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期末と理想と変態2

「リリーさん……お望みでしたらいつでも11時間で作業は完了しますよ」


「何が?! 鏡花さん怖いよ!」


「リリー、私はお前がどうなってもいつまでも友人だと思っているし、いつでも困った事があれば助けになるからな」


「何かこのタイミングで優しくされるの怖いよ! 優しくしないでよ!」


「お前その見た目通り中学一年辺りからやり直した方が良いんじゃねぇの?」


「もうちょっと優しくしてよ!」


 どっちだよ。


「しかしお前よくうちの高校入れたな。結構偏差値高い方なのに」


「すごく……頑張ったんだよ」


 リリーは遠い目をして言った。


「そして合格して・・・全部忘れたんだよ」


 ただのバカだったわ。


「解った、数学は止めよう。国語に行くぞ」


「おっ私の得意教科だよ! 任せて!」


 国語は勉強してなくても点数取れたりするからな。


「ちなみに前回は何点だったんだ?」


「え、9点だけど」


 こいつのテストだけ30点満点のテストとかじゃないよな?


「お前のその点数、例えるならゴミ部屋を一割だけ掃除して終わってるようなもんだぞ」


「え、やばいじゃん」


 お前の現状だよ。


「よしじゃあ問題出すぞ」


「いいよーばっちこい」


「夏目漱石の作品、こころの作中の以下の文章を書いている際の作者の気持ちを答えよ」


「その問題はパスで」


 なんでだよ。


「一応訳を聞こうか」


「そんなん解る訳ないもん! 漱石だって早くこれ書き終わって女の子に会いに行きたいって思ったかもしれないじゃん! くそぅ漱石め!」


 夏目漱石を漱石呼びすんな。夏目漱石の何なんだお前は。


「正座で書いていると段々痛気持ち良くなってくるなって思ってたかもしれないな」


「朔夜さん静かにしてて」


「解った」


「国語もダメだな。次は英語だ」


「英語は止めよう。私達は日本人なんだよ」


 その見た目(金髪ハーフ)で言うな。


「成績悪いやつが軒並み点数低い教科だからな。前回は何点……いや悪かったなどうせ0点か」


「2点だよ! 攻一、失礼だよ! 選択問題とかは鉛筆転がして割と当ててるんだからね!」


 鉛筆もうちょっと仕事させた方が良いんじゃないか?


「じゃあ出すぞー。次の日本語文を英訳に直しなさい。‘お誕生日おめでとう、ケン’……これ中学一年くらいの問題だな」


 まぁこいつの学力を計るのに最初はこれくらいが良いか。


「……なるほど。ちょっと時間をもらって良いかな?」


 嘘だろ高校一年生?


 リリーは真剣な表情でうんうん唸りながら書いては消し書いては消しを繰り返し――五分後。


「出来た! 完璧! ‘Happy new year Ken(新年おめでとう、ケン)’」


 こいつ天才か。


「リリーさんとっておきのケーキ食べますか?」


「私の分も食べて良いぞリリー」


「何で?! 二人がすごい優しくしてくる! えっこれ間違ってた?!」


「お前、正月の挨拶を思い出してみろよ」


「えっ、あけおめーって……あっ私のこれお正月の挨拶かー聞き覚えあるからこれだと思ったんだけどなー」


 人間って余りにも信じられないものを見るとゾッとするんだな。勉強になったよ。


「全教科全滅か……さてどうするか」


「待って待って! まだ社会とか理科とかあるじゃない!」


「今までの惨状から暗記科目で点が取れるとは思えないのだが」


「ひどいよ! 惨状でもないよ!」


「じゃあお前ちょっと前回の答案全部並べてみろよ」


 得意教科9点の時点でもう見るの怖いまである。


「くっ足下を見て……!」


「まぁ確かに足下(最底辺)だよな」


「うぐぅ……」


 さて、どうするか……期末ってのが問題だな。範囲が広すぎる。


 俺や朔夜が受けた期末からヤマを張った方が一番良い気もするが……。


「……攻一、解ったよ」


「いや何も解ってないだろ」


「足りてないものがあったんだよ」


「むしろ足りてるもの何かあったか?」


「もー! 黙って聞いてよー!」


 見た目相応に駄々をこねるリリー。


「解った解った」


「足りなかったのはね、ご褒美なんだよ!」


「はぁ?」


 何言ってんだこいつ。


「いえ、すごく良い意見だと思います」


「同感だ」


 ストーカーとドMが同調してきた。


「一応、念の為、嫌な予感がするから聞いておくがご褒美の内容は?」


「えー……? そうだなーやっぱりデートかな!」


「あ、私もそれにします」


「私もそれで構わない」


 なんでお前らもご褒美もらう事になってるんだ。


「内容はね、もうずっと前から決めてるんだ……あ、ちょっと回想入るね」


「ちょっと回想入るねって何?」


※ ※  ※


 街灯が照らす夜の街。


 雪が降りそうな寒さの中で私はあの人の事を待っていた。


(何か始まった)


(攻一! 静かにしてて!)


(ぇー……)


 凍える手に息を吐き掛け擦り合わせる。


 ふと鼻に何か当たったかと思ったら空から雪が降ってきていた。


「……わぁ綺麗」


 街灯の明かりに反射する雪はキラキラと輝いて見えた。


「リリー!」


「あ、攻一!」


 声のした方を向けば攻一が息を切らしながら駆け寄って来ていた。


「待たせたな、俺の子猫ちゃん」


(ねぇ回想の中の俺気持ち悪すぎない?)


(いいの! カッコいいの!)


「手、震えてるな……こんなに冷たくして……」


「うん……雪も降ってるし、やっぱり寒いね――」


 私は震える体を抑えながら言った。


「――服も着てないし」


(全裸だったの?! ちょ止めろ止めろ止めろ!)


※ ※  ※


「もー! どうしたの攻一、今からがいいとこなのにー」


「もうツッコミどころ多すぎて収拾がつかねぇんだよ」


小ネタ

え、これ自分で書いてて思ったけどリリーこれどうやって合格したの?


※ ※ ※


読んでくださりありがとうございます。

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