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光と闇の楔  作者:
19/74

光と闇の楔 ~間者と観光と……~

ちらっと世界が崩壊?する前の文明のお話がでてきたり。

暇つぶしには便利だとおもうのですよ。

DVDボックスシリーズ・・・



※日を追うごとに東日本の地震の被害状況が判ってきて何ともいえない気持ちです・・・

亡くなられた方々にお悔やみと、また見つかっていない方々が一刻もはやくできれば無事に見つかりますように・・・

被災地の方々は大変でしょうがまけないでほしいです・・・・


「……と、いうわけで、お前がいけ」

「……はぁ……」

まあ別にいいけど。

というか、この人達、毎回おもうけど何かんがえてるんだろう?

まあ自分は自分の好きなように生きているわけで別にそれはどうでもいいけど。

することもないのでとりあえずやってるだけだし。

「おい!きいてるのか!リュカっ!」

「あ~。はいはい。んならちょっと地界にいってきま~す」

「まったく…忌々しい精霊の結界がなければ我らでもいけるというものを……」

まあ、そりゃあ敵意丸出しでいったら間違いなく断られるでしょ。

そもそも、門にあっさりと戻されるのがおち。

なんでこう熱血漢で生き急ぐのかなぁ~。

まあ何かに熱中できる、というのはあるいみいいのかもしれないけど。

のんびりまったりと生きていくほうが楽とおもうが。

「とりあえず、いってきま~す」

そういえば久しぶりの【門】だな。

うん。

ソトに何かお土産もってってやるかっ。





                光と闇の楔 ~間者と観光と……~





真っ暗な空間。

暗い、というよりはそこには何もない、しかし意識をむければそこには何もかもがある。

「やっほ~。ひさしぶり~。ソト~」

目の前に突如として現れた鈍く光る銀色の門らしきものに向かい声をかける一人の青年。

特徴的なのは人族とは異なり少しばかり尖った耳、そして背中には四枚の羽がなぜかついている。

『なんだ。ひさしぶりだな。リュカ。また外界観光か?』

自らを愛称で呼ぶ存在などほとんど限られている。

ゆえに名前を呼ばれて意識を浮上させ、そこに見慣れた姿があるのに思わず苦笑してしまう。

「うん~。なんかさ~。リーダーにいけっていわれたし~」

『…おまえ、あいかわらず流されてるな……』

さらっと何でもないようにいうその台詞にただただ呆れるしかない。

しかしその呆れは本気で呆れているわけでなくどこか面白みを含んでいる。

「え~?だってさ。せっかく生きてるんだから。流されるままにすごしたほうが楽だもん~」

『・・・それでよく間者がつとまるな……まあ、主もわかってていってるんだろうが……』

そこには銀色に輝く、見上げればどこまでも続くような巨大な門しかない、というのに。

どこからともなくそんな声がリュカ、と呼ばれた青年にと向けられる。

「え~?だってたのしいよ?主様って。あの考え方、俺、好きだし~」

突発的な考え方が彼はとても気に入っている。

ゆえに本来ならばどこにも属することがないだろうな~、とおもっていて

もかの願いだけはきちんと聞いている。

『…まあ、いい。それより地界にいくのなら主もおられるだろうからよろしくいっといてくれ』

「え~?あ~。なんかそういえば魔界からいなくなった~とはきいてたけど。地界にいってるんだ~。

  ってことは天界のほうも同時にいなくなったのかな~?ほんと、毎回面白い行動するよね~。主様って」

だからこそ面白い。

かの元にいるからこそ永い生を退屈せずにすごせている。

かつて知り合った時に即効お願いし倒したことは、

今の彼にとっては遠い日の記憶でありつい先日のようにも思いだされる。

『…面白い、ですむおぬしはほんと、大物だよ…では、門を開くぞ?』

「は~い。あ、これ。ソト、お土産~」

『ほぉう。…ん?…なあ、リュカ?なんでこれ、なんだ?』

そこにはちょっとした箱のような物体が差し出されていたりする。

彼が誕生する以前に地上に存在していた人類達が生み出したとある物質。

「おもしろかったよ~。前、暇だ~、暇だ~、といったら主様がくれたの~」

何でも自分の中で【うまれた】ものはすべて記憶しているので新たに創りだすのも可能らしい。

そもそも、それをきいて昔の人がみていたものがみてみたい、といったのはほかならぬ彼自身。

『…古の人類の遺産、それはわかる。わかるが…なんで【魔法少女もの】…なのだ?』

それはわかる。

