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病院についためぐみ、優香の病室を見ると、優香の横でベットに顔を伏せて寝ている島内の姿が目に入った。
その様子を見ためぐみは、優香に「いまから検査にいってくる」と口パクで言った。
昼過ぎに、検査を終えためぐみが病室に戻ってきた。
しかし、病室には、島内しかいなかった。
「優香さんは?」
「あ、・・・ 検査だって。」
「なぁ~んだ。そしたら、もう少し後からきます。」
そう言ってめぐみが後ろを向いた瞬間、島内はめぐみの手を引っ張った。
「待て」ときつくめぐみに言った。
「なんですか?」これに驚いためぐみは、島内の方を見た。
「なにか、俺に、隠していないか?」島内は何かに気づいたようだった。
「なにかって?」
めぐみは、やばい・・ばれたかな・・何とか言いつくろわないと思っていた。
「なにか、いつもと違うんだ。」
島内は少しうつむいた。
島内は、以前、優香が自分の前から消えたこととオーバーラップしてた。
その言葉を聞いためぐみは、ふと島内が自分の手を握り続けているのに気が付いた。
「そりゃ、病院だからでしょう。それより・・・」
めぐみは自分の手のほうをじっと見た。
めぐみの言葉を不思議そうに聞いた島内
「それより・・・って?」
そっと握り締められた手をあげるめぐみ、そして、
「手・・・手を離していただけませんか?」
「あっ、ごめん・・」と島内はその光景に驚き、手を離した。
「見られたら優香さんが嫉妬しますよ。しっかりしてください。」
「ごめん」
頭をかく島内
「昨日、ほとんど寝ていないでしょう。今日は、帰ったほうがいいですよ。」
そう言っている時に優香が帰ってきて島内に話しかけた。
「めぐみと何してたの?」
頭を掻いて、答えに戸惑う島内
「いや、なにも・・・」
「いいわよ、ところで、光一さん席をはずしてもらえる?」
「えっ どうして?」
「いいから、いまから、めぐみを誘惑するの?」
島内は焦った表情をして
「めぐみ・・ばっばかをいうな、彼女は女だぞ。・・・」
「ふ~ん、かわいいからいいじゃない・・・・何をそんなに焦っているの」
「いや、焦ってなんかいない。」
「ジョーダンよ。女の子にしか頼めないことがあるの・・・だから」
「わかった」
しぶしぶ島内は部屋を出て行った。