二重螺旋
100奇譚・3話目
友達だと思っていた。
あいつとは入学一番に仲良くなった。
変な奴だった。的外れなのか、ヘンなボケとツッコミばかりする。意外に頭がいいから、その差が面白くてずっとだべっていた。
定期テストは回を増すごとに難しくなった。
私のテストの点数はだんだん低迷して、あいつと遊ぶ時間もなかった。
あいつはいつも俺が勉強するのを横目に、クラスメイトの奴と笑いながら帰っていった。
あんなに遊んでいるのだから、どうせ俺より勉強はできない。
軽々と見せてきた答案を見て、頬骨のあたりに力がこもった。
そんな笑顔を見せないでくれ。おかしくなりそうだ。
あいつは、俺の知らないクラスメイトと答案を見てばかみたいにはしゃいでいた。
俺は得点票に顔を近づけて、一文字ひと文字ゆっくり読んだ。
俺たちの差は開くばかりで、あいつが遠くかける声に私は小さくうなずくだけだった。
詰まった息がギザギザにとがり、喉の奥を刺した。
美術の心得なんてなかった。でもまだマシだったから選択した。
あいつが隣で描いた絵は美しかった。
見ているふりをして、棚にあるカッターをぼーっと眺めた。
卒業した。
最後、誰もいない教室で告げた。
「俺はおまえが嫌いだ。」
あいつは頷いた。
「おまえのそういうところが大嫌いだ。」
頷いた。
「おまえの話し方がきらいだ。」
頷く。
美術室からできるだけ新しいカッターを盗んでおいた。
「握れよ。」
あいつは頷くと、そっとそれを握った。
「おまえがきらいだ。」
頷く。
「汚せよ。」
俺はあいつの前で膝をつき、刃を首にそえた。
あいつは頷いた。
あいつは賢かった。
だけど、全く緋くて、愚かだった。
静かな教室に吐き気のようなものがこみ上げて溺れた。
◇◇◇
親友だと思っていた。
あいつとは入学一番に仲良くなった。
たくさん笑いあって話した。
卒業した。
あいつは俺が嫌いだと言った。
だから、言われたままに罰を受けた。
親友ではなかったのだろう。
理解できなかった。
最期、あいつは困ったような顔で見ていた。
緋に溶けた涙に、失望のまなざしが込められていた。
コンセプト
"天才"
続きは作れません。短編なので☆