わかるが、なぜにいろいろあるなかでこの選択なのだろう。

思わずうなってしまう彼の気持ちはおそらく間違ってはいない。

それに何より、永い時間暇でしょうから、これおいとくわね。

といって主よりこれらの再生機ともいえる品物も置かれているので理解はしている。

いるが…いったい主は自分に何を求めているのかがよくわからない。

そのときに置かれた品というのが…なぜか恋愛ものだったりした。

おもわずそのことを思い出しどこか声に哀愁をただよわせつつも目の前にいるリュカにと問いかける。

「なんとなく?」

『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・おぬしは我に何をもとめてるのだ・・・・』

「え~?だってさー。門をひらくときにこう、何か呪文をとなえてパッパラバ~、とかたのしそう?」

『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・も。いい。とにかく、開くぞ?』

これ以上はなしていたら何かどっと疲れる。

この疲れもまた心地よいのではあるが。

「は~い。あ、それ続きみたかったらいってね~。他にもお笑い大全集DVDボックスとかあるよ~」

『・・・・・・・・・・・・・・・・・ほんと、おぬしの頭の中を一度解剖してみたいわ……』

たわいのないやり取りをかわしつつも、

音もなく目の前の門が左右に開かれる。

それと同時にまばゆき光が辺りに満ち溢れ……

「じゃ、いってきま~す。お土産はイナゴのつくだにでいいかな~?」

『・・・おぬし、我がものをたべても意味がないのをいっていってないか?ん?』

「あはは~」

いつものやり取りといえばやりとり。

そんな会話をしつつも、青年は開かれた門の中、すなわちまばゆきまでの光の中へと足を向けてゆく……



「お~、すごいすごい」

久しぶりに踏みしめる大地。

おもわず感心してその場にたたずむ青年はおもいっきり周囲から浮いている。

さすがに王都テミスの首都だのことはある。

ゆえに感心してその場に立ちつくして周囲をきょろきょろしばし眺めることしばし。

「うん?そこのもの、何か用か?さっきからずっと立ち止まっているが?」

さすがにずっとその場に立ちすくんでいるがゆえに、町の入口を守る門番に不振がられて問いかけられる。

「あ~。すいませ~ん。いや~、さすがにすごいな~、とおもいまして」

黒い髪に紅き瞳。

ついでに少しばかりとがった耳。

背中の羽は折りたためられており、服装についている飾り、とも見えなくもない。

「うん?その姿、めずらしいな。魔界のものか。観光か?」

その姿から普通の人族ではないことをさっし、とりあえず問いかける。

何しろ先日のこともある。

警戒するのにこしたことはない。

基本、兵士になったときにそのあたりの知識は彼らとて叩き込まれている。

ゆえに人目でだいたいどの界に属するものかくらいはわかるようでなければ門番はつとまらない。

「はい~。光の神殿にでも参拝しようかな~って」

そんな門番の警戒心とはうらはらに、のんぴりとした声が目の前の青年から発せられる。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・魔族が珍しいな」

何だか目の前の青年と話していたら脱力してしまう。

そもそも、闇に属するものが光の神殿に参拝、など…まあ、中には変わりものがいるのはしっているが。

まあ、闇に属している、とはいえ

そこに住まうものたちが全員悪意をもっているわけではないことを彼らは知っている。

「とりあえず、決まりは決まりだ。所属と名前をたのむ」

「はい~。ひとまず所属はテケリ・ショゴク。名前はリュカ。あ、これギルド証です」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・たしかに。というか、魔族でギルド員?」

「え~?魔界にもありますよ~?ギルド協会~」

実際、どの界にも実はギルド協会は存在している。

「いや、それはしっている。いるが…おまえ、…これをみるかぎり、天界とかのギルドにも所属してないか?」

兵士が呆れているのは別の箇所。

ギルド証には所属しているギルドの界も記されるのであるが…

裏書きをみれば、そこには【天界冒険ギルド】【魔界冒険ギルド】【精霊冒険ギルド】等……

「おもしろそ~だからいろいろな世界をまわってるんです~」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ほんと、かわってるな・・・・。

