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光と闇の楔  作者:
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光と闇の楔 ~資格証明書と授業~

前半でさらっと試験はながしますvええ。

いやほんと、さらっと……

だって試験内容をずらずら~と書いても意味不明でしょうし…

いえ、きちんと薬学における試験問題、というのはありますよ?

あるけど…わざわざ、試験問題をみたい、という人はいないとおもうのですよ……



「ディアさん。そこまでいろいろわかってたら先に資格とればよかったのに」

「ん~。でも外からの試験だと試験料高いし」

教科書にのっていることよりも詳しく物事をしっている。

長命である精霊達からいろいろと知識を得ているがゆえにおそらくいろいろと知っているのであろう。

そう判断してはいるが疑問はつきない。

「まあ、学園にはいっていれば試験料は無料となるからねぇ」

高い学費も伊達ではなく、基本、必要な各技術などに関する試験は無料で参加できる。

ちなみにこのギルド協会学校の基本卒業資格はそれぞれの分野において最低でもC級所得をすること。

級、とはそれぞれの分野において免許のような制度を指し示す。

ちなみに、S級が免許皆伝、といわれている高みであり、

それ以外は、A級~G級までそんざいしている。

C級以上を獲得していれば大概のところで働くことは可能。

ちなみに自分で店などを持ったりする場合は最低でもA級所得は必要となってくる。

「まあ、先に資格だけとっても学校をでていなかったら雇わないところも多々とあるし。

  お給料面でもひびいてくるみたいだしね」

ギルド協会学校…通称、学園を卒業しているかいないか、で初任給も異なってくる。

ギルドそのものに関しては学園に通おうがどうしようが、基本実力主義の社会なので関係ないのだが……

しかし普通は冒険者などを生業にするとしても実力がなければご飯もたべられない。

生死の境を日々いきる冒険者などとは異なり、

普通の仕事を持ちたい、とおもうのは、おそらく間違ってはいない。

中には知識がなければ冒険者として生きていかれないから、といって学園に入学する輩もいるにはいるが。

入学する理由は、ひと、それぞれ。

「はいってまもない生徒でも検定はうけられるからうけてみたら?」

「そうね~」

C-Aの教室の一角においてたわいのない会話が見受けられてゆくある日の光景――




光と闇の楔 ~資格証明書と授業~






『薬学免許試験、C級』

ぱらぱら。

かきかき。

何ともいえない静まりかえったここちよいまでのほどよい緊張感が周囲に張り詰める。

「すごい人ね~」

思わずディアがそう思うのは仕方がない。

この場には本日の試験をうけるすべての存在が集まっている。

本日ここで行われるのは薬学免許、と呼ばれる品。

薬の調合から危険物とみなされる毒草など。

つまりは草花における知識とその応用が試される場所。

この場には様々な種族の存在、及び年齢の幅もはてしなく広く集まっているのがみてとれる。

まあ年に二度しかない試験。

ゆえにその力の入れようもわからなくもない。

ないが周囲がそれぞれに精神集中や再度の知識確認などをおこなっている最中、

そんな同じ受験者達をみているディアはかなりその場からういている。

しかし浮いているはずなのにその雰囲気もまた完全に周囲に溶け込んでおり違和感を感じさせない。

ギルド協会学校に入学してはや一月。

試験がある、というのをきき申し込んだ。

本来ならばある程度の下の級から挑戦するのだが、いきなり上の級にいってもいいのだが、

無難に中ほどの試験をうけることにしているディア。

時間とともにこの試験会場となっている場には特殊な結界が張られ、

不正行為なとがあればすぐにわかるようにとなっている。

ずらり、と並べられている椅子と机。

そしてすべてを監視するためにと会場内部を飛び回る球体。

この球体はとある術で構成されており、

その球体に写り込んだ光景をそのまま別の場所に転写することが可能。

