第16話「いっしょに、寝るにゃん…?」
夜。
カーテンを閉めた部屋の中、ベッドの上で私はぴくぴくしていた。
(これから、あたし……霧崎さんと一緒に、寝るのか……いや、寝るだけじゃない。囁かれて、バイブ挿れた状態で、夢に落ちるの……って、えぇぇぇえええ!?!?)
わかってる、わかってるけど、何度心の中で確認しても赤面が止まらない。
そしてその隣には——
「落ち着け。脳波測定装置はすでに稼働している。今はリラックス状態だ」
と、あくまで冷静な霧崎さん。
なぜか黒のタートルにスラックスという、ちょっと夜デート風の服で来るのやめて……かっこよすぎるから……。
「じゃあ……始めるか」
「え、は、はいぃ……」
霧崎さんがベッドサイドに膝をつき、私の耳元に顔を近づける。
(ち、ちかい……顔がちかい……息、かかってる……)
「天王洲、眠れるか?」
「んっ、が、がんばりますぅ……」
「じゃあ、ゆっくり深呼吸だ。吸って……吐いて……」
「すぅ……はぁ……」
「いい子だ」
「!!?!!??!」
(まって、その言い方ずるい……ご褒美ボイスすぎる……耳が幸せで絶頂しそう……)
「天王洲の脳波、今いい感じにα波出てる」
「え、えへ……じゃなくて、へぇ……」
「じゃあ——そろそろ、挿れるか?」
「——っ!??!?!?!?」
「バイブを、だ」
「そ、それはわかってますうううううう!!!」
枕元に置いてあった例の黒猫バイブ。
私は震える手でそれを持ち上げ、スッとシーツの中へ……
(し、霧崎さんの前で、これを、自分で……!?!?)
「やっぱむりぃぃぃぃぃぃ!!!!!」
「なら、俺が手伝おうか?」
「だめえええええええええええええええええ!!!!!!!!」
羞恥が限界突破。ベッドの上で全力でのたうちまわる私。
(な、なんで、霧崎さんってこんなに……こんなに攻めがうまいの!?!?!?)
(しかも、それが夢じゃなくて現実って……現実が夢を超えてきてるにゃん……)
「……よし。じゃあ、そろそろ本当に入眠しよう。音声ガイドに切り替える」
「えっ、あ、そっか……びっくりした……」
(ほんとに手伝うとか言って、動じないし、冗談か本気か分からないのが罪すぎる……)
霧崎さんは、優しく毛布をかけてくれた。
そしてそっと枕元にスピーカーを置く。
「おやすみ、天王洲。次は、夢の中で会おう」
「…………っ、うん、にゃん……」
脳内に甘い言葉が響いて、私は目を閉じた。
「…天王洲…かわいいよ…」
「…天王洲…夢の中であおうね…」
「…天王洲…あいしてる…」
「…天王洲…おやすみのちゅ…」
——うん!これ、眠れないね!笑笑笑
でも、これで眠れたら
どんなに凄い夢が見れるのだろう
そんなことを考えてるうちに
ふわ、ふわふわ……と、体が軽くなっていく。
(あたし、今……夢に入ってる……)
(霧崎さんと、いっしょに……)
「天王洲?」
「——!」
目を開けると、そこはあの白く霞んだ夢の空間。
そして目の前には、黒シャツ姿の霧崎さん——だけど、夢の中の彼は、少し笑ってる。
「来たね。今夜は、君とふたりきり」
「……霧崎さん……?」
「夢でも、君の名前を呼びたい。何度でも」
——あたしの脳、完全にとろけました。




