2
めぐみが振り返ると、看護婦が立っていた
「大橋さんのご家族の方ですか。」
「いいえ、友人ですけど・・・」
「ご家族の方に連絡してもらえませんか?」
「もう、連絡しました。ところで、優香さん・・・大橋さんは大丈夫ですか」
「先程、意識が戻りました。今は、面会できます。」
めぐみは、病室へ戻った。
「ごめんね、びっくりしたでしょう。」
優香は、めぐみの方をみた。
「優香さん?ひょっとして・・・」
めぐみは話をやめ、しばらくうつむいていた。
そんなめぐみを見てた優香・・・、
「どうしの・・・・めぐみちゃん。先生からなにか聞いたの・・・」
「症状が似ていたの、死んだおかあさんと・・・」
「そう、・・・じゃぁ、あなたには本当のことをいうは、わたし・・・」
めぐみは、目から涙がこぼれてきた。おかあさんと同じだ。
「でも、言わないでね、光一さんや、山下君に・・・」
優香の言葉が終るまで担当医が入ってきて優香に言った
「大橋さんは、だいぶ体調が、悪くなってる。いままで、何をしてきたんだ。」
優香は、担当医に治療及び処方されている薬をはなした。
「大橋さんの場合、このままじゃ、いけないから。・・・明日にでも化学療法を・・」
担当医が話しかけている時に、優香は、叫びその言葉をさえぎった。
「いやです。あと1ヶ月いえ、2週間は、このままでいさせてください。」
その光景にめぐみは驚いた。優香さん、自分の命がなくなるって時に、なぜ?
声も出せず、ただ見守っているめぐみ。どうしたらいいのかわからない。
そこへ医者は、少し起こり気味に
「それと、君の場合は、移植が必要な状態だ。そんな悠長なことを言っている場合じゃない。」
しかし、頑として聞き入れない優香、そして、
「このことは、光一さんに言わないでほしい」
そう行って必死になって、医者にお願いしていた。
担当医は、ため息混じりに「知りませんよ」と言って去った。
病室に残された二人、やがて、めぐみは重い口をあけた。
「優香さん・・・島内さん遅いですね。わたし、島内さんの連絡先しらないから、山下さんのお願いしたんだけど・・・」
「今日は、無理よ。ゴルフだもの・・・来るのは、夕方ね。・・・それにしても、おそいわね。山下君」
「ちょっと、見てくるね!」
めぐみは、病室をでて、驚いた・・・
そこには、山下が立っていたのだ。
山下は、無言で、ついてくるように指示した。
自販機のそばまで行き、缶コーヒーを2本買い、二人は、近くのソファーに座った。
缶コーヒーをあけた時、めぐみが口を開いた。
「どこまで聞いたの?・・・」
「全部・・・」
山下の目から涙が落ちた。一粒・・・二粒・・・
めぐみは、山下の前に立ち、頭をそっと抱え込んだ・・・・
沈黙の中、山下は、めぐみの両手に包まれ
ただ、ジーッとしていた。
ただ、ジーッと・・・
しばらくして、顔をあげる山下、視線の先にはめぐみの顔があった。
はっと気づくやました・・・
思わず顔を背けた・・・
それに気づき、めぐみも顔を背けた。
「光兄のやつ、どうしてるんだ・・・」
「今日は、ゴルフだって。・・・夕方までこれないって。・・」
その言葉にめぐみの方を振りかえる山下・・・
再びめぐみと目が合った。
「あ・・そ・・の・・・」
「それと、病気のことは知らなかったことにてよ・・・」
病室に戻った二人
「山下さん、来たよ~」
めぐみ明るい声が病室に響いた。
「優香大丈夫?」
「うん、ちょっとした、貧血、今週中に退院できるって。」
「そうか、よかった。しかし、光兄ぃのやつ、連絡とれねえんだよ。」
「そりゃそうよ、今日ゴルフだもの・・・」
「そうか、・・・」
「今回は、めぐみがいてくれたから助かったわ」優香はめぐみに目をやった。
めぐみは、いえいえと両手をふった。
「そうか、・・・ちょうど、お昼だから、飯でも行くか!」
「はい。」
「いいなぁ~。わたしも行きたい!」
優香が言う
「今回は、おとなしくいろ、」
「うん、わかった。じゃ、気をつけて」
二人は、病室をあとにした。
近くのレストランで、ランチをとりながら、
「これからどうするの?」と山下に聞いた。
「もう一回優香に顔をだしてから帰る。」
「ゴルフってことは、島内さんは夕方かな・・・」
「夕方より、夜だな・・・・」
「せめて、花くらい買っていかないと・・・」
食事を終え、ふたりは、病室へ向かった。
「今晩も、付合ってくれないか?」
その途中と山下は、めぐみを誘った。
「いいよ。・・・」
病室に戻った二人、しばらく、3人で話をしていたが、
いっこうに、島内は来ない。
やがて、山下が用事があるからと、めぐみを残して帰っていった。