の存在達はそのときのことを知ってはいるであろうが。

よくもわるくも、この場には地上界におけるしかもテミス王国に在籍しているギルド協会長達しかいない。

この地には本部があることから

ここにあつまっている協会長達が実質、各ギルド協会員達のトップ、といって過言でない。

「しかし、他世界混合会議を開く…となると民達にも不安を抱かせるのでは……」

そうなればおのずと様々な種族のものたちがやってくることになる。

どう考えても人間が他世界に赴き会議をするのには彼らの肉体がどうしても耐えられないのである。

ゆえに毎回会議をするときは地上界で、と制約的に決まっている。

何しろ他の界などには空気すらない界も存在しているのだからそれは仕方がないといえば仕方がない。

人の体というものは他の種族とくらべてもかなり貧弱、としかいいようがないのだから。

そのぶん、生き抜くズブトサはかけ離れている、といっても過言ではないが。

そのずぶとさが様々な方面に向けられ、良い方向にむけばいいが時には悪しき方向にむくこともある。

もっとも、今のこの世界においてはあまり悪しき方向に向かおうとするならば、

その存在は必ず天罰をうけることになるのだが。

当時、ギルド協会の本部はこの国に存在していなかった。

他の国にあったのだが、かつてあったとある出来事によりこの国に移動を余儀なくされた。

文献には当時のことは詳しくのってはいない。

文献に記録を残そうとしても、かけない制約がかかってしまう。

つまりは言い伝えとしてのこっている話しでしか何があったのか把握することはできないのである。

「それに。他界のものとの会話はどうするのですか?

  中には我々の言語を話せない存在もいるとおもうのですが……」

事実。

彼らが地上で使っている言語をつかえない存在も多々といる。

声をださずに心で会話する存在たちもいる。

「たしか。先日のキマイラの一件でとある生徒が活躍した…と報告をうけているが?学校長?」

そんな会話の中、今まで口を閉じていた国王が話題をふる。

「はい。今年入学してきました生徒なのですが。おそらく言霊使いの能力をもっているかと……

  その生徒がいうには、精霊に頼んであの堕ちたキマイラをどうにかしてもらったらしいですし」

ざわっ。

言霊使い。

その言葉にその場にいた全員がおもわずざわめく。

言葉で精霊を従えさせることができる。

すなわち、かなり高性能な能力のようである。

大体よくて草花達を意のままに操れる、というのがせきの山。

それが精霊達まで動かせる、となると、エルフ族ですらそうはいかない。

「命令か願いか、そのあたりの情報は?」

「当人は願い、とはいっていましたが。しかし願われて精霊達が動いたのは事実なのでしょう。

  実際にキマイラは消滅し、道も閉ざされたわけですし」

状況が状況だけに精霊達が手をかしたのか、はたまた彼女が願ったから手をかしたのか。

そこまでは学校長も理解不能。

しかし少なくとも自然界と心を通わせることができる能力を持っているのは事実である。

それだけは確信がもてる。

「もしも会議を開く場合、ではその生徒に協力を仰ぐとしよう。依存はないか?」

先日やってきた生徒とは一応面識がある。

自分達を目の前にしてもまったく動じることのなかったいまだ幼さののこる面影をもった少女。

おそらく何となくだが彼女ならばどのような種族とも対等に渡り合えるような気がする。

それは国王としての直感。

実際は対等どころではないのだが、その事実を国王が知るはずもない。

「では、まずは情報のまとめを……」

このままではラチがあかない。

ゆえにいろいろと意見をかわしながらもざわめく部屋をざっと見まわし国王自らが采配を促す。

しばし、王城の一角においてそんなギルド協会長達と国王達の姿が見受けられてゆく……




くしゅっん。

「?ディア、風邪?」

「ううん、何でもない」

おもわずくしゃみがでてしまった。

しかし、何というか……

おもわず苦笑してしまうディアの気持ちはわからなくもないであろう。

授業をうけつつも、収集をかけた王国側。

少しばかりきになったのでそちらのほうにも意識をむけていた。

そこでよもや自分の話題がだされる、とは夢にもおもっていなかったが。

せっかくこの地にやってきているのに彼らと顔をあわせるとなると意味がない。

逆にそれを利用してすべての懸念事項を駆逐することも可能だが。

王としての素顔は今まで誰にもみせたことがない。

ゆえにどちらの側も自分のこの姿は知らないはず、ではあるが。

しかし、髪の色と瞳の色を変えただけで補佐官として面識がある。

気配も別に変えてはいない。

まあ隠そうとおもえば簡単に隠せるが。

「…私を表にだす、というのならこの国にも協力してもらいましょうかね……」

それはすなわち、自分が通っているこの学校の生徒達をも巻き込むことになるが。

まあいい人生経験、と思ってもらうしかない。

そもそも滅多とない経験ができるのであるからおそらく文句はいわないであろう。

また、文句など有無をいわさず受け付けるつもりもさらさらないが。

【世界】には向こうとする輩達の目を一か所に集められるのはたしかに効率がよい。

そのぶん、集中していない場所で彼らがいろいろと動き回ることはもはや確定事項ではあるが。

まあ別のこの姿がバレてもそう問題にはならない。

そもそも、この姿においてどちらの王もこなしていたのは紛れもない事実。

「ディア?ほんと、どうかしたの?」

そんなディアの心情を知るはずもなく、

きょとん、とした視線をむけてきているディアの横に座っているクラスメートの一人。

「何でもないわ。フローラ」

フローラ、と呼ばれた少女は青い髪を長くのばしたぱっとみためお嬢様タイプ。

実際にお嬢様、なのだが。

「そう?ならいいけど。しかし、ああ!みたかたなぁ。ねえ、知ってる?

