8
奥山が野本と話をしていた。
「また、・・・」
「なんだい、また・・」って
「また、山下さん、ため息をついていた。・・」
「なにか、あったんだろうか・・・」
「めぐみのことが気になってるのよ、きっと・・・」
「えっ」と野本は驚いた。
「鈍いんだから・・」
山下は、一日、仕事にならなかった。
そして、仕事が終わり気づいたら、病院はむかって走っていた。
優香も病室に戻って、ひとりベットに横たわるめぐみ、
明日は手術かと
手術の前にもう一度だけ、山下さんに会いたかった思いながら、ぼーとテレビを見ていた。
すると、廊下をけたたましく走る音がする。
なにか緊急事態でもおこったんだろう・・・とめぐみは思っていると
その足音はだんだん、自分の部屋に近づいてくる・・・
やがて、扉が開いた・・・
めぐみが開いた扉の方をふりかえると
そこには、山下が立っていた。
驚いためぐみは、体をおこし、
「やましたさん・・?」そう言うと
黙って近づく山下、そして、「めぐみ」とささやき抱きしめた。
山下の腕の中で戸惑うめぐみに
「めぐみ、・・・おれは・・・まだ、釈然としないけど、」と山下は呟いた。
「けど・・・俺はお前が好きだ。」
しばらく、その言葉に山下の腕の中で震えるめぐみ・・・うれしさのあまり目に涙を浮かべていた。
やがて、めぐみが山下の胸の中で「はい・・」とつぶやいた。
その言葉を聴いて、抱きしめていた手をほどく山下
おもむろに顔を上げるめぐみ、その視線の先にはめぐみを見つめる山下。
徐々に二人の顔が近づき、唇が重なった。