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「海浜公園でも行くか・・・」と誘ったのは、山下だった。
二人はならんであるいていた。
「山下さんと最初にデートしたところだよね・・」
「ああ・・・」
そういうと山下は立ち止まった。
「どうしたんです?」
「ひとつだけ、聞いてもいいか?」
「はい。・・・」
「なぜ、黙ってたんだ。・・・」
「なにをですか?」
「なぜ、同じ職場だと、いわなかったんだ。」
「この間のときも、いつも、あなたに正直にはなした・・・
けど、信じなかったのは、山下さん、あなたでしょう?・・・」
めぐみは少しなみだ目になっていった。
「じゃぁ、なぜ、いまになって・・・・」
「わたしを知ってほしかったの、毎日、近くで見ているもう一人の私を・・・
ずっと、ずっと・・・あの日から・・・あなたのそばで・・・
ずっと、見ていたの・・・でも、あなたは、もう一人の私しか見てくれなかった。」
「それは・・」
「でも、両方とも本当の私なんです。・・・」
泣きながらめぐみは 山下の胸に寄りかかった。
山下の胸の中から小さな声で
「好きです。・・・・本当に好きなんです。・・・・」
しかし、山下は、困惑していた。好きなめぐみが胸の中にいる。
そして、自分を好きといってくれている・・・でも、なにか・・・
山下は、めぐみの両肩をもちめぐみから離れた。
そして、「ごめん・・・」と走り出した。
めぐみは、山下を追いかけようとしたが、悲しみで立ち止まり、しばらく、泣いていた。
山下は、ひとり家に帰って、ぼーっと今までのことを考えた。
めぐみにあってから・・・・
優香と光兄ぃが仲直りした時・・・
初めてのデート・・・
めぐみが襲われたとき・・・
そして、優香が病気とわかったとき・・
いつも、めぐみがいた・・・・
そして、今日の行動を悔やんだ・・・