  夕べね。なんでかこの町に幾人かの伝道師様達がこられたんだって!」

「なんか噂になってるらしいわね……」

というか、あの子達…あれほど目立たないように、といったのに。

そう内心おもいつつも、さりげなくあまり興味がないようにこたえるディア。

そもそも、彼らを呼んだのは他ならないディアであり、ゆえにその事実を知らないはずがない。

彼らしかしらない言語で道なりに話していれば嫌でもその正体はバレてしまうというのに。

どうやらいきなりの呼び出しでそのことすら失念していたようである。

いきなり行方不明、ともいわれていた彼らの【主】ともいえる存在から呼び出しをうければ

まず間違いなく動揺するのは目にみえている。

ゆえに失念して昔の言語で話していた彼らに罪はない。

ないが、ディアからすれば目立たないように、と注意を促していたこともあり、

そのこと自体が噂になる、というのはあまり喜ばしくはない。

「でも、伝道師様達、何をしにこられたのかしら?やはり先日の一件かしら?」

「さあ?それより、先生、遅いわね~」

遅い理由は知ってはいるが、それをいうのはここではおかしい。

学校長に連れられて会議に同席をもとめられている以上、

本日、このクラスの担任がこの場にくることは絶対ない。

がらっ。

「あ、…って、あれ?」

そんな会話をしている最中、がらり、と教室の扉が開く。

はいってきたのはクラス担任ではなく服担任の姿。

「はいはい。本日は担任のアルクメーネ教師は出張でお休みです。

  さ、授業がはじまりますよ。みなさん、席についてくださいね」

ぱんばん。

いまだに席をたちそれぞれに昨夜から話題にのぼっている町の噂に花を咲かせている生徒達に注意を促す。

そんな服担任の言葉をうけてそれぞれが自分達の席へともどってゆく。

彼らは知らない。


自分達の運命すら巻き込む話しあいが、今、王城で行われている、ということを――




「……なあ、なんか寒気がしないか?」

「…する。・・・なんか、意思の怒りかうようなこと、俺達したか?」

彼らが寒気を覚える。

すなわちその理由は一つしか思い当たらない。

長年、経験していればその感覚は嫌でも伝わってくるようになってしまった。

「……あ゛。今、ティミから連絡がはいった…俺らのこと、王都で噂になってるって……」

ふと念波により、テミス王国の首都を守護する精霊から情報がはいってきた。

それゆえにその情報をうけとったあと、無意識のうちに冷や汗が流れ落ちる。

「…マジかよ……うわ~。意思からのお仕置きはいやだ~!!」

今まで【意思】におけるお仕置きはたやすいものなど一度たりとてなかった。

時には燃え盛る太陽の中にいきなり放り込まれ、

その太陽の中で不発している元素の爆発を促すように、といわれたり。

降りしきる流星雨の中に移動させられ、

この太陽系の内部にはいってこないように全部撃ち落とすように、といわれたり。

思い出してもロクなことはなかった、といいきれる。

ゆえにそう叫ぶ目の前の男性の切なる声もわからなくもない。

「お、おちつけ!深界にテケリ・ショゴスにハスター・ホテップのこともあるんだ!

  いきなりどこかの動乱の惑星に飛ばされたりはない…はずだ!

  よくて組織の中にいきなり放り込まれたりするくらいだっ!」

というか絶対にその可能性のほうがたかい。

自分達を総動員してでもおそらくあの表情からしてみても一度、徹底的にお灸をすえるつもりのようである。

そう彼的には判断した。

意思の思いはなかなか判断つきがたいが、おそらく今回はそのつもりなのだろう。

なぜかそう確信がもてる。

それゆえの台詞。

「それも十分すぎるわっ!そもそも、深界のやつらって、かつての科学力の知識もってるままだぞ!?」

「あ~…しかも、古代文明のヤツラとの知識とも合わさってるからな~……

  でも、それをいうなら俺らも同じくらいの知識もってるからどうにかなるだろ?」

せっかくもちえた知識を悪用でなく活用できるものに。

というのが意思の意見。

悪用するのならば彼らの種族も罰の対象内にはいるのであろうが、

彼らは主にその能力を自分達の種族獲得のためにしかつかっていない。

それ以外においては外の世界。

すなわち他の世界の地表改革や成分改革にその技術は活用されている。

もっとも、その事実をこの世界に生きている存在達は知るよしもないのだが……

「…ま、何かがあるのは確か、だな~……」

まだ正式に命令は下っていない。

しかし近いうちに全員に命令が下るであろう。

それがわかるからこそ…ため息をつかさずにはいられない。


どうやらこのたびの伝道師生においてはのんびりとはできなそうである。

それは、すべての伝道師達の共通した思い……





  神達(魔王&主神)の名前。エジブト神話から考えるとアモン(アマン)が打倒のような気がしなくもないけども。

  一応、今のところわかっている古代の神話なわけですし。

  だけど、あれって元々は土地神、なんですよね…なので魔王達の名前にするのは何だかなぁ・・

  とおもうわけで。

  なので初期に思いついたその案はすでに頭の中にはありません。その結果、名無しのまま……


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