  まあ、面倒事だけはおこすなよ?」

「は~い」

まあこの世界にも探究心が強い輩は多々といる。

しかし…各界にわたり、冒険ギルドに登録している存在は・・・おそらく数えるほどしかいないであろう。

そもそも、他の界においては

根本的にそこにある【気】が異なるので対処方法をしらなければすぐさまに命を落とす。

もしも、魔界の事情に彼が詳しければ、彼が所属している、という名前に心当たりがあったであろう。

しかしそれは彼が所属しているギルド名なのであろう、そう勝手に解釈していたりする。

ゆえにさらっと所属する組織の名前を出したにもかかわらず、何ごともなく町へ入る許可が下りる。

「さ~てと。とりあえず資金が必要だからな~。もってきた魔石でもうって、おいしいものたべよ~」

何だかとてもその場ににつかわない、というか何というべきか。

容姿的にはかなり目だつのだが、その行動がどこをどうみてもまるで田舎者。

しかし容姿から魔族であることは疑いようがない。

が、魔族の容姿を完全にしっている存在はごくわずか。

まあ変わった種族、と大概の存在達は捕えておりさほど問題視されていない。

ゆえに少しばかりの好奇心と、

何だかかわった人がいる、という不可思議な視線が彼にとしばし向けられてゆく。

魔族、とひとくくりにしてもその種族の種類は多々とある。

彼…青年、リュカが所属しているのは鵬翼種、という種族。

年齢によってその翼の数が増えてゆく、という種族なのだが、滅多とお目にかかれない。

なぜならば彼らの翼は実は様々な病状に劇的な効果を発し、ゆえにかつては乱獲されたこともあるほど。

ちなみに彼らのもつ血はあらゆる毒を無効化する効果をもつ。

それもまた乱獲された原因の一つ、といわれているが事実そうなのだから仕方がない。

もっともそういう経緯もあり、

もともとは地界に住んでいたのだが魔界にその身を彼らの種族は移したのだが。

「こんにちわ~。すいませ~ん、品物うりたいんですけど~」

とりあえず一番近くで【魔力】を強く感じる店にと足をむける。

その店は裏通りに位置しており、ぱっとみため判りにくい位置にあるものの、

力の流れを視るものからすればその位置は一目瞭然。

「おや。いらっしゃい。…うん?めずらしいね。ダークエルフ…いや、違うね?何の種族だい?」

はいってきた青年をみておもわずじっと相手を見極める。

ここにこれる、ということは何らかの紹介、もしくは自力で力の流れを見極められるものに限られる。

「秘密ですよ~。あ、買い取りおねがいしたいんですけど~」

でできた恰幅のいい女性の言葉をさらっと受け流し、にこやかな笑みを浮かべつつも用件を切り出す。

「品物はなんだい?」

「これです~」

ごろっ。

いって懐にいれていた袋より手の平にのる程度の大きさの水晶玉のようなものを取り出しその場におく。

色彩は赤と銀。

「おや?これはめずらしいね。魔石かい?しかも…ほおう。火属性と雷属性…かなり質がいいね。

  これ、どうしたんだい?」

「ここにくるまでになんかおそってきたやつからもらいました~」

まあ、【森】を抜けるときに襲いかかってきたのでかえりうちにしだたけなのだが。

「ふむ。大きさもそれなりだし。なおかつ透明度もいいね。火属性はよく出回るけど透明度もいいことだし。

   火の魔石で白1。雷のほうは珍しいので黒1でどうだい?」

魔石はいろいろな場所にて使用され、ゆえに交換ルートがかなり高い。

とはいえその制度はピンからキリまであり、透明度が高ければ高いほどその効果は高いとされる。

地界…すなわち、人間達が暮らしているこの地上においては滅多と透明度の高い魔石はまずとれない。

透明度がたかい魔石を求めるならば他界に出向き手にいれたほうが能率がよい。

しかし他界にそうほいほいと誰もかれもがいかれるわけではない。

そもそも、界を隔てる門にたどり着くまでまず命を落とす。

ゆえに、ときおり訪れる他界のものが売りにくる魔石はかなりの高級品、として取り扱われる。

「それでいいです。今無一文なので~。

  あ、あとこのあたりでおいしいものがたべられる宿しりませんか~?」

とりあえずそれほど長居をするつもりはない。

まあ、黒一枚…すなわち、黒水晶貨ラクリスタ一枚もあればしばらく困ることはない。

「ああ、それならルワールの宿がいいよ」

ルワールの宿。

種族を問わず、お客様は神様ですの精神をもっている宿屋で従業員の態度も評判がよい。

低料金にて宿屋を経営しており、その設備からしても採算はとれないだろう、とは誰もがいうこと。

しかし、その宿は最高峰のランクに位置している銀の資格の保有者、ルワールが経営している。

つまり、彼の趣味の延長線上にて経営されているので設けとかは二の次となっている。

