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異世界でサレ妻スレ

異世界で『サレ妻スレ』に参加したら、愛人の城が焼けて夫終了のお知らせ

作者: こじまき
掲載日:2026/06/06

本作は「異世界で『サレ妻スレ』立てたら、オフ会に王妃様が降臨して夫終了のお知らせ」のスピンオフです。

この作品のみでも読んでいただけますが、前作も読んでいただけると「あの書き込みのあとがこう」「このHNはあの人」といった楽しみもあるかと思います。

「ちっ」


執務室で舌打ちしてしまい、慌てて鏡から目を上げる。


しかし今日も今日とて優秀な侍女たちは、何も聞こえなかったふりをして、音も立てずにハーブティーをテーブルに置いてくれた。


「いつもありがとう」

「いいえ、王妃様。こちらこそお傍に置いていただき、感謝の言葉もございません」


私に舌打ちさせた女も、きっとそう夫に囁いているのだろう。


そうやって、血税を夫から搾り取っているのだ。


ーーー


【キラキラ】リッチな愛人ライフのご紹介【嫉妬禁止】


13:癒し系白百合姫

旦那様二号から、ブルーダイヤモンドをいただきました。

大きさも色も私の瞳とお揃いで、お値段はいかほどやら。


14:姫になりたい名無し

>>13

羨ましいですわ!

けれど正妻様は嫉妬されているでしょうね?


