2
仕事が終わり、野本はわけがわからないまま、めぐみが言ってた美容室フランに行った。
そこには、めぐみによく似た人物がいた。
どちらかというと、めぐみより体格は、少しよく、
長髪のせいかなんとなくめぐみよりかわいらしい感じがした。
「あ、いらっしゃい、ねぇさんから聞いているよ。・・・」
駅前で、誰かをまっている山下・・・そこにめぐみがあらわれた。
「ごめん、待った?・・・」
「いや・・・」
笑顔になる山下、
めぐみは、山下の手をとった
「どこいく?」
その行動に戸惑う山下、彼がボーっとしている様子を見て
「山下さん?」
言うめぐみ言葉にわれにかえり
「あっ・・じゃぁ・・とりあえず、食事にしよう。」
二人は、近くのパスタ屋へ入った。
「カンパーイ」
赤ワインの入ったグラスがチンとなり、少し口に含んだ。
前菜を食べつつ、めぐみが「恋人同士にみえるかな?」とこそっ聞いた。
「めぐみ・・奥山が聞いてたらどうするんだ。」
「でも、奥山さんいないみたいですよ。それより、どうなんです?」
「ったく・・・、どちらかというと、親友同士かな?」
「え~っ、じゃあ、奥山さんが見ても、信じないじゃないの?」
山下は、恋人だと言いたいけど・・・男同士だと思うと言葉に詰まった。
「やはり、親友かな?」
めぐみは、少し頭を下げ、上目使いで言った。
「演技でも、彼女くらい言ってほしいんですけど・・・・」
「じゃぁ、ガール・・・・」
「ガール・・・て逃げてませんか。」
「マイフレンドだ。・・・・」
山下にとっては、苦し紛れの一言だった。
「マイフレンド・・・・か」
うつむいてため息をついためぐみは、
「まぁいいでしょう。今日は楽しみましょう。ねぇ、折角の初デートだし、マイフレンド やましたさん」とにこやかに話し始めた。
「初デート?」と山下は驚いた。
「そうでしょう、初めてでしょう、こんなふうに会って話したりするのは」
そうかデートなんて・・・男同士だけど・・・そうだ楽しまないと山下は思い・・・
「そうだな」
お互い本当に食事と会話を楽しんだ。
近くの海浜公園へ向かう二人、
その頃予定より少し前に海浜公園の入口にある時計台に着いた奥山は、
こんな時間に野本さん一体どういうつもり・・・と思いながらも半分期待しつつ、野本を待っていた。
ちょうどその時、時計台の前を仲良く並んで歩るく山下とめぐみの姿を見つけた。
一方、二人は、奥山がいるのを確認し、心の中で、よし・・っとガッツポーズを決めた。
えっ山下さん 男と楽しそうに歩いてる・・と奥山はしばらく驚いていた。
どうしよう、本当かどうか確かめたいと奥山は二人についていった。
その頃、めぐみと山下は、さっき見た奥山はついて来ていると思っていた。
高台のベンチに座り、眼下の夜景が二人を別の世界へ連れて行った。
「やましたさん・・・夜景・・・」
「ああ・・」
山下は、酒を飲んでいた勢いもありめぐみの肩をそっと抱いた。
めぐみも肩をよせ頭を山下にあずけた。
しばらく、二人だけの時間が流れた。
ふとめぐみを見つめた山下・・・
めぐみも見つめなおす・・・
「ちょっと・・・」とめぐみが何か言おうとした時、山下は、
めぐみの顔を真剣にみつめ・・・キスをした。
その光景を見てしまった奥山は衝撃を受けた。
私より・・・あの男のほうがいいなんて・・・・
そして、わけもわからないままその場からにげた。
もう・・・最悪!!なんとも言えない悲しみと怒りが同時に
こみ上げてきていた。
しばらく、走った奥山・・・気がつくと時計台の前にいた
目の前に見慣れない男が立ち、奥山をじーっと見つめていた。
その男に視線が気になった奥山。
しかし、その男を無視してその場を去ろうとしたとき、
「ちょっと、待って!!」
その言葉に驚き立ち止まる奥山
そして振り返り、
「あの私に用ですか?」と聞いた。
その男は、一言
「来てくれたんだね。」
奥山は、その声には、覚えがあった。
「本気なんだ、付き合ってくれ・・・・」
「なんで、あんたなの?・・・」と奥山は泣き崩れ、野本の胸にもたれかかった。
まさか、キスまでとは・・・これには、めぐみも予想外だった。
「山下さん、度が過ぎます・・・」と言ったが、
山下は、「たかがキスじゃないか・・・」とかなりうれしそうだった。
「とりあえず、これで、奥山も、近寄らないだろう・・・」
もうっずるいんだからと思い山下を見つめるめぐみ
機嫌をよくした山下は、めぐみの姿を見て、
「行くぞ。」
「どこへ?」
質問するめぐみを引っ張って、いつもの居酒屋へ有無をいわさず連れて行った。
翌朝、二日酔いが二人を襲った。