冒険ギルドにおいて最高峰を保有しているルワールの名前を知らないものは滅多といない。

ゆえにそんな人物が経営している店でごろつきがからもうなどすれば…結果はいわずともない。

ちなみに、その店の経営方針のもう一つが、目には目を、葉には葉を。

やられたらやり返すのは正当防衛であり、すべての責任は客にあり。

そうきっぱり公言していたりするのだからすこしばかりかわっている。

何しろ宿帳に記載するときに署名をするのだが…そこに小さくそのことが記載されており、

文句をいったりする客がいればそれが動かぬ証拠となり、有無をいわさず客が責任を追うこととなっている。

何しろ、【上記の旨を納得しすべてを守るものとする。署名をもってここに記す】とこれまたご丁寧に、

宿泊名簿帳にかかれていたりする。

つまり、宿に泊まるために記載する、ということはすなわち、何かあった場合責任はすべて自らがとります。

と書類にて宣言しているようなもの。

ゆえに公式的に書面がある以上、客の立場ははてしなく弱い。

そもそも、それをほとんど読まず、確認せずほとんどのものは普通に署名してしまう。

…まあ、始めのころはそれで幾度か役人の手を煩わせていたらしいが、

今ではもはや周知の事実となり、ちょっかいをかけるような馬鹿はいない。

「はい。じゃ、これが代金だよ。ああ、そうそう。

  最近なんか物騒らしいからあまり夜は出歩かないほうがいいよ?」

何があるかわからないので一応、夜間外出を控えるように指示が国民すべてに出されている。

「ルワールの宿か~…他は何かありますか~?」

あの場はあまり居心地がいい、とはいえない。

というか万が一、ルワール当人とかちあわせたら面倒なことこの上ない。

おそらく気配を隠していてもこちらの実力を知り警戒してくる、もしくは面白がって挑んでくるであろう。

それにあまりぴしっとした部屋は好きではない。

むしろこじんまりした部屋のほうが彼の好み。

「そうさね。なら……」

しばしたわいのない会話が店の一角において見受けられてゆく……


「お~」

紹介された宿は自分の好みによくあっていて思わず笑みが漏れ出してしまう。

建物的には大きくもなく小さくもなく。

裏路地にひっそりと存在しているこの地においては珍しい木製の建物。

「うん?なんだ、客か?めずらしいな?まだ酒場はひらいてないぜ?」

はいってきた青年をちらり、とみてカウンターの後ろにいた男性がそんな青年にと声をかける。

ここは酒場を兼ねており、夜はちょっとした冒険者たちやゴロツキたちのたまり場となる。

「いえいえ~。とまりにきました~。部屋あいてますか~?」

のんびりと、のほほんといいつつも、カウンターのほうにちかづいてゆく。

「あいてはいるが…うん?兄ちゃん、珍しいな。魔族か?」

この地に魔族が入れるのはかなり珍しい。

この地は守護精霊ティミの加護のもとになりたっている。

すなわち、はいれる存在は邪気がないもの、に限られる。

その邪気、とは【この国に害を及ぼす可能性】を示している。

まあ、些細ともいえる悪事程度は害に及ばず、ということで加護結界の範囲外とはなっているが。

「あれ~?よくわかりましたね~?あ、もしかして気配よめます~?」

よくよくみればこの店のマスターなのであろう。

人族のようであるがよくよくみればどうやらエルフらしい。

ゆえにこそちょこと首をかしげつつも問いかける。

そんな彼の言葉に対し、

「まあな。というかあんた、かわってるな~。魔族でそこまで気が整ってるやつは初めてみたぞ?」

普通、どこかしら【気】に淀みがあるもの。

それはどんな存在においてもいえること。

しかし目の前の客にはそれがない。

まるでそう、完全に固定された気配のような感じをうける。

「僕を一目で魔族ってみるあなたもそうとうなものですよ~。普通はきづかないんですけどね~。

  なんかよくダークエルフとはまちがわれてますけど~」

まあ、色も多少黒いのでそれはそれで仕方ないのかもしれないが。

あと彼のもつ独特の雰囲気としゃべり方であろう。

…どこか話していたら気がぬける、そんな特有の話し方。

「…あ~、まあその雰囲気と話しかたじゃなぁ。で?とまりたいって、魔族のあんたがなんでだ?」

「あ~、一応観光のつもりなんですけど~」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いや、今、なんて?」

今、目の前の魔族は何といったであろうか。

なんとなく聞き間違いのような気がしてもういちど確認する。

「ですから~。観光をかねて~」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あんた、かわってるってよくいわれないか?」