つまりは、離れていても見張りができる、という代物。

その威力は術者の力加減一つできまる。

「まったく同じ日に試験、というのも何よね~……」

その他の技術や他の資格に関してもこれらは同日に執り行われる。

すなわち、様々な資格を要したいものにとっては数年かけてそれらの資格を所得することとなる。

ゆえにほとんどのものが自分に必要な資格だけ所得し他は見向きもしないのだが……

会場となるのはギルドが保有する試験会場となるべく施設。

この施設の中には様々な特殊技能などの実技を身につける施設も存在する。

特質すべきはこの建物そのものに精霊の加護がつけられており、

ちょっとやそっとの攻撃などをうけてもびくともしない、ということであろう。

建物の形とすれば基本の建物は四角の形に建てられており、

二階建の白いレンガ造り、中身は木材で内装が施されていたりする。

そして囲むように建てられている建物の中心にひときわ目立つこの世界でも珍しい、

四階建ての建物が位置しており、試験はこの四階建ての建物の中において執り行われている。

広さ的にはすっぽりとちょっとした商業区くらいははいる広さをもち、

この建物だけでひと区画締めている、といっても過言ではない。

東側にギルドが経営している学校があり、西側にはこの施設が存在するテミスの首都の構造。

そしてここからは王城がよく見え、斜め正面にお城が位置している形となっている。

今、ディア達がいる部屋はその四階建ての建物の二階の一室にあたり、

内部構造をしいてあげるならばいたって単純極まりない。

何しろがらん、とした空間に椅子と机がこれでもか、というほどに並べられているのみ。

正面と背後にはちょっとした段差が設けられており、そこに教壇らしきものがあるにはあるが、

基本、この部屋そのものは何もない、といって過言でない。

あるとすれば部屋を支えるためにある数本の柱、くらいであろう。

「それでは、試験を開始いたします。みなさん、準備のほどをお願いします」

この試験会場を担当しているであろう試験管の言葉に従い、それぞれが出していた品々を片づける。

この部屋に集まっている受験者達の数はおよそ百名と少し。

正確にいうならば百八十六名、という人数がこの部屋の中には存在している。

まさしく老若男女問わず、異種族問わず、というギルド本来の概念がよくわかる顔ぶれ。

「それでは…試験、開始っ!」

数十名に及ぶ試験管がそれぞれの受験者に試験用紙を一人、一人手渡していき、

いきわたったことが確認されたのをうけ、本日の試験が開始されてゆく。

この薬学試験は数種類の科目に別れており、

合格するためには全部の科目を最低でも八十点以上取らなければならない。

ちなみに、まだこれはC級試験なので所得点数が低くても合格範囲になっているのであり、

A級、そしてS級となれば全科目を百点以上求められる。

A級資格にいたっては問題が百点満点のように造られているため、基本満点でなければ認められない。

そしてS級にいたっては

五百点満点という中でどれだけの点数が平均してとれるか、でS級の中でもランクがきまってくる。

ちなみに、S級にもランクがあり一番最高峰はS級十位、と呼ばれている。

この資格所得者は各国々にも数名しかいまだに存在しておらず人々の憧れの的、ともなっている。


試験管の開始の合図をうけ、会場内はさらに緊張感に満ち溢れてゆく――




「……なんというか、ディアさん、あなた、

  始めから卒業資格試験うければよかったかもしれませんね……」

おもわず感心したような呆れたような声が苦笑まじりに紡がれる。

総合科C組A担任教師、ヘスティア=アルクメーネ。

前日の試験結果を手に思わず苦笑まじりにディアを呼び寄せ話しかけていたりする。

「でもこのたびの試験内容、そんなに難しくはなかったとおもいますけど……」

ディアからすれば内容はいたって単純であった、としかいいようがない。

もっとも、成分分析などといった内容も出てはいたりしたのだが。

ディアが入学してからそのようなことはいまだに教えてはいない。

C級とはいえ世の中に通用する資格であることにはかわりない。

合格者は十人試験をうけて一人受かるか受からないかというレベル。

