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しばらく抱き合う二人・・・
やがて、めぐみは目をとじ身をまかせた。
「おはようございます」
野本と奥山が入ってきた
あわてて山下は、その手をほどいて、顔を見たとたん血の気が引いた。
そこには、同じめぐみでも、事務所のめぐみがいた。
おもむろに目を開けるめぐみ、山下は、おもわず「ごめん。」と謝った。
めぐみも、逃げるように部屋を出て行った。
奥山は、「めぐみ」とめぐみを追いかけた。
野本は、山下に「どうしたんです?」
山下は、パニック状態だった勘違いをしたとはいえ、別なめぐみに抱きついてしまった。
一方、めぐみは、女子トイレまで走っていき、鏡に映った自分の顔を見た。
胸の鼓動が止まらない。どうしようと思ったとき、後ろから奥山の声がした。
「めぐみ!!どういうこと!」
「わたしも何がなんだか・・・もう・・・」
「いったいどういうこと?」
めぐみは、ただ顔を真っ赤にして、立ちすくんでいた。
いまだに、胸の鼓動がとまらない。
「・・・」
言葉にならない声でめぐみはつぶやいた
「・・・そう、やっぱり・・・」
奥山は、めぐみをみて、言葉を失った。
事務所に戻ってきた奥山は、「めぐみは帰した」と伝えた。
「山下さん、どうも寝ぼけてらしい。」
野本は、奥山にささやいた。
「そう。」
めぐみは、家について、一日、ぼーっとしていた。
山下さんは、やはり、もう一人のわたしを見てたんだと時々涙を流した。
山下には、めぐみの感触がまだ残っていた。