ここまでのんきな魔族は彼は今まで一度もみたことがない。

ゆえにおもわずこめかみを押さえつつも問いかける。

「よくいわれてますよ~」

「・・・・だろうな。しかしそんなんでよく生き残れてるな・・・あんた……」

こんなのんびりとしていてよくもまあ、弱肉強食を地でいく魔界でいきていけているものである。

ゆえに思わず感心してしまう。

まあ、暮らしているのは魔界でないのかもしれないが、それにしても…である。

「適応能力だけ、はあるらしいんですよ~」

へらっ。

にこやかにさらっといわれれば、そういうこともありえるのか、そう納得するしかない。

「…まあ、こちらとしてはきちんとお金さえはらってもらえればいいんだが……

  しかし、あんたかわってるね~。魔族でここまで人あたりがいいヤツは初めてだよ」

大概の魔族はほとんど嫌われている。

まあ元々もっているその性質とその性格もあるであろうが。

まあ、中には笑みを浮かべながらもさくっと非情なことをする輩もいるにはいる。

そういう輩が一番厄介であることは疑いようがないのだが。

「え~。だっていろいろといくのに面倒ごととかおこしたら自分が楽しくないじゃないですか~。

  やっぱり、おいしいものをたべて、まったりのんびりといきるのがたのしいでしょ~?」

「・・・・・・・・・・・・・実力があるからこその台詞、ととらえるべきか?ううむ・・・」

どうもこう調子がくるってしまう。

どちらにしても客商売。

問題を起こさず、面倒ごとをおこさずに過ごしてくれればそれにこしたことはない。

それに何より先日の一件のこともある。

何かあったときに実力があるであろう客がいてくれるのはかなり心強い。

「それで、部屋はあるんですか~?」

何だか話題が完全に本筋からそれている。

ゆえに再度といかける。

「うん?ああ、すまんすまん。代金は青水晶貨ブルークリスタ一枚だ。

  二食付きだとこれにさらに水紫晶貨プルクリスタ一枚、だな」

「あ~、じゃあ、二食付きでおねがいしま~す」

いいつつも、とりあえず懐から赤水晶貨レッドクリスタ一枚取り出して手渡し、

「何日になるかわかんないのでひとまず先払いしときますね~」

「お。兄ちゃん、気前いいね~。そんな大金どっから?」

「さっき魔石をうりまして~」

先ほど魔石をうったときにとりあえず細かく貨幣は崩してもらっている。

ゆえに、わざわざ大金を出してお釣りをもらうようなことはしなくてもよい。

わざわざ細かいものでもらった理由。

その理由はしごく簡単。

大金をおいそれと出していればまちがいなく面倒なことになるからに他ならない。

彼とすればあまり面倒なことにかかわりたくないのが本音。

ゆえに細かなお金で魔石をうったお金を受け取った。

「…なるほど。納得。ま、部屋は二階だ。これが鍵、な」

何しろいくらのんびりしているように見えても魔族は魔族。

つまりは魔界にいくことすら可能。

とすればこの地上にある魔石よりも格段に純度の高い魔石を手にいれることくらいは可能のはず。

魔界でとれる魔石は最低なものでもこの地上でとれるものより格段に質がよい。

それをうったとなるとしばらく遊んでいても暮らしていけるだけのお金にはなったはず。

目の前の青年の台詞に一人納得し、部屋の鍵を手渡す。

「夕飯がほしけりゃ、好きな時間におりてこい」

「は~い。ありがとうございます~。しばらくお世話になりますね~?」

いいつつも、ぺこり、と挨拶。

「…なあ、あんた、ほんと~~~~に魔族か?」

魔族は大概、他の種族を見下している節がある。

まあ全員が全員、とはいわないが。

しかし相手に簡単に頭をさげる存在など…はっきりいってきかない。