そんな中で満点合格者、というのはかなりマレ。

その報告をうけたときには、ヘスティアはかなり驚いたものである。

もっとも自分が担当しているクラスから満点合格者がでた、というのはかなり誇らしい。

誇らしいが・・・まだ、ディアは何しろ入学して一月足らず、というのもわかっている。

薬学に関してもいまだ詳しく教わってはいないはず。

「ギルドからの報告によれば、昔から薬学などには通じていたようですね」

「まあ、基本的なことは」

そんな担任の台詞にあえて答えるわけでなく、かといって否定するわけでもなく笑みをむけてかわすディア。

「とにかく。おめでとうございます。ディアさん。薬学C級、免許所得、です」

試験を突破した、という免状とそれに伴う免許。

ちなみにこの免許はカード式になっており、色によって区別されている。

ちなみに一枚のカードですべての免許所得具合がわかるようになっており、

新たに資格を所得した場合、一番始めに手にしたカードに上書きされる形で更新される。

「そのカードは一生、あなたの資格を証明するものになります。

  無くしたりした場合は再発行になり再発行手数料がかかりますので気をつけてくださいね」

「はい」

裏に名前と資格内容がかかれており、表にはシンプルに『資格所得証明書』という文字が記されている。

このカードもまた特殊な方法でできており、

普通のカードではなく術により練り上げられた特殊製法な板でできている。

弾力性があるが絶対に折れることはなく、またしわがつこともない。

大きさ的にはてのヒラサイズより少し小さめくらいで、持ち運ぶのに不便はない。

大体の存在はこれらの証明書は小銭入れ、もしくはカード入れなどといったモノに入れている。

この世界で普及している財布はこれらカードが入るような構造になっているものが多く、

ゆえに小銭入れとして普及している入れ物もカードをいれる場所が別につくられている。

大概はカードとお金を別々にしている者たちが大半なのだが。

理由は簡単。

お金はとられても問題ないが、身分証明ともいえるカードを取られた場合、後が面倒であるがゆえ。

もっとも、この身分証明ともいえるカードは当人以外のものが悪用できないように、

個人情報がきちんと守られるようになっている。

すなわち、当人の『気』により文字が浮き出るような仕組みとなっているのである。

ゆえに他者が使用しようとしても、そこには何もかかれていないカードのみが示される。

当人の『気』をカードに入れ込む方法はいたって単純。

うけとったときにカードを手にし自分なりに自分の気を入れ込むようにするだけ。

気をいれこむ、という方法がわからなければ、額にしばしあてていればよい。

それだけでカードに組み込まれている術が持ち主として登録する形式がとられている。

「カードに情報をいれる仕組みは…説明するまでもないみたいですね」

登録が完了すればカードの色が銀色から金色にと変化する。

ディアがカードを手にとり瞬く間に色が変化したのをみてとりヘスティアは再度苦笑する。

「これからのあなたの活躍に期待してますね」

「はい。ありがとうございます」

朝の朝礼どき。

教室の前にと呼び出され、試験合格を告げられた。

ゆえに教室の中はちょっとした騒ぎになっていたりする。

よもやC級資格の合格者がクラスからでるなど誰もおもってはいなかった。

実際にこのクラスからはいく人かの試験をうけたものはいるがC級を受けたものはおらず、

よくてD級どまり。

C級合格は彼らの学年からすればかなり珍しく、あるとすればA組在住の生徒が成し遂げるくらいであろう。

「はいはい。それでは、次なる合格者の授与式にうつりますよ。

  名前を呼ばれた人は前にでてくださいね?」

とりあえず一番先にディアを呼んだのは他の生徒達にもはっぱをかけるため。

しばし、先日の試験合格発表をかねた、資格授与式がC-Aの教室にて執り行われてゆく……




「そういえば。ディアさん、C級試験ってどんな内容があったの?」

好奇心と興味、そしていずれは自分達もうけたい資格。

ゆえにこそ休み時間にディアの傍にいき問いかける生徒達。

「このたびの試験内容?そんなに難しくなかったわよ?

