私、飯塚めぐみです。 1
悪夢から3ヶ月・・・
私は変わるんだ・・・
そう決意をして髪の毛を短くした。
今日から変わるんだ!!
めぐみは、そう誓い自らの頬をパンと軽く叩いて、日課のジョギングに出かけた。
ことの発端は、上司である米山部長が、めぐみを会議室に呼び出したことから、始まった。前々からセクハラをすることで女性社員の中では有名で、部長という立場で行われた蛮行に対し、女性社員たちは泣き寝入りをしていたのが事実だった。
そんな米山部長にわざわざ会議室まで呼び出されためぐみには、嫌な予感しかしなかった。会議室の前まで来たのぞみ、未だに呼ばれる理由も分からいでいた。そして、ノックをしようとした時、「あの部長はセクハラがあるから気をつけて」とやめていった先輩からの遺言みたいな注意が脳裏過り、右手がとまった。、会議室の前で立ちつくすめぐみ―――大体何故私が?それに部長は何故わざわざ?会議室に?そんな疑問もありながら、一息ついて、会議室のドアを叩いた。
「入りたまえ。」
「失礼します。」
会議室の中央のテーブルにすわっている頭がはげていると言うかバーコードでだいぶ太っている人物、これが例のエロハゲ部長と社内でささやかれる私の上司、米山部長・・・顔は油ぎって、テカってるし~、仕事に関する細かさは、折り紙つきはっきり言ってドンだけケツの穴が小さいんだろうと思うほど、しかも、上司への媚は、信じられないほど・・・そして、人の手柄は平気で取る・・・・だから・・・周りのみんなは、はっきり言って嫌いだし、何故このおっさんが部長まで上がれたの?と思うほどだった。そんな部下から全く相手にされないNO.1上司である米山部長がめぐみを呼び出したのだ。めぐみとしても何もなければ、話もしたくない一番近づきたくない人物だった。米山部長がめぐみの前に一つの書類を投げつけ立ち上がった。
「君、今回の件は一体なんだね」
そう言って、米山が席を立ち近寄って来て、目の前にある書類を見てめぐみは驚いた―――私の担当じゃない・・・なぜ?この書類が一体?私と関係があるの?―――しかも、めぐみにとってその処理を見るのは今回が初めてだった。
「部長・・・・これ・・私やっていないですけど・・・」
「はっ?君はこの書類おかげでクライアントから抗議が来ているのにしらばっくれるのか?」
「ちょっと待ってください部長・・・わたし、この書類は営業13課の書類じゃないですか・・・・私のいる営業企画課とは縁もゆかりもない。しかも、これは、私が作成した書類ではありません。」
セクハラ部長はめぐみの言葉を鼻で笑った・・・そして、書類を指差した。
「これはなんだね?」
めぐみはその書類に押されている印鑑を見て驚いた。そこには、営業企画 飯塚の文字の入った日付印が押されていた。・・ん?これは私の印鑑?な・・何故ここに私の印鑑がついてあるの?ただ驚いた表情をするめぐみ
「こ・・これは・・」
「君はやる気があるのか!!」
不敵な笑み浮かべた米山はめぐみの後ろに立ち、鼻息を荒くして両肩に手を置いた・・・その異様な気配に戸惑うめぐみ―――な・・何をしようとしてんのよこいつ?それにこれは私の書類じゃないって・・・
「あの~?」
「飯塚君・・・今、会社におれるのは、誰のおかげと思っている・・。」
誰のおかげって?一体何が言いたいのこのおっさんと思った瞬間、米山はめぐみの尻をなでた。
「キャッ・・・やめてください・・・」
こ・・・こいつ一体何を考えてるのセクハラじゃないこれって・・!!いい加減にしないと本気で・・・とめぐみが思っていると
「キスでもしてくれたら帳消しにしてあげるからさ・・・」
はっ?こいつ正気か?これが、米山部長がエロハゲ部長と言われる原因か。本当にしつこいと手を振り払った。
「やめてください。」
手を振り払った勢いで少しよろけた米山はそのまま机にどんとぶつかり何とかとまった。
「いい加減にしたまえ、抵抗するとクビにするぞ・・・」
こ・・・こいつ何様なの!!もういい加減にしてよ!!めぐみは完全に自分を抑えることが出来なくなった。そして、米山の前で仁王立ちし、鼻を指差した。
「な・・・なんだね・・・それは?」
めぐみの指先をじっと見つめ、後ろに少しずつ下がる米山・・
「誰が?そんなに偉いのか? たかが部長ごときが。・・」
そう言い捨て米山をにらみつけた。
「何だ!!その言いざまは!!」
そう叫ぶ米山の頬にめぐみの右手が炸裂した。
バチーン!!!
ぶたれた頬を押さえ逆上する米山、
「何をする!!貴様!!クビだ!!」
「クビ!?上等よ!!」
めぐみはそう叫んで、腹部にけりを入れた。うっ・・と息を詰まらせ腹を抱える米山・・・
「ぐっ・・・まっ・・待て・・判る・・話せば・・・わかる・・」
徐々に距離を縮める私に右手で腹を押さえ左手を上げ泣きを入れる米山・・・なんなのこいつ、さっきまでの威勢はどこ行ったのよ。そう呆れてめぐみが後ろを振り向いた瞬間、米山が背後から抱きついてきた。
「あまいな・・」
「この~!!」
めぐみの肘が米山のみぞおちに入った。
うっと息を詰まらす米山
次の瞬間
ズシーン!!!
大きな物音が会議室に響き見事な一本背負いが決まり、投げ飛ばされた米山は、大の字になって呆然としていた。さすがにこの音を聞いた数人の部下達が入ってきた・・・もう、これで、クビね・・とめぐみは思った。しかし、数日後、今まで泣き寝入りしていた女子達が立ちあがった。そして、異動を認められた。