「仲間にも~。かわりものっていわれてますから~」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・納得」

どの種族にも変わりもの、というものはいるものである。

ゆえにそれで納得する。

こんな商売をしていれば

いろいろな存在に出会うがゆえにそれだけで納得してしまう要素がある、といえるのだが。


とりあえず宿帳に名前を記載し、そのまま青年…リュカはそのまま自分の泊まる部屋へと移動してゆく――



「リーダーも無茶いうよね~。だれがきちんと道を閉じたのか調べてこい、なんてさ~。

  そりゃ確かに普通の精霊程度ならばあの道をふさぐのは容易ではない、と認識してるかもしれないけど~」

ほんと、理解してないからそんな勘違いしてるんだよね~。

そんなことをおもいつつも一人ぶつぶつつつぶやく彼の台詞は何も間違ってはいないであろう。

あむあむ…ごくん。

「や~。やっぱりこっちのたべものはおいしいよね~。うん、味付けもいろいろあるし」

とりあえず、部屋を確保し問題の場所にいってはみた。

そのときに感じたのは精霊の力ではなかった、ということなのだが。

「あれってやっぱり主様の力だよね~。ということはここにいるのかな~?主様?」

いるのなら久しぶりにあってみたい、というのもある。

というか面白そうなことをしているのならぜひともその仲間にいれてほしい。

自分が組織のリーダーより命じられたのは、道の状態。

何しろ足がかりとしようとしていた【道】が突如として閉じられてしまったのである。

ゆえに上のものたちの狼狽はかなり激しい。

「そもそもさ~。いろんな命を贄にしてつくった【仮初めの道】なんてすぐに閉じられるのわかりきってるのに~」

まあわざわざそれをいう必要もする気もないのでいわなかったが。

そもそも組織にはいったのも昔馴染みに誘われて、彼が敬愛している【意思】に確認してみたところ、

そのまま入って様子をみてほしい、といわれたのでそうしてるだけにすぎない。

「ティミに聞けばわかるかな~?」

この地を守護している守護精霊、ティミ。

彼女ならばもしこの地に【意思】が滞在しているのならば知っていても不思議ではない。

「お、兄ちゃん、いいたべっぶりだね~。というか虫系がすきなのかい?」

「お野菜とか虫系統が大好きなんですよ~、種族的に」

「…あ~。そういう系統なわけ、か。ま、たっぷりとたべとくれ」

「は~い」

何やら周囲が騒がしいがリュカにとってはどうでもいいこと。

先ほど何か因縁をつけてこようとした相手がいたが、ちょこっとその【精神】に力を加えただけで、

なぜかしばらく大人しくなったりしていたりもするが。

まあ、絡んでいた相手がいきなり、その場に硬直し放心状態になれば驚く、というもの。

しかしリュカはそれに対してまったく異もかいさずそのまま食事を続けていたりする。

周囲にいたほかのゴロツキ達はといえばそれがリュカの行ったわけのわからない何かの術。

そうとらえ、リュカに手をだそうととていた存在達はなりをひそめていたりする。


まあ、あたらずとも遠からず、ともいえるが。

そもそも、リュカが行ったのは術でも何でもなく、彼のもつ力の一つ。

彼はその身の発する超音波にて人の精神を狂わすことができるのだから……




 

さて、最後の超音波云々、でわかったとおもいますが。

 彼の元の種族は蝙蝠、です(爆

 かつての大異変のときに変異した種族なんですよ~

 まあ大災害を生き抜いた種族、でもあるんですけどね・・・・


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