王子のその後
「マルク、一体これはどういうことだ! 第二王子ともあろうお前が、逆賊などに唆されおって!」
父に頬を打たれた。父はそれでもまだ腹の虫が治らないようで、「しばらく謹慎しておれ!」と言った。
騎士に引き摺られて部屋に入れられる。鍵が閉められてたと思ったら、目の前に若い男が現れた。狼狽えつつ、「何者だ?」と静かに聞く。
「追放屋と言えば伝わるか?」
「お前が……。何のようだ? 追放はもう終わっただろう?」
それとも謹慎は追放扱いではないのだろうか。ここで詰まらない一生を終えるくらいならいっそ国外追放にしてほしいとは思うが。
「終わっていない」
「と言われても、追放されるために罪を犯すつもりはないが」
「良いのか? このままだとマノン・ルロワが殺されるぞ」
「……マノンが?」
「ああ、逆賊の一味としてな」
「マノンは関係ないはずだ! そのように調査してほしいと伝えたはずだが?」
「調査結果は伝えたが、マノン・ルロワを悪者にした方が都合が良かったんじゃないか?」
父の怒り方から考えて、マノンはこのままでは処刑、良くて終身刑だろう。見目が良いため売られてしまうという可能性もある。
「追放屋!」
「分かっている。マノン・ルロワがいる場所まで転移させよう」
彼女がいるのはおそらく貴人用の牢。転移するには一度行かなければならないはずだが、厳重な警戒の中、入ったのか、コイツは……。……急に目の前に現れたことといい、追放屋が人間なのか怪しくなってきた。まあいい。たとえ魔王であろうと、現時点で味方をしてくれるのは変わらない。
「マノン・ルロワの元までは連れて行くが、そこからは干渉しない」
「分かった。それだけでも助かるよ」
「ならいい。これはサービスだ」
彼からペンダントと髪紐と眼鏡を渡された。
「印象に残りにくくなる魔道具と、髪の色を変える魔道具、目の色を変える魔道具だ」
魔道具ならさぞ高価だろうと思い値段を聞くと、「依頼の一部だ」と言われ、押し付けられた。今まで王子として生きてきたから「金には困っていないから気にするな」と言われたのは初めてだった。
「ありがとう、恩に着る」
「勝手に幸せになってろ、リア充め」
「リア充……? この恩はいつか返そう!」
「囚われのヒメを助け出してから言え」
追放屋は少しだけ恥ずかしそうにしながら俺を転移させてくれた。