5
検査を終えためぐみ、病院である人に声をかけられた。
「君が飯塚さん?」
そう話しかけたのは、優しい紳士的な人だった。
「はい。」
不思議そうに返事をするめぐみ
「優香の為にありがとう。」
そう言ってその人は、深々と頭を下げた。
「紹介が遅れました、優香の父です。」
えっ!!と驚くめぐみ、この人が実のお父さん?と
「はぁ~」
「それでは、」と優香の父は去って行った。
しばらく、立ち尽くすめぐみ・・・
そこへ、優香が通りかかった。
「めぐみ?どうしたの」
「あっ・・いや・・」
言葉が出ないめぐみだったが、優香のお父さんに会ったことを告げた。
「もうっ勝手なことをして」
半分怒り気味の優香、
「偶然だから」
「そんなことないわ。偶然の振りして、しっかり根回しするのよ。」
「まぁまぁ・・」
優香をなだめるめぐみ、そんな時、優香が思い出したように
「山下君から連絡あった?」
「いえ・・」
「おかしいわねぇ~」
「なぜ?」
「なぜって?気になる?」
「気になるわよ。そんな言い方されたら。」
「めぐみが女だって言っといたから。」
「えっ?」
「だから。女だって。」
その言葉にめぐみは、呆然とした。
どういう顔をして会えばいいの?これから・・と戸惑いつつ
「どうしたのめぐみ?」
遠くの方から聞こえ、ふと目の前を見ると心配そうに見つめる優香がいた。
「ううん・・なんでもない・・」
「大丈夫よ。」
「え・・でも・・」
「思い切って言いなさいよ。」
「でも・・」
そう言ってめぐみは、黙り込んでしまった。