15:癒し系白百合姫

>>14

私もそれは気にしておりますの。

正妻様は私の存在を知っておられますし…

けれどいくら「奥様を第一に」と申し上げても、聞く耳持たずで。


16:姫になりたい名無し

>>15

愛されすぎる女性ならではの悩みですわね。


17:癒し系白百合姫

>>16

ええ。

けれど旦那様一号も二号も、「姫を守ってやるからな」と言ってくださるので、心配はしておりませんわ。

正妻様も歴代愛人を容認されているようですし。


ーーー


「容認…」


政略結婚を余儀なくされる王が、精神的な安定を求めて愛人をもつのは、珍しいことではない。


優秀な愛人は、側近のような立場で貢献もしてくれる。


だからこれまでは、夫が次々に女を乗り換えても、「仕方のないことだ」と飲み込んできた。


「愛人ごときに心の平穏を乱される王妃」にはなりたくない、という意地もある。


けれどこの新しい愛人…「癒し系白百合姫」ことカーヴォン伯爵夫人リリアナには、どうしても腹が立つ。


先輩愛人のような仕事はせず、私が見れば「国王からだ」とわかるプレゼントを掲示板で不特定多数に見せびらかして。


夜会では堂々と、私よりも先に王と踊って。


それでも、「王に公認された愛人」として守られている。


「自分にも、腹が立つわ」


見れば腹が立つとわかっているのに、彼女の書き込みを読まずにはいられないのだから。


頭を振って仕事に戻ろうとしたとき、鏡の中に新しいスレが立った。


ーーー


【サレ妻の相談】旦那の不倫を目撃しました。【どうやって殺せばいい?】


ーーー


リリアナのような女たちが躍起になって幸せを競う中で、そのタイトルは異質だった。


「殺す」だなんて、あまりに野蛮で。


開いてはいけない。


理性はそう警告するのに、気づけば指は鏡に触れていた。


ーーー


1:名無しのトピ主

大恋愛の末に結婚した騎士の夫が、職場で部下らしき女性騎士と致しておりました。

離婚するにしても、妻である私が不利になります。

どなたか、バレずに夫を社会的に抹殺する方法を教えていただけませんでしょうか。


2:通りすがりの魔導士

>>1

私の夫も不倫している騎士(管理職)ですが、騎士団に噂を流してももみ消されてしまった経験がございます。

ひとまずは「ずるずるに禿げる呪い」をかけてやり、鏡の前で泣きそうになっている夫を見てうっぷんを晴らしている次第。


3:不倫夫は処刑

>>1

離婚はできない立場でしたので、夫が隠し持っていた裏帳簿を公開いたしました。

物理的に首を飛ばされましたので、大変すっきりいたしましたわ。


ーーー


思わず口を押さえる。


先週、宰相の裏帳簿がグレース夫人によって公開され、宰相は斬首された。


この「不倫夫は処刑」はグレースだと、直感が告げている。


帳簿を持ってきたとき目に涙を溜めていたのは、演技だったのか。


そう言えば彼女、悲しそうな表情のわりには、助命は嘆願しなかった。


「そういうこと…ん、ふふっ」


「王妃様…!」と侍女たちが目を丸くした。


「笑い声を久しぶりに拝聴いたしました」

「…そうかもしれないわね。おもしろい書き込みを見つけたの」


私は魔力を切って、鏡の画面を消した。


「けれどあまり上品ではないから、もう見ないわ」


侍女たちはぶんぶんと首を振って、懇願するように手を組む。


「続けてくださいませ」

「…え?」

「掲示板は匿名ですし、見られたくないなら隠せばいいだけです。上品でも下品でも、王妃様が笑顔になれることを大切になさってくださいまし」

「そ、そう…?」

「はい。それが私たちの願いです」


「みんなの願いなら」を免罪符にして、私は掲示板に書き込みをしたのだった。


ーーー


4:夫の庶子は九人

>>3

そう言えば先週宰相が公金横領で処刑されましたわね。

あれってそういう…?


5:不倫夫は処刑

>>4

素性を探るのは無粋ですわよ。


6:重婚サレ妻

>>1

うちは商家なんだけど、旦那が出張先で重婚しててね。

さすがに違法なので慰謝料いただけたよ。

>>4

ところで本当に九人も庶子が?

愛人が何人いて、どういう内訳?


7:夫の庶子は九人

>>6

現在の愛人は一人だけです。

過去の愛人四人に、それぞれ二人または三人の子がおります。

把握しているだけでも、ではございますが。


8:重婚サレ妻

>>7

旦那、さすがに頭おかしいんじゃないの?

医者に診てもらったら?


9:サレ妻50号

>>7

もはや人というより種馬。

獣医による殺処分が妥当。


10:夫の庶子は九人

>>8、9

私どもは親が決めた結婚ですので、精神的な安定が必要だと申しますの。

頑固な年増より、素直な若い女のほうが癒されると。


11:サレ妻50号

>>10

九人も庶子つくった大人のオスが、寝ぼけたことを。

大人は自分で自分の機嫌とってなんぼだろ。


12:名無しのトピ主

>>11

同意です!

それに「素直な若い女がいい」って、同世代と対等に渡り合えないだけでは?

若い女がみんな素直なわけでもないですし…

すみませんが若い女への幻想が過ぎて、気持ち悪いです。


ーーー


国王たる夫への、あまりに遠慮のない罵倒。


「あなたの夫は未熟なクズだ」「殺処分しろ」と叫ぶその率直さは、私にとって青天の霹靂だった。


もやもやと胸に溜まり続けていたものが文字となり、なんと胸のすくことか。


そうして私は、掲示板に吐き出される怒りや恨みに共感したり、清々しい復讐譚に笑ったりするのを、日々の楽しみとするようになった。


私にできることで仲間を支えようと、結婚契約や離婚時の男女不平等を解消する法案も準備し始めた。


「怒ってもいい。自分の感情は自然なのだ」とわかっただけで、嬉しい。


それを教えてくれた仲間の役に立てるだけで、生きがいを得られる。


――それだけで、よかったのに。



「陛下、一体どういう…!」


夫が、リリアナことカーヴォン伯爵夫人にグラスレイク城を下賜すると言い出したのだ。


「リリアナが『城に住みたい』と言い出してな。グラスレイクは、使っていないにしては状態がよかったから」


当然だ。


夫が死んだら風光明媚なグラスレイクに引っ込みたいと、手入れしてきたのだから…


私が。


握った拳が、ぶるぶると震えてくる。


「なんだ?王妃は何かグラスレイクに思い入れがあったか?」

「何かだなんて…」


あそこは、私たち夫婦の、新婚旅行の行き先だった。


《政略結婚だが、大事にするよ》


《ありがとうございます、王太子殿下。私も誠心誠意、殿下をお支えいたします》


まだ幸せな夢を見ていたころの、思い出の城。


けれど夫はもう、新婚旅行でどこに行ったかすら覚えていない。


「リリアナは王妃と違い、私に惜しみない愛をくれる。それに報いたいのだ」


愛に報いる、ですって?


