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夜になって、島内が優香の病室にやって来た。
「今日は、めぐみちゃんも一緒か」
そう言って、優香のベットのそばに座った。
優香は緊張していた。
それに気付いた島内はやさしく声をかけた。
「どうしたんだい?」
「光一さん、話があるの・・・」
優香が話しだした。そして、病名を伝えた。
病名を聞いた島内、島内を見つめる優香、その様子を見るめぐみ、
病室にはしばらく沈黙が続いた。
沈黙の中、無言で島内は立ち上がり、部屋を出ようとした。
「島内さん」
めぐみが呼び止めたが、
そのまま何も言わず島内は病室を出て行った。
島内の態度を見て、ボロボロと泣く優香
めぐみは、すぐに島内を追いかけた。
そして、病院の近くで島内を見つけた
「待ってください!!」
島内を呼びとめ近づくめぐみに対して、
「これ以上近づくな!」
背中を見せたまま叫ぶ島内
彼の背中が泣いていた。
おもむろに、「2年前もそうだった。」と島内は話し始めた。
「おれは、優香にプロポーズをする日だった。彼女から別れを言い出した。・・・そして、今度も・・・」
そう言ってうつむき、悲しそうにつぶやいた。
「ちがうよ、島内さん、優香さんは、別れたくないから。島内さんを信じたから」
必死に優香の事情を説明するめぐみ、島内は、その言葉を
「しかし・・・」と遮り、やがて、背中を見せ去ろうとした。
「待ってよ。」
めぐみが手を引くと、物凄い形相でめぐみを睨んだ。
そして、
「離してくれ。」といい、その場を去って行った。