光と闇の楔 ~使途の役割?~
めずらしく?一人(?)の登場人物がしばらく出張ってますv
でも彼の出番もとりあえずここで一区切り~
こういう仲間(部下?)もいますよ~という意味合いで彼はだしてますので。
「だからって何で僕が面倒みることになるのかな~」
澄み渡った空を眺めつつ盛大にため息がでてしまう。
「たのむっ!他にまかせられる人がいないんだっ!」
「…でもさ~?ゼウス。僕だって暇じゃないんだよ~」
「ティア様の許可はもらった!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・主様…僕にどうしろっていうのさ・・・」
補佐官ティアの許可をもらった、ということはすなわち主の許可をもらった、と同意語。
というかそもそも主と補佐官は同一。
目の前の彼はそんなことを知るよしもないが。
「…ま、いいけどね~。最近はまったりしてるんだし」
天界の中においても彼ほど自由気ままな存在はいないであろう。
目の前には、先日産まれた、という小さな幼女が一人。
しかしどうして赤ん坊の世話をしなければならないのか。
「ま、いっか」
どうせ暇だし。
そう結論づけ、産まれた女神の世話をすることにきめるリュカ。
彼のいいところはあまり悩まない、流されるまま…という点、なのかもしれない……
光と闇の楔 ~使途の役割?~
「では、リュカさんもあれの捜索にこられたのですね?
私は先ほどきたばかりなのですが、何かわかりましたか?」
自分で先に確認する前にまずおそらくすでに現場確認をしているであろうリュカにと問いかける。
よもやこの町で育ての親であるリュカにあうなどアテナは思ってもいなかったが。
ゆえに情報を得ようとリュカに対してといかける。
「あ~。アテナちゃん、前もいったけど、先に人の話しき~てたら先入観で感覚にぶるよ~?
ん~、まあいいけど。情報交換といこうか~」
ちらり、と前をみれば無言で自分のことはいうな、という視線がむけられている。
まあ、彼女はティアマトの姿を見知っているがゆえに結び付けて考えてもおかしくはない。
…まあ、アテナの性格上、それはありえない、とはわかっているが
おそらくそれは念のため、というところなのだろう。
「僕のほ~は~。あっちのほうで意味のない他の血肉をつかった贄で道こじあけてたみたいだね~。
あ、でもこっちの世界で精霊達の力もあってもう道は完全に閉ざされてるよ~」
正確にいうならば、精霊、というよりは主様によって、だけど。
しかしその言葉を口にすることなくいつもの口調でアテナにと説明するリュカ。
「そう、ですか。こちらのほうの天の道についてはどうにか閉じることができたのですが。
こちらもまた無理やりに捕えた存在達の力を流し込んでこじ開けたようです。
まったく、警備隊の不手際をどうして私が後始末しないといけないんでしょうか……」
そもそも、きちんと見回りをしていれば防げたはずである。
ゆえにアテナのぼやきもあながち間違ってはいない。
第三者からしてみれば、彼らは実はとんでもない会話をしているのだが。
しかしそのことに気付く存在はこの場には存在しない。
なぜならば彼らは周囲のことを一応気遣い、情報交換をするにあたり、天界語にて話していたりする。
この言語、普通の人々が聞いても何か意味のわからない言葉にしか聞こえない。
ゆえに会話の内容がいくらとんでもないことといえどもその異様さに気づくものはまずいない。
「あはは。なら最高責任者のヴィ~ちゃん、今ごろ騒いでるでしょ?」
そんなアテナの言葉をきき、
ふと天界の秩序を担っているとある女神のことを思い出し笑いながらいうリュカ。
「…ヴィシュヌ様をそう呼ぶのは天界広し、といえどもリュカさんとティア様くらいですよ……
まあ、そのようですね。というか最近はいろいろとお忙しいようです」
天界の秩序と繁栄を司っている、女神ヴィシュヌ。
そしてまた地上の秩序と繁栄管理、という立場をも兼ねている。
最近は秩序が乱されていることもあり、いろいろと動き回っていることは一応は知っている。
そしてそれはディアもまた知っている。
しかしそれは与えられた役目である以上、しっかりとこなしてもらうより他にはない。
「まあ、とりあえず現場みてみる~?あ、できたら天の道のほうの案内もおねがいしたいな~」
どうせならばどこに開いてどのようになったのか自分の目でみたほうが報告もしやすい、というもの。
「おねがいします。ではそのあとであちらのほうに移動しますか?