私だって、かつてはあなたに愛を注ごうとした。


けれどあなたは、それに報おうとした?


偉そうに綺麗事を吐くけれど、ただの好き嫌いでしょう。


――掲示板になら素直にそう吐き出せるのに、夫に何も言えないのは、どうしてだろう。


「…わかりました」


その夜、早速リリアナは鼻高々で自慢した。


ーーー


20:癒し系白百合姫

旦那様二号から「大きな愛のお返しに」と、大きなお城をいただきます。

けれどブルック様式は陰鬱で、気が滅入ってしまいそう…

いっそ火事にでもなれば、私らしいルクク様式で建て直していただけるかしら。


21:姫になりたい名無し

>>20

火事とはナイスアイディアですわ!


22:癒し系白百合姫

>>21

冗談ではございませんのよ?

誰かこの書き込みを見て、放火してくださらないかしら。


ーーー


「グラスレイク城を、焼いて建て直す…?」


血税を貪り、私を馬鹿にして大好きな城を奪い、それでも強欲さは留まるところを知らない。


「あなたに渡すくらいなら」


そう呟いたとき、鏡が光った。


「…鍵付きスレへの招待?」


ーーー


【鍵付き】城焼き隊専用


1:不倫夫は処刑

九人様、癒し系白百合姫の掲示板をご覧になりまして?


ーーー


「不倫夫は処刑」こと元宰相夫人グレースは、知っているのだ。


「夫の庶子は九人」が私だということも、「癒し系白百合姫」がリリアナだということも。


ーーー


2:夫の庶子は九人

>>1

ええ。

なぜあなたまで彼女の掲示板を知っているの?


