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「大丈夫?」
めぐみが聞く
「とりあえず、落ち着いたみたい。めぐみこそ、大丈夫?」
「たいしたことなかったから。夕方に勇気に迎えに来てもらうから・・・・」
「じゃあ、ついでに弟も見てみたいけどいい?ところで山下君は?」
「あれ?今日は来てないの?」
「そうよ。」
「おかしいなぁ~」
「昨日会ったんでしょう?」
「まぁ・・・」
「ふ~ん」
まじまじとめぐみを見る優香、そして、
「めぐみみたいなのが好みだったのか。」
優香がそう言うとその言葉に驚いためぐみは、
「な!!何を言うの?」
慌てて言い放ち、顔を真っ赤にした。
「だって、山下君って、友達でもあまり自分の家まで呼ばないのよ。」
「でも・・」
うつむくめぐみ、その様子を見て不思議そうに
「でも?」
優香が聞き返す
「でも・・・山下さん、わたしのこと男とみているみたいだし。」
めぐみがつぶやくと、その言葉に耳を疑った優香は
「え?今なんて?」
「山下さん、私のこと、男としかみてないの!!」
「そんな・・・」
あきれると言うかなんと言ったらいいか判らない優香だったが
「じゃぁ、いつ告白するの?女って事を」
「ややこしいの・・・、会社では、女の格好をして、仕事をしているんだけど。山下さんは、気づかないの・・・私ってことに・・・それに、何回も女だっていってるのにまったく信じてくれないの・・・・」
「なに、それ」と優香は笑みを浮かべた。
「ところで、お母さんの件は。」
「はっきりしないけど、これが、お母さんの写真・・・」
そう言って写真をみせた。
「本当に?」
「ただ、写真と話がにているだけなんだ・・・はっきりした証拠がないんだよね」
しかし、優香は、にこやかに
「いいじゃない?姉妹ってことにすれば、二人だけの内緒で・・・」
「それもそうね、昨日の今日だし。ところで、頼みって?」
「下着を持ってきてほしいの」
「両親は?」
「呼びたくないの?」
めぐみの携帯がなる
「あ、勇気からだ、ちょっと待って」
「勇気、病室に上がってきて。」
優香は、場所を教えているうちに
「失礼します。」と勇気が入ってきた。
「茶髪だから見た目は、すぐにわかんないでしょ。勇気これつけて」
「ったく・・・なんで、ここまできて」
しかたなく勇気は黒髪のかつらをつけた。
そこには、写真で見た若い頃の母親そっくりの姿になった。
「ほんと!写真のおかあさんみたい・・・」
「たま~に、写真のメイクをしてもらうんだ。」
「なにがしてもらうんだ・・無理やりだろ、無理やり」
「勇気くんは、めぐみに抵抗しないの?」
「勝てないよ、むちゃくちゃ強いから・・・・あ・に・き」
「こら~あにきとはなんだ、あにきとは、姉に向かって。」
そこに「そろそろいいか?」と島内が入ってきた。
3人の姿を見て島内は、女が3人いるとおもった。
「光一さん。いいよ。」
「さっき、もう一人女の人が入ってきたけど。」
めぐみが勇気を指差し紹介した。
「こいつ。私の弟のゆうきです・・・」
島内が驚きのあまり思わず本音を言ったしまった。
「めぐみちゃんより、おんなっぽいなぁ~」
島内の言葉にきょとんとして、
「島内さん、ひどーい」
言い返すめぐみを見て笑いながら優香が突っ込みを入れた。
「でしょ?」
その言葉にとうとうめぐみはむくれてしまった。
「優香さんまで」
しばらく、4人のにぎやかな会話が続いた。
「さてと、いったん帰ります。」
「もう帰るのか?」
「じゃあ、たのむわね~」
「はい。いくぞ勇気」
二人は病室を後にした。