リュカ様とならば転移も可能ですし」
本来、天界人はそうそう地界にかかわることはあまり許されていない。
彼らの力があまりに膨大である以上、かかわれば必ずどこかにひずみが生じる。
しかし、天界にかかわりのあるもの同士ならばそんな制約などあってなきにひとしい。
主様はどうなさるんだろ?
そうおもい、ふと視線をディアのほうにリュカが向けると笑みを浮かべてうなづくディア。
ディアとしても天より開いた道を確認するのは早いほうがいい、とはおもっている。
感覚ではわかっているものの、実際に目にするのとでは意味が違う。
そんな二人の視線によるやり取りにまったく気づくことはなく、
「あ。せっかくですし。リュカさん。ここの名物、おしえてくださいませ」
にこっと何ならまったく任務とは関係ないことをお願いしているアテナ。
「あ~、いいよ~」
…伊達に、リュカに育てられているわけではないこのアテナ。
このあたりの食い意地…もとい、好奇心旺盛なところもどうやら譲り受けてしまっている。
まあ、育てている最中、
いろいろと連れ回していたのでそれは仕方がない、といえば仕方がないのかもしれない……
テミスより遥かに北に下り、さらには大海を隔てた大陸にある王国。
ヴルト王国。
沈黙の邪神を主神、としてあがめており、基本は何においても不干渉。
あるものは隠居したものたちが住まう地、とすらいわれている地。
ちなみに、他の神にウルド、という神がいるがその神とこの町とは関係はない。
「う~ん、ヴルトゥームをあがめる地かぁ~、で、ここにできたわけ?」
とりあえず簡単に情報交換を行い、なおかつ少しばかり観光を得て問題の場所に移動してきている彼ら達。
「この地はせんだって国王が代替わりしたようですね。
…まあ、その人物の考えが…言わなくてもおそらく察しているでしょうけど」
のんびりとしながらもいうリュカの言葉に苦笑しながらも答えるアテナ。
「ここは基本、いつも静かな地でもありますからあまり監視する必要もないんですよ」
一応、何かあったときのために天界より地上を監視する役目のものはいる。
この地を守護している精霊は邪神ヴルトゥームを尊敬しており、それゆえにこの地の守護にとあたっている。
ちなみに名前がなかったこともあり、無理をいってその名前の一部をもらったという尊敬ぶり。
その事実をリュカ、そしてディアは知っている。
もっともそのあたりの細かな事情までアテナは知るよしもないが。
「まあねぇ。守護している精霊が精霊だし。とりあえず道の場所にいってみよっか」
ちらり、とディアのほうをリュカが確認してみると
少しばかり離れた位置に移動していっているのがみてとれる。
話しでもきくのかな?
そんなことを思いつつもわざわざ主様の存在をアテナに教える必要もないか。
そう思い直しアテナにと問いかける。
「はい。リュカさんの意見も聞かせてくださいね?」
たわいのない会話をしつつも、先日開いた、という【道】の跡地へと二人して足をすすめてゆくことに――
「…で?何がどうなったわけ?」
とりあえず知ろうとおもえば知ることかできるがひとまず当事者にきくのが一番てってり早い。
ゆえに、何やら話しこんでいるリュカとアテナから少し離れ、この場の守護精霊を呼び出しているディア。
「…いやあの、何で母様がこられてるのですか?」
しごくもっとも、といえばもっともな台詞であろう。
いきなり何かにひっぱられたかとおもったら目の前にいるのは信じられない存在だったりするのだから。
「魔界のほうから干渉があったみいだからね~。でも手だしはしてないようだけど?いつものように傍観?」
基本、彼らは手だしはしない。
特に彼は。
何があろうと自己責任、その考えで落ち着いている。
まあ天災や災厄などに関しては多少の加護をあたえはしているが。
「まあ、そそのかされようがどうなろうがとりあえず当人の責任、ですし」
実際にそこまで干渉していては成長がみられない。
他者の意見をききそれをどう取り入れるかはそこにいきるものたちの生き方次第。
ディアの目の前にいる存在は、うっすらとした体付き的には全体を薄い灰色の毛でおおわれており、
まるっこい体にちょこん、とした瞳が二対ついていてぱっとみため、かなりかわいらしい。
見た目のとおりにその毛並みはふわふわで抱きしめていればまちがいなく眠気がおそってくるほど。
