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ジョンを捕まえて、無言で歩く二人・・・
めぐみは、さっきの感触が残っていた。
そう、山下の感触が・・・
そして、ただ何も言えずにいた。
一方、思わず抱きしめてしまった山下、どうしよう・・・という言葉が頭の中を駆け巡っていた。
やがて、二人が島内の家に着くと、「お帰り」と島内が待っていた。
「島内さん」
「光兄ぃ」
「「どうして?」」
「ちょっと荷物を取りに帰ったんだ。」
二人が驚いていると島内はじっと二人の様子を見て、
「ふ~ん。仲直りできたんだな」
「じゃぁ・・・遅くなったんで・・・島内さん、山下さん、失礼します」
めぐみは、そそくさとその場から離れて行った。
「あっ・・」
言葉を出せない山下。対照的に島内は
「さようなら・・気をつけてな」
めぐみはその言葉に振り返り手を振った。
めぐみの姿が見えなくなった頃、
「どうだったんだ?」
島内は、山下の肩に手を置いた。
「どう・・って?」
少し嫌そうな顔をする山下、その顔を見て島内はにやりと笑い
「好きなんだろう?」
「バッ!!馬鹿なこと!!」
言葉に詰まる山下、そして、悲しそうな顔をして、
「何そんなに浮かない顔をしてるんだ?」
「いいだろう・・じゃぁ。」
山下は慌てて去った。