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数日後、会社からの帰り道、めぐみは、ジョンと散歩する島内を見かけた。
「こんばんは・・・」
島内が挨拶する間もなく、めぐみは、ジョンに目をやり
「ジョン、こんばんは・・・」
じゃれていた・・・
ふと、そこには、見慣れない人が・・・・
「こんばんは・・・・」
そう声を掛けてきた。
めぐみは、その人を見て驚いた
先日、助けた女の人が立っていた。
しかも、島内と仲良く腕を組んでいた。
「こんばんは。・・・」
めぐみが顔をあげると、
その女性は、気づいたのか。
「あっ・・・あなた、あの時の・・・・助けてくれた・・あの時は、ありがとうございました。」
「ええ、まぁ」
めぐみは浮かない返事をした。
その光景を見て島内が驚いた。
そして
「ひょっとして、二人は、知り合い?」
島内が聞くと
「ええ、この間、助けてくれた人よ。話したでしょ。酔っ払いに絡まれてって・・・」
その女性が答える
「ああ~!!あの時の」
島内はにこやかにめぐみの方を見る
「ところで光一さん、誰・・・なんで、しっているの?」
女性は島内に耳打ちをした。
「わたし、飯塚めぐみです。」
めぐみがと言うと、
「めぐみくんって、強いわよね」
その女性は、めぐみを見ながら一回りした。
「わたし、大橋優香、よろしく・・」
手を差し伸べる。
それに答えるようにめぐみも手をだした。
「よろしく」
「光一さん、何で言ってくれなかったの?」
「毎朝会う、元気のいい子がいる。っていってなかったっけ」
「あ~、あの子ね、」
「きみが助けた女性が、優香とは知らなかったんだ。改めて俺からも礼をいうよ。ありがとう」
「いえいえ。とんでもない。たまたまですよ。これで、邪魔者は消えます。ジョンまたな」
そういい残して、めぐみは、去っていった。
友人の話は、島内さん自身の話だったんだ・・・
あんなきれいな人と・・・
山下は、優香のところに遊びに行った。
そこには、島内がいた。
「何だ。仲直りしていたんだ・・・心配して損した。」
山下は、少し寂しげに言った。
「そうそう、あの子にあったわよ。」優香が山下に言った。
「えっ?」と聞き返すと。
「この間、わたしを助けてくれた子。」
「あっ・・・あ~あ、」
「えっ~っと、」と名前を思い出す優香
「飯塚・・・」と山下が言うと
「めぐみくん!!」と喜び、話をつづけた。
「聞いて聞いて。なんと、彼ねぇ、光一さんと知り合いなんだってぇ」と
山下は、光一の顔をみて、
「本当?」
「ああ、」
しばらく3人の会話は続いた。
やがて、
「そろそろ、かえるは、」
山下は席を立った、
「もう少しいても・・・」
「じゃ、こんど、」
「それじゃ・・・」
外に出た山下は、ついていないぁ~と空を見上げた。
ふと目の前には、ジャージ姿のめぐみが走ってきた。
「なんで、お前が目の前にいるんだ?」
めぐみを見た山下の一言だった。
「いるんだとはなんだ」
めぐみは、思わず言い返してしまった。
「ほら・・」というと
ポツリ、ポツリと雨が降り出してきた。
やがて雨は、土砂降りになってきた。
「俺の家が近いから・・・」
山下は、めぐみを引っ張っていった。