「まあ、ルゥトならそういうとはおもったけど。とりあえずやっぱりあちらからの干渉、ということで間違いないわけね?」
とりあえず今一度確認しておく。
「というか、母様がその気になれば何もかもわかるのでは?」
その疑念は至極もっとも。
そもそもその気になればすべてを見渡すことも可能であろう。
「で、どうして母様がこんなところに?」
「内緒♪」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
にっこりとそう言われればそれ以上突っ込みようがない。
ゆえに思わず無言になってしまうその気持ちはおそらく間違ってはいないであろう。
「ま、とりあえず。何があってもルゥトは基本的に不干渉、でいいのかしら?」
「はぁ。ま、そのつもりです。基本的にここにすまうものたちに任せてますから」
何がいいたいのかわからないが、とりあえず基本方針は変えるつもりはない。
ゆえにとりあえず問われたことだけは答えておく。
「わかったわ。じゃ、もうもどっていいわよ?」
「はあ。それでは失礼します?」
どうしてこんな場所にわざわざ出向かれてきたのかもわからないが、何がききたかったのかもわからない。
しかし自分がそこまで追求する立場のものではない、そう判断し、
そのままその姿を周囲の中にと霧散させる。
この地、王都トゥールにおける守護精霊ルゥト。
かの精霊は基本、本当にこの地におけるものたちに関しては不干渉、を管理をまかされた時より貫いている。
かの元となった存在はとある動物。
あるとき邪神であるヴルトゥームに助けられ、そしてその身を死して精霊へ、と願った存在。
邪神、とよばれていても、かの別名は隠居神。
…つまり、神々の中でも俗にいう、ひきこもり神…である……
何しろ天界の仕事に疲れましたので私は魔界に隠居します、といって
魔界に転居した変わりものの神なのだから……
「う~ん。これ、つかわれたひとたちの命、どうなってるの?」
「ほとんどが無理やりに引き出されていましたからね。ほぼ即死です」
本来、自らのもつ力の容量はかぎられている。
限界ぎりぎりまでその力を引き出せばそれは死を意味する。
普通は生活してゆくうえでそれらを上手に操りながら生きていくものなのだが。
第三者の手により無理やりにその力を引き出されてしまえばそうもいかない。
「虐殺と力の略奪、どっちがいいのかな~」
どっちもどっち、というような気もしなくもないが、
後者のほうはすくなくとも幾度も痛い思いはしなくてすむ。
何しろ一定の力を無理やりに引き出され略奪された場合、精神の防衛が働くのか基本的には意識を失う。
もっともそれが自らの意思でおこなっている場合はそういったことは起こりえないのだが。
「どちらも犯罪ですっ!」
のんびりといったリュカの声におもわず声をあらげるアテナ。
そもそも、他者の意見を無視した行為は【理】に反する行為。
すなわち、世界にむけての反逆行為、とも捉えられる。
自らが生きるために、という理由ならばそれは【理】に反することにはならない。
が、そうでないのならば話しは別。
「うん。やっぱりここからはいってきたやつは王都の中にはいってったみたいだよ~?」
「やはり、ですか。私もそう思いました。
しかしここは私のようなものがはいっても情報がなかなか得られなくて……」
まあ、基本静かな国であることは疑いようがない。
そもそも、ある犯罪、といえばちょっとした喧嘩程度。
もっともその喧嘩で家一件くらいは簡単に破壊されるようなことも多々とあるにはあるのだが……
全体的にのんびりとはしているがこの町に暮らすかぎり、弱いものはいきていかれない。
ゆえに基本的に強いものがあつまって今の城下町を作り上げていたりする。
何しろこの地を守護している精霊が基本的に不干渉、というのもあり、
よく多々と町を魔獣がおそってきたりもする。
ゆえに強くなければこの地ではまず生き残れない。
そして、強さは時としてその個人がもつ特有の気配にも敏感になる。
いくらアテナがその神気を隠していようとも、常人でない、というのは感覚でわかる。
もっとも隠しかたがヘタ、といえばそれまでなのだが……
「まあ、アテナはね~。とりあえず町の仲にはいって情報あつめてみよ~よ~」
「はい。すいません。おねがいします。リュカさん」
「…前はリュカおに~ちゃんっていってたのにな~」
「ですから!昔のことはいわないでくださいっ!!」
