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「めぐみさぁ。聞いたことある?、朝一の美少年?」
仕事中のめぐみに奥寺が聞いてきた。
「朝市?の美少年・・・。どっかの朝市かなんかで、美少年が販売でもしてるの?」
「違う。違う。この会社に朝一にやってくる美少年がいるらしいんだけど。
どこの部署にもいないんだって。」
「それって、都市伝説?」
「そうでもないみたい。この間、総務の山本さんも見たっていうし・・・」
やばい、それって自分のことかな?とめぐみは思った。
「今度、女子が探すって・・・言ってたよ。」
めぐみは、話題を変えることにした。
「ところで、彼とはうまくいってるの?」
「うまくいってたら・・・こんな話しないわよ。それと、」
奥山が耳打ちをしてきた。
「それと?」
「まだ、あなた、山下さんを見てるわよ。気をつけてね。」
「あっ・・・はい。」
じゃあと言い残し、奥山は去って行った。
そこへ「山下さん、ちょっと、話があるんですけど」とめぐみが山下を屋上に呼んだ。
階段を上がり、屋上へ向かうめぐみ・・・
本当のことを言おうかどうか、一段・・・一段・・・迷いながら上がって行った。