3:不倫夫は処刑

>>2

あそこの古参ですの。

あちらでは「姫になりたい名無し」と申します。


4:夫の庶子は九人

>>3

なんてこと。

彼女の唯一のファンが偽物だなんて…


5:不倫夫は処刑

>>4

失礼な。私は立派なファンですわ。

浅はかなやりとりを心から楽しませていただいておりましたもの。


ところで放火という言葉が出てきましたので…

今が動くときかと思いまして、ご連絡差し上げました。


6:夫の庶子は九人

>>5

私も決意を固めたところよ。


7:不倫夫は処刑

>>6

その意気ですわ。

まずはあの掲示板を魔導カメラで撮影し、「彼女が掲示板で放火を誘導していた証拠」「国王陛下にお見せしたい暴言」を残してくださいませ。

実働部隊にはもう声をかけております。


8:通りすがりの魔導士

ビッグプロジェクトにお誘いいただき光栄です。

火属性です。証拠残しません。


9:風属性の妻

>>8

助太刀いたす。延焼だめ、絶対。


ーーー


「本当に焼いていいのか」という問いが、頭の中になかったわけではない。


それでも、私は城を焼いた。


「自分たちがやるから王宮にいろ」というグレースを説得し、高度な移動魔法でグラスレイクに運んでもらって、自分で魔道具のスイッチを押したのだ。


思い出とともに、微かに残っていた夫への情も、燃え尽きた。


「グラスレイク城が焼け落ちただと!?」

「はい。無人でしたので人的被害はございませんが、城は跡かたもなく」

「無人の城になぜ火が」

「放火かと…」


正解。


放火が私の仕業だと知ったら、夫は怒り狂うだろう。


「けれど、それがなに?」


私だって怒っているのだから。


――もうずっと。



案の定、リリアナは「焼け落ちたグラスレイク城を、ルクク様式で建て替えたい」とねだりにやってきた。


「いけません」

「王妃、ケチなことを言うな。確かに金はかかるが、グラスレイクをリリアナにやるというのは、男の約束なのだから」


夫はリリアナの前に立って、腕を広げた。


可愛い愛人を守ってやっているつもりなのだろう。


なんとも可笑しいこと。


「すでに伯爵家のものとなった城を国費で建て替えるなど、あってはなりません。火事を防げなかったのも、伯爵家の手落ちです」


リリアナがきゅっと唇を尖らせ、「陛下ぁ、いただいたばかりで警備もつけていなくて、どうしようもなかったのですものぉ」と夫に甘い声を向ける。


「王妃よ、いくら私に愛されるリリアナが憎くても、そのような意地悪を言うでない。愛人に嫉妬など、王妃の品格を疑われるぞ」


私はくっと顎を上げる。


「陛下の言う王妃の品格とはつまり、仕事もせず、血税で叶える贅沢を掲示板で見せびらかすばかりの愛人を、のさばらせることなのでしょうか」


やっと言えた。


これも城焼きで、私の中にあった夫への情が燃え尽きた効果なのだろう。


私に言い返された夫は、目を見開く。


「それに品格を疑われるのは、カーヴォン伯爵夫人です」

「どういうことだ」


私は魔導写真を机の上に並べる。


グラスレイク城が焼けたあと、リリアナはさすがにまずいと思ったのか、城と放火に関する投稿は消していた。


けれどグレースに言われた通りに、記録はとってある。


「カーヴォン伯爵夫人は、掲示板に『グラスレイク城は気に入らない。焼けてしまったら建て替えられるから、誰か放火してくれないか』と書き込んでいました」


リリアナの顔から、赤みが消えていく。


「ち…違います!これは…この白百合姫は私じゃない…!」

「いいえ、あなたよ。ほら、前の投稿ではブルーダイヤを見せびらかしていたでしょう。それに、これもこれもこれも、すべて陛下からのプレゼント。前王妃様の宝石箱まで」

「ひっ…こ、これは…その…違、ただ『焼けたらどうなるかな』というだけで、本気では…」

「では、これも本気ではなかったと?」


ーーー


25:癒し系白百合姫

今日も旦那様二号がお泊りでしたの。

ここでしか言えませんけれど、お泊りのあとは身体を隅から隅まできれいにしないと、気持ちが悪くて眠れませんわ。


26:姫になりたい名無し

>>25

心を殺して耐えておられるのですね!

愛人というのは心身ともに負担の大きい、大変なお仕事だとわかりましたわ。


27:癒し系白百合姫

>>26

まさしく。

娘ほどの年齢の女に入れあげて通い詰めるなんて、旦那様二号はどこかおかしいのですわ。


ーーー


「あ…ああ…お、お許しを…私はあまりに愚かで…」

「そのようね。愚かすぎて、さすがに我慢できなかったわ。『私の夫がおかしくて気持ち悪い』という点には同意するけれど、公認の愛人がそれを自慢気に垂れ流すべきではないわね」