おに~ちゃん、おに~ちゃん、といってまとわりついていた二千年前のことが懐かしい。
ゆえにぽそっとつぶやくリュカに顔をまっかにしてどなるアテナ。
何とも寿命が長くても百年とすこし、力を駆使しても数百年、という存在達がきけば気の遠くなる話しであろう。
淡い金の髪の持ち主に漆黒の髪の持ち主。
対照的、といえば対照的な容姿の男女はそのままヴルド王国の首都バルトへと足を踏み入れてゆく。
「しかし、毎回おもうけど、ここって変わってるよね~」
ここにくるたびに思うこと。
すなわち。
「…まあ、どの世界からも集まってきてますからねぇ~……」
この町というか国の特徴の一つ。
それぞれの【界】になじめないものがなぜか集中してこの国にはあつまってきていたりする。
理由は単純。
この国があがめている神に問題がある。
何しろ天界の神だというのに隠居して魔界の神の地位に一応ついている神など聞いたことなどない。
光の属性だというのに闇にも属している。
ゆえに邪神、ともいわれているわけなのだが。
しかし、ここに一つ問題があるといえばある。
「…この国のひとたちってお祭り騒ぎが好きだからね~……」
間違いなく、他国と戦いを始めようとおもいます。
とでも上から発表されれば、やれひさしぶりに暇つぶしができる、と逆に騒ぎかねない国民性。
いや、絶対にそうなる。
そもそも、以前もそれで地上が大混乱になったことがあったりしたのだからそれはもう確信がもてる。
そのときのことを思い出し、ふとどこか遠くをみつめつつもつぶやくリュカ。
「…あのときは、沈め…もとい鎮めてこいっていわれて…大変だったな~……」
まあそれをほぼ一人で成し遂げた彼も彼だが。
いつもは物静かな国民が何かがあればおもいっきりはじける。
それはまあよくあること。
しかしよくあること、だけですませられないものがこの国にはある。
それでも今まではこの大陸のみでの戦いだったりしたのでまだマシ、といえばマシなのだが……
「でもやはり、一人より二人のほうがいろいろと情報はきけますね」
「ん~。まあ、異なる気配のものが二人いればお仲間、という認識ができるんだろうね~」
そもそも種族というか属性から何もかもがリュカ、そしてアテナは異なる。
そんな二人が共に行動していれば、彼ら…
この国の存在達と同じような流れ存在、という認識になっても不思議ではない。
彼らは基本、よそものには冷たいが、仲間だ、とおもったら気をゆるす。
ゆえに先日、一人でアテナがここにきたときにはあまり情報は聞き出せなかったのだが。
そのせいかアテナ一人で聞き込みしたときよりも世間話をいろいろと聞かせてもらえているこの二人。
「しかし、まだ彼らのもくろみはわかりませんね~」
「まあ、もし戦争はじめるのなら先にここがお祭り騒ぎになるからわかるとおもうよ~」
毎回のことながら戦争を始めるときこの国は完全に国をあげてのお祭り騒ぎとなる。
命を何だ、とおもってるんだろう?
そうリュカがおもっていたりするのだが、おそらく命の大切さをわかっているものたちは、
皆同じ思いを抱くであろう。
この国の主たる存在達にとって、戦争とは世界に自分達の存在を知らしめる。
そんな意味合いをもっている。
とはいえそんな意味のないことで巻き込まれるほうとしてはたまったものではない。
「とりあえず、今のところの状況はわかりましたわ。私は一度あちらに戻ります。
リュカさんはどうなさいますか?」
「ん~?僕~?ひさしぶりにここにきたからもうすこし見回ってからにするよ」
このたびはまだテミスにしか訪れていなかった。
せっかくここまできたのだからやはり名物とかはたべておきたい。
「くっ。判りましたわ。それでは、私はこれにて。いろいろとありがとうございました」
アテナとてリュカとともにいろいろと見て回りたいのは山々。
されど早く報告をもってかえらなければ、それでなくても自分の仕事が山のようにたまっている。
それゆえに、少しばかり悔しさを顔にだしつつ、ひとまずお礼をいっているアテナ。
「使途のお仕事、お疲れさま~」
そんなアテナに対してにこやかに答えているリュカ。
何らかの役割、もしくは役目をもって別の【界】にやってきた存在のことを通称して【使途】と呼ぶ。
それらは彼らの【王の使い】、という意味合いをこめて使われ始めた言葉なのだが。
ちなみに、伝道師達もまた【使途】という認識がされている。
