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めぐみの素っ頓狂な声に驚いた優香は、顔を見上げた。
「いま、お母さんて言わなかった。」
「ちょっと待って、写真も古いし」
めぐみは混乱した。なぜ?
「優香さん、あした、もう一度確認してもいい?」
「いいけど、お母さんっていうし、どういうこと?」
「ペンダントの人が、若い頃のお母さんに似ているの・・・」
「本当?」
「だから、もう一度、・・・・」
「いいわよ・・」
そうこうしているうちに、がばっと病室の扉が開いた。
そして、「優香!」という大声と共に、島内が入ってきた。
優香とめぐみは、そろって、人差し指をたて、口元につけ
”シー”と静かにするようにポーズをとった。
「ごめん。」
謝る島内をめぐみは見て。
「じゃぁ、優香さん、真打が登場したので帰ります。・・・」
「これから、山下君のところでしょ。あまり飲み過ぎないでね。」
「は~い。優香さん、島内さん ばいばい~」
手を振って病室をあとにした。めぐみ、携帯を見て苦笑した
「何回掛けてきたるんだ?」
その頃、山下は携帯を片手に、めぐみを病院に置いてきたことを後悔していた。
そして、めぐみは、山下の家に着いた。
「入れ・・・」
めぐみを招き入れる山下、いつもように座った。
そして、山下は、辛い顔でめぐみを見て
「優香は?」
「落ち着いていましたよ。大丈夫ですか?山下さんこそ」
逆に心配そうに話し掛けるめぐみ、その話を聞いてうつむき
「そうか・・」
「辛そうだけど。本当に大丈夫ですか?」
めぐみの言葉にうつむいていた顔を上げ
「大丈夫だ。」
うつろな目で山下は答えた。
「大丈夫そうに見えませんけど。」
「大丈夫だって、それより何か飲むか?」
「オレンジジュースで・・・」
「どうして」
山下は驚いた。
「明日、ドナー検査受けようかな?」
「ドナーって、確率低いだろう」
「受けないよりましかも」
「そうか 」
「それより」
難しそうに話しかけるめぐみ
「それよりって?何が?」
めぐみの表情を見て、首をかしげる山下
「島内さんに言うかどうかを」
「そうだよ・・・言わないわけにいかないし・・・というより、俺は知らないことになっているし。・・めぐみが言ってくれないか」
「言えないよ・・・本人が、言わないで・・って言ってるのに・・・」
両手あげて、めぐみは答えた。
「でも、光兄ぃに悪いし。」
「少し様子を見よう。島内さんが看病しているうちに、優香さんも気が変わるかも・・」
めぐみが時計をみたら9時半・・
「あっ、時間だ。帰るから・・・」
「じゃぁ・・」