  たとえば、水の幼生と相性のよい精霊の幼生の数をのべよ。幼生達の記号でも可能。

  幼生達と卵達の因果関係を示せ、という問題とか」

ちなみに、卵、という表現はいまだに自我をもたない自然界の中にある様々な因子のことをいう。

記号、とはそれらのことを示すのに使われている文字通り、『記号』。

かつてはそれらのことを『元素』または、『原子』と呼んでいた。

今の世ではそのような呼び方はされていないが。

相性のいい、というのは結びつく可能性がある因子のことを指し示す。

卵達が結び付き、二つ以上から構成される物質に変化した場合、各個に意思が生まれ幼生、となる。

それらの幼生達は同種、あるいは異なる種と結合することにより幼生、という個体を形勢する。

その結びつきに必要な力は別なところにあり、様々な要素が含まれる。

今、ディアが上げた問題はそれらの要点を踏まえて説明せよ、というもの。

ちなみに電気を帯びた卵や幼生はまた別なる生命にと進化する。

そこまで詳しく試験にでるとすればそれはA級以上の試験に限られるが。

ゆえにそこまでディアは説明するつもりはない。

きかれているのはこのたびの試験内容、なのだから。

「…その、卵やら幼生やらの仕組みが今いちよくわからないのよね……」

教科書にものってはいる。

いるがいまいちつかめないのも事実。

「まあ、感じ取られれば一番てっとり早いけどね」

実際に【感じる】ことさえできれば難しく考える必要性はまったくない。

そもそも自然界には常にどこにでも【卵】達は存在している。

ただ、普通の目では視えない、だけで。

「たしか、上級向けの教科書に一覧がのってたとおもうけど……」

それらの一覧を伝えたのは他ならぬ伝道師達。

かつて彼らが普通のように使っていた元素記号を用いた一覧表。

水素やヘリウム、といったその概念はわからないまでも、そういうものなんだろう。

という認識でこの世界には広まっていたりする。

別にそれらを知らなくても生活に支障はないわけで。

しかしそれらを詳しく知ることにより生活の幅が広がるのもまた事実。

それらを生涯の研究対象としている者たちもいるにはいるが。

「判らないなら、ヘスティア先生にきいてみたら?きっと喜んで教えてくれるとおもうけど?」

おそらくまちがいなく嬉々として教える様子が目にみえる。

ゆえにいたずらまじりにそんなことを提案するディア。

彼女の性格はちらり、と確認しただけで完全に把握している。

ゆえにこそのディアの台詞。

「…いや、それ提案したらクラス全体巻き込んで補習授業になるとおもう……」

そんなディアの台詞をうけて別の生徒が突っ込みをいれる。

おそらくそれは間違いないであろう。

というか向上心があるのはいいこと!

