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山下が帰り、再び二人になっためぐみと優香、
めぐみは、ベットの横の椅子に座り、話しかけた。
「優香さん?ひょっとして、最初から病気だったの?」
「そう。」
「どうして?」
「あの人と最後の思い出をすごしたかったの・・・このまま、2週間後にわたしは光一さんの前をきえれば、彼には、失恋しか残らない。・・・もし、病気のことがわかれば、彼には迷惑が・・・・」
「違うよ・・・」
「知ってるでしょ。治療が始まったらどうなるか」
めぐみは、母親のことを思い出し、言葉を失った。
「わたし怖いのよ、そうなったとき、捨てられるのが・・・・前、私のわがままで、彼の前を去って行ったから・・・」
「でも、ずっと待っててくれたんだから。」
「そんな気休めは・・・」と優香が恵みの方を見て言おうとした時だった。
めぐみの顔をみて、はっとした。
めぐみが、両目から涙をながしながら・・・じっと優香を見つめていたからだった。
そのめぐみの顔を見た優香は、ただ、ただ、
「ごめん」という言葉を出すのが精一杯にだった。
そして、めぐみに抱きつきもう一度「ごめん」とつぶやき私が間違っていた・・・心の中で叫んだ。
すると「わたしこそ、ごめん。えらそうなことを言って、」そうめぐみが謝ってきた。
「いいわよ。」と何か吹っ切れたように言う優香
「けど、光一さんには、言わないでね。」
「わかったわ。」
「めぐみって、かわってるわね・・・」
「なぜ?」
「あって間もない私にも、本気で。」
「わたしって、単純だから・ははは・・」
「鳴いたカラスがもう笑った。」
「それって・・・」
「いい意味よ。・・・光一さんがあなたに会った時はいつもと違って、笑顔が多いの・・・時々、嫉妬したけど、今なら、なんとなくわかるわ・・・」
二人は、いろいろと話しこんだ。そして、話題がめぐみの母親のことになった。
「ところで、あなたのお母さんはどんな人だったの?」
「ごく普通のお母さんだったよ、ご飯を作り、掃除をし、洗濯をし、みんなで仲良く・・・
楽しかったし・・・」
「いいなぁ、わたしのお母さんは、4歳の時。急にいなくなって、寂しかったのを覚えているの」
そして、優香は過去を話し出した。
「今のお母さんは、父の後妻で、かすかの覚えているお母さんはこのペンダントには、唯一お母さんの顔が残っていたの・・・」
「どんな人、私に見せて・・・」
めぐみはペンダントを覗き込もうとした。
「だめよ・・・じゃぁ、さっきの続きをおえてよ」
優香はペンダントを手で隠してしまった。
「教えたら、見せてくれる?」
「いいわよ。」
「実は、わたしは、お母さんの連れ子なんだ。・・・」
「えっ・・・」
「弟は、今のお父さんとお母さんの間の子供なんだけど、どうも私は、違うみたい・それを、区別無く育ててくれたんだけどね、お父さんは、いまもそうなんだけど、お母さんが恋しいのか、時々、お母さんを探しに行きますって・・・いなくなるの・」
「そんな時、お父さん大丈夫なの?」
「いつもお墓か、あとは、昔お母さんとデートした場所をうろついている様だけど・・」
「かわいいわね、あなたお父さん。」とようやく優香に笑顔が戻った。
「お母さんが死ぬ前にね、言い残したことがあってね。4つくらい年上のお姉さんがいるらしいんだ。ちょうど、優香さんくらいだと思うんだけど。」
「そうなんだ・・・ちなみに、弟君はどうなの?」
「実は、勇気は、私より女っぽいの?」
「えっ?ひょっとして・・・」
「違いますよ。けど、家族では、一番お母さんに似ているの」
「本当?一回みたい」
「じゃぁ、機会があったら連れて来るね、ところで・・」
「ああ、ペンダントね?はい。」
優香は素直に差し出した。
ペンダントを見て、めぐみは、驚いた。
「お母さん?」