魔導写真を握る夫の手が、ぶるぶると震えてくる。


「気持ちが悪いだと!?おかしいだと!?リリアナ、純粋無垢な女だと信じていたのに…!」

「何十年生きてきて、まだそんな幻想を抱いているなんて気持ち悪すぎますわ!純粋無垢な愛人など、いるはずがありませんっ…」


夫の手から、はらりと写真が落ちた。


その写真の中では、リリアナが繰り返し王を罵っている。


「『リリアナは王妃と違い、私に惜しみない愛をくれる』でしたかしら?どうやら勘違いだったようですわね」

「…っ」


思い知れ。


未熟なクズを愛する女など、いないということを。


それが私の復讐だ。


「違う!私は王だ!女に愛され、女に愛を与え…」


くつくつと笑いが漏れてしまう。


「王妃、何が可笑しい!」


こんなとき、掲示板の仲間達なら彼にどう言ってやるのだろう。


「だって…まるで種馬がいなないているようで」

「王妃…っ!」

「無様ですわ、ふふ…ふふふっ…ほほほほ…あはは…っ」


初めて、夫の前で、思う存分笑えた気がした。


ーーー


562:不倫夫は処刑

皆様、ぜひとも最近の活動報告を。


565:夫の庶子は九人

>>562

私は夫が愛人に与えた城を焼きました。


それから、ようやく離婚時の男女不平等を是正する法案が通るめどが立ちましたの。

だから離婚をお考えの皆様は、よきタイミングで。


ーーー



「やはり生ぬるいですわ」


後日、私の執務室を訪ねてきたグレースが不満げに扇子を開いた。


「国王陛下の首は飛ばせないにしても、小娘はどうとでもできたでしょう」


「リリアナの書き込み」は新聞でも大きく報じられた。


彼女がどう言い訳しても、「彼女が自らのファンにグラスレイク城への放火をけしかけた」という疑惑は消えない。


むしろ言い訳するほどに、疑いは強くなる。


彼女のスレを誰よりも熱心に見ていた私が主犯なのだから、「ファンが放火した」というのも、あながち間違いではないし。


彼女は「旦那様一号」であるカーヴォン伯爵から離縁され、実家にも戻れず、修道院に入った。


「殺さないにしても、せめて目をえぐり取ってブルーダイヤをはめ込んでから修道院に入れるとか」

「サレ妻が全員、あなたのように過激ではないのよ」


「ちっ」と舌打ちされて、思わず笑ってしまう。


「夫を心から憎んで、心から笑ってやれたの。それは私にとって、天地がひっくり返るようなことだったわ」


唯一リリアナを受け入れた修道院は戒律が厳しく、とくに鏡の使用が厳しく制限されていて、リリアナは国王をこき下ろした書き込みを消せない。


だから「【キラキラ】リッチな愛人ライフのご紹介【嫉妬禁止】」は、誰でも見られる状況になっている。


つまり夫は「娘ほどの年齢の愛人に入れ込んで尽くしたのに、気色悪がられたジジイ」という恥を晒し続けている。


種馬ぶりを発揮できなくなり、打ちひしがれ俯く夫の姿は、ただただ愉快だ。


夫が弱っているタイミングで、結婚契約と離婚時の男女不平等を是正する法案も通したことだし。


離婚しなくても、愛人を殺さなくても――


「私は大満足なの。どうか及第点をくださらない?」

「本当にご満足なら、何も言いませんけれど」


鏡が光る。


ーーー


569:夫は可燃ゴミ

>>565

城の中には人あり?人なし?


570:夫の庶子は九人

>>569

なしですわ。

ご協力いただきました皆様には、この場を借りて感謝を。


571:夫は可燃ゴミ

>>570

生ぬるい。


572:不倫夫は処刑

>>571

同意ですわ。


573:名無しのトピ主

>>571

一応言いますけど…

いくら旦那様が可燃でも、人は焼いちゃだめですからね?


ーーー


私は思わず吹き出した。


「人じゃなくて城を焼くのもだめなのに。本当にここの住人は野蛮だわ。全員あなたみたいじゃない、グレース?」


けれどどれだけ野蛮でも、もう「掲示板を見るのは我慢しよう」なんて思わない。


だって鏡の中では、今日も誰かが「許せない」と本音を吐き出し、自分の人生と笑いを取り戻しているのだから。


その騒がしさが、今の私にはひどく心地良く、愛おしい。


「王妃様やトピ主さんが、むしろ穏やかすぎるのですよ」

「城を焼いたのに?」

「ええ、私から言わせれば」


そうかもしれない。だけど考えてしまう。


生まれる家が違えば、私も愛人側だったかもしれないと。


「そうね、だから…女性が男に養われるしかない世の中を変えるには…望まないのに愛人にならないためには…仕事…社会的信頼…拒否できるような…」

「王妃様はほんっとうに…」


グレースはぱたりと扇子を閉じて、ふっと笑う。


「私にはない、そういうところを尊敬しておりますよ」

「…ふふ、ありがとう」


ハーブティーに口をつけると、これまでよりもずっと濃密な味を感じられる。


「掲示板のみんなに会えないかしら。直接お礼も言いたいし」

「準備いたします」

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― 新着の感想 ―
続編ありがとうございます。 焼いちゃったか~! でも、城だけ……王様の勝負カツラとパンツも、一緒に灰になったらいいのに……(ちょっと残念) そういえば10年くらい前だったか、子供たちが成人する前か…
やるなら最期まで!のみなさまへ。 憎いとか殺したいとか、いわゆる「ざまぁ」を相手に望むのは それだけ強い感情を持ち続けてないと無理かなと。 王妃様がいちばん抑えたかったのは、下半身で思考し節操なし…
スピンオフお待ちしていました!! 今回もとても楽しく拝見させていただきました。 ありがとうございます! スレの住人さんたちそれぞれの復讐譚、これからもお待ちしております^ ^
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