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早い時間帯の電車に乗った山下は、
偶然にもめぐみを見つけ山下は声を掛けた。
「めぐみ!!」
「やましたさん。おはようございます。こんな早くに・・・」
「こんなに早い時間に通勤か?」
「はい。この時間だと電車もすいてるし、痴漢もいないし」
「そうか・・・」
「モーニングでも・・」
二人は同じ駅で降りと山下が誘ったが、出勤なんでと断られた。
山下と別れためぐみ、少し時間をずらして出社した。
午後になって、珍しくあのセクハラ部長が営業8課にきた。
何でも、めぐみが前にやっていた仕事のミスで損失があったと文句を言いにきたというのだ。
営業8課室長を前にして、セクハラ部長が話を始めた。
「おたくの課にいった飯塚君の件で、我が部は、損失をこうむった。だから
少なくとも、今回の件については、飯塚君の責任だ、こちらで処分をしたい。」
「米山部長、気はたしかですか?」
「なに、」
「これは、越権行為でしょう。」
「なんだと、部長会にかけてもいいんですな?」
米山は鼻息を荒げた。
「飯塚がこちらへ来てだいぶたちます。実際に、飯塚がその仕事をしたという証拠も無い。ましてや、米山部長の管理責任の問題を、こちらへふるのですか?」と言い返した。
「なにを・・」
「しかも、飯塚は2級社員です。責任は、ありませんが・・・」
「だから!!」
「それを理解してますよね?」
「ほう、私にそんなことを言うのかね?君は」
「じゃぁ・・米山部長が我が部への越権行為についてを部長会にかけますがいいですね?」
「どうやって?」
室長がそっとICレコードを取り出す。
「貴様!!!」
怒り室長の胸倉をつかんだ米山。
室長は、右手である方向を指差した。
「なにかね。」
その指指した方向を見ると、ビデオカメラが設置されていた。
「いいんですか?そんなことをして、セクハラで問題起こしといて、また、問題起こすのですか?」
「くそっ・・」
米山は、その手を放し会議室から出てきた。
そして、めぐみをにらみつけ、営業8課から出て行った
「室長、ありがとうございました。・・・」
「いや、たいしたことない。しかし、すこし事情は教えてくれ・・・・」
「わかった。確かに飯塚くんには、落ち度がない」
やがて、室長は静かに考え始めた。
帰りが遅くなっためぐみは、ウィッグや化粧を落とさず、とりあえず服だけを着替えて帰ることにした。
その頃会社を出た山下は、少し前にめぐみがいるのを見つけた。
声を掛けようとしたら、めぐみの周りには、数人の男が立ちはだかっていた。
「なにをするんですか。」
やがて声がして、めぐみを路地裏へ引き込もうとした。
山下は、めぐみを追いかけ走っていった。
「貴様、会社をやめろってんだ・・・」
数人に囲まれためぐみ
「いやです。あなた達誰なんですか?」
そう言いつつ、携帯メールで勇気に助けを呼んだ。
「関係ないだろう。」
手を上げた瞬間
「めぐみ!」
山下が割り込んできた。
ガツ!!
暴漢は、山下を殴った。
「山下さん、大丈夫?」
「いいから逃げろ。」
そう言って、めぐみを後ろへ押し出す山下。
「おっと、」
しかし、数人が回り込んでめぐみの顔を殴った。
「きゃ・・・」
うずくまるめぐみ・・
「めぐみ」
山下はめぐみをかばうように抱き込んだ
「このやろう!!」
山下を数回殴った。
「山下さん・・・」
かばう山下に声をかける
「はやく・・連絡を・・」
めぐみは慌てて、携帯をかけようとししていた。
「おまわりさん。こっちです。ケンカしているのは!!」
通りの方から声がしてきた。
その声を聞いた暴漢達、
「やばい!!」
慌てて逃げようとした。
山下が暴漢の足にしがみついた。
「離せ!!このやろう!!」と叫び、山下を蹴ろうとした。
めぐみも慌てて、その男の足をつかんだ。
倒れこむ3人、暴漢たちは、二人をしばらく蹴った。
そこへ警官がやってきた。
暴漢たちは、一人を残し、逃げて行った。
警官に連れられ警察署に着いた三人、明るいところでめぐみを見て、山下は驚いた。
めぐみと思って助けた相手が、会社で会う飯塚めぐみであった。
「大丈夫ですか?」
めぐみは山下に言う
「痛てて・・・め・・・飯塚さんも大丈夫か?」
山下は、めぐみの顔を見て、
「顔の傷・・・」
「大丈夫です。・・・」
「ゴホン!!!」
警官が咳払いをした。
「今取調べ中です。一人が捕まってますから後は時間の問題でしょう。」
そして、めぐみと山下は、警察を後にした。
「ありがとうございます。・・・まだ痛みますか」
めぐみは心配そうに聞いた。
「ちょっとな・・・」
「今日は、本当ににありがとうございました。」
後日、この事件が元で米山部長は、ある地域へ転勤となった。