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めぐみは、女子の格好をして出社した。
やはり、総務の山本さんたちは、朝一の美少年を探しているようだった。
「おはようございます。」いつもは、朝一の出社のめぐみだったが、
この日は、定時の出社だった。
「だいじょうぶ?」
最初に声を掛けたのは、奥山だった。
「なんとか・・・」
「山下さんは、島内常務に呼ばれていったわよ。」
「そう、・・・」
「今のところ、部内というより、わたし達4人だけの秘密だから・・・・安心して・・・」
奥山は、めぐみをさとした。
「ありがとう・・・ところで、山下さんは、何で、島内常務のところへ?」
「知らないの、多分、呼ばれたというか、相談に行ったんだと思う・」
「そう、・・・」
「今日は、大丈夫?」
「うん。なんとかなりそう・・・」
「じゃ、事務所で・・・」
「じゃ・・・」
「まいったよ・・・。寝ぼけていたとはいえ・・・」
常務室で、山下は島内に愚痴を言い始めた。
「どうしたんだい・」
島内は自分の机からおもむろに立ち上がり、山下のいる応接に向かって歩いてきた。
ソファーに座っている山下は、両膝に肘を立て、手を口のあたりで組んでいた。
「ちょっとな・・・」
島内は山下の向かいに座り
「それで、抱きついた娘には、どうするつもりだ?」
その言葉に、山下は、びっくっとして、思い出したかのように
「なんで、それを知っているんだ?」
「お前が最初に言ったんだろう。大丈夫か?」
「あっ、そうか・・・」
「で、」
島内が山下に確認すると
「でっ て?」
不思議そうに言い返す山下。
「穏便に済ましたいんだろ。」
島内の言葉に躊躇する山下「しかし・・」という言葉を返すのがやっとだった。
それに対し島内は、
「呼んで来い!」
島内の言葉に山下は、別にそこまでしなくてもと焦った。
「いや、光兄、そこまでしなくても・・・」
島内は、山下の言葉を全く聞く耳を持たず。
「いいから、呼んで来い・・・しかも、一人で来るようにな」
そう言って、山下を部屋から出した。