これはどの界においてもほぼ共通した呼び方なのでひとくくりにして表現するのによく使われる。
とりあえず、アテナを町の外にまで送り届け、完全にこの場からいなくなったのを確認し、
「…んで、結局主様には気づかなかった…と。主様、わざと自分のこといわなかったでしょ?」
自分の横にいつのまにかやってきているディアにとりあえずわかってはいるがといかけるリュカ。
「ん~。というか、いまだにあの子、気配探知が苦手のようね」
「いやいや。主様が気配完全に同化させてたら絶対にわかんないってば」
さらっというディアの台詞に思わず突っ込む。
そもそもこの姿ですら仮のものでしかないのである。
それがわかっているからこそ突っ込まずにはいられない。
「ま、せっかくここにきてるんだし。そのあたりで何か飲みつつでも話しましょ」
「そ~いえば。主様。学校にかよってるらしいけど、今日はどうしてるの?」
「あっちにも姿、あらわしてるけど?問題ないわよ?」
「…きいた僕が愚かでした……」
その気になればいくらでもその姿をどこにでも表すことが可能、というのは知っている。
知ってはいるがどうしても目の前にいればそれを失念してしまうのは仕方がない。
実際に、ディアは今こうしてリュカともにいるにはいるが、同時刻、きちんと授業もうけていたりする。
よもや同一の存在が同時に二か所、存在している、とは誰も夢にも思わない。
ディアにとってはその意識を広げるだけなのでさしてまったく問題はないのだが。
この【地】にいる限り、あるいみディアに不可能はないのだから……
「とりあえず、確認してみたけど。やっぱりまた戦争おこすつもりみたいよ?」
こじんまりとした小さな食堂。
時間が時間なので客の入りはまばら。
その食堂の奥の一角に腰をおろし、それぞれ飲み物を注文しくつろいでいるディアとリュカ。
当然アテナは天界に報告にもどっていったのでこの場にはいない。
「あ~。でもなんでまた?いきなり?」
何となく予測はつくがまあ、彼らのやりそうなことである。
というか確かリーダー達も似たようなことをしようとしておもいっきり失敗してたけど。
そんなことを思いつつも、気にはなるので問いかける。
「面白い…もとい、困ったことに神託のような形でささやきかけたみたいよ?
ほんと。あきれた挑発というか提案にのって戦争をしかける…相変わらずといえばそれまでだけど。
どうして毎回、毎回知的生命体達はそういう思考におちいるのかしら?」
あっさりとだまされるような上司がいれば下のものとしてはたまったものではない。
しかし現実にそうなっているのだから情けないにもほどがある。
どうでもいいが下手に知恵をつけたぶん、愚かなことをする行為はどの種族にも当てはまる。
それゆえに呆れ半分に半ば本気でそんなことをつぶやくディア。
彼らの思考まで干渉していない。
ゆえにこそあきれずらはいられない。
「あ~。なんかわざわざ戦争しかけるっぽいの?何かんがえてるんだろ?ここの国王?」
リュカの至極もっともな意見はただただ風にと流される。
「ま、いいんじゃないかしら?身の程をしるきっかけにもなって。
まあ、全体責任でもあるしね。上の暴走をとめられなかったのは下のものの責任でもあるんだし」
何やらさらっと恐ろしいことを聞いたような気がするのは気のせいか。
「え?あ…あの?主様?…とめない、んですか?」
というか彼女のことだからてっきり止めるか…ともおもったが。
だがしかしこういうときの彼女の性格は伊達に長年付き合っているわけではない。
リュカとてよ~~くわかっている。
「あら?面倒なことをしでかしそうな子供たちをしつけられて、なおかつ反抗期な子供たちをしつけられて。
一石二鳥、でしょ?」
にっこり。
そうほほ笑むディアの目は心底楽しそうにほほ笑んでいたりする。
「……主様…鬼……」
ディアの言いたいことはわかる。
わかるが、さらっといわないでほしい、それが本音。
というか、どうして毎回、毎回、主様と直接あったら面倒事に巻き込まれるんだろうな~…僕……
そう、リュカが内心思ったのは…おそらく間違い…否、気のせいではないであろう……
そろそろちまちまと神々や魔界関係の名前がではじめてます。
彼らの名前の由来はそのうちに伝道師たちの会話でやるつもりなので今はわざと説明ははぶきます
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