第17話「耐えられる…にゃん!?」
——夢の中。
うっすら白い靄がかかる空間の中で、私は黒猫の姿で目を覚ました。
(きた……きたにゃん……また猫になれた……!)
黒くてふわふわな前足を上げて、ぺちぺちと目元をこする。
体の感覚は軽いけど、感情だけは妙にリアル。ドキドキしてる。
そして——その音に気づいたのか、あの人が近づいてきた。
「天王洲、目が覚めた?」
霧崎さん。
黒のシャツをラフに羽織って、ちょっとだけボタンが開いてて、覗く鎖骨が反則レベルにセクシー。
(ぐはぁっ……いきなり色気が強すぎるにゃん……!!)
「今夜の君、なんだか特別かわいいね」
「にゃ、にゃに言って……あ、そっか猫だから喋れないんだったあああああああ!!!」
(でも、霧崎さんにはあたしの思考が伝わってるみたいで……)
「ふふ、また心の中でにゃんにゃん言ってる」
(くぅ〜〜〜〜うぅうううう恥ずかしい!!!)
「よし、今日は実験的に……もっと“深い”夢に落ちていけるか、試してみようか」
(し、深いってなに!?深いってどういう……えっ……あ、ちょっ、近い近い近いにゃん!!!)
気づけば霧崎さんの指が、私のあご下をくいっと持ち上げてる。
柔らかくてあったかい指。優しく撫でるたび、ぞくぞくする。
「君、ここ……弱いよね?」
「にゃぅっ……!!!」
(やば……このパターンは……やばいやばいやば……)
「ほら、こんなにぷるぷる震えて。可愛い」
(ふぎゃああああ!!!興奮数値……急上昇中にゃん!!)
体がふにゃふにゃになるのを感じながら、私は理性をかき集める。
(落ち着けかえにゃ……前回は肉球で踏んでアウトだった……今回は冷静さを保つのが目標にゃ……)
でも霧崎さんは容赦なかった。
「天王洲の首筋、前から気になってたんだ」
——ぺろ。
(ひゃぁぁぁぁああああああ!?!?!?)
首筋を、濡れた舌が優しく這った。
まるで猫が毛繕いするように——いや、それ以上に官能的に、ぞくぞくと痺れるような感触。
(だ、だめ……このままだと絶対……)
「……どうしたの?目がとろんとしてる」
(してるよ!!してるに決まってるにゃん!!!)
「もっと、気持ちよくしてあげる」
——そして、霧崎さんは、私の猫の体をやさしく横倒しにした。
「動かないでね。任せて」
「にゃぅっ……ん、んんっ……!」
体のあちこちを、舌でなぞられたり、肉球を吸われたり(!?)、
もはやどこが性感帯かわからないレベルのスキンシップ攻撃。
(だ、だめにゃ……きもちよすぎて、脳が……とろける……)
(でも……今度こそ……最後まで……!!)
——でも。
次の瞬間、霧崎さんがそっと耳元で囁いた。
「天王洲。君のこと、もっと知りたい。全部、見せて?」
(それは……だめええええええええええええ!!!!)
バンッ!!
布団を蹴って、ベッドの上で跳ね起きた。
「はっ……はっ……」
(……起きた……)
——また、ギリギリで夢から落とされた。
「くぅぅぅうううううう〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」
私はベッドの上で悶絶した。
枕に顔をうずめながら、じたばた転がる。
「また……またギリギリで……霧崎さん、攻めすぎにゃん……っ」
まったく、私の限界を理解してるのかしてないのか……いや、わかっててやってるでしょ!?
えっちすぎるよ霧崎さん……罪な男すぎるよ……。
「でも……しあわせだったにゃん……」
あしたも、霧崎さんに……会いにいこう