といって嬉々としてそれらのことを教え始めるのは目にみえている。

ディアからしてみればまだ習い始めて一月ではあるが、

この教室から【訊いた】内容からしてもおそらくそれは間違いない、と確信がもてる。

「たとえば、水の幼生はね……」

「いや、ディアさん、説明いらないから、いらないからっ!」

「聞き始めたら絶対に終わりがないぃ~~!」

何ともわきあいあいとした会話がディアの周囲にて繰り広げられる。

と。

から~ん、から~ん……

「あ、次の授業開始!」

「たすかった~」

「いや、きいてきたのはあなたたちなんだけど……」

ディアが詳しく説明しようとするとちょうど休憩の終わりと次なる授業開始の鐘の音が鳴り響く。

ゆえにほっとした表情をうかべるクラスメート達。

そんな彼らにおもわず苦笑せざるを得ないディア。

こういうやりとりは何だかほんわかしていてとてもここちいい。

「なんか、ひさしぶりにゆっくりしてるって感じよね……」

おもわずぽつり、ともらすディアの気持ちはおそらく本音、なのであろう。

基本、彼女は【彼ら】を常に身守っている立場、なのだから……



「さて。と、今日の依頼は…と。んで、またケレスがいるわけは…と」

おもわず苦笑してしまうのは仕方がない。

授業がおわり、いつものようにギルドにいこうとしたところ、学校の門の前で待ち構えられていた。

「一人で依頼うけようなんてずるいんだからっ!」

どこがずるい、というわけではないであろうが。

ケレスとすれば一人より二人で依頼をこなしたほうが能率もよく確実に資金が手にはいる。

それゆえにディアにまとわりついている。

「ケレスも一人で依頼うけたほうが楽じゃない?」

「だって、ディアとだったら薬草とか探すのはやいしっ!」

自分一人だとどこに生えているとかは大まかなところしかわからない。

しかし、薬草採取の依頼などにおいては、ディアは周囲の自然達からその位置を聞くことが可能。

ゆえにたしかに時間節約、といえば節約にはなるであろうが……

しかしディアからしてみれば一人のほうが楽、というのがある。

何しろ他者の目があれば活性化させることもできない。

多少成長を早めさせ力をあげることにより元通りにしておきたいディアからすれば他者の目はないほうがいい。

何しろ自分が力を使うところはあまり見られたくない。

まあ、離れていてもその気になればそれらは可能なのではあるが。

やはりそれはそれでのり、というのもも大切にしたいディア。

「まあ、いいけどね……。今日、私はヒギエアの根の採取依頼をうけるつもりだけど」

めぼしい依頼はすでに目をつけている。

この依頼は継続依頼がでており、ちなみに報酬金は一本につき水晶貨10枚。

ちなみにこの金額は通常生活するための生活費の二分の一にあたる。

普通に生活していくうえでほぼ水晶貨二十枚あれば一日余裕をもって過ごすことが可能。

…もっとも、宿にとまったりした場合はそれでは足りないが。

ヒギエアの根。

ヒギエア、という植物の文字通り根であり、しかしヒギエアの花はいわば食虫植物。

大きさによっては人の子供、もしくは大人ですら簡単に消化吸収してしまう。

基本的にそこまで大きなヒギエアは人里近くには存在していないが。

その根には滋養強壮の効果があり、様々な用途に重宝されている。

ちなみに、根だけでなく草木の部分も乾燥させることによりちょっとした薬になりもする。

ゆえに根の採取をかねてうまくすれば花の部分も売れることもあるが

こちらのほうは自力で乾燥させて持ち込んだほうが手取り的には高く引き取ってもらえる。

授業がおわり、そしてその放課後依頼をうけて報酬を得る。

という行動を基本的にディアは毎日のように行っている。

ちまちまと依頼をこなしていてもいまだにギルドのランクが上がったわけでなく。

ちなみに、ギルドのランクを上げるためには必要なポイント、というものがあげられる。

通常、ディアが受けている依頼における所得ポイントは低いものが多い。

ゆえにいまだにギルド自体のランクは上がっていない。

今のディアのギルドにおけるランクは青。

先日までは紫だったのだが、資格を所得したことによりランクが一段階あげられた。

ギルドのランクは資格にも左右される。

資格を所得しているかいないか、により受けられる依頼の幅もまた異なってくる。

基本ポイントは元となっている通貨の仕組みと似通っており、

ゆえに次なるランクにディアが上がるためには、千ポイント必要となってくる。

それでも日々、毎日こつこつと小さな依頼をこなしていけばいずれはギルドのランクも上がるであろう。

「そういえば、どこでとるつもり?」

「霧の森」

「……え?」

さらっといわれたディアの言葉に思わず絶句するケレス。

「たしか、その森ってこの前から迷いの森、ともいわれてない?」

なぜか森にはいっても奥までいかれず途中までいくと森の出口付近に戻されてしまう。

常に森全体に霧のような靄がかかっており、以前からその霧は有名であったが最近はより濃くなっている。

「大丈夫よ。今そうなってるのは竜の卵があるから、だし」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・それって、大丈夫じゃないじゃないっ!」

さらっといわれたディアの言葉におもわず叫んでしまうケレスは間違っていない。

絶対に。

竜の卵がある、すなわちそこには竜が存在している、ということに他ならない。

「大丈夫よ。こちらが敵意なければ」

それに何よりもディアからすれば知り合いである。

以前しっかりと釘をさしていることからまた馬鹿なことをするとは思えない。

しかしケレスはそんな事情など知りはしない。

「彼らがいるのは森の中心付近だし。ヒギエアは森の滝付近に生えてるし」

竜が住まう森である、とわかっていていこう、というその根性がケレスからすれば理解不能。

ゆえに、

「……ディアってこわいものあるの?」

呆れ半分に問いかける。

「あるわよ?」

怖い、というかみつかったら延々と説教をかましてくれるので苦手、というほうが正しいが。

まあ、怖い、といえば怖い部類にはいるであろう。

「私の知り合いなんて、私がすこしいろいろしただけで、一日といわず数日間、説教まがいなこといってくるし」

それも延々と。

そんな暇があるなら仕事しろ!

と幾度叫んだことか。

おもわず遠い目をしながらそんなことを思い出す。

「…いや、それ、怖いの意味が違うとおもう……」

そんなディアの言葉におもわずつっこみをいれているケレス。

しかしディアの様子をみていても、おそらくいっても無駄なのであろう。

そう判断し大きくため息をつき、

「……あぶない、とおもったらすぐに森からでるのは約束してよね?」

「だから、あぶないことなんてないってば」

「……ディアのその根拠のない自身はどこからくるのかしら……」


互いにそんなやりとりをしながらも、二人はギルド支部へむかって足を向けてゆくのであった……








ちなみに、こそっと補足。

卵、と呼ばれている物質(?)は現実世界でいうところの「原子」や「元素」です。

ついでに幼生、とよばれている物質(?)は「分子」です。

つまりは、水「H20」とかならば幼生、になり、ただの水素「H」ならば卵、という形ですv

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