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めぐみは、耳を疑った。
「えっ?野本さんとは?」
「別に・・・」
奥山の返事に首をかしげるめぐみ・・・
「えっ?じゃぁ・・」
「実は・・」
「実は?」
「山下さんよ」
「えっ・・・山下さん?・・・」
「そう・・・えっ~!!!!」
「なによ、そんなに驚かなくても。」
「だって・・・それって・・不倫じゃ?」
そうめぐみがつぶやくと奥山は、少し起こり気味に答えた。
「ばか・・・何言ってるのよ・・・山下さん、独身よ・・・女の子に結構人気あるのよ」
ふ~ん山下さんって・・・まだ、独身だったんだ。
それにしても、奥山さん・・・
昨日は、否定していたくせに・・・
そういえば、山下さん・・
確か・・・
かわいい彼女がいたし・・・
まぁ、言わないほうがいいとめぐみは思いつつ
「で?」
「でって?」
「どうなの?」
「それが・・・」
言葉に詰まった奥山は自分の席に戻って行った。
しばらくして、
「おはよう」
山下は少し機嫌が悪そうに事務所に入ってきた。
めぐみは、ドキドキしながら、仕事をこなした。
その中、山下と何度か話もしたし、顔をあわした。
しかし、山下は、めぐみのことについて気付いた様子は全くなかった。
仕事が終わり後片付けをしていためぐみ
そこに野本が話しかけてきた。
「飯塚さん、今日はどうでした。」
「緊張しました。・・・」
にこやかに答えるめぐみ・・・
「ところで、今日は山下さんをよく見てただろう・・・」
野本はそう言ってめぐみを驚かせた。
「いえ。そんな・・」
めぐみは言葉を詰まらせ、返答に困った。
「山下さん、人気あるもんな・・・」
野本は、視線を山下ではなく、奥山へ向けた。
その視線の先を見ためぐみは、
「いえ。本当に、そんなことないです。」
めぐみは、思いっきり否定した。
「本当?」
奥山に向けた視線を落とし、うつむく野本
そこへ・・・
「本当ですよ。ところで、野本さんは奥山さんに気があるの?」
めぐみの一言が、野本を驚愕させた。
「いきなり、何をいうんだ。じゃあ!!」
そう言残し、野本は、慌ててめぐみの前から去って行った。
帰り際、目の前に奥山が立ってた。
「飯塚さん、今日は、山下さんを見ていたそうね・・」
さっきの話聞いていたんだろうか・・・
それとも・・・
と思いつつ、めぐみは
「奥山さんが、朝からあんなこと言うし、山下さん・・機嫌悪そうだし。・・・
初めての、わたしにどうしたらいいか?」と言葉を濁した。
実際、めぐみにとっては、昨日のことが気になって仕方がなかった。
しかし、ここは、話を変えねばと
「ところで、奥山さん、野本さんとは、どうなの? 結構、話しているみたいだし。」
めぐみは話をそらした、
「急に何言うの?まぁ、ときどき、食事程度は・・・でも彼はセンスないでしょう?」
奥山がため息をつく
「じゃぁ、山下さんは?」
素直に聞いてみると
「一度も・・・」
もう一度ため息をついた。
家に帰っためぐみ・・・
やはり、連絡をすべきかどうか、迷っていた。
そこへ、勇気が入ってきた。
「兄貴~」
「誰が兄貴だ?」
「格好が・・・」
そう話しかけ、途中でやめ、めぐみを指差す勇気
「どういう意味よ・・・」
「髪の毛切ってから、ますます・・・」
「勇気!!」
その言葉に身構える勇気!!
めぐみは、怒ろうとしたが、
「ところで・・・」
「あれ?」
拍子抜けした勇気・・
「勇気・・・助けてもらった人にやっぱりお礼を・・・」
「また、そのこと?」
「うん・・」
素直にうなずくめぐみ見て、
「その人のこと気にになるんだろう?」
「勇気!!」
「おおっと!!やっといつもの兄貴に戻った。」
そう言って、ささっと逃げるドアを閉めた勇気。
「なによ!!」
そう叫んで、バンと枕をドアに投げつけた。
再びドアが開き、ひょこっと顔を出す勇気
「兄貴~」
「何よ・・・」
「お礼はしたほうがいいよ」
しばらく考えるめぐみ
「そう?」
「素直になりなよ。」
そういい残し、勇気はドアを閉め、自分の部屋にもっどった。
素直に・・・か・・・
う~ん・・・
まだ悩むめぐみだった。